〜比嘉一維の事件簿〜 『宜野湾女児監禁事件編』

本章

犯行期間中

　クローゼットに監禁されてから数日が経過した。月那は異臭に耐えきれなくなっていた。喉が渇いて脱水症状になり、空腹を超えて飢餓の状態でクローゼットの壁にもたれないと立てないぐらい深刻だった。すると、クローゼットが開いた。
「クセェ……」
彼女は開放感が与えられた。しかし、目の前にいるのは、彼女を誘拐した男性の顔だけ。
「拘束は解いてやる……まず、服を脱げ！　汚れているだろ？」
男性が衣服を要求している。彼女はまだガムテープで口封じされている。彼女は男性に従うしがなく衣服と汚れた下着を渡す。
「これが一番汚ねぇ……」
男性は、彼女の穿いていた下の下着を見てそう言った。
「ケツが汚れているな……風呂入ってこい！」
男性は彼女にそう言った。彼女は浴室に入った。その間、男性は彼女の着ていた衣服と汚れた下着を洗うことはしないでゴミ袋に入れた。男性は普段もゴミ捨てはしない。
　数十分後、ユニットバス。彼女はバスタオルを体と髪に巻いた状態で突っ立っていた。男性は、彼女の口に貼ったガムテープを剥がす。何か言いたげだったから。
「どうした？」
男性が問いかける。
「あの、服は？」
彼女が問う。
「お前に服は必要ない……それより、腹減ってるだろ？　俺についてこい」
男性の後を彼女は追う。
　リビング。彼女がテーブルを見ると、食事と飲み物が用意されていた。
「好きなだけ食え」
彼女は、男性の優しさに癒された。彼女は腹がはち切れるぐらい用意された食事を平らげた。
「次は、お前専用の部屋に案内する」
男性は立ち上がり、２階に向かう。彼女も向かう。
　２階の階段前の部屋。
「ここが、お前の部屋だ」
男性が扉を開け、彼女に部屋の中を見せる。部屋の中には、勉強机と横長の大きいテレビ、大人２人が眠れそうな大きなベッド。空の本棚。カーテンが付いている外鍵の窓。そして猫用のトイレがある。そして、いくつも火災報知器が付いている。
「ここで生活するんだ……食事は毎日３食与えてやる」
彼女が部屋に入ろうとすると
「待て、身体の頭に巻いているタオルは外せ……」
と彼女に命令する。彼女はバスタオルと頭に巻いたタオルを取る。ここから、彼女はこの部屋で全裸のまま、生活する。あと、部屋の扉は外から簡単に開けられるようになっている。中からは鍵がないと開かない。しかも、鍵は男性が所持しているため、彼女自身が扉を開けることはできない。彼女の１日の流れは次の通りだった。
　朝６時。彼女が起床すると、朝食が扉の下の四角い隙間から入ってくる。食事は冷凍宅配弁当と言われるもので、レンジで温めるだけで健康的な食事が取れる。メニューは管理栄養士が考えてくれている。種類も豊富でしかも、容器が再生紙という紙製で出来ているため片付けも楽。
　昼１２時。彼女が勉強机に向かって素直に勉強していると、昼食が扉の四角い隙間から入ってくる。違うメニューの冷凍宅配弁当だ。
　夜８時。彼女がサブスクでアニメを見ていると、扉の四角い隙間から夕食が入ってくる。違うメニューの冷凍宅配弁当だ。彼女の部屋には、サブスク用のリモコンしかない。普通のテレビ番組が見れるリモコンはない。
　深夜２時。
ーーパン！　パン！
窓を叩く音で彼女が目が覚める。窓を見ると、男性が外から梯子を使って登り、合図していた。男性を窓を鍵を開けて
「入浴の時間だ」
と言った。彼女は全裸のまま外に出るのを拒むが、拒んだら殺されると思い、そのまま外に出た。そして、水道のある公園で、季節関係なく冷たい水で体を濡らす程度だった。これが彼女の入浴と、男性は言っている。そして、彼女の排泄は猫用トイレで行う。男性が彼女を完全に監禁させるために。入浴以外はこの部屋内で生活させた。そして、部屋の中にある数台の火災報知器は火災報知器型の防犯カメラだ。男性はそれを監視カメラとして利用し、全裸で過ごす彼女を24時間365日見ていた。自分で見るには飽き足らず、お金に変えるためアダルト動画無料配信サイトPornvideosポルトビデオズに彼女の全裸生活の映像を投稿し、排泄や入浴などは有料コンテンツとして出し、かなりの高値で、ユーザーが購入し、性欲を満たしていた。これで、男性は金を貯まり、借金を返したいた。男性の名は、照屋仁一真。彼はこの生活を６年間続けた。すると、彼女、月那の心理状態も歪んだものとなった。
　彼女は、仁一真の与えた少しの優しさ。健康的な食事やアニメを見れるテレビなどを与えられて、彼に依存していった。彼女はいわゆるストックホルム症候群しょうこうぐんを発症してしまう。この猫用トイレの排泄も防犯カメラの撮影、全裸の生活、深夜の入浴も全て彼なりの優しさと彼女は思ってしまう。彼なりの歪んだ愛情だと。