【完結】朝になれば同級生なんか他人だからさ

染西 乱

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話題は今の生活に及び、一人の男が今浪人中なんだ、と言い、医学部に行きたいから……と言った。
そいつは中学生の時には生徒会長をしていたやつで、まぁまぁ頭が良かったと思っていたがそうでもなかったらしい。高校生の間に落ちぶれたのかと私は思う。ほんとうに医学部を目指しているのかなどわからないが、浪人したのは事実だろう。
そいつは、隣に座った露出の高い服を着た悪く言えば落ちぶれたキャバ嬢みたいな雰囲気すらある女をぶしつけにじろじろ見ていて気が滅入る。
その子は……昔からそういった雰囲気のする子で、私の家はその子の家のすこし向こう側にあり、近かつたことから、一度家に遊びに行ったことがある。おそらく片親で母親が夜に働いていたんだと思う。家の中はごちゃごちゃと乱雑で、とうてい友達を呼べるような状態ではなかったが、その子は気にならないようだった。
小ぶりな鏡台の上に化粧品がたくさんあって、壁には見たことないような派手な服がかかっていた。
その家の雰囲気をそのまま映しとれば今のその子の姿になる。派手でごちゃついたメイクに、薄着の派手目なキャミソールワンピース。
しかしこの浪人男……そんな舐めるように見なくてもいいだろうに。もっとうまいこと見れないもんか? 
横目で見るとか……?

薄着の女をはじめて見たんか?

瞳孔を開いてにやにやとした笑みを浮かべる浪人男がなんだか滑稽に思えて来た。もはや憐れみすら感じる。ちょっと薄着の女が隣に座ったぐらいでやに下がって鼻の下をデレデレ伸ばすのは、耐性がないからだろう。
年頃の女の子の友だちがいないのかもしれないとすら思う。

男の欲望はもっとうまく隠すほうがいいよ、女の人ってそういうのめざとく見てるもんだからさ。などとお節介なことは言わない。

女の一人はお笑い目指してる、と言い、たまに深夜のテレビ出てるんだ、と言う。この子は応援してくれるかもしれない昔の同級生に会いに来たんだろうなと感じた。
西田の彼女がなにか言ったかは聞いていなかったし、親友(仮)の大学はマイナーすぎてへぇーと流されていた。
そうしてまわりが「吉野は?」と聞いてくるので、素直に通っている大学名をいうとしきりに皆が「さすが吉野だな」などと、いう。
ちなみに私の通う大学は良くも悪くも真ん中よりも少し上ぐらいの大学で「さすが」とか言われるほどの大学ではない。だが、住んでいる地方で知らない人はいない大きな大学ではあった。
私は黙って酒を飲んだ。アルコールだけが味方ぐらいの気持ちになっていた。
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