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第1話 猫の手も借りたいのです
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王都の冬は、甘い匂いがする。
――正確には、甘い匂いがする冬になってしまった。
平和になった王都では、剣も鎧も売れなくなった代わりに、なぜだか人々の心が「甘いもの」に向いてしまったのだ。
「戦が終わったら、糖が流行る」なんて格言は聞いたことがない。けれど今の王都は、まさにそれだった。
老舗和菓子屋《鶴の屋》王都支店。
その店先は朝から晩まで、湯気と行列と噂話でふくらんでいる。
「――次の方、どうぞなのです! ご予約はお名前を、なのです!」
支店長の少女――いや、立派な店の顔である娘は、笑顔のまま目だけで帳場の数字を追い、耳だけで奥の蒸し器の音を聞き、手だけで包み紙を折っていた。
手が、足りない。
足りないどころか、足も、目も、時間も足りない。
「支店長! こっち、練り切りの箱が足りません!」
「支店長! あんこ、追加いります!」
「支店長! 王宮からの急ぎ便、来ました!」
「はいはい、今、行くのです。……王宮便は優先、箱は私が折るのです。あんこは――」
言いながら、自分でも「どうやってこの身体で全部やるつもりなのです」と思う。
でも、言ってしまったものは仕方がない。
――鶴の屋の娘にして王都支店長、ユズは、背筋を伸ばした。
可愛い、と言われる顔立ちなのに、目の前の現実が可愛さを許してくれない。
「和菓子は幸せを運ぶのです。……だから、ここで倒れてはいけないのです」
それは、ほとんど呪文だった。
店の外に出ると、通りを埋める人、人、人。
「鶴の屋の“恋菓”はまだか」「新作の“花告げ”はあるか」と騒がしく、冬の空気まで熱を持っている。
恋菓祭。
近づく祭りに向けて、王都は浮かれている。
浮かれすぎている。
ユズは、配送用の荷車が引っかかった角を直そうとして――そこで、ふと立ち止まった。
路地の影に、ひとり。
黒い外套の男が、座り込んでいた。
最初に目に入ったのは、手だった。
大きくて、硬そうで、節が目立っていて――それなのに、妙に整っている。
次に目に入ったのは、顔。
痩せていて、目の下が暗く、頬がこけている。
やつれている、という言葉が似合う。
だけど――その目だけが、妙に澄んでいた。
ユズは、なぜか足が止まった。
(……あの人、寒いのかな)
冬の王都で、座り込んでいる。
それだけで、放っておけない理由は十分だ。
ユズは荷車から手を離し、男の前にしゃがみこんだ。
「……大丈夫なのです?」
男は顔を上げた。
声は出さない。代わりに、こちらをじっと見る。
――視線が、強い。
責めるようでもなく、媚びるようでもなく、ただ“見ている”。
それだけなのに、ユズはなぜだか背筋が伸びた。
「えっと……お腹、空いているのです?」
男は少しだけ目を細めた。
それが肯定なのか否定なのか、ユズにはわからない。
でもユズは、迷わなかった。
「ちょっと待つのです」
立ち上がって店に戻り、蒸したての饅頭を紙に包む。
それから温かい茶を小瓶に入れて、戻った。
「はい。これ、食べるのです」
男は受け取った。
受け取った瞬間――その指先が、ほんの少し震えたように見えた。
(冷えてる……)
ユズは自分のマフラーを外し、男の肩にかけようとして、ふと止まる。
初対面でそれは馴れ馴れしいかもしれない。
でも。
男の肩は薄く、外套の布越しでも、寒さが伝わってくる気がした。
ユズはそっと、マフラーを置いた。
「……風邪を引くと、甘いものが美味しくないのです」
男は饅頭をひと口食べた。
その瞬間、目がほんのわずかに見開かれる。
次に、肩が――一ミリだけ、落ちた。
息を吐いたのだ。
それだけでユズは「あ、良かったのです」と安心してしまう。
人が食べる姿は、救いに見える。
男は饅頭を食べ終えると、茶を飲んで――そして、ユズを見た。
さっきよりも、ずっと静かな目で。
まるで“あなたに借りができた”と、言っているみたいに。
「……えっと」
ユズは、なぜか焦った。
その目が、妙に真剣だったから。
「お礼はいらないのです。……それより、仕事、ありますのです」
言ってしまった。
言ってから、ユズは自分の口を軽く押さえた。
(今、何を言ったのです?)
でも、もう遅い。
男は立ち上がった。
立ち上がると、意外に背が高い。外套の中の身体は細いのに、骨格はしっかりしている。
ユズの頭の中で、帳場の数字が暴れた。
(人手……人手……人手……!)
だから、言い切る。
「今、猫の手も借りたい忙しさなのです。だから――」
男は、ユズの言葉の途中で、頷いた。
一回。
迷いのない頷き。
ユズは目を瞬いた。
「……いいのです? 本当に?」
男は無言のまま、もう一度頷いた。
そして、店の看板――《鶴の屋》を見上げる。
その横顔が、少しだけ柔らかく見えた。
ユズは、胸の奥がふわっとした。
(……この人、きっと、手が器用なのです)
理由はない。
でも、そんな気がした。
店に戻る道中、ユズは名前を聞くのを忘れていたことに気づく。
「そういえば、お名前……!」
男は、足を止めてこちらを振り返った。
その視線が、また強い。
ユズはなぜか、背筋を伸ばしてしまう。
男は、短く口を動かした。
「……カイ」
声は低く、少し掠れている。
それだけなのに、店の湯気より温かく感じた。
「カイさん! よろしくなのです!」
ユズが笑うと、カイは――笑わない。
でも、目がほんの少しだけ、ほどけた。
その変化に、ユズは気づかない。
気づかないまま、店の戸を勢いよく開けた。
「みんな! 新しい職人さん、来たのです!」
店員たちが一斉に振り向く。
カイの姿を見て、一瞬、空気が止まった。
やつれた外套の男。無口。目が鋭い。
……怖い。
そう思った顔が、いくつか見えた。
でも次の瞬間、ユズが胸を張る。
「この人、猫の手を貸してくれるのです! いや、猫の手どころじゃない予感なのです!」
「支店長、予感で雇うのは……」
番頭が頭を抱えた。
ユズは堂々と言い返す。
「和菓子屋は予感も大事なのです!」
その場の全員が「そうかな……?」という顔をしたが、ユズは気にしない。
気にしている余裕がない。
「カイさん、さっそくですけど――」
ユズは振り向いて、言葉を止めた。
カイが、厨房を見ていた。
湯気、道具、粉、餡、木型、包丁。
戦場と化した甘い世界を。
そして――その目が、ほんのわずかに光った。
視線が、雄弁に語っている。
(……あれ、これは)
ユズは胸の奥が、またふわっとした。
カイは言わない。
でも目が言っていた。
――ここなら、作れる。
ユズは、知らず笑ってしまった。
「よし。……じゃあ、お願いするのです。まずは、餡を――」
カイは頷いた。
そして、袖をまくる。
外套の下から現れた腕には、細い傷がいくつも残っていた。
職人の手。働き続けた手。
その手が、餡の桶に触れる前に、ユズの声が飛ぶ。
「……無理はしないのです。倒れたら、私が困るのです。明日からお願いするのです」
カイの手が止まった。
こちらを見る。
ユズは、にこっと笑って付け足す。
「だって、猫の手が来たのです。……逃したくないのです」
カイは少しだけ目を細めた。
笑ってはいない。
でも、その視線は――ひどく優しかった。
そして、彼は餡を掴んだ。
静かに、正確に、迷いなく。
厨房の空気が変わる。
甘い戦場に、ひとつ、頼もしすぎる背中が増えた。
ユズは、それを見て胸の奥で思う。
(これで、なんとかなるのです)
――その“なんとかなる”が、後に“戻れないほど甘い日々”の入口だとは、まだ知らないまま。
――正確には、甘い匂いがする冬になってしまった。
平和になった王都では、剣も鎧も売れなくなった代わりに、なぜだか人々の心が「甘いもの」に向いてしまったのだ。
「戦が終わったら、糖が流行る」なんて格言は聞いたことがない。けれど今の王都は、まさにそれだった。
老舗和菓子屋《鶴の屋》王都支店。
その店先は朝から晩まで、湯気と行列と噂話でふくらんでいる。
「――次の方、どうぞなのです! ご予約はお名前を、なのです!」
支店長の少女――いや、立派な店の顔である娘は、笑顔のまま目だけで帳場の数字を追い、耳だけで奥の蒸し器の音を聞き、手だけで包み紙を折っていた。
手が、足りない。
足りないどころか、足も、目も、時間も足りない。
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「支店長! 王宮からの急ぎ便、来ました!」
「はいはい、今、行くのです。……王宮便は優先、箱は私が折るのです。あんこは――」
言いながら、自分でも「どうやってこの身体で全部やるつもりなのです」と思う。
でも、言ってしまったものは仕方がない。
――鶴の屋の娘にして王都支店長、ユズは、背筋を伸ばした。
可愛い、と言われる顔立ちなのに、目の前の現実が可愛さを許してくれない。
「和菓子は幸せを運ぶのです。……だから、ここで倒れてはいけないのです」
それは、ほとんど呪文だった。
店の外に出ると、通りを埋める人、人、人。
「鶴の屋の“恋菓”はまだか」「新作の“花告げ”はあるか」と騒がしく、冬の空気まで熱を持っている。
恋菓祭。
近づく祭りに向けて、王都は浮かれている。
浮かれすぎている。
ユズは、配送用の荷車が引っかかった角を直そうとして――そこで、ふと立ち止まった。
路地の影に、ひとり。
黒い外套の男が、座り込んでいた。
最初に目に入ったのは、手だった。
大きくて、硬そうで、節が目立っていて――それなのに、妙に整っている。
次に目に入ったのは、顔。
痩せていて、目の下が暗く、頬がこけている。
やつれている、という言葉が似合う。
だけど――その目だけが、妙に澄んでいた。
ユズは、なぜか足が止まった。
(……あの人、寒いのかな)
冬の王都で、座り込んでいる。
それだけで、放っておけない理由は十分だ。
ユズは荷車から手を離し、男の前にしゃがみこんだ。
「……大丈夫なのです?」
男は顔を上げた。
声は出さない。代わりに、こちらをじっと見る。
――視線が、強い。
責めるようでもなく、媚びるようでもなく、ただ“見ている”。
それだけなのに、ユズはなぜだか背筋が伸びた。
「えっと……お腹、空いているのです?」
男は少しだけ目を細めた。
それが肯定なのか否定なのか、ユズにはわからない。
でもユズは、迷わなかった。
「ちょっと待つのです」
立ち上がって店に戻り、蒸したての饅頭を紙に包む。
それから温かい茶を小瓶に入れて、戻った。
「はい。これ、食べるのです」
男は受け取った。
受け取った瞬間――その指先が、ほんの少し震えたように見えた。
(冷えてる……)
ユズは自分のマフラーを外し、男の肩にかけようとして、ふと止まる。
初対面でそれは馴れ馴れしいかもしれない。
でも。
男の肩は薄く、外套の布越しでも、寒さが伝わってくる気がした。
ユズはそっと、マフラーを置いた。
「……風邪を引くと、甘いものが美味しくないのです」
男は饅頭をひと口食べた。
その瞬間、目がほんのわずかに見開かれる。
次に、肩が――一ミリだけ、落ちた。
息を吐いたのだ。
それだけでユズは「あ、良かったのです」と安心してしまう。
人が食べる姿は、救いに見える。
男は饅頭を食べ終えると、茶を飲んで――そして、ユズを見た。
さっきよりも、ずっと静かな目で。
まるで“あなたに借りができた”と、言っているみたいに。
「……えっと」
ユズは、なぜか焦った。
その目が、妙に真剣だったから。
「お礼はいらないのです。……それより、仕事、ありますのです」
言ってしまった。
言ってから、ユズは自分の口を軽く押さえた。
(今、何を言ったのです?)
でも、もう遅い。
男は立ち上がった。
立ち上がると、意外に背が高い。外套の中の身体は細いのに、骨格はしっかりしている。
ユズの頭の中で、帳場の数字が暴れた。
(人手……人手……人手……!)
だから、言い切る。
「今、猫の手も借りたい忙しさなのです。だから――」
男は、ユズの言葉の途中で、頷いた。
一回。
迷いのない頷き。
ユズは目を瞬いた。
「……いいのです? 本当に?」
男は無言のまま、もう一度頷いた。
そして、店の看板――《鶴の屋》を見上げる。
その横顔が、少しだけ柔らかく見えた。
ユズは、胸の奥がふわっとした。
(……この人、きっと、手が器用なのです)
理由はない。
でも、そんな気がした。
店に戻る道中、ユズは名前を聞くのを忘れていたことに気づく。
「そういえば、お名前……!」
男は、足を止めてこちらを振り返った。
その視線が、また強い。
ユズはなぜか、背筋を伸ばしてしまう。
男は、短く口を動かした。
「……カイ」
声は低く、少し掠れている。
それだけなのに、店の湯気より温かく感じた。
「カイさん! よろしくなのです!」
ユズが笑うと、カイは――笑わない。
でも、目がほんの少しだけ、ほどけた。
その変化に、ユズは気づかない。
気づかないまま、店の戸を勢いよく開けた。
「みんな! 新しい職人さん、来たのです!」
店員たちが一斉に振り向く。
カイの姿を見て、一瞬、空気が止まった。
やつれた外套の男。無口。目が鋭い。
……怖い。
そう思った顔が、いくつか見えた。
でも次の瞬間、ユズが胸を張る。
「この人、猫の手を貸してくれるのです! いや、猫の手どころじゃない予感なのです!」
「支店長、予感で雇うのは……」
番頭が頭を抱えた。
ユズは堂々と言い返す。
「和菓子屋は予感も大事なのです!」
その場の全員が「そうかな……?」という顔をしたが、ユズは気にしない。
気にしている余裕がない。
「カイさん、さっそくですけど――」
ユズは振り向いて、言葉を止めた。
カイが、厨房を見ていた。
湯気、道具、粉、餡、木型、包丁。
戦場と化した甘い世界を。
そして――その目が、ほんのわずかに光った。
視線が、雄弁に語っている。
(……あれ、これは)
ユズは胸の奥が、またふわっとした。
カイは言わない。
でも目が言っていた。
――ここなら、作れる。
ユズは、知らず笑ってしまった。
「よし。……じゃあ、お願いするのです。まずは、餡を――」
カイは頷いた。
そして、袖をまくる。
外套の下から現れた腕には、細い傷がいくつも残っていた。
職人の手。働き続けた手。
その手が、餡の桶に触れる前に、ユズの声が飛ぶ。
「……無理はしないのです。倒れたら、私が困るのです。明日からお願いするのです」
カイの手が止まった。
こちらを見る。
ユズは、にこっと笑って付け足す。
「だって、猫の手が来たのです。……逃したくないのです」
カイは少しだけ目を細めた。
笑ってはいない。
でも、その視線は――ひどく優しかった。
そして、彼は餡を掴んだ。
静かに、正確に、迷いなく。
厨房の空気が変わる。
甘い戦場に、ひとつ、頼もしすぎる背中が増えた。
ユズは、それを見て胸の奥で思う。
(これで、なんとかなるのです)
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