〜新たな光彩〜

古波蔵くう

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第3章:証拠の収集と法への訴え

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 夜、生徒会長の家。かろうじて理不尽校則に耐えている全校生徒が会長の家に集まる。会長がそう指示した。
「みんなが、ここに集まったのは……もう分かるよな? 井上というクソ教師のブラック校則だ! あれは常軌を逸してる! だから、今日は俺の知り合いに法学部法律学科の大学生数名を連れてきた……みんなでこの学校の校則を変えていこう!」
「「「「「おー!」」」」」
 全校生徒が、広げられた大きい紙に黒影学園の理不尽校則を書き始める。大きい紙には横矢印と縦矢印が描かれている。横矢印の始点には『弱』終点には『強』。縦矢印の始点は『低』終点には『高』と書いてある。これはこの校則が精神的・肉体的にストレスを与えているか調べる。付箋紙にに校則を書いてどれに該当するか貼る。そして六法全書で調べて『法律的に問題があるかないか』調べる。
 数分後。美咲が呟く。
「女子トイレのは、完全にアウト……」
 付箋紙を書いている。たぶん、女子生徒専用校舎はトイレにも監視カメラが付いてるってやつだ。すると法律学科の女子大学生が六法全書を開く。
「これって、法律違反ですよね?」
 美咲が聞くと
「うん……間違いなく性的姿態撮影等処罰法せいてきしたいさつえいとうしょばつほうに抵触する可能性が高い」
 と。答える。
「0.1秒で居残りさせられた……トイレも水分補給も禁止だったし……これって監禁罪かんきんざいになるよな?」
 俺は法律学科の男子大学生に聞いた。
「可能性はあるな……刑法220条の監禁罪は『人の意思に反してその行動の自由を奪う場合に成立する』って記してあるから、長時間にわたる居残りや、生理現象すら許さないというのは、精神的な拘束として認められる余地がある……その結果で体調も引き起こしたら、傷害罪しょうがいざいも視野に入れた方がいいな」
 俺たちは、本校の声速を1個1個見るたびに青ざめていった。高橋は
「これ、本当に信じられない……下着の色指定と脱衣強要」
「これ従わなかったら、どうなるの?」
 高橋と美咲が生徒会長に聞く。
「成績下げられたり、親に連絡が行ったり……下手すれば退学もありえる」
 すると、メガネをかけた法律学科の男子大学生が
「これは完全に強要罪きょうようざい、刑法223条に当たる……生命、身体、自由、名誉、財産に危害を加える旨を告知して、人に義務のない行為をさせているわけだから……」
 俺たち全校生徒は、自分たちが『おかしい』と思っていた校則がやはり法律に反していると再認識した。
「みんな、お疲れ様……」
 生徒会長が礼をする。
「もう……これ警察に持って行ったら、学校は平和になるか?」
 俺が生徒会長に問うと
「いや、このままでは……まだ不十分だ」
 生徒会長は『不十分』と答えた。
「あとは、何が必要なんだ?」
 俺は体がクタクタだった。みんなもクタクタだったはずだ。体力と知力を使ったから。
「実際の音声を録画だ……」
 生徒会長が録音機器を俺に持たせる。
「健太……前期の全教科、評価オール2だったでしょ? 井上のクソ教師は、風の噂で聞いたけど、成績不振の生徒たちにサクラの口コミ書かせているらしい」
 生徒会長がそう言う。
「健太……私も協力する」
 美咲が俺の腕を掴む。俺は一瞬赤面した。6年間幼馴染だったとはいえ、1年間も女子の肌に触れた事が無かったからだ。
「でも……俺、嘘の口コミなんて……」
「そんなの……オレだって知ってるし、美咲だって知ってるだろ?」
「翔太の言うとおりだよ!」
 美咲が俺の腕を抱く。俺は頭が爆破した。
「俺がサクラの口コミのテンプレートを作成して渡す……」
 生徒会長がルーズリーフを取り出して、スマホを見ながら、何やら文字を書いていた。
 翌日、放課後。俺以外にも4人の生徒が井上の教室に集められた。この4人も成績不振だ。これは
 通称『井上教師特別授業』
 と言われている。空き教室で井上がある課題をして、それが井上によって好感度を持たされれば、通知書の評価を上げるとのこと。
「お前ら5人には、これから本校のPRの一環として口コミサイトにアクセスして本校の良いところを書いて投稿しろ! 投稿する前に俺様のところに持ってこい……俺様が納得すれば投稿を許可する」
 井上は続けて
「俺様が納得しなかったら留年な!」
 と脅された。これは脅迫罪きゃうはくざいに当たるのでは。他の4人は分からないが、俺は学ランのポケットに生徒会長から貰った録音機器を忍ばせている。俺は生徒会長から貰ったルーズリーフの内容をコピペする。
 投稿者:匿名在校生(男子) 
評価:★★★★★
「僕は成績に不安があったんですが、黒影学園に入学して、先生方の熱心なご指導のおかげで、見違えるように成績が上がりました! 特に、井上厳先生は、どんな些細な遅刻も見逃さず、徹底した指導をしてくださるので、自分を律することができます。厳しい校則は最初戸惑いましたが、今ではそれが自分を成長させてくれる『愛のムチ』だと心から感謝しています。真面目に学びたい人には最高の学校です。」
と。俺は井上に画面を見せつける。
「素晴らしい! 俺様をよく褒め称えてる! 投稿していいぞ!」
井上は大喜びしている。俺は口コミを投稿して帰った。この時は。気づいてなかったら、成績不振生徒全員、録音機器をポケットなどに忍ばせていたらしい。
 後日、ブラック校則一覧とそれに当たる罪名を書いた紙と井上教師特別授業の録音記録を被害届と共に警察に提出した。
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