姫の血縁

姫宮瑠璃

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目覚め①

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ニコラスが『少女発見』の報告を受けたのは、商会の3階で帳簿を引っ掻き回していた時だった。
魔法には自信があったが、捜索場所が室内では、自分の魔法はあまり有利ではない。
だから、自身は従業員を出来るだけ引きつけて、その間に騎士達に捜索させる事にした。
帳簿を見られては困る事でもあるのだろう。
1階の店舗から3階に上がってくる間に、何度とはなく引き止めようと、従業員が食らいついてきた。
今さっき二重帳簿を見つけたところで、膝をつき項垂れたり、逃げようとして捕らえられた従業員が必死に訴えている。
証拠になりそうな物をすべて押さえるよう指示を出して、報告をしに来た騎士と共に地下へと向かう。
「件の少女か、確認をして欲しい」との事だった。
事件を知る騎士以外に、特徴などを伝えずに連れて来てしまっていた。
事件を知っている騎士だとて、『黒髪の少女』だとしか知らないだろう。
地下に近づくにつれ、騒めきが喧騒を帯びてきた。
まだ商会の連中が、抵抗を続けているのだろうか?
ニコラス達が1階に降りたところで、別の騎士が報告にやって来た。
どうやら、見つかった少女は4人いるらしい。しかも、そのうちの1人が魔法を発現し暴走状態で、2人の少女がそれに巻き込まれて大怪我をしているらしい。
急いで地下の階段を駆け下りていくと、階段下で騎士が1人の少女を抱えてこちらに向かって来るところだった。

「閣下、お探しの少女はこちらの少女ではありませんか?」

抱き抱えられた少女は黒髪で、眠ったまま力無く腕をダラリと垂れ下げている。
ニコラスが顔を確認すると、その少女は姫小路裕美だった。
てっきり、魔法を暴走させているのは姫小路裕美だと思っていたが、違ったようだ。
地下の状況を見ると、ほとんどの部屋のドアが蹴破られ、傷ついた騎士が奥部屋手間でどう動いていいか分からずに立ち止まっている。
廊下には、騎士の他に巻き込まれたらしい血に塗れた少女が2人、横たわっていた。
最奥の部屋からは女性の甲高い悲鳴が長く響き、ドアの無くなった出入り口からは風が渦巻いているのが見える。
ニコラスは、姫小路裕美を外まで避難させ、護衛するように騎士に命令し、奥の方に向かった。
近づくにつれ、風が強くなっていく。
ニコラスは、自分と、共に従う騎士に防御魔法をかけ、奥の部屋の出入り口から中を伺った。
竜巻の様な風の渦の中心で、少女が叫び続けている。
こちらが声の限りに大声を出しても、風でかき消され、少女まで届かない。
それに、部屋にかけられた魔法遮断のせいで、こちらの魔法が中に届かない。
防御魔法を重ねに重ねて、実力行使で突っ込んで行くしかないかとニコラスが考えた時、
不意に風と悲鳴が止んだ。
そして、その場にいる全員の視界全部が光に包まれた。
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