30 / 31
三十.それから(最終話)
しおりを挟む
悠仁は、大学を卒業して一年後に予定通りに結婚した。
大和は変わらず、マンションで一人暮らしをしている。
こんな広い部屋にするんじゃなかったと時折思うこともあるが、最近は寺田が訪れて部屋で呑むこともあり、寂しさを紛らわしてくれている。
仕事も充実していて、二十八歳の大和は現在、秘書室の主任として毎日忙しく働いていた。
“告”はまだ父が現役で、告の家は両親と悠仁たち家族が住まっている。家族が増えたのを機に、執事の木村は年齢的なこともあり執事を辞した。今は君江が“告”の事務的な仕事をしている。
まだ二十五歳の悠仁は、公に次期当主として名乗り、関係者との挨拶や作法など覚えることが多々あり、頑張っているようだ。
小雨の降る中、大和は告の門をくぐった。
今は実家へは月に二回程度、仕事の時くらいしか帰ってこない。
「ただいまー」
大和は玄関の引き戸を開け、いつものように声を掛ける。
傘立てに濡れた傘を入れ、上がり框に座り靴を脱いでいると、奥から廊下をドタドタと走る足音と甲高い声が聞こえる。
「やーちゃぁぁぁん!」
靴を脱ぐために俯いていた大和は、背中に全力で体当たりされ、思わず前のめりになる。
「やーちゃんっ、やーちゃん!」
「ちょ、ちょっと待って、雛」
子供は力加減に遠慮がなく、全力で体当たりしてくる。その威力に大和は毎回驚かされてしまう。
体当たりされて前のめりになった大和の背中に、雛がよじ登る。首が苦しくなって、大和はその小さな体を引き寄せた。
「おいで、雛」
上がり框に座ったまま、大和が優しく笑い両手を広げると、まだ二歳の小さな少女は腕の中に飛び込んでくる。大和は左腕に雛を座らせ、抱っこした。
雛は、悠仁と奈津子の子供だ。結婚して一年後に授かった。
子供特有の柔らかな髪を撫でると、雛は嬉しそうに大和を見つめる。
眉の上で切り揃えられた前髪に、丸みのあるふっくらとした顔、むちむちとした桃色の頬、そして少し垂れた目―――。
大和は複雑な気持ちで、雛の笑顔を見返す。
「おかえりなさい、大和さん」
廊下から奈津子が姿を現し、大和は顔を上げた。そのおなかはふっくらと膨らんでいる。
「ごめんなさいね。雛が大和さんに会いたいって言うものだから」
「いや、別に休みで暇してたし構わない」
普段、“告”の仕事がある時は、来客中に子供が泣き騒ぐのを避けるため、奈津子は雛を連れて実家へと戻っている。
疲労の具合によって大和は泊まって帰ることもあるが、大和が実家を出るより奈津子たちが帰ってくるのが遅いため、なかなか会うこともない。
雛が会いたがっていると言われ、大和は今日はいつもより早めに実家へと帰ってきた。
奈津子に会うのは、正月に集まった時以来、半年ぶりだった。二人目を授かったとは聞いていたが、見ない間におなかも随分膨らんでいた。
「だいぶ大きくなったでしょう。この子は、待ちに待った男の子なの」
奈津子がうっとりとした表情で、おなかを撫でた。目の細い奈津子は、笑うとより一層目が細くなる。
“告”の跡継ぎは、男子の方が喜ばれる。奈津子は本当に、心の底から嬉しそうだ。
大和は雛の髪を撫でながら、その腹の中の子の父親はいったいどちらなのだろうと憂鬱になった。
明らかに両親のどちらにも似ていない雛の目元を、大和はそっと撫でる。
「兄さん、おかえり」
悠仁が姿を現し、大和は思わずほっとした。
悠仁は大和に抱っこされている雛の頭を撫でる。
「雛。大好きなやーちゃんに抱っこしてもらえて良かったな」
「ん」
悠仁を振り返り、雛が大きく頷く。
「とりあえず、いったん荷物置きに行こう、兄さん」
「雛、おいで」
後でね、と大和がそっと上がり框に雛の足を下ろすと、雛は大和に手を振って奈津子とリビングへと歩いていく。二人の後ろ姿を見送ってから、ようやく大和は靴を脱いだ。
大和の部屋はそのままにしてあった。家を出ているのだから客間を利用すると大和は言ったのだが、“告”の仕事で帰ることも多いのだからと、そのまま残されている。
大和は二階へ上がり、自分の部屋へ向かう。後ろをいつものように悠仁がついてくる。
部屋の扉を閉めると同時に、背中から悠仁に抱き締められた。
「おかえり、兄さん」
もう一度言われ、自分を抱き締める悠仁の腕に、大和はそっと触れる。
「うん。ただいま」
清めのため、キスも出来ない。その代わりに、うなじにキスをされた。
大和は悠仁から離れ、ショルダーバッグを机の上に置くと、雨で湿気た上着をハンガーに掛ける。
「子供は成長が早いな。正月に会った時より重くなった気がする」
「女の子を体重で表現するのはどうかな。雛も俺と同じで、兄さんが大好きみたい」
くすりと悠仁が笑い、思い出したように呟いた。
「そういえば、来週は病院だったよな」
「あ、ああ」
病院とは、大和が凍結精子を預かってもらっている病院への提出日ということだ。
「来週の金曜、兄さんとこ行くから」
「……別に、自分で採取するし」
憂鬱な気持ちを引きずっていたせいで、思わず拗ねた言い方をしてしまう。
子供が小さいうちは、夜に出歩かない方がいい。今も悠仁は、時間を縫って大和の部屋へ訪れ、短いながらも二人の時間を作っている。
「何か機嫌悪い?」
「……」
悠仁は相変わらずだ。結婚してもなお、変わらずに大和を愛してくれる。
奈津子に会うと申し訳ない気持ちになり、“告”の仕事で帰っても会わずに済むのは、正直助かっていた。
奈津子は、“告”の血のこととなるとこだわりの強い女だ。悠仁が奈津子相手に勃たなかったのかどうかは分からないが、奈津子は望んで大和の凍結精子を利用したのだろう。
精子の提出は今なお続いている。
そもそも、精子の使用にあたり、当の大和本人には一言もなかった。まるでそうすることが当然のような二人は、未だに大和に何も言わない。言われたところで、返す言葉もないのだが。
次期当主を辞める条件として父から命じられたものの、まさか本当に使われることがあるとは思いもしていない。だから最近、凍結精子の提出日が近づくと、大和は憂鬱だった。
悠仁が大和に近づく。
「まあ、兄さんが自分でするって言うなら、それはそれでいいけど。大きく足を広げて俺は見ててあげる」
「…ッ。そういうことを言ってんじゃ…っ」
以前、悠仁に足をめいっぱいに広げられ、至近距離でじっくり見られながら自慰をさせられたことを思い出し、顔が熱くなった。
大和は、そういった羞恥プレイのようなことは好きではない。
「お前、悪趣味……」
大和はぼやいた。
悠仁は、わざと大和を辱めるようなことを言う。それは言葉だけでは済まない。大和と関わりの少なかった期間の間に、随分変わってしまったものだ。
「兄さん、ホント可愛いな」
大和の反応に、悠仁が嬉しそうに口元を緩ませた。
「可愛いとか言うな」
二十八歳にもなる男に、いつまでも可愛いなんて言うものではない。見た目のことを言われているのではないと分かっている。いちいち照れたりしなければいいのだが、つい反応してしまう。こういうところが、ケンジにも揶揄われる原因なのだ。
三歳も年下の弟に頻繁に言われると、カッコいい兄として頼られていたいとも思うだけに複雑極まりない。
「先週も、清めが入ったせいで兄さんに触れられてない。早く、触れたい」
悠仁に正面から抱き締められる。腰に腕を回され、大和も悠仁の背中に腕を回す。
身長は少し大和が低いだけなので、すぐにでも唇が触れそうな距離なのにキスができないのがもどかしい。
大和は悠仁の肩に顔を埋め、悠仁のにおいを嗅いだ。
「うん。俺も、早く触れたい」
悠仁の鼻先が、大和の髪をくすぐる。
「今日は一緒に寝よう」
神呼びの後はとんでもなく体力を消耗するため、ただ本当に一緒に寝るだけだ。それでも、一緒に過ごせる時間が幸せだった。
「悠仁は本当に変わらないな」
大和は思わず笑った。二十五歳にもなるのに、子供の頃の姿が被る。
もちろん、一緒に寝るのは大和も嬉しいから大賛成だ。
「俺の方が、兄さんのことたくさん考えてるってだけだよ」
悠仁は少し体を離して、大和の顔を見つめる。
「好きって気持ちは、兄さんよりも強いから。何せ、俺の方がずっと長く兄さんのこと好きなんだから。どれだけ片想いしてたと思ってんの?」
「……」
勝負事ではないが、まるで自分の方が勝っていると言わんばかりの悠仁に、大和はまた笑う。
それを言うなら、大和の方が先に悠仁に恋をしていたから、大和の勝ちだ。
じつは、大和が高校生の頃から悠仁のことを好きだったということは、悠仁には教えていなかった。
今更な話だとも思うし、これからも言うつもりはない。大和がじつは悠仁を抱きたかったと言ったらどんな顔をするか、少し見てみたい気もするけれど。
何がおかしいのだろうと悠仁は首を傾げる。それから思い出したように呟いた。
「そろそろ階下に行かないと」
そうだな、と大和は答える。
悠仁は右手を大和に差し出した。
「行こう。俺たちの雛が待ってる」
まるで自分たち二人の子とでもいうように悠仁は微笑む。
大和は少し呆れたように笑った。
「うん」
大和は変わらず、マンションで一人暮らしをしている。
こんな広い部屋にするんじゃなかったと時折思うこともあるが、最近は寺田が訪れて部屋で呑むこともあり、寂しさを紛らわしてくれている。
仕事も充実していて、二十八歳の大和は現在、秘書室の主任として毎日忙しく働いていた。
“告”はまだ父が現役で、告の家は両親と悠仁たち家族が住まっている。家族が増えたのを機に、執事の木村は年齢的なこともあり執事を辞した。今は君江が“告”の事務的な仕事をしている。
まだ二十五歳の悠仁は、公に次期当主として名乗り、関係者との挨拶や作法など覚えることが多々あり、頑張っているようだ。
小雨の降る中、大和は告の門をくぐった。
今は実家へは月に二回程度、仕事の時くらいしか帰ってこない。
「ただいまー」
大和は玄関の引き戸を開け、いつものように声を掛ける。
傘立てに濡れた傘を入れ、上がり框に座り靴を脱いでいると、奥から廊下をドタドタと走る足音と甲高い声が聞こえる。
「やーちゃぁぁぁん!」
靴を脱ぐために俯いていた大和は、背中に全力で体当たりされ、思わず前のめりになる。
「やーちゃんっ、やーちゃん!」
「ちょ、ちょっと待って、雛」
子供は力加減に遠慮がなく、全力で体当たりしてくる。その威力に大和は毎回驚かされてしまう。
体当たりされて前のめりになった大和の背中に、雛がよじ登る。首が苦しくなって、大和はその小さな体を引き寄せた。
「おいで、雛」
上がり框に座ったまま、大和が優しく笑い両手を広げると、まだ二歳の小さな少女は腕の中に飛び込んでくる。大和は左腕に雛を座らせ、抱っこした。
雛は、悠仁と奈津子の子供だ。結婚して一年後に授かった。
子供特有の柔らかな髪を撫でると、雛は嬉しそうに大和を見つめる。
眉の上で切り揃えられた前髪に、丸みのあるふっくらとした顔、むちむちとした桃色の頬、そして少し垂れた目―――。
大和は複雑な気持ちで、雛の笑顔を見返す。
「おかえりなさい、大和さん」
廊下から奈津子が姿を現し、大和は顔を上げた。そのおなかはふっくらと膨らんでいる。
「ごめんなさいね。雛が大和さんに会いたいって言うものだから」
「いや、別に休みで暇してたし構わない」
普段、“告”の仕事がある時は、来客中に子供が泣き騒ぐのを避けるため、奈津子は雛を連れて実家へと戻っている。
疲労の具合によって大和は泊まって帰ることもあるが、大和が実家を出るより奈津子たちが帰ってくるのが遅いため、なかなか会うこともない。
雛が会いたがっていると言われ、大和は今日はいつもより早めに実家へと帰ってきた。
奈津子に会うのは、正月に集まった時以来、半年ぶりだった。二人目を授かったとは聞いていたが、見ない間におなかも随分膨らんでいた。
「だいぶ大きくなったでしょう。この子は、待ちに待った男の子なの」
奈津子がうっとりとした表情で、おなかを撫でた。目の細い奈津子は、笑うとより一層目が細くなる。
“告”の跡継ぎは、男子の方が喜ばれる。奈津子は本当に、心の底から嬉しそうだ。
大和は雛の髪を撫でながら、その腹の中の子の父親はいったいどちらなのだろうと憂鬱になった。
明らかに両親のどちらにも似ていない雛の目元を、大和はそっと撫でる。
「兄さん、おかえり」
悠仁が姿を現し、大和は思わずほっとした。
悠仁は大和に抱っこされている雛の頭を撫でる。
「雛。大好きなやーちゃんに抱っこしてもらえて良かったな」
「ん」
悠仁を振り返り、雛が大きく頷く。
「とりあえず、いったん荷物置きに行こう、兄さん」
「雛、おいで」
後でね、と大和がそっと上がり框に雛の足を下ろすと、雛は大和に手を振って奈津子とリビングへと歩いていく。二人の後ろ姿を見送ってから、ようやく大和は靴を脱いだ。
大和の部屋はそのままにしてあった。家を出ているのだから客間を利用すると大和は言ったのだが、“告”の仕事で帰ることも多いのだからと、そのまま残されている。
大和は二階へ上がり、自分の部屋へ向かう。後ろをいつものように悠仁がついてくる。
部屋の扉を閉めると同時に、背中から悠仁に抱き締められた。
「おかえり、兄さん」
もう一度言われ、自分を抱き締める悠仁の腕に、大和はそっと触れる。
「うん。ただいま」
清めのため、キスも出来ない。その代わりに、うなじにキスをされた。
大和は悠仁から離れ、ショルダーバッグを机の上に置くと、雨で湿気た上着をハンガーに掛ける。
「子供は成長が早いな。正月に会った時より重くなった気がする」
「女の子を体重で表現するのはどうかな。雛も俺と同じで、兄さんが大好きみたい」
くすりと悠仁が笑い、思い出したように呟いた。
「そういえば、来週は病院だったよな」
「あ、ああ」
病院とは、大和が凍結精子を預かってもらっている病院への提出日ということだ。
「来週の金曜、兄さんとこ行くから」
「……別に、自分で採取するし」
憂鬱な気持ちを引きずっていたせいで、思わず拗ねた言い方をしてしまう。
子供が小さいうちは、夜に出歩かない方がいい。今も悠仁は、時間を縫って大和の部屋へ訪れ、短いながらも二人の時間を作っている。
「何か機嫌悪い?」
「……」
悠仁は相変わらずだ。結婚してもなお、変わらずに大和を愛してくれる。
奈津子に会うと申し訳ない気持ちになり、“告”の仕事で帰っても会わずに済むのは、正直助かっていた。
奈津子は、“告”の血のこととなるとこだわりの強い女だ。悠仁が奈津子相手に勃たなかったのかどうかは分からないが、奈津子は望んで大和の凍結精子を利用したのだろう。
精子の提出は今なお続いている。
そもそも、精子の使用にあたり、当の大和本人には一言もなかった。まるでそうすることが当然のような二人は、未だに大和に何も言わない。言われたところで、返す言葉もないのだが。
次期当主を辞める条件として父から命じられたものの、まさか本当に使われることがあるとは思いもしていない。だから最近、凍結精子の提出日が近づくと、大和は憂鬱だった。
悠仁が大和に近づく。
「まあ、兄さんが自分でするって言うなら、それはそれでいいけど。大きく足を広げて俺は見ててあげる」
「…ッ。そういうことを言ってんじゃ…っ」
以前、悠仁に足をめいっぱいに広げられ、至近距離でじっくり見られながら自慰をさせられたことを思い出し、顔が熱くなった。
大和は、そういった羞恥プレイのようなことは好きではない。
「お前、悪趣味……」
大和はぼやいた。
悠仁は、わざと大和を辱めるようなことを言う。それは言葉だけでは済まない。大和と関わりの少なかった期間の間に、随分変わってしまったものだ。
「兄さん、ホント可愛いな」
大和の反応に、悠仁が嬉しそうに口元を緩ませた。
「可愛いとか言うな」
二十八歳にもなる男に、いつまでも可愛いなんて言うものではない。見た目のことを言われているのではないと分かっている。いちいち照れたりしなければいいのだが、つい反応してしまう。こういうところが、ケンジにも揶揄われる原因なのだ。
三歳も年下の弟に頻繁に言われると、カッコいい兄として頼られていたいとも思うだけに複雑極まりない。
「先週も、清めが入ったせいで兄さんに触れられてない。早く、触れたい」
悠仁に正面から抱き締められる。腰に腕を回され、大和も悠仁の背中に腕を回す。
身長は少し大和が低いだけなので、すぐにでも唇が触れそうな距離なのにキスができないのがもどかしい。
大和は悠仁の肩に顔を埋め、悠仁のにおいを嗅いだ。
「うん。俺も、早く触れたい」
悠仁の鼻先が、大和の髪をくすぐる。
「今日は一緒に寝よう」
神呼びの後はとんでもなく体力を消耗するため、ただ本当に一緒に寝るだけだ。それでも、一緒に過ごせる時間が幸せだった。
「悠仁は本当に変わらないな」
大和は思わず笑った。二十五歳にもなるのに、子供の頃の姿が被る。
もちろん、一緒に寝るのは大和も嬉しいから大賛成だ。
「俺の方が、兄さんのことたくさん考えてるってだけだよ」
悠仁は少し体を離して、大和の顔を見つめる。
「好きって気持ちは、兄さんよりも強いから。何せ、俺の方がずっと長く兄さんのこと好きなんだから。どれだけ片想いしてたと思ってんの?」
「……」
勝負事ではないが、まるで自分の方が勝っていると言わんばかりの悠仁に、大和はまた笑う。
それを言うなら、大和の方が先に悠仁に恋をしていたから、大和の勝ちだ。
じつは、大和が高校生の頃から悠仁のことを好きだったということは、悠仁には教えていなかった。
今更な話だとも思うし、これからも言うつもりはない。大和がじつは悠仁を抱きたかったと言ったらどんな顔をするか、少し見てみたい気もするけれど。
何がおかしいのだろうと悠仁は首を傾げる。それから思い出したように呟いた。
「そろそろ階下に行かないと」
そうだな、と大和は答える。
悠仁は右手を大和に差し出した。
「行こう。俺たちの雛が待ってる」
まるで自分たち二人の子とでもいうように悠仁は微笑む。
大和は少し呆れたように笑った。
「うん」
10
あなたにおすすめの小説
染まらない花
煙々茸
BL
――六年前、突然兄弟が増えた。
その中で、四歳年上のあなたに恋をした。
戸籍上では兄だったとしても、
俺の中では赤の他人で、
好きになった人。
かわいくて、綺麗で、優しくて、
その辺にいる女より魅力的に映る。
どんなにライバルがいても、
あなたが他の色に染まることはない。
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
僕と教授の秘密の遊び (終)
325号室の住人
BL
10年前、魔法学園の卒業式でやらかした元第二王子は、父親の魔法で二度と女遊びができない身体にされてしまった。
学生達が校内にいる時間帯には加齢魔法で老人姿の教授に、終業時間から翌朝の始業時間までは本来の容姿で居られるけれど陰茎は短く子種は出せない。
そんな教授の元に通うのは、教授がそんな魔法を掛けられる原因となった《過去のやらかし》である…
婚約破棄→王位継承権剥奪→新しい婚約発表と破局→王立学園(共学)に勤めて生徒の保護者である未亡人と致したのがバレて子種の出せない体にされる→美人局に引っかかって破産→加齢魔法で生徒を相手にしている時間帯のみ老人になり、貴族向けの魔法学院(全寮制男子校)に教授として勤める←今ここ を、全て見てきたと豪語する男爵子息。
卒業後も彼は自分が仕える伯爵家子息に付き添っては教授の元を訪れていた。
そんな彼と教授とのとある午後の話。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる