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「もう、遅いじゃない」
少し拗ねたような声色を出している。
まるで待ち合わせでもしていたかのような当然さで、クララが立ち上がって、こちらに近づいてくる。
「ああ、やっぱりロクも一緒なのね」
ちら、と黄色の眼がロクを端に捉える。
貴族のような綺麗な発音と、丁寧な言葉遣いはレーシーの中のクララと結びつかない。
会っていないうちに覚えたらしい白白しい丁寧な言葉に、レーシーは無感動にクララを見た。
豪華な調度品に囲まれてにっこりと微笑んだその顔は、どことなくレーシーにそっくりで、双子というのはいつまで経っても似通った顔をしているモノなのだなと思うに至った。
ただ、なんの化粧もせずに家を飛び出してきた今のレーシーと比べると、いささかクララの方が派手であり、悪くいえばけばけばしい。
緑水晶のような瞳を印象付けるようにくっきりとした化粧を施したクララの目力は凄まじいものがある。
「ちょっと聞きたいことがあってきたのよ」
レーシーは語気を強め、出来る限りの眼光でクララを睨んだ。
こんな風に待ち構えていたと言うことは、本当にクララがレーシーの心臓を盗んだんだろう。
「そんなことわかっっているわよ。レティシアの心臓のことでしょう?」
「今はもうレティシアじゃないけどね、クララベル」
いつもより声に圧力をかけ、低い声を出す。
二人とも魔女になる時に名前は変えている。
本来の名前に似ていた方がいいと言いながら、師匠が考えてくれたものだ。
お互いににっこりと花のように華やかに微笑み合う。お互いの腹の探り合いなどもうやり尽くしてきた。
くるんとカールしたクララのまつ毛は好戦的にバッサバッサと動いている。
化粧気のないレーシーには毒々しくすら感じられる紅のこってりとした口紅で、妙に唇がてかてかとひかっている。それが今の流行りなのだろう、レーシーと違ってクララはそういう流行り廃りのあるものが好きだ。
バチバチと二人の間で火花が飛び、散乱する。
それらは物理的に部屋の中へ転がり出て、一秒とたたずに霧散していく。
少し拗ねたような声色を出している。
まるで待ち合わせでもしていたかのような当然さで、クララが立ち上がって、こちらに近づいてくる。
「ああ、やっぱりロクも一緒なのね」
ちら、と黄色の眼がロクを端に捉える。
貴族のような綺麗な発音と、丁寧な言葉遣いはレーシーの中のクララと結びつかない。
会っていないうちに覚えたらしい白白しい丁寧な言葉に、レーシーは無感動にクララを見た。
豪華な調度品に囲まれてにっこりと微笑んだその顔は、どことなくレーシーにそっくりで、双子というのはいつまで経っても似通った顔をしているモノなのだなと思うに至った。
ただ、なんの化粧もせずに家を飛び出してきた今のレーシーと比べると、いささかクララの方が派手であり、悪くいえばけばけばしい。
緑水晶のような瞳を印象付けるようにくっきりとした化粧を施したクララの目力は凄まじいものがある。
「ちょっと聞きたいことがあってきたのよ」
レーシーは語気を強め、出来る限りの眼光でクララを睨んだ。
こんな風に待ち構えていたと言うことは、本当にクララがレーシーの心臓を盗んだんだろう。
「そんなことわかっっているわよ。レティシアの心臓のことでしょう?」
「今はもうレティシアじゃないけどね、クララベル」
いつもより声に圧力をかけ、低い声を出す。
二人とも魔女になる時に名前は変えている。
本来の名前に似ていた方がいいと言いながら、師匠が考えてくれたものだ。
お互いににっこりと花のように華やかに微笑み合う。お互いの腹の探り合いなどもうやり尽くしてきた。
くるんとカールしたクララのまつ毛は好戦的にバッサバッサと動いている。
化粧気のないレーシーには毒々しくすら感じられる紅のこってりとした口紅で、妙に唇がてかてかとひかっている。それが今の流行りなのだろう、レーシーと違ってクララはそういう流行り廃りのあるものが好きだ。
バチバチと二人の間で火花が飛び、散乱する。
それらは物理的に部屋の中へ転がり出て、一秒とたたずに霧散していく。
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