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22. 【入学しないで退学したい】
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学園に通う事が決まったとしても、直ぐに通える訳ではなかった。
揃える筆記具や教本などの教材を始めとして、通うときの全員個別で特注する制服や鞄、付き添う従者と言ったフォルクロア家が揃える物の他、学園側としては特殊な能力を持つ者を受け入れる準備が必要との事だった。
結局色々調整しても最速で一ヶ月後の入学となると知らされ、その間にアイルは自身の準備を進める事になった。
「はい。いくつか人名の綴り間違いなどございますが、学園に通うには最低限の知識は揃ったと思います」
アイルの文字の読み書きと計算は入学レベルをクリアしていたが、歴史や地理、魔法や神学についての知識は足りていなかった。
「兄君に感謝するべきですね」
全くだった。兄達が教えてくれていたおかげで、足りない程度で済んだのだ。
血は繋がっていないと今では知っている兄達が非常に学力が高かったという事に、アイルは今更ながら気付いて驚いていた。
多分元々貴族なんだろうけど……。
必要な事すら何も言わない父は勿論、兄達自身もアイルには何も語らなかった。
言いたくなかったのか、必要じゃなかったのか。ただアイルが子供過ぎて言わなかったのか。
正しい理由は分からずとも、アイルはあの2人には何か事情があったんだろうなとは思っていた。
とりあえず、兄達の真の不幸は父に拾われた事なんだろうけど。
考えているとちょっとだけアイルは兄達が恋しくなった。
王都で貴族の子供が集まる学園って凄いなとアイルは素直に思った。
学園内に入った直ぐからもう王都の様子とはまるっきり違っており、田舎の神殿で時折開かれていた学校の様子とも違っていた。
「これが学園なんだな」
精霊寄りと言う事を差し引いてもアイルは相当な田舎暮らし、王都における普通一般常識とされるものは欠けているので、学園の異常さに気が付かないのは仕方なかった。
今回従者となったスイレンは普通に常識を理解しているので、今にも目を向いて倒れそうな気持ちとなっていた。
「ええ、驚きです……」
スイレンはまだアイルの認識がかなりズレている事には気付いておらず、自分と同様に異様な情景に驚いていると思っていた。
案内に来た顔色の悪い事務員はアイル達から必死に目を逸らし、何も説明をしなかった。
「……まずは学園長室でしたよね?」
入学まで時間がかかると嘯いていた話と現状の乖離を追求しようとスイレンは考えていたが、
「……本日は不在です」
逃げたか、とスイレンは即座に思った。
「では理事長室ですか」
「理事長も不在です……」
「じゃあ、入学も必要ないって事ですか!?」
あまり人に怒るような性格ではないスイレンも、流石に責任者の不在には怒鳴らざるを得なかった。
「いえ、入学はして下さい! そうじゃないと学園が潰れてしまいます!」
「潰れるも何も学園としては崩壊しているでしょ!」
授業中にも関わらず学園内を歩くアイル達の目に映る多くの生徒達は、教室の外でおしゃべりをしたり遊んでいたりしている。
授業を受ける姿も、本を読んでいたり議論を交わす者の姿もどこにもない。
学園の卒業生でもあったスイレンには信じられない光景だった。
アイル達の横を遅刻してきた生徒達が通り過ぎ、帰宅していく生徒達と二言三言話して笑いながらそれぞれの方向に去って行った。
どう見ても話に聞いた学園生活をしているようには思えない。
ようやくこの時点で少し変だなとアイルも思い始めた。
「……学習出来る場所じゃないですね」
そこにも一拍遅れで気が付いた。
見える限りの教室の中には生徒はいない。
当然教員の姿も、ない。
「国王の説明だと友達いっぱい出来るって聞いたのに」
現状の様子を窺うのに注意が行きすぎた結果、アイルはつい頭に浮かんだ言葉をそのまま口にしてしまった。
ショックを受けたのは事務員だった。
「……頑張ったんです! 頑張ったんですよ!」
「学園長と理事長は?」
取り乱す事務員に冷静にスイレンは尋ねた。
「慰安……旅行に」
「分かりました。もう国王に連絡でいいですね」
責任を何一つ果たす事なく逃げた責任者達は更迭するのは当たり前だ。
国王がわざわざフォルクロア家の後継を通わせる事をウォーゲンに頼み込み、環境を整えるためにと学園側が時間も取った挙げ句がこれなのだ。
学園が全く学ぶことが不可能な場所になっていては、学園側は国王への詐欺を働いた事にも等しい。
「それは……」
「国王の特別枠の生徒の入学日にいない時点で、彼らを庇う理由もないでしょう」
怒りを超えたスイレンは呆れていた。
スイレンが卒業したのは数年前だ。数年前の学園では貴族達は家名に恥ずかしくないように積極的に学び、互いに敬意を払い、平民の生徒にも可能性を開くために積極的に勉強会を開いていた。
無論、崇高でも理想だけでは立ち行かない部分もあったが、大半の生徒は志高く品行方正で、特に時間には厳しかった。
「好きな時間に来て、好きに帰るって……もう来ない方が良いでしょう」
力なくスイレンが言うと、
「学習したい生徒は家で学習しているので、学園には来ないんです」
「一番駄目な話でしょう……」
スイレンはもう聞いているだけで疲労困憊だった。
流石のアイルもこの説明にはがっかりしていた。
「学園に通うのを結構楽しみにしていたんですけどね」
「申し訳ありま……」
事務員の声は笑い合う複数の男女の声でかき消された。
「もう! クローヴィスったら!」
「そっちこそ可愛い事言って」
一番大きい声で集団の中心にいる男女の話は、少し離れた位置のアイルにもはっきりと聞こえた。
「天気も良いし、中庭で演奏しても良いかな」
「私も横で歌って良いかしら?」
「駄目だよ。天使の歌声を聞いた誰かが昇天したらいけないからね。その天使の声は私だけの奇跡にしてくれないか」
「私の奇跡を独り占めしたいなんて、危険な人ね」
「私の女神は信者が多くて、私はいつも心配なんだ」
「ふふっ。私の愛は貴方を包み込んで離さないからね!」
「私達は君の愛の下僕さ」
色々心配になる内容の会話をしながら去って行く一団をアイル達は見送った。
物言いたげにスイレンが事務員を見ると、
「第2王子殿下と『聖女』様です」
「よし、退学します」
アイルは即決した。
揃える筆記具や教本などの教材を始めとして、通うときの全員個別で特注する制服や鞄、付き添う従者と言ったフォルクロア家が揃える物の他、学園側としては特殊な能力を持つ者を受け入れる準備が必要との事だった。
結局色々調整しても最速で一ヶ月後の入学となると知らされ、その間にアイルは自身の準備を進める事になった。
「はい。いくつか人名の綴り間違いなどございますが、学園に通うには最低限の知識は揃ったと思います」
アイルの文字の読み書きと計算は入学レベルをクリアしていたが、歴史や地理、魔法や神学についての知識は足りていなかった。
「兄君に感謝するべきですね」
全くだった。兄達が教えてくれていたおかげで、足りない程度で済んだのだ。
血は繋がっていないと今では知っている兄達が非常に学力が高かったという事に、アイルは今更ながら気付いて驚いていた。
多分元々貴族なんだろうけど……。
必要な事すら何も言わない父は勿論、兄達自身もアイルには何も語らなかった。
言いたくなかったのか、必要じゃなかったのか。ただアイルが子供過ぎて言わなかったのか。
正しい理由は分からずとも、アイルはあの2人には何か事情があったんだろうなとは思っていた。
とりあえず、兄達の真の不幸は父に拾われた事なんだろうけど。
考えているとちょっとだけアイルは兄達が恋しくなった。
王都で貴族の子供が集まる学園って凄いなとアイルは素直に思った。
学園内に入った直ぐからもう王都の様子とはまるっきり違っており、田舎の神殿で時折開かれていた学校の様子とも違っていた。
「これが学園なんだな」
精霊寄りと言う事を差し引いてもアイルは相当な田舎暮らし、王都における普通一般常識とされるものは欠けているので、学園の異常さに気が付かないのは仕方なかった。
今回従者となったスイレンは普通に常識を理解しているので、今にも目を向いて倒れそうな気持ちとなっていた。
「ええ、驚きです……」
スイレンはまだアイルの認識がかなりズレている事には気付いておらず、自分と同様に異様な情景に驚いていると思っていた。
案内に来た顔色の悪い事務員はアイル達から必死に目を逸らし、何も説明をしなかった。
「……まずは学園長室でしたよね?」
入学まで時間がかかると嘯いていた話と現状の乖離を追求しようとスイレンは考えていたが、
「……本日は不在です」
逃げたか、とスイレンは即座に思った。
「では理事長室ですか」
「理事長も不在です……」
「じゃあ、入学も必要ないって事ですか!?」
あまり人に怒るような性格ではないスイレンも、流石に責任者の不在には怒鳴らざるを得なかった。
「いえ、入学はして下さい! そうじゃないと学園が潰れてしまいます!」
「潰れるも何も学園としては崩壊しているでしょ!」
授業中にも関わらず学園内を歩くアイル達の目に映る多くの生徒達は、教室の外でおしゃべりをしたり遊んでいたりしている。
授業を受ける姿も、本を読んでいたり議論を交わす者の姿もどこにもない。
学園の卒業生でもあったスイレンには信じられない光景だった。
アイル達の横を遅刻してきた生徒達が通り過ぎ、帰宅していく生徒達と二言三言話して笑いながらそれぞれの方向に去って行った。
どう見ても話に聞いた学園生活をしているようには思えない。
ようやくこの時点で少し変だなとアイルも思い始めた。
「……学習出来る場所じゃないですね」
そこにも一拍遅れで気が付いた。
見える限りの教室の中には生徒はいない。
当然教員の姿も、ない。
「国王の説明だと友達いっぱい出来るって聞いたのに」
現状の様子を窺うのに注意が行きすぎた結果、アイルはつい頭に浮かんだ言葉をそのまま口にしてしまった。
ショックを受けたのは事務員だった。
「……頑張ったんです! 頑張ったんですよ!」
「学園長と理事長は?」
取り乱す事務員に冷静にスイレンは尋ねた。
「慰安……旅行に」
「分かりました。もう国王に連絡でいいですね」
責任を何一つ果たす事なく逃げた責任者達は更迭するのは当たり前だ。
国王がわざわざフォルクロア家の後継を通わせる事をウォーゲンに頼み込み、環境を整えるためにと学園側が時間も取った挙げ句がこれなのだ。
学園が全く学ぶことが不可能な場所になっていては、学園側は国王への詐欺を働いた事にも等しい。
「それは……」
「国王の特別枠の生徒の入学日にいない時点で、彼らを庇う理由もないでしょう」
怒りを超えたスイレンは呆れていた。
スイレンが卒業したのは数年前だ。数年前の学園では貴族達は家名に恥ずかしくないように積極的に学び、互いに敬意を払い、平民の生徒にも可能性を開くために積極的に勉強会を開いていた。
無論、崇高でも理想だけでは立ち行かない部分もあったが、大半の生徒は志高く品行方正で、特に時間には厳しかった。
「好きな時間に来て、好きに帰るって……もう来ない方が良いでしょう」
力なくスイレンが言うと、
「学習したい生徒は家で学習しているので、学園には来ないんです」
「一番駄目な話でしょう……」
スイレンはもう聞いているだけで疲労困憊だった。
流石のアイルもこの説明にはがっかりしていた。
「学園に通うのを結構楽しみにしていたんですけどね」
「申し訳ありま……」
事務員の声は笑い合う複数の男女の声でかき消された。
「もう! クローヴィスったら!」
「そっちこそ可愛い事言って」
一番大きい声で集団の中心にいる男女の話は、少し離れた位置のアイルにもはっきりと聞こえた。
「天気も良いし、中庭で演奏しても良いかな」
「私も横で歌って良いかしら?」
「駄目だよ。天使の歌声を聞いた誰かが昇天したらいけないからね。その天使の声は私だけの奇跡にしてくれないか」
「私の奇跡を独り占めしたいなんて、危険な人ね」
「私の女神は信者が多くて、私はいつも心配なんだ」
「ふふっ。私の愛は貴方を包み込んで離さないからね!」
「私達は君の愛の下僕さ」
色々心配になる内容の会話をしながら去って行く一団をアイル達は見送った。
物言いたげにスイレンが事務員を見ると、
「第2王子殿下と『聖女』様です」
「よし、退学します」
アイルは即決した。
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