2 / 11
第一話 月影の婚姻
しおりを挟む
夜は、王宮の石を静かに冷やしていた。
磨き抜かれた回廊は白銀の光を受けて淡く輝き、その上に落ちる影だけが時の流れを教えている。人の声は遠く、足音さえ吸い込まれて、ここはまるで月そのものの内部のようだった。
王子は独り、外庭へ通じる大窓の前に立っていた。
満ちかけの月が雲を薄くまとい、淡い輪郭を夜空ににじませている。光は冷たい。けれど冷たさは馴染みだ。王子にとって、温もりの方がよほど未知だった。
——契約花嫁が来る。
言葉にするまでもなく、その事実は今夜の空気の密度を変えていた。
王子は瞼を伏せる。契約は掟であり、血筋の連綿を保つ手続きにすぎない。役割は、心を不要にしてくれる。だが、不要なはずのものほど、なくしたときの輪郭はやけに鮮やかになる。
「……契約、か」
低く零れた声は、窓硝子に触れてすぐ消える。
光の届かぬ胸の奥、さざ波のようなざわめきが起こっては沈む。恐れか、期待か。名を与えたくない感情に、王子は背を向けた。
*
月印の封蝋が、蝋燭の火で鈍く光った。
令嬢は父の指から差し出された封書を受け取ると、指先に力が入らなくなるのを自覚した。封を切れば、戻れない。切らずとも、たぶん戻れない。
「お前は選ばれた。誇りに思え」
父の声音は乾いていた。家の名誉を守る言葉はあっても、娘の名を労わる響きはなかった。
誇り。
それは重く、冷たく、肩の骨をまっすぐに固める。
令嬢は小さく息を継ぎ、封を切った。記された文面に抗う術はどこにもない。月の一族に花嫁を差し出す——古く、鋭い掟の文字は、紙の上でも刃の光を帯びていた。
「……わたくしが」
つぶやきは細く、部屋の絨毯に沈んだ。
母は何も言わなかった。言葉にすれば涙になるからだろう。代わりにそっと肩へ置かれた手の温かさだけが、最後の夜の記憶になった。
*
王宮の門は音もなく開き、月を溶かしたような白い道が内庭へと続いていた。
令嬢は裾を乱さぬよう気を配りながら、深く息を吸う。夜の匂いは清澄で、花と水と石の気配が混ざっている。この先に生きる——そう胸に繰り返して、足を踏み入れた。
内庭を渡る風に、遠く鈴の音が混じる。
侍女たちの視線は静かで、微笑の下に測りがたい温度を隠していた。歓迎とも警戒とも付かぬ気配が、令嬢の背筋に細い氷を差し込む。
「こちらへ」
導かれた先は、月を映す広間だった。高い天井から下がる灯は小さく、代わりに大きな窓から流れ込む月光が床の紋様を淡く起こしている。空気は澄み、音はひどく遠い。
そこに、王子がいた。
黒を基調とした衣は陰をまとい、輪郭だけが月に縁取られている。
令嬢は視線を落とし、裾を整え、深く礼を取った。喉が乾く。声が、出るだろうか。
「本日より、契約花嫁として——」
言い切る前に、低い声が広間を滑った。
「来たか」
歓迎でも拒絶でもない、ただ事実をなぞる言い方。
令嬢は顔を上げる。黒曜石のような瞳に、月の光が小さく燃えていた。冷たい——けれど、冷たさは刃のように鋭いわけではない。触れれば切れるのではなく、近づけば凍てつく類の温度だ。
王子は数歩、近づいた。
歩みの音が石に淡く映り、広間の静けさを少しだけ揺らす。
「契約に従い、お前はここに在る」
王子の声音は一定で、波を立てない。「……それだけだ」
令嬢は頷いた。
それ以外の答えを持たないことを、自分でも知っている。
けれど、うなずいた瞬間、胸の奥がきしりと鳴った。役割を受け入れる音。受け入れながら、どこかで抗っている音。
沈黙が落ちる。
広間の奥、窓越しの庭に白い花が見えた。夜にだけ開くという花弁が、月の湿り気を吸って微かに揺れている。令嬢はほんのわずか、その花に目を奪われた。
その視線の動きを、王子は見ていた。
「人間界の花は、よく月を映すな」
意外な言葉に、令嬢は目を瞬く。
王子はすぐに視線を外し、続けた。
「ここでのことは、すべて契約の範囲内で伝える。必要な時に必要な場所へ来ればいい」
——必要、だけ。
胸の奥で、またきしむ音がした。
けれど令嬢は、礼儀の形に自分を戻す。深く頭を下げ、定められた言葉を口にする。
「承知いたしました」
王子はそれ以上、何も加えなかった。
月が雲を払って露わになり、広間の紋様をいっそう鮮明にする。二人の影が交わり、ゆっくりと離れていく。交わったのはただ輪郭だけで、温度も、名前も、まだ混ざらない。
令嬢は退出の許しを得て、侍女に伴われる。
背に感じる視線は冷たいのに、広間を出る直前、王子の横顔が一瞬だけ揺らいだ気がした。気のせいかもしれない。気のせいであればいい。そうでなければ、心が勝手に期待を覚えてしまう。
回廊に出ると、夜気がひやりと頬を撫でた。
遠く、鈴の音。花の匂い。
令嬢は胸の前で指を重ね、ゆっくりと息を吐く。
——役割で生きる。
それができなければ、この場所では呼吸さえ難しい。
でも、呼吸の仕方を忘れるほど、あの瞳の奥には何かがあった。冷たい表面の下、触れてはいけない寂しさの色。
眠りの薄い夜になるだろう。
そう思いながら、令嬢は与えられた部屋へと歩みを進めた。扉の向こう、窓は東庭に向いているという。夜に開く白い花が、目の高さに揺れるらしい。
扉が閉まり、静けさが戻る。
王子はしばらくその場に立ち尽くしていた。
月は満ち、やがて欠ける。光は流転し、人の心もまた。だが掟は、変わらない。
王子は窓辺に歩み寄り、外の白い花に短く目をやる。
夜を映す花弁は、冷えをものともせず開いていた。
「……強いな」
誰にも聞かれないほどの小ささで、それだけを言った。
広間の石床は冷えたまま、足音だけが淡く遠ざかる。
今宵、二つの影は交わり、別れ、そして——まだ名を持たぬまま、同じ月を仰いだ。
磨き抜かれた回廊は白銀の光を受けて淡く輝き、その上に落ちる影だけが時の流れを教えている。人の声は遠く、足音さえ吸い込まれて、ここはまるで月そのものの内部のようだった。
王子は独り、外庭へ通じる大窓の前に立っていた。
満ちかけの月が雲を薄くまとい、淡い輪郭を夜空ににじませている。光は冷たい。けれど冷たさは馴染みだ。王子にとって、温もりの方がよほど未知だった。
——契約花嫁が来る。
言葉にするまでもなく、その事実は今夜の空気の密度を変えていた。
王子は瞼を伏せる。契約は掟であり、血筋の連綿を保つ手続きにすぎない。役割は、心を不要にしてくれる。だが、不要なはずのものほど、なくしたときの輪郭はやけに鮮やかになる。
「……契約、か」
低く零れた声は、窓硝子に触れてすぐ消える。
光の届かぬ胸の奥、さざ波のようなざわめきが起こっては沈む。恐れか、期待か。名を与えたくない感情に、王子は背を向けた。
*
月印の封蝋が、蝋燭の火で鈍く光った。
令嬢は父の指から差し出された封書を受け取ると、指先に力が入らなくなるのを自覚した。封を切れば、戻れない。切らずとも、たぶん戻れない。
「お前は選ばれた。誇りに思え」
父の声音は乾いていた。家の名誉を守る言葉はあっても、娘の名を労わる響きはなかった。
誇り。
それは重く、冷たく、肩の骨をまっすぐに固める。
令嬢は小さく息を継ぎ、封を切った。記された文面に抗う術はどこにもない。月の一族に花嫁を差し出す——古く、鋭い掟の文字は、紙の上でも刃の光を帯びていた。
「……わたくしが」
つぶやきは細く、部屋の絨毯に沈んだ。
母は何も言わなかった。言葉にすれば涙になるからだろう。代わりにそっと肩へ置かれた手の温かさだけが、最後の夜の記憶になった。
*
王宮の門は音もなく開き、月を溶かしたような白い道が内庭へと続いていた。
令嬢は裾を乱さぬよう気を配りながら、深く息を吸う。夜の匂いは清澄で、花と水と石の気配が混ざっている。この先に生きる——そう胸に繰り返して、足を踏み入れた。
内庭を渡る風に、遠く鈴の音が混じる。
侍女たちの視線は静かで、微笑の下に測りがたい温度を隠していた。歓迎とも警戒とも付かぬ気配が、令嬢の背筋に細い氷を差し込む。
「こちらへ」
導かれた先は、月を映す広間だった。高い天井から下がる灯は小さく、代わりに大きな窓から流れ込む月光が床の紋様を淡く起こしている。空気は澄み、音はひどく遠い。
そこに、王子がいた。
黒を基調とした衣は陰をまとい、輪郭だけが月に縁取られている。
令嬢は視線を落とし、裾を整え、深く礼を取った。喉が乾く。声が、出るだろうか。
「本日より、契約花嫁として——」
言い切る前に、低い声が広間を滑った。
「来たか」
歓迎でも拒絶でもない、ただ事実をなぞる言い方。
令嬢は顔を上げる。黒曜石のような瞳に、月の光が小さく燃えていた。冷たい——けれど、冷たさは刃のように鋭いわけではない。触れれば切れるのではなく、近づけば凍てつく類の温度だ。
王子は数歩、近づいた。
歩みの音が石に淡く映り、広間の静けさを少しだけ揺らす。
「契約に従い、お前はここに在る」
王子の声音は一定で、波を立てない。「……それだけだ」
令嬢は頷いた。
それ以外の答えを持たないことを、自分でも知っている。
けれど、うなずいた瞬間、胸の奥がきしりと鳴った。役割を受け入れる音。受け入れながら、どこかで抗っている音。
沈黙が落ちる。
広間の奥、窓越しの庭に白い花が見えた。夜にだけ開くという花弁が、月の湿り気を吸って微かに揺れている。令嬢はほんのわずか、その花に目を奪われた。
その視線の動きを、王子は見ていた。
「人間界の花は、よく月を映すな」
意外な言葉に、令嬢は目を瞬く。
王子はすぐに視線を外し、続けた。
「ここでのことは、すべて契約の範囲内で伝える。必要な時に必要な場所へ来ればいい」
——必要、だけ。
胸の奥で、またきしむ音がした。
けれど令嬢は、礼儀の形に自分を戻す。深く頭を下げ、定められた言葉を口にする。
「承知いたしました」
王子はそれ以上、何も加えなかった。
月が雲を払って露わになり、広間の紋様をいっそう鮮明にする。二人の影が交わり、ゆっくりと離れていく。交わったのはただ輪郭だけで、温度も、名前も、まだ混ざらない。
令嬢は退出の許しを得て、侍女に伴われる。
背に感じる視線は冷たいのに、広間を出る直前、王子の横顔が一瞬だけ揺らいだ気がした。気のせいかもしれない。気のせいであればいい。そうでなければ、心が勝手に期待を覚えてしまう。
回廊に出ると、夜気がひやりと頬を撫でた。
遠く、鈴の音。花の匂い。
令嬢は胸の前で指を重ね、ゆっくりと息を吐く。
——役割で生きる。
それができなければ、この場所では呼吸さえ難しい。
でも、呼吸の仕方を忘れるほど、あの瞳の奥には何かがあった。冷たい表面の下、触れてはいけない寂しさの色。
眠りの薄い夜になるだろう。
そう思いながら、令嬢は与えられた部屋へと歩みを進めた。扉の向こう、窓は東庭に向いているという。夜に開く白い花が、目の高さに揺れるらしい。
扉が閉まり、静けさが戻る。
王子はしばらくその場に立ち尽くしていた。
月は満ち、やがて欠ける。光は流転し、人の心もまた。だが掟は、変わらない。
王子は窓辺に歩み寄り、外の白い花に短く目をやる。
夜を映す花弁は、冷えをものともせず開いていた。
「……強いな」
誰にも聞かれないほどの小ささで、それだけを言った。
広間の石床は冷えたまま、足音だけが淡く遠ざかる。
今宵、二つの影は交わり、別れ、そして——まだ名を持たぬまま、同じ月を仰いだ。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
氷の王妃は跪かない ―褥(しとね)を拒んだ私への、それは復讐ですか?―
柴田はつみ
恋愛
亡国との同盟の証として、大国ターナルの若き王――ギルベルトに嫁いだエルフレイデ。
しかし、結婚初夜に彼女を待っていたのは、氷の刃のように冷たい拒絶だった。
「お前を抱くことはない。この国に、お前の居場所はないと思え」
屈辱に震えながらも、エルフレイデは亡き母の教え――
「己の誇り(たましい)を決して売ってはならない」――を胸に刻み、静かに、しかし凛として言い返す。
「承知いたしました。ならば私も誓いましょう。生涯、あなたと褥を共にすることはございません」
愛なき結婚、冷遇される王妃。
それでも彼女は、逃げも嘆きもせず、王妃としての務めを完璧に果たすことで、己の価値を証明しようとする。
――孤独な戦いが、今、始まろうとしていた。
沈黙の指輪 ―公爵令嬢の恋慕―
柴田はつみ
恋愛
公爵家の令嬢シャルロッテは、政略結婚で財閥御曹司カリウスと結ばれた。
最初は形式だけの結婚だったが、優しく包み込むような夫の愛情に、彼女の心は次第に解けていく。
しかし、蜜月のあと訪れたのは小さな誤解の連鎖だった。
カリウスの秘書との噂、消えた指輪、隠された手紙――そして「君を幸せにできない」という冷たい言葉。
離婚届の上に、涙が落ちる。
それでもシャルロッテは信じたい。
あの日、薔薇の庭で誓った“永遠”を。
すれ違いと沈黙の夜を越えて、二人の愛はもう一度咲くのだろうか。
不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない
翠月 瑠々奈
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。
始めは夜会での振る舞いからだった。
それがさらに明らかになっていく。
機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。
おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。
そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?
『話さない王妃と冷たい王 ―すれ違いの宮廷愛
柴田はつみ
恋愛
王国随一の名門に生まれたリディア王妃と、若き国王アレクシス。
二人は幼なじみで、三年前の政略結婚から穏やかな日々を過ごしてきた。
だが王の帰還は途絶え、宮廷に「王が隣国の姫と夜を共にした」との噂が流れる。
信じたいのに、確信に変わる光景を見てしまった夜。
王妃の孤独が始まり、沈黙の愛がゆっくりと崩れていく――。
誤解と嫉妬の果てに、愛を取り戻せるのか。
王宮を舞台に描く、切なく美しい愛の再生物語。
遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)
スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」
唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。
四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。
絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。
「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」
明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは?
虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる