媚薬のレシピは古書店で【完結】

染西 乱

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3.誰でも作れる簡単レシピ

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「おーおー、それが本物の媚薬だったらいくらでものんでやるよ」

雛田はねみ、とあくびをして目を潤ませている。

「言ったな」

「言った」

「言っちまったな」

わははと笑い合いながら本屋を後にしたのは一カ月ほど前だったか。
雛田は忘れてしまっているだろうがそうは問屋がおろさねぇ。
媚薬というファンタジーメルヘンたいへんえっち薬品を作ってみたいという私の野望は継続中だ。仕事か媚薬か、そのぐらいの熱量でもってレシピの素材を集めていた。

セクシーな大根とセクシーダイナマイトなにんじんの入手は困難したが、そのほかはごく一般的な材料ばかりだったし、特に処女の涙なんてのは自分の涙を混ぜれば良いので簡単に入手できた。

……こんな簡単な材料でいいのか?

少し頑張れば手に入る程度の材料しかなかったことが逆に嘘くささを感じさせる。やっぱり媚薬なんていうのはこの世には存在しないのか……なんか普通に美味しそうな野菜ジュースできちゃったよ。唐辛子も入ってちょっと異国っぽい感じの匂いだ。

くそう、いい夢見せてくれたとでも思うことにしよう。人生なんでも前向きが1番だ。

ぺろッとレシピ通り作り上げた媚薬を舐めて見たが、舌に軽く痺れるような刺激があった。ふーん、まぁ入れたものからすれば少しぐらいは刺激的な味になっていても不思議はない。せっかくだしトーストでも焼いて健康的なブランチと洒落込もう。
トースターで厚めの食パンを焼いている間に、使ったまな板やらなんやらを洗うことにする。
なんか息が上がってきてやけに暑いし、やたらとおりものがどぱどぱでるな……とは思っていたが、チーンと食パンが焼ける音がして、ぼんやりしていた意識が呼び覚まされる。びくんと身体が震えてようやく気づいた。

これ、媚薬の効果じゃねぇか?

そうして、即効性のあるものだったらしいということに気づいだが時既に遅し……

身体はビクビク、心臓がばくばく……お股はびちょびちょ……

這ってでも助けを求めるべきだと思う、思うが指が上手く動かない。履歴の1番上に出ているのが雛田だった。
なんか連絡したっけ、わからんけど、雛田の家なら同じ社宅だったはずだし近いはず。
出かけてたら詰みだな……

てか一口しか飲んでないのにこれって怖すぎん?

「ひな……た、助けて……しぬ……」

相手が電話口に出るや否やそれだけ言う。それ以上は言葉にできない……はぁはぁ変質者の電話みたいなでかい息をするしかない。

さすがに吐息で語れるほどまだ大成してないわ。

媚薬……なかなかやるじゃねぇか……
くるし……じぬッ……!
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