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カバンの中をがさがさとあさる。ハンカチやティッシュ、もらって使わなかったウェットティッシュと、胃薬にいつのだかわからないレシートがごちゃごちゃもカバンの中に入っている。
ない……
……家の鍵を忘れて来てしまった。
それでなければ大きなねこのぬいぐるみのようなキーホルダーのついた鍵が見つからないわけがない。
頭の中に鏡台に置きわすれた鍵がよぎる。わすれないように大きめの人形のキーホルダーをつけているのにまったく意味がない。
あー、最悪だ。
しかし、戻ってみんなでカラオケに合流する気にはなれない。
近くにどんな店があるのか確認するためにきょろきょろと辺りを見回す。夜に空いているのは居酒屋か、夜のいかがわしさを詰め込んだ《そういう》お店だけだ。
普通の飲食店は大体の店は1時ごろに閉まってしまう。
あと2時間ぐらいしか時間を潰せそうにない。
親が家に帰ってくるのは大体何時頃だったか……たしか7時頃のはずだ。さてどうしようか、財布の中身は心許ないし、キャッシュカードはあいにく持って来ていない。近くの居酒屋のメニューを見る。もう酒を飲む気分ではないので、デザートのページを開いた。
なにも心惹かれるものがない。
「……なにしてるの?」
「池内……」
掛けられた声に、弾かれるようにして顔を上げる。速度の遅い、警戒心を忘れて来たようなのんきな話し方だ。
そこには先ほどと同じままの池内が立っていた。隣で結構な量の酒を飲んでいたが、酔いはまわっていないようだ。
なんだ、池内もカラオケには行かなかったのか。
店の前まで行ってから別れて来たのか。それなら私も慌てて離脱しなくても良かったな。
池内の何を考えているんだかわからない瞳にじ、と見つめられて、なぜか言い訳のように言葉が出る。
「カラオケ面倒になっていくのやめたんだけど、家の鍵持ってくるの忘れたから……親今日夜勤なんだよね」
そう、家に帰れない。閉め出されてしまった。
近くのカフェとかで時間潰すか。と思ったが、夜遅くまで空いている店がない。ファミレスも朝までは空いていない。寒さに手が冷たくなって来た。
「ふぅん……それじゃぁおれの家来れば?」
ない……
……家の鍵を忘れて来てしまった。
それでなければ大きなねこのぬいぐるみのようなキーホルダーのついた鍵が見つからないわけがない。
頭の中に鏡台に置きわすれた鍵がよぎる。わすれないように大きめの人形のキーホルダーをつけているのにまったく意味がない。
あー、最悪だ。
しかし、戻ってみんなでカラオケに合流する気にはなれない。
近くにどんな店があるのか確認するためにきょろきょろと辺りを見回す。夜に空いているのは居酒屋か、夜のいかがわしさを詰め込んだ《そういう》お店だけだ。
普通の飲食店は大体の店は1時ごろに閉まってしまう。
あと2時間ぐらいしか時間を潰せそうにない。
親が家に帰ってくるのは大体何時頃だったか……たしか7時頃のはずだ。さてどうしようか、財布の中身は心許ないし、キャッシュカードはあいにく持って来ていない。近くの居酒屋のメニューを見る。もう酒を飲む気分ではないので、デザートのページを開いた。
なにも心惹かれるものがない。
「……なにしてるの?」
「池内……」
掛けられた声に、弾かれるようにして顔を上げる。速度の遅い、警戒心を忘れて来たようなのんきな話し方だ。
そこには先ほどと同じままの池内が立っていた。隣で結構な量の酒を飲んでいたが、酔いはまわっていないようだ。
なんだ、池内もカラオケには行かなかったのか。
店の前まで行ってから別れて来たのか。それなら私も慌てて離脱しなくても良かったな。
池内の何を考えているんだかわからない瞳にじ、と見つめられて、なぜか言い訳のように言葉が出る。
「カラオケ面倒になっていくのやめたんだけど、家の鍵持ってくるの忘れたから……親今日夜勤なんだよね」
そう、家に帰れない。閉め出されてしまった。
近くのカフェとかで時間潰すか。と思ったが、夜遅くまで空いている店がない。ファミレスも朝までは空いていない。寒さに手が冷たくなって来た。
「ふぅん……それじゃぁおれの家来れば?」
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