2 / 14
第2話 陽だまりのブリーフィング
翌日。議題開始五分前——作戦室の扉はまだ閉じられたまま、アークトは屋上の王立温室にいた。
初夏の湿り気が、硝子越しの光でやわらいでいる。通路に敷かれた小石の白さ、鉢の土の匂い、葉の裏を渡る風音。
ここは、彼の思考が最速で回転する場所ではない。だが昨日、最速より早く“合意”に辿り着いたのは、ここの香りのせいだった可能性がある。
「参謀、おはようございます!」
ソラナが、両手いっぱいに盆を抱えて駆けてくる。盆の上には小さな器が三つ——柑橘の輪切り、蜂蜜の小壺、湯気の低い陶カップ。
「温度、今日は“熱すぎない”で揃えました。猫舌さんがいらっしゃるかもなので」
「猫舌……?」
「昨日の政敵の方、唇をちょっとすぼめてたから、熱いの苦手かなって。あ、すみません。職業病で観察しちゃって」
観察、という言葉が、アークトの合理の回路に軽く接続する。
彼はうなずき、持参した議題資料を差し出した。
「本題に入る。今日の会議は港湾派の二点、沿岸警備との連携一件。開始前の五分を“温度調律”に充てる。配膳動線と人数配分——」
「了解です。参謀は、まず、こっち」
彼女は盆をベンチに置くと、当然のようにアークトの袖を引いて座らせた。薄い木の座面が、朝の温度をそのまま渡してくる。
「顔、かたくなってます。いちど、ひと口」
陶カップを手渡され、アークトは香りを確かめる。柑橘は湯で割られて角がとれ、蜂蜜は甘すぎない線で溶けている。
ひと口。喉から胸にかけて、余剰な緊張が少しだけ矛を収めた。
「……悪くない」
「よかった。じゃ、資料ください」
ソラナは彼の膝上の束を膝にのせ、さらさらと目を通す。行間に短い鉛筆の印が増えていく。
印は、毒気を抜く場所と、言い換える場所にだけ付く。彼女は言葉をいじらない。温度をいじるだけだ。
「三行で足りる、って昨日言ってましたよね。ここを“人の心に刺さらない順番”に並べ替えると、同じ三行でももう少し丸く伝わると思うんです」
丸く、という曖昧な語が、具体の形を伴って紙の上に立ち上がる。
アークトは腕を組み、目だけで彼女の手元を追った。彼女はときどき顔を上げ、そのたび光の粒みたいな目で要点を確認する。
「……よし。文は変えていないのに、摩擦が減る順番になっている」
「やった。じゃあ、最後に——」
彼女は両の手を伸ばして、アークトの頬をそっと挟み込んだ。
むにっ、と柔らかい圧。温室の空気が、たしかに一段明るくなる。
「難しい顔、禁止です」
言葉は軽いが、宣言のように揺るがない。
アークトは瞬き一回でヨナスの不在を確認する——副官はここにいない。見ているのは、葉と光と、彼女だけだ。
「職務執行中に顔面に干渉する行為は推奨されない」
「執行前の準備です。……あ、でも嫌でした?」
嫌か否かの二択が、極端に答えづらい。
彼は頬を解放されると、短く答えた。
「……許容範囲だ。効果があるなら」
「ありますよ。眉間スイッチ、今オフになりました」
ソラナは満足げに笑い、ペン先で印をもう一つ増やす。彼女の笑いは、本当に壁を傷つけない。だが壁の内側の空気だけ、拡張する。
「ところで、動線の件。ここから作戦室までは、北階段が近いけど、人が詰まりやすいので——」
彼女は温室の通路図を紙の端に描き、鉢植えの間の“風の通り道”を矢印で示した。
アークトは即座に脳内の見取り図を書き換える。
「南廊のほうが曲がりが多い。箱を抱えた状態では、こぼれず、ぶつからず、遅れずの三条件を満たせるのは——」
「東の回廊、ですよね。こっちは光が入らないから人が少なくて。あ、でも途中で警備さんに止められるので、許可の札が要ります」
「札は私が用意する。通行許可証の仮規格を作る。王女の署名を取れば、君の動線は確保できる」
決まるべきものがすっと決まる。昨日の“最短”が、今日も続く。
ソラナは立ち上がり、盆を持ち直した。
「じゃあ、五分前に作戦室で。配膳の順番は——参謀、最後にしますね。皆に行き渡ってから参謀」
「なぜだ」
「参謀が一番、我慢がきくからです。最後に持っていくと、全員が“待てる”雰囲気になるので」
その理由は、正しい。正しいが、ほんの少しだけ面白くない。
アークトは気づかない顔でうなずいた。
「——それと、もう一件」
ソラナが、言い出しにくそうに足元の小石を一つ蹴る。
彼女の視線が、彼のこめかみのあたりで止まった。
「昨日も、今日も、頭痛そうだったので……これ、持ってきました」
盆の脇から、小さな布包みを取り出す。中には、蜂蜜塩の小粒と、乾いたハーブの束。
香りを嗅いだ瞬間、アークトは原料の出どころと配合の意味を理解する。
「蜂蜜と塩の比率が……」
「三:一。疲れてるときに舐めると楽です。副官さんにも渡してあります」
ヨナスに、先回り。
アークトは、わずかに口の端を上げた。「有能だな」
「わぁ。参謀に“有能”って言われた。今日、がんばれます」
その反応は、彼の胸のどこかを、不意に甘く掻いた。
甘さは計算が難しい。だが、計算で否定する理由も見当たらない。
「行くぞ。時間だ」
二人は温室を出て、東の回廊へ。壁に沿って落ちる影は涼しく、足音は静かだ。
途中、警備が立ちはだかりかけたが、アークトの言葉が先に出る。
「臨時配膳の通行を許可する。王女の口頭承認済み。後ほど文書を回す」
「了解しました、参謀」
作戦室の前に着いたとき、ソラナは一度深呼吸をして、彼を見上げた。
「参謀。今日も、難しい顔は——」
「禁止だろう」
言い終える前に、彼女が笑う。
扉が開く。冷たい空気が頬に触れる。配られていく“熱すぎない”湯気。会議の前置きに、言葉の角がひとつ、またひとつ落ちていく。
議題の一件目は、拍子抜けするほど滑らかに決着した。二件目の連携案も、昨日より短い時間で合意に達する。
ヨナスが、代わりに驚いた顔をしてアークトの横に立った。
「参謀、これ、ほんとに会議ですか? 甘味の実験では……」
「議事録の表題は“第七一二回対策会議”。副題に“温度調律試行二日目”。おやつの名称は——」
「“猫舌温”でいいですか?」と、斜め後ろからソラナ。
アークトは短く考え、承認印を一つ。「仮称として採用。正式決定は後日」
会議が散じ、作戦室に静けさが戻る。
ソラナは空の器を重ね、ふうと息をついた。肩にかかった髪が、光を吸って柔らかく見える。
「今日も、最短で終わりましたね」
「そうだな」
アークトは机端に手を置き、彼女をまっすぐ見る。
彼は、戦の勝ち方をいくつも知っている。だが今、彼が学びつつあるのは、勝つ前に顔を柔らかくする方法だ。
「ソラナ・ベル。任務を継続する。安全手順は拡張、動線の許可証は今日中に発行する」
「はい!」
「それと——」
彼は言いよどみ、わずかに視線を逸らす。
頬の内側から、むにっの感触が遅れて蘇る。禁止される前に、彼は自分で眉間を緩めた。
「次回の“猫舌温”、私の分は最初に回せ。皆の“待て”は、私が別の方法で担保する」
ソラナは目を丸くし、すぐに笑う。
「了解しました。参謀の“待て”は、別枠ですね」
彼女は盆を抱え直し、扉の方へ二歩、三歩。
ふいに振り返り、人差し指で自分の眉間をちょん、と押して見せる。
「では、また。“眉間スイッチ”、今日はオフのままで」
扉が閉まると、ヨナスが小さく咳払いした。
「参謀。猫舌温、仮称と言わず正式にしましょう。政敵、見事に飲みました」
「なら、手続きしておけ。名前の由来を書く欄に、余計な叙情は入れるな」
「“余計な叙情”の定義、難しい顔で書きますね」
アークトは、机上の資料を一枚にまとめながら、唇の内側で苦笑を抑えた。
最短で平和へ。最短で合意へ。——そして、自分の恋は、最長で温める。
その計画だけは、今のところ、彼女の掌の温度にいつでも覆される危険を孕んでいる。
戦略が存在しないと気づくのは、戦に強い者ほど遅いのかもしれない。
彼は目を閉じ、浮かびかけた難しい顔を、思い出した言葉で押しとどめる。
——難しい顔、禁止だ。
初夏の湿り気が、硝子越しの光でやわらいでいる。通路に敷かれた小石の白さ、鉢の土の匂い、葉の裏を渡る風音。
ここは、彼の思考が最速で回転する場所ではない。だが昨日、最速より早く“合意”に辿り着いたのは、ここの香りのせいだった可能性がある。
「参謀、おはようございます!」
ソラナが、両手いっぱいに盆を抱えて駆けてくる。盆の上には小さな器が三つ——柑橘の輪切り、蜂蜜の小壺、湯気の低い陶カップ。
「温度、今日は“熱すぎない”で揃えました。猫舌さんがいらっしゃるかもなので」
「猫舌……?」
「昨日の政敵の方、唇をちょっとすぼめてたから、熱いの苦手かなって。あ、すみません。職業病で観察しちゃって」
観察、という言葉が、アークトの合理の回路に軽く接続する。
彼はうなずき、持参した議題資料を差し出した。
「本題に入る。今日の会議は港湾派の二点、沿岸警備との連携一件。開始前の五分を“温度調律”に充てる。配膳動線と人数配分——」
「了解です。参謀は、まず、こっち」
彼女は盆をベンチに置くと、当然のようにアークトの袖を引いて座らせた。薄い木の座面が、朝の温度をそのまま渡してくる。
「顔、かたくなってます。いちど、ひと口」
陶カップを手渡され、アークトは香りを確かめる。柑橘は湯で割られて角がとれ、蜂蜜は甘すぎない線で溶けている。
ひと口。喉から胸にかけて、余剰な緊張が少しだけ矛を収めた。
「……悪くない」
「よかった。じゃ、資料ください」
ソラナは彼の膝上の束を膝にのせ、さらさらと目を通す。行間に短い鉛筆の印が増えていく。
印は、毒気を抜く場所と、言い換える場所にだけ付く。彼女は言葉をいじらない。温度をいじるだけだ。
「三行で足りる、って昨日言ってましたよね。ここを“人の心に刺さらない順番”に並べ替えると、同じ三行でももう少し丸く伝わると思うんです」
丸く、という曖昧な語が、具体の形を伴って紙の上に立ち上がる。
アークトは腕を組み、目だけで彼女の手元を追った。彼女はときどき顔を上げ、そのたび光の粒みたいな目で要点を確認する。
「……よし。文は変えていないのに、摩擦が減る順番になっている」
「やった。じゃあ、最後に——」
彼女は両の手を伸ばして、アークトの頬をそっと挟み込んだ。
むにっ、と柔らかい圧。温室の空気が、たしかに一段明るくなる。
「難しい顔、禁止です」
言葉は軽いが、宣言のように揺るがない。
アークトは瞬き一回でヨナスの不在を確認する——副官はここにいない。見ているのは、葉と光と、彼女だけだ。
「職務執行中に顔面に干渉する行為は推奨されない」
「執行前の準備です。……あ、でも嫌でした?」
嫌か否かの二択が、極端に答えづらい。
彼は頬を解放されると、短く答えた。
「……許容範囲だ。効果があるなら」
「ありますよ。眉間スイッチ、今オフになりました」
ソラナは満足げに笑い、ペン先で印をもう一つ増やす。彼女の笑いは、本当に壁を傷つけない。だが壁の内側の空気だけ、拡張する。
「ところで、動線の件。ここから作戦室までは、北階段が近いけど、人が詰まりやすいので——」
彼女は温室の通路図を紙の端に描き、鉢植えの間の“風の通り道”を矢印で示した。
アークトは即座に脳内の見取り図を書き換える。
「南廊のほうが曲がりが多い。箱を抱えた状態では、こぼれず、ぶつからず、遅れずの三条件を満たせるのは——」
「東の回廊、ですよね。こっちは光が入らないから人が少なくて。あ、でも途中で警備さんに止められるので、許可の札が要ります」
「札は私が用意する。通行許可証の仮規格を作る。王女の署名を取れば、君の動線は確保できる」
決まるべきものがすっと決まる。昨日の“最短”が、今日も続く。
ソラナは立ち上がり、盆を持ち直した。
「じゃあ、五分前に作戦室で。配膳の順番は——参謀、最後にしますね。皆に行き渡ってから参謀」
「なぜだ」
「参謀が一番、我慢がきくからです。最後に持っていくと、全員が“待てる”雰囲気になるので」
その理由は、正しい。正しいが、ほんの少しだけ面白くない。
アークトは気づかない顔でうなずいた。
「——それと、もう一件」
ソラナが、言い出しにくそうに足元の小石を一つ蹴る。
彼女の視線が、彼のこめかみのあたりで止まった。
「昨日も、今日も、頭痛そうだったので……これ、持ってきました」
盆の脇から、小さな布包みを取り出す。中には、蜂蜜塩の小粒と、乾いたハーブの束。
香りを嗅いだ瞬間、アークトは原料の出どころと配合の意味を理解する。
「蜂蜜と塩の比率が……」
「三:一。疲れてるときに舐めると楽です。副官さんにも渡してあります」
ヨナスに、先回り。
アークトは、わずかに口の端を上げた。「有能だな」
「わぁ。参謀に“有能”って言われた。今日、がんばれます」
その反応は、彼の胸のどこかを、不意に甘く掻いた。
甘さは計算が難しい。だが、計算で否定する理由も見当たらない。
「行くぞ。時間だ」
二人は温室を出て、東の回廊へ。壁に沿って落ちる影は涼しく、足音は静かだ。
途中、警備が立ちはだかりかけたが、アークトの言葉が先に出る。
「臨時配膳の通行を許可する。王女の口頭承認済み。後ほど文書を回す」
「了解しました、参謀」
作戦室の前に着いたとき、ソラナは一度深呼吸をして、彼を見上げた。
「参謀。今日も、難しい顔は——」
「禁止だろう」
言い終える前に、彼女が笑う。
扉が開く。冷たい空気が頬に触れる。配られていく“熱すぎない”湯気。会議の前置きに、言葉の角がひとつ、またひとつ落ちていく。
議題の一件目は、拍子抜けするほど滑らかに決着した。二件目の連携案も、昨日より短い時間で合意に達する。
ヨナスが、代わりに驚いた顔をしてアークトの横に立った。
「参謀、これ、ほんとに会議ですか? 甘味の実験では……」
「議事録の表題は“第七一二回対策会議”。副題に“温度調律試行二日目”。おやつの名称は——」
「“猫舌温”でいいですか?」と、斜め後ろからソラナ。
アークトは短く考え、承認印を一つ。「仮称として採用。正式決定は後日」
会議が散じ、作戦室に静けさが戻る。
ソラナは空の器を重ね、ふうと息をついた。肩にかかった髪が、光を吸って柔らかく見える。
「今日も、最短で終わりましたね」
「そうだな」
アークトは机端に手を置き、彼女をまっすぐ見る。
彼は、戦の勝ち方をいくつも知っている。だが今、彼が学びつつあるのは、勝つ前に顔を柔らかくする方法だ。
「ソラナ・ベル。任務を継続する。安全手順は拡張、動線の許可証は今日中に発行する」
「はい!」
「それと——」
彼は言いよどみ、わずかに視線を逸らす。
頬の内側から、むにっの感触が遅れて蘇る。禁止される前に、彼は自分で眉間を緩めた。
「次回の“猫舌温”、私の分は最初に回せ。皆の“待て”は、私が別の方法で担保する」
ソラナは目を丸くし、すぐに笑う。
「了解しました。参謀の“待て”は、別枠ですね」
彼女は盆を抱え直し、扉の方へ二歩、三歩。
ふいに振り返り、人差し指で自分の眉間をちょん、と押して見せる。
「では、また。“眉間スイッチ”、今日はオフのままで」
扉が閉まると、ヨナスが小さく咳払いした。
「参謀。猫舌温、仮称と言わず正式にしましょう。政敵、見事に飲みました」
「なら、手続きしておけ。名前の由来を書く欄に、余計な叙情は入れるな」
「“余計な叙情”の定義、難しい顔で書きますね」
アークトは、机上の資料を一枚にまとめながら、唇の内側で苦笑を抑えた。
最短で平和へ。最短で合意へ。——そして、自分の恋は、最長で温める。
その計画だけは、今のところ、彼女の掌の温度にいつでも覆される危険を孕んでいる。
戦略が存在しないと気づくのは、戦に強い者ほど遅いのかもしれない。
彼は目を閉じ、浮かびかけた難しい顔を、思い出した言葉で押しとどめる。
——難しい顔、禁止だ。
あなたにおすすめの小説
魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
旅は道連れ、世は情け?と言われて訳あり伯爵家の子息のパートナーになりました
さこの
恋愛
両親を亡くし、遺品整理のため王都を訪れたブランシュ。
手放すはずだったアンティークをきっかけに、ひょんなことから伯爵家の跡取り・ユーゴと出会う。
無愛想で口が悪く、女性に冷たいその男は、なぜかブランシュの世話を焼き、面倒事にも付き合ってくれる。
王都ではかつて「親友に婚約者を奪われ、失恋して姿を消した男」と噂されていたユーゴ。
だがその噂は、誰かの悪意によって作られた嘘だった。
過去の誤解。すれ違い。
そして少しずつ見えてくる、本当の彼の姿。
気づけばブランシュは思ってしまう。
――この人は、優しすぎて損をしている。
面倒くさがりな伯爵子息と、無自覚な令嬢の、
すれ違いだらけの甘め異世界ラブコメディ
成功条件は、まさかの婚約破棄!?
たぬきち25番
恋愛
「アリエッタ、あなたとの婚約を破棄する……」
王太子のアルベルト殿下は、そう告げた。
王妃教育に懸命に取り組んでいたアリエッタだったが、
それを聞いた彼女は……?
※他サイト様にも公開始めました!
無臭の公爵様は香りの令嬢を手放さない~契約婚約のはずが、私の香りで極甘に覚醒しました!?~
黒崎隼人
恋愛
前世で香水の研究員だった記憶を持つ見習い調香師のリリアーナ。
彼女の持つ特別な能力は、眠ると「運命の相手の香り」を夢で予知できること。
ある日、王命によってクロフォード公爵エリオットの元へ派遣される。
彼はあらゆる香りを拒絶する特異体質で、常に無表情な「鉄仮面公爵」として恐れられていた。
しかも、彼自身からは何の匂いもしない「無臭」だった。
リリアーナの作る自然な香りだけがエリオットの痛みを和らげることが判明し、二人は体質改善のための「偽りの契約婚約」を結ぶことに。
一緒に過ごすうち、冷徹だと思っていたエリオットの不器用な優しさに触れ、リリアーナは少しずつ心を開いていく。
そして、彼女の調合した「解毒の香り」が、公爵の体に隠された恐ろしい呪いと陰謀を解き明かし――!?
匂いを感じない公爵が、やがて愛しい人の香りに目覚め、極上の溺愛を見せる。
香りに導かれた二人が紡ぐ、甘く切ない異世界ラブファンタジー!
婚約破棄された伯爵令嬢ですが、辺境で有能すぎて若き領主に求婚されました
おりあ
恋愛
アーデルベルト伯爵家の令嬢セリナは、王太子レオニスの婚約者として静かに、慎ましく、その務めを果たそうとしていた。
だが、感情を上手に伝えられない性格は誤解を生み、社交界で人気の令嬢リーナに心を奪われた王太子は、ある日一方的に婚約を破棄する。
失意のなかでも感情をあらわにすることなく、セリナは婚約を受け入れ、王都を離れ故郷へ戻る。そこで彼女は、自身の分析力や実務能力を買われ、辺境の行政視察に加わる機会を得る。
赴任先の北方の地で、若き領主アレイスターと出会ったセリナ。言葉で丁寧に思いを伝え、誠実に接する彼に少しずつ心を開いていく。
そして静かに、しかし確かに才能を発揮するセリナの姿は、やがて辺境を支える柱となっていく。
一方、王太子レオニスとリーナの婚約生活には次第に綻びが生じ、セリナの名は再び王都でも囁かれるようになる。
静かで無表情だと思われた令嬢は、実は誰よりも他者に寄り添う力を持っていた。
これは、「声なき優しさ」が、真に理解され、尊ばれていく物語。
ゲームには参加しません! ―悪役を回避して無事逃れたと思ったのに―
冬野月子
恋愛
侯爵令嬢クリスティナは、ここが前世で遊んだ学園ゲームの世界だと気づいた。そして自分がヒロインのライバルで悪役となる立場だと。
のんびり暮らしたいクリスティナはゲームとは関わらないことに決めた。設定通りに王太子の婚約者にはなってしまったけれど、ゲームを回避して婚約も解消。平穏な生活を手に入れたと思っていた。
けれど何故か義弟から求婚され、元婚約者もアプローチしてきて、さらに……。
※小説家になろう・カクヨムにも投稿しています。
地味令嬢の私が婚約破棄された結果、なぜか最強王子に溺愛されてます
白米
恋愛
侯爵家の三女・ミレイアは、控えめで目立たない“地味令嬢”。
特に取り柄もなく、華やかな社交界ではいつも壁の花。だが幼いころに交わされた約束で、彼女は王弟・レオンハルト殿下との婚約者となっていた。
だがある日、突然の婚約破棄通告――。
「やはり君とは釣り合わない」
そう言い放ったのは、表向きには完璧な王弟殿下。そしてその横には、社交界の華と呼ばれる公爵令嬢の姿が。
悲しみも怒りも感じる間もなく、あっさりと手放されたミレイア。
しかしその瞬間を見ていたのが、王家随一の武闘派にして“最強”と噂される第一王子・ユリウスだった。
「……くだらん。お前を手放すなんて、あいつは見る目がないな」
「よければ、俺が貰ってやろうか?」
冗談かと思いきや、なぜか本気のご様子!?
次の日には「俺の婚約者として紹介する」と言われ、さらには
「笑った顔が見たい」「他の男の前で泣くな」
――溺愛モードが止まらない!
誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』
富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。