怪異退治はアクマでゴリ押し

染西 乱

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「この資料を読むと、強い悪魔を呼ぶには多くの対価がいるし、そこそこ強い悪魔を呼ばれるなら今のままでも充分じゃないかと」

確かに強いものを使えるのに越したことはないだろう。
その力が生死を分けることもあるに違いない。

しかし、サイリはここに長く勤めようと思っているわけでもない。今以上の力を手に入れたとして一体どこでその力を発揮したらいいのやらわからない。
組織のトップである久須木田コヨミと同じレベルのものをすでに呼び出せているならこれ以上を望むのは、なんだか危険な気もするし……

「一理あるな。まぁとりあえずは慣例として一律座学は受けさせることになっているからな。……点数の悪さには目をつぶってやる」

久須木田コヨミは、サイリの言いたいところを飲み込み、軽く頷く。
お、頭カチカチかと思ったら意外に物分かりがいい。

とりあえずひととおりの悪魔のことを学べば解放されるとわかっていればかなり気は楽になる。

早都子おねえさまは、サイリの方を困った子だとでも言いたげに眉を下げて見ている。でも、口出ししないということはそれでかまわないということだよね?

「ごほん、で?……基本的に悪魔というのは対価を求めるものだ
お前なにか特別な対価を支払っているのか?」

サイリはごく軽く首を傾げる。

イレギュラーな召喚をするとそのようなことも出来るのか。
久須木田コヨミは私が何か特別なことをして高位悪魔を呼び出していると思っているようだ。

「さぁ? 別に契約してるとかじゃないですしわかりませんね、勝手に持っていかれてるのかな」

対価のことなんて考えたこともない。
祖父だって特になにも言っていなかった。

「……悪魔を召喚した後で疲れたりはしないか?」

「まぁちょっとは疲れますね。だって悪魔を召喚しないといけない場面ってかなりの緊迫感だし……気疲れってやつだと思いますけど」

「そうか……元気なのはいいことだな」

なんだ、その返答……
そしてその生温い笑顔……
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