13 / 21
第十話 あなたの帰る場所
しおりを挟む
逆さの朝の余韻が街路を歩き終えるころ、鐘楼の石が静かに温んでいた。
同夢の川は浅くなり、人々は額から手を外し、泣いたあとみたいな顔で笑っていた。
——けれど、彼の中の夜だけが、まだ一段だけ深い。
王の手は、見えないまま手首の内側でうっすらと呼吸している。
「私的に、降りたい」
昼下がり、彼はそう言った。黒衣の襟の余白はそのまま、夢痕が淡く光る。
「束だったものは解けた。だが、私の夜に残っている指一本がある。——それを、放してやりたい」
私は頷き、記録帳を開く。
“本人の同意、目的は帰還の手伝い、改変なし、合図は三つ、布ごし、十五分、二回まで”
祖母の字と、私たちの誓いが、今日のために壁になる。狭めるためではなく、通すための。
今夜の配合は、朝の名残を運ぶ。
醒香草をうんと減らし、薄荷花ひとかけ、林檎の皮を多めに。柑の皮は道標として細く長く。
余韻鈴は彼の呼吸の高さに。
布は私の手に。
言葉の札は、今夜のために四枚のほかにもう一枚、大階段。踊り場がいくつも重なる、上へ向かうための階。
「大階段を言葉で置くなんて、初めてですね」
準備をしながら、私は笑う。
「上へ向かう道が欲しい。降りるためではなく」
彼もわずかに笑った。「階段は、戻るための形をしている」
砂時計を返す。
彼の肩が沈み、呼吸がゆっくり下がる。
降りる足取りは静かで、怖さは隠されないまま、誠実の形をしていた。私は布ごしに彼の指へ指を重ね、もう片方の手を胸の上で拍に重ねる。
音・香・体温が部屋の空気をゆっくり整え、言葉が形を持ちはじめる。
「——見える」
彼の声は遠いが、澄んでいた。「大階段。銀糸で織られ、踊り場が幾つも——」
「手すりは左。灯を足元に。木戸は背中側に閉じている。——現実側に鍵」
私は順に置き、最後に一枚、新しい札を重ねる。
「帰る場所」
階段は現の言葉で一段ずつ照らされ、足裏の感触が乾く。
彼は第一踊り場で立ち止まり、布の向こうの温度を握り返した。
「王の手は、まだ下に」
喉が一度、空気を拾う。「助けられなかった夜の中で、子どもの私が手を掴まれている」
私は香の壺を少し回し、林檎のやわらかい甘さを濃くする。
「二回まで。縁を越えたら、呼びます。——名で」
「呼んでくれ」
彼は階段をもう三段、ゆっくり上がる。
声の束は、今夜は遠い。
代わりに、ひとつの手だけがはっきりと、繋ぎとめる力で彼の踝を引く。
砂は半分。
私は余韻鈴の糸を一度だけ震わせ、戻るの合図を胸の内側に重ねる。
「見えた」
彼の声が細くなった。「水面のすぐ下。睡蓮の葉の影。小さな手。……放せと言えない。放したら、また沈む気がする」
胸の奥が、静かに痛む。
私は抽象を避け、具体を置く。
「手すり。踊り場。灯。——上に、もう一段」
彼の呼吸が半拍深くなる。
けれど、王の手は指を増やす。名のない束が一本になったぶん、強く。
脈が一度沈み、布の上の指が迷う。
——越えない。
私は布を見て、あの夜の禁越えの一瞬を胸の奥で確かめる。
今夜は戻る。倫理へ。
直接の速さではなく、言葉と温度で。
「ルクス」
私は名を置き、声を拍の高さで整える。
「聞いて。——私は、あなたの帰る場所になる」
言葉は鐘ではないのに、三打目の位置で響く。
香がわずかに明るくなり、布ごしの温度が先に届く。
「鳴らない夜でも、合図は置けます。音と、香と、体温。それから、言葉。——戻ると決めたら、上はここです」
彼の喉が大きく一度動き、脈が指へ戻る。
「私は……助けられてもいいのか」
「いいのです」
私は笑う。
「助けたいと怖いの、両方を持つあなたを、私は恐れません。——そして、助けられていいあなたを、私は歓びます」
反響王の影が、階下で揺れる。
冠のひびが光を失い、目のいくつかが瞬きをやめる。
名を渡されない場所で、束は束でいられない。
彼は子どもの自分の手を布ごしに包む。
放すためではなく、上へ誘うために。
「上へ」
私が言う。
「踊り場まで」
彼は頷き、小さな手を上へ引く。
王の指は水になり、糸になり、やがて霧になる。
放されたのは彼ではなく、王のほうだ。集めるしかなかった手は、持てない場所で形をなくす。
砂が三分の一を残す頃、彼は踊り場に片足を置いた。
睡蓮の光が階段の縁に薄く宿り、手すりが乾く。
子どもの彼の手は、子どもの温度のまま、現の拍に合わせて震える。
私は布の端でその小さな震えを受け、余韻鈴を一度だけ鳴らさずに震わせる。
「放していいのは、あなたじゃない」
私はゆっくり言う。
「王を放すのです。あなたは、あなたを握っていてください」
彼の肩から、ひとつ重さが降りた。
喉が空気を拾い、目が今を捕まえる。
子どもの彼は手すりを握り、踊り場に両足を置く。
王は追わない。追えない。
名のないものは、名の置かれた場所には来られない。
砂があとわずか。
彼は階段の上を見、下を見、私を見た。
黒衣の襟の余白が、息をする。
「——ありがとう」
声は、現の彼のものだった。「私は、私を助ける手に、やっと“はい”と言える」
私は記録帳に細い字で書く。
“大階段。子どもの手。王の指、霧化。あなたの帰る場所の言葉、有効。助けられてよいの承認。改変なし。帰還。”
砂が尽き、彼は目を開ける。
壺の香を喉へ通し、杯を両手で包む。
布を返す指先は、昨夜より温い。
私は杯をもう一つ自分に注ぎ、朝の名残を喉で読む。
睡蓮の光が瞼の裏で薄く揺れる。
「エレナ」
彼が名で呼ぶ。「秘密をひとつ。——誰にも言っていない夜がある。初めて沈んだ夜だ。……呼べなかった名が、ひとつ」
私は布ごしに彼の手を包み、首を振る。
「言わなくていい名も、あります。名は、所有の始まりですから。——あなたがあなたを赦すことだけ、ここに置きましょう」
彼は目を伏せ、呼吸を整え、そして小さく笑った。
「私は、赦す。——助けられた自分を」
窓の外で、港の帆が鳴らない音を立てた。
昼が傾き、夕の色が石畳にさざ波のように落ちる。
遠くで子どもが笑い、どこかで犬が返事をし、鐘楼の影が伸びる。
私は誓いの紙片を卓の端に置き、もう一度小さく読む。
夢は所有物ではない。
帰還の手伝いは自由と尊厳に従う。
合図を備え、改変をしない。
反響は現実で受け止める。
——従わない。
「明日」
彼は黒衣の襟を整え——第一の釦だけ、やはり外したままにした。「枢密院で、宣言を公に。都が帰る場所を持てるように」
「はい。私は、朝のために準備を」
「個別の夜にも、朝を置こう」
彼は余韻鈴の糸を指に絡め、私へ預ける。「これは君に。——鈴が鳴らない夜でも、君の声は整える」
「預かります」
私は胸に掌を置き、拍をひとつ整えた。
音と、香と、体温。
そして、言葉。
——あなたの帰る場所になる。
別れ際、彼は私の脈の位置で一拍、頷いた。
「帰る」
「お帰り」
私は笑って答える。
言葉は合図になり、合図は場所になる。
その場所は、窓の外にも、胸の内側にも、夢の踊り場にも、同じ形で置かれていく。
扉が閉まる。
鐘楼に、鳴らない余韻が漂う。
私は布をたたみ、壺を洗い、記録を閉じる。
今夜、王の手は霧になった。
彼は初めて、助けられた自分を赦し、帰る場所を自分の言葉で選んだ。
——帰る場所は、置いておく。
それが私の役目であり、私たちの恋のかたちだ。
外面の完璧さの内側で、脆さは誠実に変わりつつある。
その変化の余白を、私は毎朝の鐘の前に静かに並べる。
彼が戻るたび、拍をひとつ合わせられるように。
同夢の川は浅くなり、人々は額から手を外し、泣いたあとみたいな顔で笑っていた。
——けれど、彼の中の夜だけが、まだ一段だけ深い。
王の手は、見えないまま手首の内側でうっすらと呼吸している。
「私的に、降りたい」
昼下がり、彼はそう言った。黒衣の襟の余白はそのまま、夢痕が淡く光る。
「束だったものは解けた。だが、私の夜に残っている指一本がある。——それを、放してやりたい」
私は頷き、記録帳を開く。
“本人の同意、目的は帰還の手伝い、改変なし、合図は三つ、布ごし、十五分、二回まで”
祖母の字と、私たちの誓いが、今日のために壁になる。狭めるためではなく、通すための。
今夜の配合は、朝の名残を運ぶ。
醒香草をうんと減らし、薄荷花ひとかけ、林檎の皮を多めに。柑の皮は道標として細く長く。
余韻鈴は彼の呼吸の高さに。
布は私の手に。
言葉の札は、今夜のために四枚のほかにもう一枚、大階段。踊り場がいくつも重なる、上へ向かうための階。
「大階段を言葉で置くなんて、初めてですね」
準備をしながら、私は笑う。
「上へ向かう道が欲しい。降りるためではなく」
彼もわずかに笑った。「階段は、戻るための形をしている」
砂時計を返す。
彼の肩が沈み、呼吸がゆっくり下がる。
降りる足取りは静かで、怖さは隠されないまま、誠実の形をしていた。私は布ごしに彼の指へ指を重ね、もう片方の手を胸の上で拍に重ねる。
音・香・体温が部屋の空気をゆっくり整え、言葉が形を持ちはじめる。
「——見える」
彼の声は遠いが、澄んでいた。「大階段。銀糸で織られ、踊り場が幾つも——」
「手すりは左。灯を足元に。木戸は背中側に閉じている。——現実側に鍵」
私は順に置き、最後に一枚、新しい札を重ねる。
「帰る場所」
階段は現の言葉で一段ずつ照らされ、足裏の感触が乾く。
彼は第一踊り場で立ち止まり、布の向こうの温度を握り返した。
「王の手は、まだ下に」
喉が一度、空気を拾う。「助けられなかった夜の中で、子どもの私が手を掴まれている」
私は香の壺を少し回し、林檎のやわらかい甘さを濃くする。
「二回まで。縁を越えたら、呼びます。——名で」
「呼んでくれ」
彼は階段をもう三段、ゆっくり上がる。
声の束は、今夜は遠い。
代わりに、ひとつの手だけがはっきりと、繋ぎとめる力で彼の踝を引く。
砂は半分。
私は余韻鈴の糸を一度だけ震わせ、戻るの合図を胸の内側に重ねる。
「見えた」
彼の声が細くなった。「水面のすぐ下。睡蓮の葉の影。小さな手。……放せと言えない。放したら、また沈む気がする」
胸の奥が、静かに痛む。
私は抽象を避け、具体を置く。
「手すり。踊り場。灯。——上に、もう一段」
彼の呼吸が半拍深くなる。
けれど、王の手は指を増やす。名のない束が一本になったぶん、強く。
脈が一度沈み、布の上の指が迷う。
——越えない。
私は布を見て、あの夜の禁越えの一瞬を胸の奥で確かめる。
今夜は戻る。倫理へ。
直接の速さではなく、言葉と温度で。
「ルクス」
私は名を置き、声を拍の高さで整える。
「聞いて。——私は、あなたの帰る場所になる」
言葉は鐘ではないのに、三打目の位置で響く。
香がわずかに明るくなり、布ごしの温度が先に届く。
「鳴らない夜でも、合図は置けます。音と、香と、体温。それから、言葉。——戻ると決めたら、上はここです」
彼の喉が大きく一度動き、脈が指へ戻る。
「私は……助けられてもいいのか」
「いいのです」
私は笑う。
「助けたいと怖いの、両方を持つあなたを、私は恐れません。——そして、助けられていいあなたを、私は歓びます」
反響王の影が、階下で揺れる。
冠のひびが光を失い、目のいくつかが瞬きをやめる。
名を渡されない場所で、束は束でいられない。
彼は子どもの自分の手を布ごしに包む。
放すためではなく、上へ誘うために。
「上へ」
私が言う。
「踊り場まで」
彼は頷き、小さな手を上へ引く。
王の指は水になり、糸になり、やがて霧になる。
放されたのは彼ではなく、王のほうだ。集めるしかなかった手は、持てない場所で形をなくす。
砂が三分の一を残す頃、彼は踊り場に片足を置いた。
睡蓮の光が階段の縁に薄く宿り、手すりが乾く。
子どもの彼の手は、子どもの温度のまま、現の拍に合わせて震える。
私は布の端でその小さな震えを受け、余韻鈴を一度だけ鳴らさずに震わせる。
「放していいのは、あなたじゃない」
私はゆっくり言う。
「王を放すのです。あなたは、あなたを握っていてください」
彼の肩から、ひとつ重さが降りた。
喉が空気を拾い、目が今を捕まえる。
子どもの彼は手すりを握り、踊り場に両足を置く。
王は追わない。追えない。
名のないものは、名の置かれた場所には来られない。
砂があとわずか。
彼は階段の上を見、下を見、私を見た。
黒衣の襟の余白が、息をする。
「——ありがとう」
声は、現の彼のものだった。「私は、私を助ける手に、やっと“はい”と言える」
私は記録帳に細い字で書く。
“大階段。子どもの手。王の指、霧化。あなたの帰る場所の言葉、有効。助けられてよいの承認。改変なし。帰還。”
砂が尽き、彼は目を開ける。
壺の香を喉へ通し、杯を両手で包む。
布を返す指先は、昨夜より温い。
私は杯をもう一つ自分に注ぎ、朝の名残を喉で読む。
睡蓮の光が瞼の裏で薄く揺れる。
「エレナ」
彼が名で呼ぶ。「秘密をひとつ。——誰にも言っていない夜がある。初めて沈んだ夜だ。……呼べなかった名が、ひとつ」
私は布ごしに彼の手を包み、首を振る。
「言わなくていい名も、あります。名は、所有の始まりですから。——あなたがあなたを赦すことだけ、ここに置きましょう」
彼は目を伏せ、呼吸を整え、そして小さく笑った。
「私は、赦す。——助けられた自分を」
窓の外で、港の帆が鳴らない音を立てた。
昼が傾き、夕の色が石畳にさざ波のように落ちる。
遠くで子どもが笑い、どこかで犬が返事をし、鐘楼の影が伸びる。
私は誓いの紙片を卓の端に置き、もう一度小さく読む。
夢は所有物ではない。
帰還の手伝いは自由と尊厳に従う。
合図を備え、改変をしない。
反響は現実で受け止める。
——従わない。
「明日」
彼は黒衣の襟を整え——第一の釦だけ、やはり外したままにした。「枢密院で、宣言を公に。都が帰る場所を持てるように」
「はい。私は、朝のために準備を」
「個別の夜にも、朝を置こう」
彼は余韻鈴の糸を指に絡め、私へ預ける。「これは君に。——鈴が鳴らない夜でも、君の声は整える」
「預かります」
私は胸に掌を置き、拍をひとつ整えた。
音と、香と、体温。
そして、言葉。
——あなたの帰る場所になる。
別れ際、彼は私の脈の位置で一拍、頷いた。
「帰る」
「お帰り」
私は笑って答える。
言葉は合図になり、合図は場所になる。
その場所は、窓の外にも、胸の内側にも、夢の踊り場にも、同じ形で置かれていく。
扉が閉まる。
鐘楼に、鳴らない余韻が漂う。
私は布をたたみ、壺を洗い、記録を閉じる。
今夜、王の手は霧になった。
彼は初めて、助けられた自分を赦し、帰る場所を自分の言葉で選んだ。
——帰る場所は、置いておく。
それが私の役目であり、私たちの恋のかたちだ。
外面の完璧さの内側で、脆さは誠実に変わりつつある。
その変化の余白を、私は毎朝の鐘の前に静かに並べる。
彼が戻るたび、拍をひとつ合わせられるように。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる