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「ちぇっ、頭撫でるぐらいええやろ」
美知子の手は洗い場の仕事を手伝っているため、荒れている。とはいえ孝之介の手も家の手伝いで、ぞうきんがけやら、窓拭きやらを毎日のようにしているため同様にがさがさと荒れている。さらに言えば竹刀を使った鍛錬のために手のひらにも指にも剣だこか出来ているし、筋張っていてこつごつと硬い。
美知子の小さな手も孝之介の手に比べれば白魚のようにかわいらしい綺麗な手だ。
「孝之介ももう小さい子供とちゃうねんから、ちゃんと人との距離を弁えたほうがええで」
ふんっと鼻息荒く、孝之介を睨んだ美知子はもっともらしいことを言う。
軽々しく女の頭に触れるのはあかん、と首を振った。
孝之介とてむやみやたらに女の頭を撫でて回るわけではない。
幼馴染ともいえる美知子だからこうも簡単に手が出てしまう。
美知子だってほんの少し前まで良いことをすれば、髪がめちゃくちゃ、になるまで孝之介の頭を撫でまわし褒められて鼻息荒く満足顔をしていたくせして、今や一丁前の女の顔をしている。
女はすぐに大人になる、と言っていたのは誰だったか。住職だったかそれとも、筋肉がぱっつぱつの飛脚のにいちゃんだったか……
その時は何を言っているのかまったく理解不能だった。人間の歳をとる時間は同じなのだから、男でも女でも大人になるのにかかる時間は同じに決まっている、た思ったものだ。
しかし、現実として女は男よりも婚期が早く、元服も早い。
その制度のせいで孝之介は子供のまま、美知子はもう成人しているのた。
美知子は同じ年のくせして元服が少し早いぐらいで孝之介よりも、大人のような顔をしている。
一丁前に客商売だからとうっすらと紅を引いているのを初めて見たときには驚いたものだ。
美知子は最近顕著に大人の女になりつつある。
ぷっくりとして張りのあった丸い頬はいつのまにか女らしい曲線だけを残して子供のような丸みが抜けている。
着物の襟首に半ば隠されている首筋や、うなじのなだらかな曲線が際立つ。胸の張りも以前より大きくなり、着物の上からでもそこに胸があることを主張している。
極め付けはその尻である。
助産師誰が見ても安産型だと太鼓判を押すだろう大きめの尻は美知子があるくたびにその丸みを着物の上からでもはっきりとわかる。
大きめの尻は当の美知子は、どうやらあまり気に入っていないらしいが、安産型なのはとても良いことだと思う。
孝之介は内心おもしろくないが、表面上は「そやな、もう、子供とちゃうんやったな」などと言って手を自分の体の横に納めた。
美知子の手は洗い場の仕事を手伝っているため、荒れている。とはいえ孝之介の手も家の手伝いで、ぞうきんがけやら、窓拭きやらを毎日のようにしているため同様にがさがさと荒れている。さらに言えば竹刀を使った鍛錬のために手のひらにも指にも剣だこか出来ているし、筋張っていてこつごつと硬い。
美知子の小さな手も孝之介の手に比べれば白魚のようにかわいらしい綺麗な手だ。
「孝之介ももう小さい子供とちゃうねんから、ちゃんと人との距離を弁えたほうがええで」
ふんっと鼻息荒く、孝之介を睨んだ美知子はもっともらしいことを言う。
軽々しく女の頭に触れるのはあかん、と首を振った。
孝之介とてむやみやたらに女の頭を撫でて回るわけではない。
幼馴染ともいえる美知子だからこうも簡単に手が出てしまう。
美知子だってほんの少し前まで良いことをすれば、髪がめちゃくちゃ、になるまで孝之介の頭を撫でまわし褒められて鼻息荒く満足顔をしていたくせして、今や一丁前の女の顔をしている。
女はすぐに大人になる、と言っていたのは誰だったか。住職だったかそれとも、筋肉がぱっつぱつの飛脚のにいちゃんだったか……
その時は何を言っているのかまったく理解不能だった。人間の歳をとる時間は同じなのだから、男でも女でも大人になるのにかかる時間は同じに決まっている、た思ったものだ。
しかし、現実として女は男よりも婚期が早く、元服も早い。
その制度のせいで孝之介は子供のまま、美知子はもう成人しているのた。
美知子は同じ年のくせして元服が少し早いぐらいで孝之介よりも、大人のような顔をしている。
一丁前に客商売だからとうっすらと紅を引いているのを初めて見たときには驚いたものだ。
美知子は最近顕著に大人の女になりつつある。
ぷっくりとして張りのあった丸い頬はいつのまにか女らしい曲線だけを残して子供のような丸みが抜けている。
着物の襟首に半ば隠されている首筋や、うなじのなだらかな曲線が際立つ。胸の張りも以前より大きくなり、着物の上からでもそこに胸があることを主張している。
極め付けはその尻である。
助産師誰が見ても安産型だと太鼓判を押すだろう大きめの尻は美知子があるくたびにその丸みを着物の上からでもはっきりとわかる。
大きめの尻は当の美知子は、どうやらあまり気に入っていないらしいが、安産型なのはとても良いことだと思う。
孝之介は内心おもしろくないが、表面上は「そやな、もう、子供とちゃうんやったな」などと言って手を自分の体の横に納めた。
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