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ユキとリョウタ
秘密
しおりを挟む私は「ユキ」
どこにでもいる平凡な高校1年生
そんな私には誰にも言えない秘密がある
それは…
「…」
チラッと横目でカレを見る
カレは無防備な格好で私の隣に寝ていた
私はカレの髪をそっと撫でる
「…」
柔らかくて気持ちのいいこの髪も
子供のような寝顔も
優しい声も
実は私のモノじゃないんです
「ん…」
カレは寝返りをうちながら小さく微笑んでいた
笑った顔が可愛くてニヤけるのを我慢した
「ふふ、可愛いなぁ」
「……」
「……どんな夢見てるんだろうなぁ」
「……」
「……」
「……」
「………メ…グミ」
「…!」
その瞬間、カレが私をそっと抱きしめてきた
私は思わず撫でる手を止める
「…」
私じゃない誰かの名前…
カレは夢の中でその子と会っているのだろうか
ハグをしているのだろうか
優しく名前を呼んでいるのだろうか
「…」
私は目頭が熱くなるのを感じた
カレに名前を呼んでもらえるその子が
羨ましくてしかたがなかったんだ
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