〜比嘉一維の事件簿〜 『宜野湾女児監禁事件編』

古波蔵くう

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終章

時効探偵始動

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 ごみ収集車、宜野湾市巡回。元時効探偵だった比嘉一維ひがかずいは、同僚の相川あいかわと、ごみ収集員として働いていた。彼の本業はごみ収集員だが、副業で時効探偵している。昔は、本業で時効探偵をしていたが、沖縄という小さな島で時効になる事件なんて0に等しいぐらい稀だった。本業の時に活躍した事件と言えば『小6女児拉致殺人事件』ぐらいだったはず。
「なんか、あの事件以来……時効となった事件とか起きてないか?」
一維が相川に聞く。
「無いだろ……もう探偵をやめたらどうなんだ?」
「じゃあ相川も特定班辞めたら?」
「いや、それは出来ない」
一維と相川は、ごみ収集車の運転席で言い合っていた。
 住宅街に付き、その中のごみ袋に目が止まった。
「なんだこれ?」
一維は仕事の一環として、袋を開けて中を確認する。
「これは、行方不明者のチラシ?」
一維は、チラシの文字を注意深く見る。そのポスターには
脇川月那わきがわるな(当時11)
行方不明時11歳』
と記載されていた。一維は相川に見せる。
「相川、なんか事件性のある奴を見つけた!」
「これ、6年前の事件じゃねぇか?」
相川がチラシを手に取り、呟く。
「と、言うことは……時効の事件だ!」
一維は仕事中だが時効事件を発見して、跳ね上がっていた。
「まずは、仕事終わらしてから捜査な」
相川に止められた。
 沖縄県ごみ収集場、収集車駐車場。ごみ収集車を停めて、捜査する方法を模索する。
「まずは、被害者家族に聞き込みをするか?」
「あぁ、俺はその事件に関連するサイトを調べとく」
一維と相川は、それぞれの行動に出た。一維はチラシに書かれた電話番号を入力して電話をかける。
『もしもし?』
憔悴しきった男性の声だ。
「もしもし、脇川さんのお電話ですか?」
一維は、男性と同じ感情で会話を始める。
『そうですが?』
「実は、お宅の娘さん……月那さんについて捜査しようと思いまして」
『そうなんですか!?』
男性の声に少しだけ喜びを感じ取れた。
「はい、なので彼女の当時の服装や通学路などを色々と教えてくださればと思いまして……」
一維はメモ帳を手に取り、被害者家族の父親の証言をまとめる。そして、一旦車内に戻る。
「被害者家族の証言が揃ったぞ! そっちはどうだ?」
一維は相川に聞く。
「これ、街の防犯カメラの映像なんだが、このレンタカーの隣に映ってるの……被害者じゃねぇか?」
一維は相川のパソコン画面を凝視する。
「確かに、行方不明当時の服装とも一致している」
防犯カメラの映像がカラーのため、行方不明当時の服装が同じであることも分かった。
「このわナンバーの車のナンバーを特定できないか?」
「他の視点の防犯カメラがあると思うから待っとけ……」
相川は別視点の防犯カメラの映像にアクセスする。
「あったぞ……後ろの映像だけどナンバープレートがしっかり映っている」
「じゃあ、タクシー捕まえてこのわナンバーを扱っている車屋くるまやーに行くぞ!」
一維と相川は降りて、タクシーを捕まえる。一維はごみ収集員の服をひっくり返して、シャーロックホームズみたいな服に着替えた。
 わナンバーの車屋。
「このレンタカーを借りた人のリストを見せてくれないか?」
相川がレンタカー屋の店主に聞く。
「赤の他人に見せるわけには……」
「私、時効探偵ですので……」
一維が名刺を渡す。レンタカー屋の店主は、そのナンバーの車を借りた人を書き出した。そして、防犯カメラの月日に借りた人を絞り込んだ。そして防犯カメラの時間から絞り込むと1人の人物が特定できた。
「この仁一真って奴が絞り込めたぞ……住所を撮らせてもらう……」
一維はスマホを取り出し、仁一真の住所の写真を撮って
「捜査協力ありがとうございます……」
と。言い別のタクシーを捕まえて去っていった。
 コンビニの喫煙スペース。一維はココアシガレットを、相川は軽いタバコを吸っていた。
「一維……他にも証拠がないか漁るとアダルトサイトがヒットしたんだが?」
「どんなもんだ? 見せてくれ……」
相川がそのビデオを、再生すると月那と思いし人物が全裸で部屋の中で生活している映像が流れた。
「この映像投稿しているチャンネルの1番古い動画の投稿日を調べてみて」
一維が指示して、相川が調べる。
「6年前で、被害者が行方不明になって数ヶ月経ったぐらいだ」
「よし! 証拠は揃ったから、警察を呼んで犯人逮捕だ!」
一維はタクシーを捕まえて、相川と共に犯人の自宅へ向かった。
次章へ続く……
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