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その5【side:悪貨は良貨を駆逐するだけでは済まない事実】
〈外の世界〉
セフェラードが転送ポートの光に包まれ消え去った後、担当していた騎士達は鉄仮面の下で呆然としていた。
起きてはいけない事が起きたのだ。
間に合わなかった事が問題ではなく、本来なら起こり得る筈もない事だった。
「はははっ……! ざまあみろ!」
大笑いをする義弟ディクスと元妻のエリオーラは、騎士達が絶望している事に何ら気付いていなかった。
そもそもこの二人はセフェラードの価値を全く分かっていなかった。
特にディクスは長らく一緒に生活してきたので、セフェラードのスキルがもたらすものを理解する機会が乏しかった。
まだ、この時点ではディクス達には何を失ってしまったのか、実感する事は出来ないだろう。
愚かな夫婦の笑い声だけが木霊していたダンジョン前の広場に、慌てた様子で駆け込んでくる者達がいた。
騎士達の胸当てにはエリオーラの実家のアズライト公爵家の紋が輝いていた。
「……セフェラードは!?」
息も絶え絶えに王家の騎士団に怒鳴ったのは、アズライト公爵その人だった。
まさかの父親に驚いてエリオーラの笑いは収まった。
「申し訳ありません! 転送ポートが動いてしまいました!」
「巫山戯るな! 持たせろと言っただろう!」
アズライト公爵は持っていた書類を地面に叩き付けた。
処刑を止める為に急ぎ揃えた書類は今や完全に無駄となった。
絶望に溢れそうになる涙をアズライト公爵は必死で堪えるものの、貴族家の当主ではなくただの子弟達にしてやられたのが悔しくて腹立たしかった。
目先の欲に囚われた子弟の所為で、とんでもない事態になってしまった。
帰る方法もないダンジョンに送られたとなっては、最早セフェラードが戻ってくる事はない。
当たり前だと思っていた計算が、全ておかしくなる。
「……お父様?」
「父と呼ぶなと言っただろう! お前の価値は精々セフェラードを繋ぎ止める所にしかないと言った筈だ!」
怒鳴りつけられたエリオーラは大きく体を震わせてディクスの背後に隠れた。
様子のおかしいアズライト公爵に、ディクスも異常事態が起きている事だけは理解した。
現役公爵が頭を抱えて両膝をついた。
公爵家所属の騎士達も誰もが苦々しい表情をしていた。
「あの……義父上?」
「……は。縁も切った娘だから、結婚したとしてもお前に義父と呼ばれる筋合いはない。顔を合わせるのは今日限りだ。今後は二度と会わん!」
ディクスもエリオーラも、アズライト公爵がここまで激怒する理由が直ぐには思いつかなかった。
二人で顔を見合わせると、
「……その、確かに私達は元は不貞だったかも知れません。ですが、私は妻に対して非情な兄から妻を救いたかったのです。兄とエリオーラは元は政略結婚ですし、兄も罪人になった以上、私と結ばれるのは政略的にも正しい事ではないでしょうか」
「私達は真実愛し合っているの、お父様、許して下さい!」
涙ながらにディクスとエリオーラはアズライト公爵に向かって懇願した。
茶番を繰り広げる二人とは視線を合わせる事もなく、アズライト公爵は背を向けてダンジョンから離れていった。
これからの生活の援助を嘆願しようとしていたディクス達は慌てた。
「義父上!」
「娘とは縁を切ったと言っておろう! 他人と結婚したのだからアズライト公爵家はもう無関係だ」
「でも政略……」
「その耳はただの穴か? 元々セフェラードと縁を繋ぐ為だけの結婚だ。セフェラードがいないのなら意味はない」
そして、アズライト公爵は公爵家の騎士達と共に去って行った。
呆然とするディクスとエリオーラ。
二人の中でセフェラードは無価値で無能な男の筈だった。
「……だって、兄上は何も仕事をしていないじゃないか」
そう、ディクスは聞かされていた。
裁判でだって、兄上の側近が仕事をしていたって認めた。
当主本人が書かないと書類が却下される話は、貴族令息にしたら本来は常識的に持っている知識だった。
セフェラードを有罪にするのに邪魔されないよう、かなり他の貴族が傍聴も出来ない形で裁判を行ったのはディクスにとっては裏目に出ていた。
いや、セフェラードの側近も、セフェラードの近くにいた事で自分達の能力を過信するに至ったのだろう。
「……そうよ。あの人は【温帯気候】なんて、おかしなスキルしか持っていなかったのに」
この世界にはまだ気象学は生まれていなかった。
故に、セフェラードのスキルの効果を理解していたのは、極僅かな人間だけだった。
ディクスもエリオーラも、結局そのスキルがフレイヤード侯爵家に何をもたらしていたのか知るには、季節が巡る必要があった。
「……私達も帰りましょう。工場の視察をするんでしょう?」
「ああ。これで兄達みたいなセコセコした立場から生まれ変わる」
小麦を始めとした食料の生産地として名を知られたフレイヤード侯爵領は、義弟と義弟の側近となったセフェラードの元側近達が一大武器工場地帯と変えつつあった。
成育途中だった作物は燃やされ、踏み潰され、今や農地である部分が少なくなくなっていた。
それも、その内に工場の資材置き場を作る為に消える予定だ。
高い金が入ってもっと良い生活が出来ると言われたから、領民達は義弟の手を取ったのだ。
工場を作った借金は、ディクス達の計算だとアズライト公爵家の援助がない場合は数年余分にかかる。
ちょっとだけ二人は気落ちしたものの、
「これから頑張って働きましょうね」
「ああ、私達の愛の為にもな」
計画が計画通り行かない場合も多々ある事を知らない二人は、自分達がどれ程の嘘をついたのかも理解していなかった。
誰が悪いかと言えば、それぞれがそれぞれに悪い。
それをディクスとエリオーラよりも先に自覚したのは、ディクスの友人だった。
帰宅したディクスに、執事がディクスの友人の第2王子であるフォルティスが待っていると告げた。
慌ててディクスはエリオーラを連れて客間に向かった。
「すまん。愚兄の刑を見に行っていたんだ!」
遅刻も気の良い笑みで迎えてくれる温厚なフォルティスは、椅子にも座らず窓の外を見ていた。
声をかけても振り向きもせず、ディクスは首を傾げた。
「フォルティス……?」
「散々君はフレイヤードを名乗り、セフェラード殿の事を全てを奪った兄だと言っていたな?」
ディクスはセフェラードや亡くなった前フレイヤード侯爵夫妻がいないときは、必ずフレイヤードを名乗った。
母が再婚したなら自分もフレイヤード侯爵家の人間だと思っていたからだ。
いつもとは様子の違うフォルティスに、安易に言葉を返す事はディクスにも出来なかった。
「お前はただの後妻の連れ子。侯爵家の血を引いていないから侯爵を継げる立場ではない」
「は? だって議会で認められたじゃないか!」
「お前が血縁だと思っていたから頼み込んだんだよ! まさか全くの他人とは知らなかった。この家で法律で決められた正当な跡取りはセフェラード殿ただ一人きりだ!」
フォルティスに睨み付けられ、ディクスは咄嗟に言葉が出て来なかった。
自分に本当に権利がないなんて、思ってもみなかった。
「……不公平じゃないか。兄は全てを持っていて、私は何も持っていない」
「公平だよ。生まれの相応のものを持っていただけだ。お前はフレイヤード侯爵家からしたら赤の他人なんだよ! お前はただの盗人だ」
ディクスは一気に頭に血が上ってフォルティスに殴りかかったが、呆気なくフォルティスの側にいた護衛騎士に取り押さえられた。
ディクスには護衛なんていなかった。
近くに控えて用事を請け負う従者もいなかった。
その時点で分かりそうなものが、ディクスには分かりたくなかった。
「友人だった思い出の対価だ。ここで王族の私を殴ろうとした件は不問にするが、金輪際付き合いはしない」
他の王族から叱責されたフォルティスも、立場は極めて不安定になっていた。
それなりの年齢の貴族達はディクスが連れ子だと知っている。
絶対に血縁が継ぐと決められている中で、フォルティスは王族でありながら友情に目が眩んで下調べもなくディクスが侯爵家を継げるよう手を貸してしまった事は、取り返しのつかない失態だった。
もしかすると、王族からは抹消されるかも知れない、
挨拶もなくフォルティスも護衛達を連れて去って行った。
呆然とその背を見送るディクスとエリオーラは、まだこれが絶望の前段階だとはまだ知らない。
セフェラードが転送ポートの光に包まれ消え去った後、担当していた騎士達は鉄仮面の下で呆然としていた。
起きてはいけない事が起きたのだ。
間に合わなかった事が問題ではなく、本来なら起こり得る筈もない事だった。
「はははっ……! ざまあみろ!」
大笑いをする義弟ディクスと元妻のエリオーラは、騎士達が絶望している事に何ら気付いていなかった。
そもそもこの二人はセフェラードの価値を全く分かっていなかった。
特にディクスは長らく一緒に生活してきたので、セフェラードのスキルがもたらすものを理解する機会が乏しかった。
まだ、この時点ではディクス達には何を失ってしまったのか、実感する事は出来ないだろう。
愚かな夫婦の笑い声だけが木霊していたダンジョン前の広場に、慌てた様子で駆け込んでくる者達がいた。
騎士達の胸当てにはエリオーラの実家のアズライト公爵家の紋が輝いていた。
「……セフェラードは!?」
息も絶え絶えに王家の騎士団に怒鳴ったのは、アズライト公爵その人だった。
まさかの父親に驚いてエリオーラの笑いは収まった。
「申し訳ありません! 転送ポートが動いてしまいました!」
「巫山戯るな! 持たせろと言っただろう!」
アズライト公爵は持っていた書類を地面に叩き付けた。
処刑を止める為に急ぎ揃えた書類は今や完全に無駄となった。
絶望に溢れそうになる涙をアズライト公爵は必死で堪えるものの、貴族家の当主ではなくただの子弟達にしてやられたのが悔しくて腹立たしかった。
目先の欲に囚われた子弟の所為で、とんでもない事態になってしまった。
帰る方法もないダンジョンに送られたとなっては、最早セフェラードが戻ってくる事はない。
当たり前だと思っていた計算が、全ておかしくなる。
「……お父様?」
「父と呼ぶなと言っただろう! お前の価値は精々セフェラードを繋ぎ止める所にしかないと言った筈だ!」
怒鳴りつけられたエリオーラは大きく体を震わせてディクスの背後に隠れた。
様子のおかしいアズライト公爵に、ディクスも異常事態が起きている事だけは理解した。
現役公爵が頭を抱えて両膝をついた。
公爵家所属の騎士達も誰もが苦々しい表情をしていた。
「あの……義父上?」
「……は。縁も切った娘だから、結婚したとしてもお前に義父と呼ばれる筋合いはない。顔を合わせるのは今日限りだ。今後は二度と会わん!」
ディクスもエリオーラも、アズライト公爵がここまで激怒する理由が直ぐには思いつかなかった。
二人で顔を見合わせると、
「……その、確かに私達は元は不貞だったかも知れません。ですが、私は妻に対して非情な兄から妻を救いたかったのです。兄とエリオーラは元は政略結婚ですし、兄も罪人になった以上、私と結ばれるのは政略的にも正しい事ではないでしょうか」
「私達は真実愛し合っているの、お父様、許して下さい!」
涙ながらにディクスとエリオーラはアズライト公爵に向かって懇願した。
茶番を繰り広げる二人とは視線を合わせる事もなく、アズライト公爵は背を向けてダンジョンから離れていった。
これからの生活の援助を嘆願しようとしていたディクス達は慌てた。
「義父上!」
「娘とは縁を切ったと言っておろう! 他人と結婚したのだからアズライト公爵家はもう無関係だ」
「でも政略……」
「その耳はただの穴か? 元々セフェラードと縁を繋ぐ為だけの結婚だ。セフェラードがいないのなら意味はない」
そして、アズライト公爵は公爵家の騎士達と共に去って行った。
呆然とするディクスとエリオーラ。
二人の中でセフェラードは無価値で無能な男の筈だった。
「……だって、兄上は何も仕事をしていないじゃないか」
そう、ディクスは聞かされていた。
裁判でだって、兄上の側近が仕事をしていたって認めた。
当主本人が書かないと書類が却下される話は、貴族令息にしたら本来は常識的に持っている知識だった。
セフェラードを有罪にするのに邪魔されないよう、かなり他の貴族が傍聴も出来ない形で裁判を行ったのはディクスにとっては裏目に出ていた。
いや、セフェラードの側近も、セフェラードの近くにいた事で自分達の能力を過信するに至ったのだろう。
「……そうよ。あの人は【温帯気候】なんて、おかしなスキルしか持っていなかったのに」
この世界にはまだ気象学は生まれていなかった。
故に、セフェラードのスキルの効果を理解していたのは、極僅かな人間だけだった。
ディクスもエリオーラも、結局そのスキルがフレイヤード侯爵家に何をもたらしていたのか知るには、季節が巡る必要があった。
「……私達も帰りましょう。工場の視察をするんでしょう?」
「ああ。これで兄達みたいなセコセコした立場から生まれ変わる」
小麦を始めとした食料の生産地として名を知られたフレイヤード侯爵領は、義弟と義弟の側近となったセフェラードの元側近達が一大武器工場地帯と変えつつあった。
成育途中だった作物は燃やされ、踏み潰され、今や農地である部分が少なくなくなっていた。
それも、その内に工場の資材置き場を作る為に消える予定だ。
高い金が入ってもっと良い生活が出来ると言われたから、領民達は義弟の手を取ったのだ。
工場を作った借金は、ディクス達の計算だとアズライト公爵家の援助がない場合は数年余分にかかる。
ちょっとだけ二人は気落ちしたものの、
「これから頑張って働きましょうね」
「ああ、私達の愛の為にもな」
計画が計画通り行かない場合も多々ある事を知らない二人は、自分達がどれ程の嘘をついたのかも理解していなかった。
誰が悪いかと言えば、それぞれがそれぞれに悪い。
それをディクスとエリオーラよりも先に自覚したのは、ディクスの友人だった。
帰宅したディクスに、執事がディクスの友人の第2王子であるフォルティスが待っていると告げた。
慌ててディクスはエリオーラを連れて客間に向かった。
「すまん。愚兄の刑を見に行っていたんだ!」
遅刻も気の良い笑みで迎えてくれる温厚なフォルティスは、椅子にも座らず窓の外を見ていた。
声をかけても振り向きもせず、ディクスは首を傾げた。
「フォルティス……?」
「散々君はフレイヤードを名乗り、セフェラード殿の事を全てを奪った兄だと言っていたな?」
ディクスはセフェラードや亡くなった前フレイヤード侯爵夫妻がいないときは、必ずフレイヤードを名乗った。
母が再婚したなら自分もフレイヤード侯爵家の人間だと思っていたからだ。
いつもとは様子の違うフォルティスに、安易に言葉を返す事はディクスにも出来なかった。
「お前はただの後妻の連れ子。侯爵家の血を引いていないから侯爵を継げる立場ではない」
「は? だって議会で認められたじゃないか!」
「お前が血縁だと思っていたから頼み込んだんだよ! まさか全くの他人とは知らなかった。この家で法律で決められた正当な跡取りはセフェラード殿ただ一人きりだ!」
フォルティスに睨み付けられ、ディクスは咄嗟に言葉が出て来なかった。
自分に本当に権利がないなんて、思ってもみなかった。
「……不公平じゃないか。兄は全てを持っていて、私は何も持っていない」
「公平だよ。生まれの相応のものを持っていただけだ。お前はフレイヤード侯爵家からしたら赤の他人なんだよ! お前はただの盗人だ」
ディクスは一気に頭に血が上ってフォルティスに殴りかかったが、呆気なくフォルティスの側にいた護衛騎士に取り押さえられた。
ディクスには護衛なんていなかった。
近くに控えて用事を請け負う従者もいなかった。
その時点で分かりそうなものが、ディクスには分かりたくなかった。
「友人だった思い出の対価だ。ここで王族の私を殴ろうとした件は不問にするが、金輪際付き合いはしない」
他の王族から叱責されたフォルティスも、立場は極めて不安定になっていた。
それなりの年齢の貴族達はディクスが連れ子だと知っている。
絶対に血縁が継ぐと決められている中で、フォルティスは王族でありながら友情に目が眩んで下調べもなくディクスが侯爵家を継げるよう手を貸してしまった事は、取り返しのつかない失態だった。
もしかすると、王族からは抹消されるかも知れない、
挨拶もなくフォルティスも護衛達を連れて去って行った。
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