11 / 15
第9話 影の参謀の過去と、“守られ下手”の理由
しおりを挟む
夜の政庁は、昼とは別の顔をしている。
人の気配が引き、灯りの数が減ると、
紙の擦れる音や、インクのしみる匂いが、やけにくっきりと浮かび上がる。
ユキシロ・シグレは、静まり返った執務室の片隅で、
一人、机に向かっていた。
窓の外では、王都の灯が遠く瞬いている。
その下で、いくつもの家に、いくつもの生活がある。
(……守りきれていると思うのは、傲慢か)
乾いた思考が、ひとつ。
手元には、山の作戦に関する報告書と、
神殿とのやりとりをまとめた日報。
もう一枚、王都近郊で目撃された“不審な動き”についての報告も重なっている。
視線は文字を追いながら、指先は癖でペンを弾いていた。
ペンは、机から落ちない。
落ちるより前に、ふわりと輪が持ち上げて、
彼の指先に戻してしまうからだ。
「……慣れたくはないのだがな」
誰にともなく呟く。
足元には、薄い光の輪。
椅子の脚と床の間に、クッションのように敷かれている。
椅子を引けば、輪も一緒についてくる。
棚の角に肩がぶつかる前に、角だけ丸くなる。
書類の束は、重さを感じる前に軟着陸する。
あの谷で固定された「過保護ロック」は、
戦場から戻っても、解けないままだった。
「参謀殿、また輪が……」
「いいから続けろ」
「は、はい……」
部下たちの視線は、日ごとに慣れてきている。
最初のうちは怯えや戸惑いがあったが、
今では半分、冗談混じりだ。
――影の参謀が、鈴守にロックされたらしいぞ。
――神様のひいきも、だいぶ露骨だな。
そんな噂話が政庁を駆け回っていることは、
とうに承知していた。
(好奇心と、恐れと、嫉妬と)
混ざり合った視線。
それを、シグレは必要以上に気にしない。
噂は、いずれ形を変えて落ち着く。
それがこの場所の常だ。
問題は、その途中で
政治がどう動こうとするか――それだけだった。
机の端に置かれた文書に、視線を落とす。
神殿からの通達の写し。
「鈴守アサの守護の輪の異常について、聞き取りおよび検証を行う」とある。
(“異常”か)
淡々と読み下しながら、
ほんのわずかに口の端が歪む。
異常、という言葉は便利だ。
気に食わないもの、理解できないもの、
危険かどうか判断がつかないものを
一括りにして遠ざけることができる。
(……異常なのは、どちらだか)
ペン先で紙を軽く叩く。
アサの鈴が輪を固定したのは、
彼が矢の的になった瞬間。
あのとき、彼は確かに死線を見ていた。
自分の判断で選んだ位置取り。
敵の狙いを誘うための囮。
計算の上で、危険を引き受けた。
いつも通りのことだ。
ただ、その計算に置かれていなかった変数――
鈴守アサの「やだ」という一音が、
想定以上に強く響いただけの話。
輪が暴れたのではない。
ただ、彼を“一番”にしただけだ。
「……」
本来なら、笑い飛ばして済ませればよかった。
“国の参謀に一番にされた”のだから、
鈴の方が困るはずだ、と。
だが、そう簡単に割り切れないものが、
ひとつだけあった。
――アサが、自分を避けている。
廊下の曲がり角。
一瞬見えた気配が、すぐに引っ込む。
「参謀殿」と声をかけようとした若い騎士が、
気まずそうに目をそらす。
「さっき、アサ殿が……」
「角を曲がっただけだろう」
「三度続くと、さすがに」
そこまで聞いただけで、
シグレは「分かった」と会話を切った。
分かっている。
彼女が、自分の顔を見たくない理由くらい。
(怖いか)
あの谷で、鈴は完全に彼に固定された。
その結果、作戦は成功未遂。
敵は逃げた。
責任を負うべきは、自分だ。
鈴の性質を読み切れず、
“道具”としてしか扱わなかった。
アサの本心の揺れを見ようとしなかった。
(それでも、彼女は自分を責める)
鈴を握りしめる細い指先。
あの日、崖の上で震えていた肩。
「すみません、私のせいで」と、
真っ先に口にしたのは彼女だった。
それが、シグレにはどうにも
癪に障っている。
「……勝手なものだな」
自嘲がひとつ。
彼は、誰かに守られることを好まない。
好まないどころか、信用していない。
守る、という行為には、
多かれ少なかれ「見積もり違い」がつきまとう。
想定したものとは違う危険が出てきたとき、
その差分を誰が払うのか。
払えるのか。
払う覚悟を持っているのか。
その問いに、自信を持って「はい」と答えられる人間を、
彼はほとんど見たことがなかった。
(──だから、自分で計算する)
何を守り、何を切り捨て、
どの線までなら被害として飲み込めるか。
誰かの「守る」に身を預けるくらいなら、
冷たい計算の方がまだマシだ。
……そう信じていた。
◇
昔のことを、
あまり思い出したいとは思わない。
だが、時々、思い出してしまう夜がある。
今日のように、
鈴の輪がやけに静かで、
紙の音だけが響く夜。
彼がまだ、影でも参謀でもなかった頃。
地方の小さな城で、
駆け出しの兵として帳簿を預かっていた頃だ。
家は、豊かではなかった。
没落しかけた小領主の分家。
名ばかり貴族、と蔑まれるような家系だ。
父は酒に溺れ、
母は病で床に伏していた。
食うために、
彼は数字を覚えた。
「この冬を越えるには、
どれだけの穀物を残せばいい?」
「どの税を下げ、どの税を上げれば、
領民が死なずにすむ?」
最初は、ただ生き延びるための計算だった。
それがいつの間にか、
戦の計算にすり替わっていく。
近隣領の争いに巻き込まれ、
城は小競り合いを繰り返した。
若い彼に与えられた役目は、
「被害を最小限に抑えること」。
出陣のたびに、
兵の数と武器の状態、
敵との距離と地形を洗い出し、
“死ぬべき人数”を紙の上で算出した。
人の命を数字に置き換える作業は、
普通なら吐き気を催すものだ。
彼も最初は気分が悪くなった。
だが、ある時から、
吐き気はなくなった。
代わりに、
妙な安堵が生まれたのだ。
「自分が計算した通りに死ぬなら、
少なくとも無駄ではない」と。
それは、誤魔化しだ。
どこまでも、冷たい誤魔化し。
けれど、その誤魔化しに
彼は救われた。
――ある戦の夜までは。
敵の夜襲の可能性あり。
領主は守りを増やすか、
斥候を増やすかで迷っていた。
若いシグレは、計算をした。
与えられた情報を並べ、
可能性を重ね合わせた。
出した結論は、
「城の周囲に守りを固めるより、
夜襲に備えた迎撃部隊を三手に分けて配置すべき」。
領主は、それを採用した。
結果だけ見れば、
その判断は、半分正しかった。
敵の主力は、迎撃部隊が叩いた。
城は落ちず、大半の領民は助かった。
ただひとつ。
彼は見誤っていた。
「敵は、城下の民家を焼かない」という前提を。
彼の計算では、
民家への被害は「脅し程度」とされていた。
敵は穀物庫と武具庫を狙うだろう、と。
だが、現実は違った。
敵は、退き際に火をつけた。
穀物庫にも、民家にも。
逃げ遅れた者たちが、
炎の中に取り残された。
その中に、
彼の家もあった。
火の海の中で崩れ落ちた屋根。
煙に巻かれ、遠くの人の声も届かない。
彼が駆けつけたときには、
もう、何も残っていなかった。
母は、弱っていた身体で
自分より弱い者を先に逃がそうとしたらしい。
そのまま、戻れなくなった。
後から聞かされた話だ。
(計算には入っていた)
後にシグレは、
自分の書いた紙を何度も見返した。
敵が退き際に火を放つ可能性。
ゼロではなかった。
書き込まれていた。
ただ、それを軽んじたのは自分だ。
確率を「低」と見積もり、
優先順位を下げた。
「起こり得るが、起こらない方に賭けてもよい」と、
勝手に判断した。
――その差分を、誰が払ったか。
計算違いの代償を負ったのは、
紙でも、兵でも、領主でもなく。
そこにいた、ただの民だった。
彼は、自分の膝が笑うのを感じながら、
燃え跡の前に立ち尽くした。
(“守る”と言った以上、
守れなかった分は誰かが払う)
その夜、彼はひとつだけ
決めたことがある。
「二度と、人の“守る”に期待しない」。
自分が守ると言うなら、
その代償の支払いも全部自分で背負う。
背負えないなら最初から約束しない。
誰かに「守ってやる」と言われても、
決して全面的には信じない。
守られなかった時に払うものが、
多すぎると知ってしまったからだ。
◇
(……それが、今さらになって)
シグレはペンを置き、
こめかみを指で押さえた。
王都の空気は、
あの城下の焼け跡とは違う。
だが、何かを失う危険は、
いつだってある。
だからこそ、彼は
「失わないための形」を計算し続けてきた。
兵を、領民を、
時に王族を。
どこまで切り捨てれば、
どこまで残せるか。
感情を切り離し、
数字だけを見つめるほど、
結果は安定した。
周囲は彼を「冷徹だ」と評した。
彼自身も、それでいいと思っていた。
――そこに、鈴が現れた。
転びそうな子どもの足元に、
さりげなく輪を描く鈴。
荷車を押す老人の背中に、
そっと支えを添える鈴。
アサの鈴は、
計算よりも先に働く。
「危ない」と思うより前に、
「きっと痛い」と想像して輪を描く。
その守り方は、
シグレにとっては非効率そのものだった。
(だが──)
彼の中のどこかが、
それを「羨ましい」と思ったことを、
彼は知っている。
守ることそのものに、
計算以外の理由を持てること。
損得や効率を脇に置いて、
「この人が怪我したら嫌だ」と
言い切れてしまうこと。
王都への道すがら、
鈴の輪が何度も兵たちを救った光景を見て、
彼はわずかに胸の奥が温かくなるのを
ごまかし切れなかった。
――そして、谷で。
あの瞬間、確かに聞こえた気がしたのだ。
自分の名前を呼ぶ声が。
『シグレさんにだけは、当たらないで』
叫びではない。
祈りでもない。
震えながら、それでも
しがみつくように伸ばされた声。
(あの声を、なぜ聞き取ってしまったのか)
守られることに期待しないと決めたはずの男が、
なぜあのときだけ、自分の足を止めてしまったのか。
鈴が輪を重ねるよりも前に、
彼自身が動きを止め、
矢を迎えに行く形になっていた。
自覚したのは、
ずいぶん後になってからだ。
◇
机の上に、一通の封書が置かれている。
神殿宛て。
鈴守アサの扱いに関する意見書。
内容は、既に書き終えていた。
「本件は、鈴の暴走ではなく、
鈴守と参謀の意思疎通不足による“制御の未熟さ”と判断する」
「鈴守アサの能力は、現状においても
十分な戦力であり、改善の余地が大きい」
「当面は参謀の監督下で運用し、
戦場から切り離すことは王都防衛にとって損失である」
もっともらしい理屈を並べ、
責任の矢印はできるだけ自分の方へ向けてある。
それが、参謀としての仕事だ。
だが、この封書には
もうひとつ、書かれていない内容がある。
(……私は、彼女を“戦力”だけでは扱えない)
鈴守アサは、
現時点でもっとも「計算しにくい存在だ」と
シグレは自覚している。
感情で鈴が変わる。
誰をどう守りたいかで、輪の厚みも色も変わる。
その変化を恐れて、
彼はあえて距離を取ろうとした時期もある。
だが、距離を取ったところで、
彼女の鈴が誰かを守る限り、
その影響から逃れることはできない。
(だったら、いっそ)
彼は、封書の端を指でなぞった。
(こちらから輪の中心に入り込んだ方が、
まだ計算がきく)
アサが、自分を一番に守りたいと
鈴に伝えたのなら。
その「一番」を――
彼自身が、引き受けてしまえばいい。
守られることを、
少しだけ許す代わりに。
その輪の外側にいる者たちを、
今まで以上に守る。
彼女の欲張りな願いを、
自分の欲張りな計算と噛み合わせる。
それができるなら、
「過保護ロック」はもはや
欠陥ではなくなるはずだ。
◇
扉が、控えめに叩かれた。
「ユキシロ参謀。
こんな時間に失礼します」
イリアが顔を覗かせる。
神殿の鈴守は、夜の気配を纏っていても、
どこか柔らかい。
「構わない。
アサは、どうだ」
用件を先に問うと、
イリアは少しだけ目を細めた。
「“怖いけど鈴を手放したくない”って。
それから、“あなたを一番守りたいみたいです”って言ってたわ」
あっさりと、
重い一言を投げてくる。
「……そうか」
シグレは、わざと表情を変えなかった。
変えなかったつもりだった。
イリアは、彼の輪をちらりと見て
小さく笑う。
「輪が、嬉しそうよ」
「輪に感情があるのか」
「あります。
少なくとも、あなたよりは素直」
手厳しい。
イリアは机の上の封書に視線を落とす。
「それ、神殿宛て?」
「ああ」
「アサの鈴を“戦力として必要”って
書いてくれたのは、助かるわ」
「事実だ」
彼は淡々と答えた。
「彼女の鈴は、広く浅く守ることにも、
狭く深く守ることにも向いている。
使い方を誤らなければ、
王都防衛の要になり得る」
「……“使い方を誤らなければ”ね」
イリアはその言葉を繰り返し、
少しだけ苦笑した。
「あなた、自分のことも含めて言っているでしょう?」
「当然だ」
短い答えに、
彼女は満足そうに頷いた。
「なら、もうひとつ頼んでもいい?」
「何だ」
「アサに、“守られることを嫌がらないで”って、
誰かが言ってあげてほしいの」
「……」
「彼女、自分の鈴で誰かを守ることには慣れていても、
誰かに守られることには慣れていないから」
言われてみれば、当然だ。
村でも王都でも、
彼女はずっと「守る側」だった。
転びそうな人を先に見つけて、
輪を描いてきた。
自分が転びそうになったときに
輪を描いてくれる人がいるとは、
考えたこともないだろう。
(……それは、私も同じだ)
誰かに輪を描かれることを、
想定してこなかった。
守られることを、
計算の外に置いてきた。
だから、今さら
過保護にロックされても困る。
困るのに――
完全には否定しきれない自分がいる。
「言えるかどうかは、分からん」
正直に答えると、
イリアはくすっと笑った。
「じゃあ、“態度で見せる”でもいいわ」
「態度で?」
「ほら、アサ。
あなたを避けてるでしょ」
「……」
「彼女が戻ってきたら、
ちゃんと向き合ってあげて」
それだけ告げて、
イリアは踵を返した。
扉が閉まる直前、
彼女は振り返りもせずに言う。
「あなた、“守られ下手”なんだから。
少しは練習しておきなさいな」
守られ下手――
この言葉も、ここ数日で
妙によく耳にする。
扉が閉じると、
執務室に再び静寂が戻った。
◇
シグレは、しばらく黙って
窓の外を眺めていた。
王都の灯。
その下で眠る人々。
その中に、
神殿からの帰り道を歩く鈴守がいるはずだ。
(彼女は、怖いと言った)
鈴を鳴らすことも、
鈴が変わってしまったことも。
それでも、手放したくないと
言ったのだという。
――ならば。
彼もまた、
怖いまま、手放さないと決める番だろう。
守られることを恐れ、
すべてを計算で捌いてきた自分のやり方を。
少しだけ、緩めてみる。
少なくとも、
彼女の鈴が描く輪の中でくらい。
「……」
彼は封書を手に取り、
立ち上がった。
足元の輪が、それに合わせてすっと動く。
廊下への一歩を、柔らかく受け止める。
「過保護だな」
苦笑が、ほんの少し滲む。
輪は、何も答えない。
代わりに、ほんの少しだけ厚みを増した。
――影の参謀は、その夜、
神殿宛ての封書を自ら届けに行った。
それは単なる礼儀ではなく、
「この鈴守は私の責任で扱う」という
黙った宣言でもあった。
守られることを嫌う男が、
初めて自分から輪の中心へ踏み込んだ夜。
王都の灯は、
何も知らないふりをして
ただ静かに瞬いていた。
人の気配が引き、灯りの数が減ると、
紙の擦れる音や、インクのしみる匂いが、やけにくっきりと浮かび上がる。
ユキシロ・シグレは、静まり返った執務室の片隅で、
一人、机に向かっていた。
窓の外では、王都の灯が遠く瞬いている。
その下で、いくつもの家に、いくつもの生活がある。
(……守りきれていると思うのは、傲慢か)
乾いた思考が、ひとつ。
手元には、山の作戦に関する報告書と、
神殿とのやりとりをまとめた日報。
もう一枚、王都近郊で目撃された“不審な動き”についての報告も重なっている。
視線は文字を追いながら、指先は癖でペンを弾いていた。
ペンは、机から落ちない。
落ちるより前に、ふわりと輪が持ち上げて、
彼の指先に戻してしまうからだ。
「……慣れたくはないのだがな」
誰にともなく呟く。
足元には、薄い光の輪。
椅子の脚と床の間に、クッションのように敷かれている。
椅子を引けば、輪も一緒についてくる。
棚の角に肩がぶつかる前に、角だけ丸くなる。
書類の束は、重さを感じる前に軟着陸する。
あの谷で固定された「過保護ロック」は、
戦場から戻っても、解けないままだった。
「参謀殿、また輪が……」
「いいから続けろ」
「は、はい……」
部下たちの視線は、日ごとに慣れてきている。
最初のうちは怯えや戸惑いがあったが、
今では半分、冗談混じりだ。
――影の参謀が、鈴守にロックされたらしいぞ。
――神様のひいきも、だいぶ露骨だな。
そんな噂話が政庁を駆け回っていることは、
とうに承知していた。
(好奇心と、恐れと、嫉妬と)
混ざり合った視線。
それを、シグレは必要以上に気にしない。
噂は、いずれ形を変えて落ち着く。
それがこの場所の常だ。
問題は、その途中で
政治がどう動こうとするか――それだけだった。
机の端に置かれた文書に、視線を落とす。
神殿からの通達の写し。
「鈴守アサの守護の輪の異常について、聞き取りおよび検証を行う」とある。
(“異常”か)
淡々と読み下しながら、
ほんのわずかに口の端が歪む。
異常、という言葉は便利だ。
気に食わないもの、理解できないもの、
危険かどうか判断がつかないものを
一括りにして遠ざけることができる。
(……異常なのは、どちらだか)
ペン先で紙を軽く叩く。
アサの鈴が輪を固定したのは、
彼が矢の的になった瞬間。
あのとき、彼は確かに死線を見ていた。
自分の判断で選んだ位置取り。
敵の狙いを誘うための囮。
計算の上で、危険を引き受けた。
いつも通りのことだ。
ただ、その計算に置かれていなかった変数――
鈴守アサの「やだ」という一音が、
想定以上に強く響いただけの話。
輪が暴れたのではない。
ただ、彼を“一番”にしただけだ。
「……」
本来なら、笑い飛ばして済ませればよかった。
“国の参謀に一番にされた”のだから、
鈴の方が困るはずだ、と。
だが、そう簡単に割り切れないものが、
ひとつだけあった。
――アサが、自分を避けている。
廊下の曲がり角。
一瞬見えた気配が、すぐに引っ込む。
「参謀殿」と声をかけようとした若い騎士が、
気まずそうに目をそらす。
「さっき、アサ殿が……」
「角を曲がっただけだろう」
「三度続くと、さすがに」
そこまで聞いただけで、
シグレは「分かった」と会話を切った。
分かっている。
彼女が、自分の顔を見たくない理由くらい。
(怖いか)
あの谷で、鈴は完全に彼に固定された。
その結果、作戦は成功未遂。
敵は逃げた。
責任を負うべきは、自分だ。
鈴の性質を読み切れず、
“道具”としてしか扱わなかった。
アサの本心の揺れを見ようとしなかった。
(それでも、彼女は自分を責める)
鈴を握りしめる細い指先。
あの日、崖の上で震えていた肩。
「すみません、私のせいで」と、
真っ先に口にしたのは彼女だった。
それが、シグレにはどうにも
癪に障っている。
「……勝手なものだな」
自嘲がひとつ。
彼は、誰かに守られることを好まない。
好まないどころか、信用していない。
守る、という行為には、
多かれ少なかれ「見積もり違い」がつきまとう。
想定したものとは違う危険が出てきたとき、
その差分を誰が払うのか。
払えるのか。
払う覚悟を持っているのか。
その問いに、自信を持って「はい」と答えられる人間を、
彼はほとんど見たことがなかった。
(──だから、自分で計算する)
何を守り、何を切り捨て、
どの線までなら被害として飲み込めるか。
誰かの「守る」に身を預けるくらいなら、
冷たい計算の方がまだマシだ。
……そう信じていた。
◇
昔のことを、
あまり思い出したいとは思わない。
だが、時々、思い出してしまう夜がある。
今日のように、
鈴の輪がやけに静かで、
紙の音だけが響く夜。
彼がまだ、影でも参謀でもなかった頃。
地方の小さな城で、
駆け出しの兵として帳簿を預かっていた頃だ。
家は、豊かではなかった。
没落しかけた小領主の分家。
名ばかり貴族、と蔑まれるような家系だ。
父は酒に溺れ、
母は病で床に伏していた。
食うために、
彼は数字を覚えた。
「この冬を越えるには、
どれだけの穀物を残せばいい?」
「どの税を下げ、どの税を上げれば、
領民が死なずにすむ?」
最初は、ただ生き延びるための計算だった。
それがいつの間にか、
戦の計算にすり替わっていく。
近隣領の争いに巻き込まれ、
城は小競り合いを繰り返した。
若い彼に与えられた役目は、
「被害を最小限に抑えること」。
出陣のたびに、
兵の数と武器の状態、
敵との距離と地形を洗い出し、
“死ぬべき人数”を紙の上で算出した。
人の命を数字に置き換える作業は、
普通なら吐き気を催すものだ。
彼も最初は気分が悪くなった。
だが、ある時から、
吐き気はなくなった。
代わりに、
妙な安堵が生まれたのだ。
「自分が計算した通りに死ぬなら、
少なくとも無駄ではない」と。
それは、誤魔化しだ。
どこまでも、冷たい誤魔化し。
けれど、その誤魔化しに
彼は救われた。
――ある戦の夜までは。
敵の夜襲の可能性あり。
領主は守りを増やすか、
斥候を増やすかで迷っていた。
若いシグレは、計算をした。
与えられた情報を並べ、
可能性を重ね合わせた。
出した結論は、
「城の周囲に守りを固めるより、
夜襲に備えた迎撃部隊を三手に分けて配置すべき」。
領主は、それを採用した。
結果だけ見れば、
その判断は、半分正しかった。
敵の主力は、迎撃部隊が叩いた。
城は落ちず、大半の領民は助かった。
ただひとつ。
彼は見誤っていた。
「敵は、城下の民家を焼かない」という前提を。
彼の計算では、
民家への被害は「脅し程度」とされていた。
敵は穀物庫と武具庫を狙うだろう、と。
だが、現実は違った。
敵は、退き際に火をつけた。
穀物庫にも、民家にも。
逃げ遅れた者たちが、
炎の中に取り残された。
その中に、
彼の家もあった。
火の海の中で崩れ落ちた屋根。
煙に巻かれ、遠くの人の声も届かない。
彼が駆けつけたときには、
もう、何も残っていなかった。
母は、弱っていた身体で
自分より弱い者を先に逃がそうとしたらしい。
そのまま、戻れなくなった。
後から聞かされた話だ。
(計算には入っていた)
後にシグレは、
自分の書いた紙を何度も見返した。
敵が退き際に火を放つ可能性。
ゼロではなかった。
書き込まれていた。
ただ、それを軽んじたのは自分だ。
確率を「低」と見積もり、
優先順位を下げた。
「起こり得るが、起こらない方に賭けてもよい」と、
勝手に判断した。
――その差分を、誰が払ったか。
計算違いの代償を負ったのは、
紙でも、兵でも、領主でもなく。
そこにいた、ただの民だった。
彼は、自分の膝が笑うのを感じながら、
燃え跡の前に立ち尽くした。
(“守る”と言った以上、
守れなかった分は誰かが払う)
その夜、彼はひとつだけ
決めたことがある。
「二度と、人の“守る”に期待しない」。
自分が守ると言うなら、
その代償の支払いも全部自分で背負う。
背負えないなら最初から約束しない。
誰かに「守ってやる」と言われても、
決して全面的には信じない。
守られなかった時に払うものが、
多すぎると知ってしまったからだ。
◇
(……それが、今さらになって)
シグレはペンを置き、
こめかみを指で押さえた。
王都の空気は、
あの城下の焼け跡とは違う。
だが、何かを失う危険は、
いつだってある。
だからこそ、彼は
「失わないための形」を計算し続けてきた。
兵を、領民を、
時に王族を。
どこまで切り捨てれば、
どこまで残せるか。
感情を切り離し、
数字だけを見つめるほど、
結果は安定した。
周囲は彼を「冷徹だ」と評した。
彼自身も、それでいいと思っていた。
――そこに、鈴が現れた。
転びそうな子どもの足元に、
さりげなく輪を描く鈴。
荷車を押す老人の背中に、
そっと支えを添える鈴。
アサの鈴は、
計算よりも先に働く。
「危ない」と思うより前に、
「きっと痛い」と想像して輪を描く。
その守り方は、
シグレにとっては非効率そのものだった。
(だが──)
彼の中のどこかが、
それを「羨ましい」と思ったことを、
彼は知っている。
守ることそのものに、
計算以外の理由を持てること。
損得や効率を脇に置いて、
「この人が怪我したら嫌だ」と
言い切れてしまうこと。
王都への道すがら、
鈴の輪が何度も兵たちを救った光景を見て、
彼はわずかに胸の奥が温かくなるのを
ごまかし切れなかった。
――そして、谷で。
あの瞬間、確かに聞こえた気がしたのだ。
自分の名前を呼ぶ声が。
『シグレさんにだけは、当たらないで』
叫びではない。
祈りでもない。
震えながら、それでも
しがみつくように伸ばされた声。
(あの声を、なぜ聞き取ってしまったのか)
守られることに期待しないと決めたはずの男が、
なぜあのときだけ、自分の足を止めてしまったのか。
鈴が輪を重ねるよりも前に、
彼自身が動きを止め、
矢を迎えに行く形になっていた。
自覚したのは、
ずいぶん後になってからだ。
◇
机の上に、一通の封書が置かれている。
神殿宛て。
鈴守アサの扱いに関する意見書。
内容は、既に書き終えていた。
「本件は、鈴の暴走ではなく、
鈴守と参謀の意思疎通不足による“制御の未熟さ”と判断する」
「鈴守アサの能力は、現状においても
十分な戦力であり、改善の余地が大きい」
「当面は参謀の監督下で運用し、
戦場から切り離すことは王都防衛にとって損失である」
もっともらしい理屈を並べ、
責任の矢印はできるだけ自分の方へ向けてある。
それが、参謀としての仕事だ。
だが、この封書には
もうひとつ、書かれていない内容がある。
(……私は、彼女を“戦力”だけでは扱えない)
鈴守アサは、
現時点でもっとも「計算しにくい存在だ」と
シグレは自覚している。
感情で鈴が変わる。
誰をどう守りたいかで、輪の厚みも色も変わる。
その変化を恐れて、
彼はあえて距離を取ろうとした時期もある。
だが、距離を取ったところで、
彼女の鈴が誰かを守る限り、
その影響から逃れることはできない。
(だったら、いっそ)
彼は、封書の端を指でなぞった。
(こちらから輪の中心に入り込んだ方が、
まだ計算がきく)
アサが、自分を一番に守りたいと
鈴に伝えたのなら。
その「一番」を――
彼自身が、引き受けてしまえばいい。
守られることを、
少しだけ許す代わりに。
その輪の外側にいる者たちを、
今まで以上に守る。
彼女の欲張りな願いを、
自分の欲張りな計算と噛み合わせる。
それができるなら、
「過保護ロック」はもはや
欠陥ではなくなるはずだ。
◇
扉が、控えめに叩かれた。
「ユキシロ参謀。
こんな時間に失礼します」
イリアが顔を覗かせる。
神殿の鈴守は、夜の気配を纏っていても、
どこか柔らかい。
「構わない。
アサは、どうだ」
用件を先に問うと、
イリアは少しだけ目を細めた。
「“怖いけど鈴を手放したくない”って。
それから、“あなたを一番守りたいみたいです”って言ってたわ」
あっさりと、
重い一言を投げてくる。
「……そうか」
シグレは、わざと表情を変えなかった。
変えなかったつもりだった。
イリアは、彼の輪をちらりと見て
小さく笑う。
「輪が、嬉しそうよ」
「輪に感情があるのか」
「あります。
少なくとも、あなたよりは素直」
手厳しい。
イリアは机の上の封書に視線を落とす。
「それ、神殿宛て?」
「ああ」
「アサの鈴を“戦力として必要”って
書いてくれたのは、助かるわ」
「事実だ」
彼は淡々と答えた。
「彼女の鈴は、広く浅く守ることにも、
狭く深く守ることにも向いている。
使い方を誤らなければ、
王都防衛の要になり得る」
「……“使い方を誤らなければ”ね」
イリアはその言葉を繰り返し、
少しだけ苦笑した。
「あなた、自分のことも含めて言っているでしょう?」
「当然だ」
短い答えに、
彼女は満足そうに頷いた。
「なら、もうひとつ頼んでもいい?」
「何だ」
「アサに、“守られることを嫌がらないで”って、
誰かが言ってあげてほしいの」
「……」
「彼女、自分の鈴で誰かを守ることには慣れていても、
誰かに守られることには慣れていないから」
言われてみれば、当然だ。
村でも王都でも、
彼女はずっと「守る側」だった。
転びそうな人を先に見つけて、
輪を描いてきた。
自分が転びそうになったときに
輪を描いてくれる人がいるとは、
考えたこともないだろう。
(……それは、私も同じだ)
誰かに輪を描かれることを、
想定してこなかった。
守られることを、
計算の外に置いてきた。
だから、今さら
過保護にロックされても困る。
困るのに――
完全には否定しきれない自分がいる。
「言えるかどうかは、分からん」
正直に答えると、
イリアはくすっと笑った。
「じゃあ、“態度で見せる”でもいいわ」
「態度で?」
「ほら、アサ。
あなたを避けてるでしょ」
「……」
「彼女が戻ってきたら、
ちゃんと向き合ってあげて」
それだけ告げて、
イリアは踵を返した。
扉が閉まる直前、
彼女は振り返りもせずに言う。
「あなた、“守られ下手”なんだから。
少しは練習しておきなさいな」
守られ下手――
この言葉も、ここ数日で
妙によく耳にする。
扉が閉じると、
執務室に再び静寂が戻った。
◇
シグレは、しばらく黙って
窓の外を眺めていた。
王都の灯。
その下で眠る人々。
その中に、
神殿からの帰り道を歩く鈴守がいるはずだ。
(彼女は、怖いと言った)
鈴を鳴らすことも、
鈴が変わってしまったことも。
それでも、手放したくないと
言ったのだという。
――ならば。
彼もまた、
怖いまま、手放さないと決める番だろう。
守られることを恐れ、
すべてを計算で捌いてきた自分のやり方を。
少しだけ、緩めてみる。
少なくとも、
彼女の鈴が描く輪の中でくらい。
「……」
彼は封書を手に取り、
立ち上がった。
足元の輪が、それに合わせてすっと動く。
廊下への一歩を、柔らかく受け止める。
「過保護だな」
苦笑が、ほんの少し滲む。
輪は、何も答えない。
代わりに、ほんの少しだけ厚みを増した。
――影の参謀は、その夜、
神殿宛ての封書を自ら届けに行った。
それは単なる礼儀ではなく、
「この鈴守は私の責任で扱う」という
黙った宣言でもあった。
守られることを嫌う男が、
初めて自分から輪の中心へ踏み込んだ夜。
王都の灯は、
何も知らないふりをして
ただ静かに瞬いていた。
0
あなたにおすすめの小説
『まんまる。』 〜孤高の薬学王子と癒しの食卓便〜
星乃和花
恋愛
【完結済:全12話】
王都の王宮。天才ゆえに孤立し「孤高の薬学王子」と囁かれる研究者ガブリエルと、食堂の配達〈食卓便〉を一人で担うリリアン。
最初の合図は、容器に貼られた小さな付箋——「ごちそうさま」。返礼は、角のないまんまるキャンディ。
アフタヌーンティーという小さな“事件”、回廊を進む巨大ケーキ、そして“毎日15分のおやつ休憩”。青い紐で区切られた研究室に集う人々の会話はいつも真剣、なのに内容はすこしずれていて可笑しい。
成果主義と優しさ、距離と体温。押しつけないやり取りが、遅れて効く甘さのように二人の孤独をほどいていく。
ファンタジー要素なしの異世界王都を舞台に描く、叙情的で静かな職場ラブ。読後、喉の奥でからんと小さく鳴る余韻をどうぞ。
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
守護契約のはずが、精霊騎士の距離が近すぎて心拍がもちません―― 距離ゼロで溺愛でした。
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済:全8話⭐︎
ーー条項:心拍が乱れたら抱擁せよ(やめて)
村育ちの鈍感かわいい癒し系ヒロイン・リリィは、王都を目指して旅に出たはずが――森で迷子になった瞬間、精霊騎士エヴァンに“守護契約”されてしまう!
問題は、この騎士さまの守護距離が近すぎること。
半歩どころか背後ぴったり、手を繋ぐのも「当然」、心拍が乱れたら“抱擁条項”発動!?
周囲は「恋人だろ!」と総ツッコミなのに、本人たちは「相棒です!」で通常運転。
守護(と言い張る)密着が止まらない、じわ甘コメディ異世界ファンタジー!
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。
たまこ
恋愛
公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。
ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。
※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。
女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます
ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。
前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。
社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。
けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。
家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士――
五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。
遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。
異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。
女性希少世界の社交界で、自分の幸せを選べるようになるまでの
ほのぼの甘い逆ハーレム恋愛ファンタジー。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる