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しおりを挟むああ、ここで間違えないで欲しいのは、あくまで私は私以外のみんなにもこの「すっきり」感を味わってほしい!って思ったっていうところなのよ。
だから、私がやるべき役柄はこの場の三人においては【泣きマネ、しめしめ女】になるわけなのよ。
男の方はまぁ地位の高い男女のすっきりにしたほうがセンセーショナルだし、いいかって思って、その時住んでた国のいわゆる【王子様】ってやつ。
エーっと今はなんていうんだっけ、忘れたわ。
時期国王候補筆頭……?
まぁ細かいことはいいわ。なんか位の高い男よ。いい感じの権力者。
ちゃんと婚約者がいるってことも事前に調べた。
まぁ私ってかわいいから、男が私に傾倒してくるのなんかあっという間だった。しかも私超一流の魔女だし? 惚れ薬は使うと後々面倒だからやらなかったけど、なんかこう欝々した気持ちがなくなるような魔法とか元気になる魔法とかをその王子に会うたびに軽くかけてあげてたら、いつのまにかその王子「私に会うと元気が出る、気持ちが軽くなる」とか言い出して私のこと大好きになってたわよ。おっかしいの、だって物理的に「元気になって」「気持ちが軽くなってただけ」なのにそれが恋心のせいだって思いこんじゃってて~~
まぁそれが狙いだったんだけどさ。狙い通り行き過ぎて笑ったのなんのって。
「あなたのことが好きだ」なんて言われて、げげ、私は好きじゃないけどって感じだけど、こっちが仕組んだことだから「ありがとう(思い通りに動いてくれて)嬉しい」とかなんとか言って茶濁して、こっちから「好き」とかは言ってないのよ、一度も。
勝手に向こうが舞い上がってるだけだよ。
でさー、いつをすっきり日にしようかなって婚約者の女の方をちょっと調べてたらその女が、いきなり私のこと抱きしめてきて「あなたは私の命の恩人……! もしかして天使様なのかしら!?」とかわけのわからない狂ったこと言ってきて、この女も危ない女なのかしら、とか思ってたらあの王子に小さいころから好きだって付きまとわれてて迷惑してたらしいわ、周りから包囲網敷かれて婚約者になるしかなかったけどあの男のこと心底気持ち悪いと思ってたらしいの。
ありがとうと感謝でなでくりまわされて、一緒にお茶会までして、ありがとうありがとうってね。
私は思ったわよ、あれなんか私の思い描いてたすっきり案件と違うわね、って。
これじゃ、私がめちゃくちゃ善良な女みたいになってるし、おかしいよね。
相思相愛の二人から略奪をしないと意味がなかったのに……
読み間違えたわ。
完全に無駄なことをしてたわ。
全然すっきりしない。
幸い婚約者の女は王子の方からの好意がなくなったとみなされたら、すぐに婚約者からおりたみたい。本気で嫌だったんだな~。
別にこの王子顔はかっこいいし声もかっこいいわよ。
毎日好き好き言われて私はもう、やめよって思った。
すっきり劇場も不発だし、めんどうだわって、王子のことなんか別にどうでもいいし捨てて、別の国に行こうかなって……ぶっちゃけ飽きてた。もともと思い付きで始めたことだし長続きしたほうだよねぇ。
どこで察したのか、王子がね、急に真顔で言うのよ「だめだよ。逃げられないよ」って。
急にホラーになったのかと思ったわ。
っていうか魔女に逃げられないよって、いう言葉マジ滑稽なのよ。
「逃げて欲しいの?」
なんて言って私ケラケラ笑ったわよ。
そしたらなんて言ったと思う?
王子が「君は僕に殺されないといけないんだから」って。
え、どいうこと~~~~~~~~~~~~?
オマエ昨日まで私のこと好き好きちゅっちゅ言ってたよね?
そこからなんで今の言葉になるんだよしらねぇよ。
「なに言っちゃってんだよ全然わかんねぇよボケ」
口から出ちゃったわ。おしとやか気取ってたけど無理だったわ。
どうせ捨てるだけの男だしもうどうでもいいじゃーん。
「この国の王は王座に就くときに一番大事なものを壊さないといけない……それが僕にとっての君だ」
なるほどなぁ、あの婚約者の女にとって私は真実「命の恩人」だったというわけだ。
「うざ」
そんな展開求めてないから。
この男もなぁ黙って慰謝料むしり取られてりゃぁいいものを。
もっと調査に時間をかけるべきだったな、遊ぶにしてももっとほかの人選であればこんな面倒なことになってなかった。
応援ありがとうございます!
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