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第6章:告白
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ウェルシオン薬局、桜坂店。
「本日は、こちらがオススメですよ!」
緑さんは、花柄のナプキンを俺に勧める。パッケージには『ピュア・サイクル』と書いてある。
「リブラ・ホールディングスの製品で、自然素材にこだわった、肌トラブルを抑えるナチュラル志向のナプキンですよ!」
「では、それにします……」
「分かりました!」
俺は、次の星野のナプキンを買った。ガード・ブレスが、
「吸収性はいいけど、その度に硬くなるし、ゴワゴワする……」
と不満を言っていたから、肌トラブルを抑えるならピュア・サイクルは良いかも。
「春?」
「雪姉ちゃん!」
「何買ったの?」
雪姉ちゃんが問いかける。
「……飲み物だよ! 俺だけが飲むやつ!」
俺は苦し紛れの嘘をついて、その場から逃げ出すように、雪姉ちゃんから離れた。ナプキンを買ったなんていくら姉弟みたいに仲が良い従姉に言えるわけない。
桜見坂高校、旧校舎。
「今日は、違うやつにしてみたけど……どうかな?」
俺は星野にピュア・サイクルを使用しての感想を聞いた。
「ガード・ブレスよりかはマシかも……」
「良かった……じゃあ、戻るか」
俺は星野が安心したことを確認し、教室に向かう。星野もその後を追う。
廊下。俺は気づかなかったが、星野は廊下に雪姉ちゃんがいたことを知ったらしい。そして、俺に気づかれぬように雪姉ちゃんに話しかけていた。
「春のお姉さんですか?」
「正式には、イトコなんだけど、どうしたの?」
「あの、春がいつも学ランにナプキンを入れていて助かっているんです……イタズラで入れたんですよね?」
と話した。すると雪姉ちゃんは
「え? そんなイタズラしないよ!」
「そうなんですか!?」
星野も雪姉ちゃんもビックリしていた。
「春が言ったの?」
「はい、春が『イトコの上の姉がイタズラで入れたんだ』って……」
「えーっと、あなた名前は?」
「星野美咲です……」
「美咲さん……放課後、ウェルシオン薬局に行かない? 春がナプキン買う理由がわかった気がするから……」
雪姉ちゃんは、俺がナプキンを買う真相がわかったらしい。
放課後。ウェルシオン薬局、桜坂店。
「ここが、春の行きつけの店?」
「前、ここで飲み物買ったとか言ってたけど、レジ袋二重にしていたし……ボトルの形していなかったから……ナプキンを買ったと思う……」
雪姉ちゃんと星野は入店した。
「外で待ち伏せて聞いていたんだけど、たぶんあの店員と話すきっかけとしてナプキン買っているはず……」
雪姉ちゃんが向かった先には、客の商品を素早く会計する緑さんの姿だった。
「春には、背中押す勇気が必要かも……春のお姉さん、私に任せてもらえますか?」
「何か思いついたの?」
「春の背中を押します!」
星野は、そう言って店を後にした。
「美咲さん、何をする気なの?」
翌日、放課後。
「春!」
「星野か? どうしたの?」
「また、替えてくれない?」
「今日はやけに多いが……体調が優れないのか?」
「良いから!」
「……分かった」
今日一日、星野が1時限目終わるごとにトイレに行った後に旧校舎に呼び込まれる、というループが続いていた。ピュア・サイクルを5,6枚入れているから、別にいいんだけど。
旧校舎、空き教室。
「これで完了……」
「ありがとうね!」
「もう慣れたもんだよ」
俺が立ち上がると、星野は腕を掴んで、
「次は、春が薬局のお姉さんに勇気を出す番だよ!」
星野は俺の腕を強引に引っ張る。
ウェルシオン薬局、桜坂店。
「星野……なんで、ここって……」
「あの、お目当ての店員さんが好きなんでしょ? ほら、早く!」
俺は足が動かなかったが、星野が腕を引っ張るため、無理矢理歩かされる。
「いらっしゃいませ! あ、いつもナプキンを買ってくださるお客様?」
「はい……俺、木下春と申します……今日は緑さんに伝えたいことがあります……」
俺は唇が震えていた。一言一言がしどろもどろだ。
「はい?」
緑さんは首をかしげる。もう、思いをぶつけるしかない。
「俺、緑さんが好きです! 付き合ってください!」
俺は深々と礼をする。緑さんは突然の告白にきょとんとしていた。
―完―
「本日は、こちらがオススメですよ!」
緑さんは、花柄のナプキンを俺に勧める。パッケージには『ピュア・サイクル』と書いてある。
「リブラ・ホールディングスの製品で、自然素材にこだわった、肌トラブルを抑えるナチュラル志向のナプキンですよ!」
「では、それにします……」
「分かりました!」
俺は、次の星野のナプキンを買った。ガード・ブレスが、
「吸収性はいいけど、その度に硬くなるし、ゴワゴワする……」
と不満を言っていたから、肌トラブルを抑えるならピュア・サイクルは良いかも。
「春?」
「雪姉ちゃん!」
「何買ったの?」
雪姉ちゃんが問いかける。
「……飲み物だよ! 俺だけが飲むやつ!」
俺は苦し紛れの嘘をついて、その場から逃げ出すように、雪姉ちゃんから離れた。ナプキンを買ったなんていくら姉弟みたいに仲が良い従姉に言えるわけない。
桜見坂高校、旧校舎。
「今日は、違うやつにしてみたけど……どうかな?」
俺は星野にピュア・サイクルを使用しての感想を聞いた。
「ガード・ブレスよりかはマシかも……」
「良かった……じゃあ、戻るか」
俺は星野が安心したことを確認し、教室に向かう。星野もその後を追う。
廊下。俺は気づかなかったが、星野は廊下に雪姉ちゃんがいたことを知ったらしい。そして、俺に気づかれぬように雪姉ちゃんに話しかけていた。
「春のお姉さんですか?」
「正式には、イトコなんだけど、どうしたの?」
「あの、春がいつも学ランにナプキンを入れていて助かっているんです……イタズラで入れたんですよね?」
と話した。すると雪姉ちゃんは
「え? そんなイタズラしないよ!」
「そうなんですか!?」
星野も雪姉ちゃんもビックリしていた。
「春が言ったの?」
「はい、春が『イトコの上の姉がイタズラで入れたんだ』って……」
「えーっと、あなた名前は?」
「星野美咲です……」
「美咲さん……放課後、ウェルシオン薬局に行かない? 春がナプキン買う理由がわかった気がするから……」
雪姉ちゃんは、俺がナプキンを買う真相がわかったらしい。
放課後。ウェルシオン薬局、桜坂店。
「ここが、春の行きつけの店?」
「前、ここで飲み物買ったとか言ってたけど、レジ袋二重にしていたし……ボトルの形していなかったから……ナプキンを買ったと思う……」
雪姉ちゃんと星野は入店した。
「外で待ち伏せて聞いていたんだけど、たぶんあの店員と話すきっかけとしてナプキン買っているはず……」
雪姉ちゃんが向かった先には、客の商品を素早く会計する緑さんの姿だった。
「春には、背中押す勇気が必要かも……春のお姉さん、私に任せてもらえますか?」
「何か思いついたの?」
「春の背中を押します!」
星野は、そう言って店を後にした。
「美咲さん、何をする気なの?」
翌日、放課後。
「春!」
「星野か? どうしたの?」
「また、替えてくれない?」
「今日はやけに多いが……体調が優れないのか?」
「良いから!」
「……分かった」
今日一日、星野が1時限目終わるごとにトイレに行った後に旧校舎に呼び込まれる、というループが続いていた。ピュア・サイクルを5,6枚入れているから、別にいいんだけど。
旧校舎、空き教室。
「これで完了……」
「ありがとうね!」
「もう慣れたもんだよ」
俺が立ち上がると、星野は腕を掴んで、
「次は、春が薬局のお姉さんに勇気を出す番だよ!」
星野は俺の腕を強引に引っ張る。
ウェルシオン薬局、桜坂店。
「星野……なんで、ここって……」
「あの、お目当ての店員さんが好きなんでしょ? ほら、早く!」
俺は足が動かなかったが、星野が腕を引っ張るため、無理矢理歩かされる。
「いらっしゃいませ! あ、いつもナプキンを買ってくださるお客様?」
「はい……俺、木下春と申します……今日は緑さんに伝えたいことがあります……」
俺は唇が震えていた。一言一言がしどろもどろだ。
「はい?」
緑さんは首をかしげる。もう、思いをぶつけるしかない。
「俺、緑さんが好きです! 付き合ってください!」
俺は深々と礼をする。緑さんは突然の告白にきょとんとしていた。
―完―
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