和平交渉のはずが、参謀が勇者にだけ冷静さを失っています(((論理的思考<勇者が可愛い)))

星乃和花

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第2話「参謀は“戦術的抱擁”を採用する」

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 戦場から戻った王国軍は、勝ったのに勝った気がしない顔をしていた。
 敵が、帰った。
 剣も槍も交えず、ただ――“帰った”。

 兵士たちは口々に言う。

「勇者さま、すげぇ……」
「いや、怖いって……何が起きた?」
「敵将の顔が、急に“疲れた親戚”みたいになってたぞ……」

 ミナはその中心にいながら、きょろきょろしているだけだった。
 自分のしたことがどれほど異常だったか、まだ理解していない。

「……みんな、おうち帰れたねぇ」

 そう言って、ほっとしたように笑う。

 レオンは、胃の奥で何かがキュッと鳴るのを感じた。
 嬉しいのか苦しいのか、自分でも分からない音だ。

(落ち着け。可愛いと思うな。戦術的判断だ)

 そう、戦術的判断。

 ――可愛いと思った瞬間に、負ける。

「参謀レオン!」

 王が玉座の間で声を張った。
 周囲には将軍たち、術師、貴族が揃い、明らかに“揉める前の空気”が満ちている。

「どう説明する。敵が突然撤退した理由を!」

「……理由は明白です。勇者の魔法です」

「魔法? あれは何だ、“敵の心を折る呪い”か?」

 将軍が眉をひそめる。

「敵が武器を捨てたのだぞ。洗脳ではないのか!」

 ミナはぽかんとして、ゆっくり手を上げた。

「あの……」

 全員が視線を向ける。

「わたし、洗脳とか……よく分からないけど……」

 ミナは言葉を探すように瞬きをしてから、にこっと笑った。

「怒るの、疲れるから……
 “だいじょうぶだよ”って、言っただけだよ?」

 広間の空気が、ふわりと緩む。
 さっきまで険しかった顔が、なぜかぼんやりしていく。

「……そうだ、怒るのは……疲れる……」
「たしかに……」
「争いは……虚しい……」

(やめろ)

 レオンが内心で叫んだ。
 今、会議が崩れる。
 “怒り”と“警戒”が必要な場面で、鎮静が働けば国は守れない。

 レオンはすっとミナの前に立ち、影を作るように遮った。

「陛下。彼女の魔法は、感情に作用します。
 意図せず周囲に広がる可能性がある」

「……つまり?」

「取り扱いを誤れば、国の意思決定が鈍ります」

 将軍が顔をしかめる。

「ならば危険だ! 封印しろ!」

 ミナが小さく目を見開いた。

「ふういん……?」

 レオンはその瞬間、心の奥が熱くなるのを感じた。
 理屈ではない。反射だ。

(――封印? この子を?)

 彼は冷たく言い放つ。

「できません。
 封印できるなら、召喚術師が先に提案しています」

 老術師が慌てて頷いた。

「そ、そうです! この魔法は未知で……!」

 王が腕を組み、低く言った。

「参謀レオン。結論を言え。
 彼女をどう扱う」

 レオンは一拍置いて、淡々と答える。

「……私が管理します」

「管理?」

「勇者ミナの行動範囲、接触者、訓練、移動。すべて私の指揮下に置く」

 会議室がざわつく。

「参謀が直々に?」
「過保護では?」
「いや妥当だ」

 ミナが、きょとんとしたままレオンを見上げた。

「レオンさん……わたし、あずかりもの?」

「……そういう言い方はやめろ」

 その声が思わず柔らかくなったのを、レオンは即座に咳払いで誤魔化した。

「私の役目だ」

 ミナはにこっと笑う。

「えらいねぇ」

 ――まずい。

 レオンの心臓が、論理をすっ飛ばして跳ねた。

(褒めるな。軽率に褒めるな)

「褒めなくていい」

「でも……えらいよ?」

 ミナは真剣な顔で言った。
 ゆっくり、でもまっすぐに。

「守るのって、すごいことだもん」

 胸の奥に、見えない矢が刺さった。
 レオンは顔色を変えないまま、視線を逸らした。

「……話は終わりだ。ついてこい」

「うん」

 ミナは素直に頷いて、少し遅れて歩き出す。

 レオンはその“少し遅れる”が、どうしても気になる。

(遅い。危険だ。守れない)

 ――守れない?

 さっきまで“危険なのは彼女の魔法”だと思っていたのに、
 今は“彼女が転びそう”のほうが怖い。

 完全におかしい。

⭐︎・⭐︎・⭐︎・⭐︎・⭐︎

 翌日。

 訓練場の端に、ミナは立っていた。
 その隣で、騎士たちが剣の素振りをしている。

「勇者さま、こちらです!」
「まずは回避行動から!」

 指導役の騎士が声を張る。

 ミナはこくりと頷き、ゆっくり膝を曲げた。

「えっと……こう……?」

「いえ、もっと素早く! 敵が来たら、こう避けて――」

 騎士が模擬槍を持って近づく。
 ミナは理解している顔なのに、動きが追いつかない。

 ゆっくり、ゆっくり。

 そして、槍の先が――

(当たる)

 レオンは、考えるより先に動いた。

 彼はミナの腰に腕を回し、軽々と抱き上げた。

「……っ!」

 騎士が慌てて槍を引く。

「参謀!? 今のは訓練で――」

 レオンは抱き上げたまま、低く言った。

「訓練でも怪我はする」

 ミナがレオンの腕の中で、目をぱちぱちさせる。

「わ……」

「動くな」

「……うん」

 ミナは素直に頷いた。
 近すぎる距離で、ふわっと石鹸みたいな匂いがする。

(落ち着け。搬送だ。合理的搬送)

 レオンは心の中で必死に言い訳を組み立てる。

「参謀、過保護すぎませんか……?」

 騎士が小声で言うと、周囲の兵士たちも頷く。

「勇者さま、戦場でも抱えて運ぶつもりか……」
「むしろそれが正解かも……」
「敵が降伏する前に、参謀が先に倒れそう」

 レオンは聞こえないふりをして、ミナを地面に下ろした。

「……続けろ」

 しかしミナは、服を整えながらぽつりと言った。

「レオンさん、はやかったねぇ」

「……当然だ」

「すごい」

 ミナはにこにこしながら言う。

「さすが、参謀さん」

 その言葉が、レオンの胸に熱を灯した。
 褒められ慣れていない人間にとって、
 ふわふわの肯定は、毒に近い。

「褒めるな」

「褒めるよ?」

「やめろ」

 ミナは少し困った顔で笑った。

「えへへ……レオンさん、照れてる?」

 レオンは、人生最大級の危機を感じた。

(このままでは、参謀が壊れる)

「……訓練を変更する」

 レオンは即決した。

「ミナは“素早く動く訓練”をしなくていい」

「えっ、いいの?」

「いい。あなたは遅くても勝てる」

 ミナの瞳が、ぱっと輝いた。

「わぁ……やさしい……」

 レオンは自分の言葉に後悔した。

(褒められる未来が確定した)

 案の定。

「レオンさん、すごいねぇ」

 ミナは両手を胸の前で握って、真剣に言った。

「わたしのこと、ちゃんと見てくれてる」

 レオンの脳が止まった。

 いや、正確には。

 理性が止まって、感情だけが動いた。

(抱きしめたい)

 その欲求は、まるで避けられない落石のように降ってきた。

 だが彼は参謀。
 冷静であるべきだ。

 ――冷静であるべき。

「……そんなことは当然だ」

 必死に言い繕って、レオンは踵を返した。

「休憩だ。水を飲め」

「うん!」

 ミナは元気に頷いた。
 その背中を見ながら、レオンは胸の奥を押さえる。

(戦場より危険だ)

 彼女は、世界を終わらせる魔法を持つ。
 そして何より。

 ――自分の冷静さを終わらせる。

⭐︎・⭐︎・⭐︎・⭐︎・⭐︎

 その日の午後。

 城の廊下で、緊急の報告が飛び込んだ。

「参謀! 敵軍が再び集結! 今度は交渉ではなく――」

 レオンは即座に切り返す。

「場所は」

「南の森の外れ! こちらの補給路を狙う動きです!」

 レオンは顔色を変えず、命令を飛ばした。

「迎撃隊を編成。私も出る」

 そして、言い切ってから――ミナの姿を探した。

 いた。

 廊下の端で、ミナがゆっくりこちらへ歩いてくる。

「レオンさーん……」

 その声が、また空気を柔らかくする。

 周囲の兵士たちが、無意識に肩の力を抜いた。

 レオンは舌打ちしたくなるのを堪える。

(やめろ……皆が緩む)

 同時に、彼女に近づいてほしい自分もいる。

(……最悪だ)

 ミナは近くまで来て、少し不安そうに言った。

「また、こわいの……?」

 レオンは、一瞬迷った。

 だが迷っている時間はない。

「……来るな。ここにいろ」

 ミナは小さく唇を尖らせた。

「でも……」

「駄目だ」

 レオンの声が強くなる。

「君が行けば、終わる。
 戦いが終わるのはいい。だが――君が持たない」

 ミナは目を丸くした。

「わたし……もたない?」

 レオンは言葉を選ぶのが苦手だった。
 参謀は、戦術用語ならいくらでも並べられるのに。

 優しい言葉だけが、見つからない。

 だから、彼は結局。

 最短で、言った。

「……君が倒れたら、困る」

 ミナがぽかんとする。

「困る……?」

「困る」

 それだけ言って、レオンは背を向けた。

 ――そのはずだった。

「レオンさん」

 ミナが呼ぶ。

「ん?」

 振り向いた瞬間。

 ミナが、ふわっと笑った。

「じゃあ、わたし……倒れないようにするねぇ」

 それがあまりにも可愛くて。

 レオンの理性は、ついに折れた。

 次の瞬間、彼はミナの身体を抱き上げていた。

「……っ!? レオンさん!?」

「運ぶ」

「えっ」

「ここにいると言ったが、君は遅い。危険だ」

「わたし、歩けるよ……?」

「駄目だ」

 ミナが慌てて腕にしがみつく。
 ふわふわの髪が頬に触れて、レオンは息を止めた。

(だめだ、意識するな)

 兵士たちが目を見開く。

「参謀、それ……」
「合理的搬送、ですか……?」
「……いや、抱っこ……」

 レオンは無表情のまま宣言した。

「戦術的抱擁だ」

「抱擁って言いました!?」
「搬送じゃないんですか!?」
「それ、ただの――」

「黙れ」

 レオンの一言で全員が黙った。

 ミナは腕の中で、きゅっと笑う。

「レオンさん……」

「何だ」

「……えへへ」

 レオンは胸の奥が苦しくなった。

「笑うな」

「だって……うれしい」

 ミナは小さな声で言った。

「守ってくれるの、すき」

 レオンの世界が、一瞬止まった。

 戦争も、命令も、理性も。
 全部が遅くなって、彼女の声だけが残る。

(――終わった)

 参謀として、終わった。

 彼はミナを抱えたまま、低く言う。

「……君は、反則だ」

「ん?」

「可愛い」

 言ってしまってから、レオンは完全に固まった。

 周囲の兵士たちが、ゆっくり拍手を始める。

「参謀、ついに言いましたね……」
「おめでとうございます……」
「戦争より先に、参謀の敗北が決まりました」

 ミナはぽかんとしてから、ふわっと笑った。

「レオンさん……今、褒めた?」

「褒めていない」

「褒めたよ」

「……撤回する」

「撤回、できないよ?」

 ミナは優しく、ゆっくり言った。

「言ったことは、残るんだよ?」

 レオンは頭を抱えたい気持ちで、空を見上げた。

(……最悪だ)

 でも。

 腕の中の温かさだけは、最悪じゃなかった。



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第3話「敵将が“話を聞きに来ただけ”と言い出す」
(和平交渉なのに、参謀の理性だけが崩壊していきます)
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