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第2章
本当に欲しいもの 1(sideリュカ)
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sideリュカ
「リュカく~ん、この髪型どうかなぁ」
次の日、いつもの朝。
教室に入った途端に、クラスで一二を争う整った顔のミレーユちゃんが話しかけて来た。
萌え袖、上目遣い、猫なで声の三拍子を駆使する彼女は、誰が見ても「可愛い」と言うだろう。
実際俺も、顔が抜群に可愛いから入学当初からお気に入りだ。
「似合ってる。外ハネって可愛さが引き立つよな」
俺は言いながらミレーユちゃんの毛先を弄った。
「ありがとう~」とニコニコ笑顔のミレーユちゃん。
完全に2人の世界だったのに、視線を感じた。
…………アレクか。
「リュカ、ちょっと来て」
案の定アレクが声を掛けてきた、うぜぇ。
せっかくかわい子ちゃんと良い感じだったのに。
俺は髪の毛をがしがし搔きながら教室のドアの前に立っているアレクの側へ行った。
「んだよ、用でもあんのか」
「用事があったから来たけど、呆れた。好きな子いるのに他の子にも手ぇだすとか有り得ないでしょ」
アレクの言っていることは、もう古い情報だ。
一華の記憶を戻せないって言うなら、俺は。
「別に、俺はアイの事は好きじゃねぇ」
「は?」
「俺が好きなのは一華だけだ。アイじゃねぇ」
俺はノアの話を聞いてから、良く考えた。
これまでアイと仲良くなろうと思って接触したが、それは果たして意味のあることなのか?
アイと話してると、どうも違和感がある。
仲良くなってからも消えない。
むしろ、こんなに簡単に仲良くなれた事が異常だ。
人見知り、無表情、無愛想の三拍子。
それが城島一華という人間だ。
俺が出した結論は、「一華とアイは別人」だ。
俺が好きなのは一華であって、アイじゃない。
だからもう、どうでも良い。
「リュカは、思い出っていうアドバンテージ無しで好きになってもらう自信ないんでしょ?」
アレクは珍しく笑みを浮かべてそう言った。
俺が………自信ないだって?
「ふざけんな、俺が本気出したらアイなんか秒でコロリだわ!」
「昨日の話聞くまでは結構頑張ってアピールしてたのにね。アイちゃんはリュカの事きっと知り合いくらいにしか思ってないよ?」
こ、いつ…………。
確かにアイは、何故か俺に惚れた素振りを今の所見せない。
あぁいうちょっとバカっぽい奴ほど惚れやすい傾向にあるのに。(※俺調べ)
「友達くらいには思ってるわ目ぇついてんのか」
「じゃあ、もっと『可愛い』とか『髪型似合う』とか言えばいいじゃん。どうせなら惚れさせちゃえば?」
このムカつくヤローの言う通り、俺は1度もアイを褒めたことがなかった。
何故かって?
理由は簡単。
アイは、
「……………か、可愛くないから言わない」
「何、今の間は」
「うるせぇ!兎に角アイの事をなんとも思ってねぇから誰と何しようが俺の勝手だろ」
俺はそれだけ言ってドアを閉めた。
アレクが何か言おうとしていたけど、これ以上何も聞きたくなかった。
٭❀*
アレクに意味不明な事を言われてから数日経った。
相変わらず昼飯は5人で食っていた。
何で俺は未だにこいつらと食べてんだよ。
クラスの女の子と食べた方が有意義だろ……。
そう思いつつアレクとテキトーに喋っていたら、アイがいきなり、ぱんっと手を合わせた。
「ノア、お願い!」
どうやら勉強を教えて欲しいとお願いしているようだ。
アイは紅花を助けたせいで実技テスト未受験者扱いになってたからな。
見たところ紅花のせいにしている様子は無い。
一体どれだけお人好しなんだ。
………まぁ、紅花は俺の婚約者候補だし、お詫びに俺が教えてやっても良いかな……。
俺が様子を伺っていると、アレクの方が先に口を開いた。
「じゃあ、俺の家で皆勉強する?」
こいつ、俺との会話に集中してなかったのかよ!
「勉強会しようよ」
結構食い気味にアレクは言う。
俺にまで同意を求めてきた。
…………なんか、ムカつく顔してやがる。
「アイがどうしてもって言うなら俺ん家でも良いぞ。どうしてもって言うならな!」
アレクの家なんか行ったらゲームのしすぎで脳が溶けるし視力が低下する。
だから、俺の家の方が良いだろう。
広いし、快適だしな!
アイに俺の凄さを教える時が来たんだな。
俺は内心高笑いしながら腰に手を当てた………………けれど。
良いのか?
俺の家に来たら、一華の記憶……。
俺がそんな心配しているとは知らないアイは、紅花を誘う空気をめっちゃくちゃ放っている。
「…………あたしも行く空気にしないでくれる?」
察した紅花はそう言った。
「来たくないなら来んじゃねぇ」
「は?あんたの家なんて行き過ぎて飽きてるし」
マジで紅花は来なくて良い。
最近アイと仲良くなり始めてるけど、アイが課題出されたのは全面的にこいつのせいだろ!
俺たちが睨み合っていると、仲裁が入った。
「2人とも落ち着いてくれよ。間をとって俺の家で皆で勉強しよう、どうだ?」
ノアのよく分からない発言で、勉強会の場所はマクファーソン家に決定した。
「リュカく~ん、この髪型どうかなぁ」
次の日、いつもの朝。
教室に入った途端に、クラスで一二を争う整った顔のミレーユちゃんが話しかけて来た。
萌え袖、上目遣い、猫なで声の三拍子を駆使する彼女は、誰が見ても「可愛い」と言うだろう。
実際俺も、顔が抜群に可愛いから入学当初からお気に入りだ。
「似合ってる。外ハネって可愛さが引き立つよな」
俺は言いながらミレーユちゃんの毛先を弄った。
「ありがとう~」とニコニコ笑顔のミレーユちゃん。
完全に2人の世界だったのに、視線を感じた。
…………アレクか。
「リュカ、ちょっと来て」
案の定アレクが声を掛けてきた、うぜぇ。
せっかくかわい子ちゃんと良い感じだったのに。
俺は髪の毛をがしがし搔きながら教室のドアの前に立っているアレクの側へ行った。
「んだよ、用でもあんのか」
「用事があったから来たけど、呆れた。好きな子いるのに他の子にも手ぇだすとか有り得ないでしょ」
アレクの言っていることは、もう古い情報だ。
一華の記憶を戻せないって言うなら、俺は。
「別に、俺はアイの事は好きじゃねぇ」
「は?」
「俺が好きなのは一華だけだ。アイじゃねぇ」
俺はノアの話を聞いてから、良く考えた。
これまでアイと仲良くなろうと思って接触したが、それは果たして意味のあることなのか?
アイと話してると、どうも違和感がある。
仲良くなってからも消えない。
むしろ、こんなに簡単に仲良くなれた事が異常だ。
人見知り、無表情、無愛想の三拍子。
それが城島一華という人間だ。
俺が出した結論は、「一華とアイは別人」だ。
俺が好きなのは一華であって、アイじゃない。
だからもう、どうでも良い。
「リュカは、思い出っていうアドバンテージ無しで好きになってもらう自信ないんでしょ?」
アレクは珍しく笑みを浮かべてそう言った。
俺が………自信ないだって?
「ふざけんな、俺が本気出したらアイなんか秒でコロリだわ!」
「昨日の話聞くまでは結構頑張ってアピールしてたのにね。アイちゃんはリュカの事きっと知り合いくらいにしか思ってないよ?」
こ、いつ…………。
確かにアイは、何故か俺に惚れた素振りを今の所見せない。
あぁいうちょっとバカっぽい奴ほど惚れやすい傾向にあるのに。(※俺調べ)
「友達くらいには思ってるわ目ぇついてんのか」
「じゃあ、もっと『可愛い』とか『髪型似合う』とか言えばいいじゃん。どうせなら惚れさせちゃえば?」
このムカつくヤローの言う通り、俺は1度もアイを褒めたことがなかった。
何故かって?
理由は簡単。
アイは、
「……………か、可愛くないから言わない」
「何、今の間は」
「うるせぇ!兎に角アイの事をなんとも思ってねぇから誰と何しようが俺の勝手だろ」
俺はそれだけ言ってドアを閉めた。
アレクが何か言おうとしていたけど、これ以上何も聞きたくなかった。
٭❀*
アレクに意味不明な事を言われてから数日経った。
相変わらず昼飯は5人で食っていた。
何で俺は未だにこいつらと食べてんだよ。
クラスの女の子と食べた方が有意義だろ……。
そう思いつつアレクとテキトーに喋っていたら、アイがいきなり、ぱんっと手を合わせた。
「ノア、お願い!」
どうやら勉強を教えて欲しいとお願いしているようだ。
アイは紅花を助けたせいで実技テスト未受験者扱いになってたからな。
見たところ紅花のせいにしている様子は無い。
一体どれだけお人好しなんだ。
………まぁ、紅花は俺の婚約者候補だし、お詫びに俺が教えてやっても良いかな……。
俺が様子を伺っていると、アレクの方が先に口を開いた。
「じゃあ、俺の家で皆勉強する?」
こいつ、俺との会話に集中してなかったのかよ!
「勉強会しようよ」
結構食い気味にアレクは言う。
俺にまで同意を求めてきた。
…………なんか、ムカつく顔してやがる。
「アイがどうしてもって言うなら俺ん家でも良いぞ。どうしてもって言うならな!」
アレクの家なんか行ったらゲームのしすぎで脳が溶けるし視力が低下する。
だから、俺の家の方が良いだろう。
広いし、快適だしな!
アイに俺の凄さを教える時が来たんだな。
俺は内心高笑いしながら腰に手を当てた………………けれど。
良いのか?
俺の家に来たら、一華の記憶……。
俺がそんな心配しているとは知らないアイは、紅花を誘う空気をめっちゃくちゃ放っている。
「…………あたしも行く空気にしないでくれる?」
察した紅花はそう言った。
「来たくないなら来んじゃねぇ」
「は?あんたの家なんて行き過ぎて飽きてるし」
マジで紅花は来なくて良い。
最近アイと仲良くなり始めてるけど、アイが課題出されたのは全面的にこいつのせいだろ!
俺たちが睨み合っていると、仲裁が入った。
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