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第八話 「外の今日の分」
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僕
終わるのが嫌、と言った瞬間、胸の奥で古いルールが騒いだ。
――重い。
――困らせる。
――減点される。
でも彼女は、困った顔をしなかった。
「あと少しだけ」と言って、時間の枠を作ってくれた。
枠があると、僕は落ち着く。
でも今日は、その枠が“拒否”じゃなく“一緒にいるため”に使われた。
それが、救いだった。
僕は彼女の横で、缶を持ったまま言った。
「……明日」
言いかけて、止まる。
明日も来てほしい。
それはもう言える。
でも、言い方を間違えると、彼女を縛る。
僕は一度息を吸って、言い直した。
「……明日、忙しいですか」
確認の形に包んだ。
臆病なまま、でも前に出る。
彼女は少し考えてから、頷いた。
「明日は少しバタバタするかも。でも、来られると思う」
来られる“と思う”。
その曖昧さに、胸が少しだけ揺れる。
昔なら、そこで心が冷える。
でも今日は、彼女がちゃんと続けた。
「来られないなら、先に言う。約束する」
約束。
僕の中の針が、また少し丸くなる。
僕は頷いた。
「……言ってくれたら、待てます」
言えた。
昔の“待つ”じゃない言い方。
そして、僕はもう一つだけ、主導を足した。
「……来られたら。明日も、迎えます」
迎える。
僕の言葉に、もう逃げ道が少ない。
彼女が笑った。
「うん。迎えられる」
その返事が、胸の奥をあたたかくした。
僕は思った。
今日の分は、増え方が変わってきた。
回数じゃない。
言えることが増える。
“欲”が、怖いだけじゃなくなる。
そして、気づく。
僕はもう、淡々と甘やかされるだけじゃ足りない。
淡々と――彼女を甘やかしたい。
その欲が生まれたことを、
僕はまだ彼女に言えない。
でも、言える日が来る気がした。
“今日の分”が、外にも、明日にも、伸びていくから。
終わるのが嫌、と言った瞬間、胸の奥で古いルールが騒いだ。
――重い。
――困らせる。
――減点される。
でも彼女は、困った顔をしなかった。
「あと少しだけ」と言って、時間の枠を作ってくれた。
枠があると、僕は落ち着く。
でも今日は、その枠が“拒否”じゃなく“一緒にいるため”に使われた。
それが、救いだった。
僕は彼女の横で、缶を持ったまま言った。
「……明日」
言いかけて、止まる。
明日も来てほしい。
それはもう言える。
でも、言い方を間違えると、彼女を縛る。
僕は一度息を吸って、言い直した。
「……明日、忙しいですか」
確認の形に包んだ。
臆病なまま、でも前に出る。
彼女は少し考えてから、頷いた。
「明日は少しバタバタするかも。でも、来られると思う」
来られる“と思う”。
その曖昧さに、胸が少しだけ揺れる。
昔なら、そこで心が冷える。
でも今日は、彼女がちゃんと続けた。
「来られないなら、先に言う。約束する」
約束。
僕の中の針が、また少し丸くなる。
僕は頷いた。
「……言ってくれたら、待てます」
言えた。
昔の“待つ”じゃない言い方。
そして、僕はもう一つだけ、主導を足した。
「……来られたら。明日も、迎えます」
迎える。
僕の言葉に、もう逃げ道が少ない。
彼女が笑った。
「うん。迎えられる」
その返事が、胸の奥をあたたかくした。
僕は思った。
今日の分は、増え方が変わってきた。
回数じゃない。
言えることが増える。
“欲”が、怖いだけじゃなくなる。
そして、気づく。
僕はもう、淡々と甘やかされるだけじゃ足りない。
淡々と――彼女を甘やかしたい。
その欲が生まれたことを、
僕はまだ彼女に言えない。
でも、言える日が来る気がした。
“今日の分”が、外にも、明日にも、伸びていくから。
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