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6話
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翌朝。
僕は腰の重だるさと、耳の奥に残る「エロすぎる残響」のせいで、ひどい寝不足状態で目を覚ました。
結局、昨夜はディルク殿下に散々弄り回され、明け方近くまで「心の声」を聴かされ続けたのだ。
(死ぬかと思った……。なんであの人、あんなに絶倫なの……?)
ふらふらとベッドから抜け出すと、扉がノックされた。
「レアン様、朝食をお持ちしましたわ!」
入ってきたのは、満面の笑みを浮かべたベアトリスだった。
彼女はトレイを置くや否や、僕の首元の「痕」を見て、目を見開いた。
(キッタアアアアアア!! 見てこのマーキング! ディルク殿下の独占欲の塊! レアン様、ちょっとお肌が赤いのも最高にそそるわ! 昨夜の録音データとかないのかしら、100万ゴールド払うわよ私!)
「べ、ベアトリス……。心の声がダダ漏れだよ……」
「あら、ご存知でしたの? うふふ、いいのよ。私はあなたの味方だもの」
彼女は僕の隣に座ると、声を潜めた。
「レアン様、聞こえてますわ。第二王子たちの動き、ディルク殿下がすべて潰してくださいましたわよ。あなたの実家の侯爵も、今ごろは資産をすべて差し押さえられて、路頭に迷っているはずです」
「えっ……そんなに早く?」
「ええ。ディルク殿下、あなたのことになると本当に手が早いですから。……心の声でも、相当過激なことを言われているんでしょう?」
僕は顔を赤くして頷いた。
「……もう、聞いているだけで頭がどうにかなりそうなんだ。殿下だけじゃなくて、騎士のユストス様まで……」
(えっ!? ユストス様も参戦!? 騎士×王子×悪役令息の三角関係!? ちょ、ちょっと待って、情報量多すぎて鼻血出そう……! 神展開すぎる!)
「ベアトリス、喜ばないでよ……。僕は処刑を回避して、平和に暮らしたいだけなのに」
「レアン様。平和なんて退屈なこと、おっしゃらないで。……いいですか? あなたが逃げれば逃げるほど、あの男たちの執着は深まるんです。ならば、いっそのこと……」
ベアトリスの瞳が、怪しく光った。
「その『心の声』を逆手にとって、彼らを翻弄して差し上げればいいんですわ」
「……翻弄?」
「ええ。殿下が『こうしたい』と思っていることを、あえて先回りして、誘うように振る舞うんです。……そうすれば、ディルク殿下の理性が吹っ飛ぶ瞬間が見られるかもしれませんわよ?」
(……このヒロイン、味方だけど一番敵に回しちゃいけないタイプだ!)
「レアン、何の話をしているんだい?」
背後から、低く冷たい声が響いた。
いつの間にか、ディルク殿下が部屋の入り口に立っていた。
『……ベアトリスめ、余計なことを。レアンに何を吹き込んでいる? 今すぐレアンを抱き寄せて、私のものだと再確認させないと気が済まない。……ああ、レアン、その不安そうな顔、今すぐ甘い愛撫で溶かしてやりたい……』
ディルク殿下がこちらへ歩いてくる。
僕はベアトリスの助言を思い出し、震える手で、自らシャツの襟元を少しだけ広げて見せた。
「……で、殿下。……おはよう、ございます」
ディルク殿下の足が止まった。
『………………っ!?!?』
脳内に、爆発音のような衝撃が走った。
『……誘って……いるのか? レアンが……自ら? ああ、神よ、私は今日、この場で理性を捨ててもいいのでしょうか。……いや、捨てる。今すぐ、この場で!!』
「レアン……。君は自分が何をしたか、わかっているのか?」
ディルク殿下の黄金の瞳が、これまでにないほど赤黒く濁った。
僕は自分の選択を、激しく後悔した。
逃走劇は、ついに「反撃(自爆)」のフェーズへと突入してしまったらしい。
僕は腰の重だるさと、耳の奥に残る「エロすぎる残響」のせいで、ひどい寝不足状態で目を覚ました。
結局、昨夜はディルク殿下に散々弄り回され、明け方近くまで「心の声」を聴かされ続けたのだ。
(死ぬかと思った……。なんであの人、あんなに絶倫なの……?)
ふらふらとベッドから抜け出すと、扉がノックされた。
「レアン様、朝食をお持ちしましたわ!」
入ってきたのは、満面の笑みを浮かべたベアトリスだった。
彼女はトレイを置くや否や、僕の首元の「痕」を見て、目を見開いた。
(キッタアアアアアア!! 見てこのマーキング! ディルク殿下の独占欲の塊! レアン様、ちょっとお肌が赤いのも最高にそそるわ! 昨夜の録音データとかないのかしら、100万ゴールド払うわよ私!)
「べ、ベアトリス……。心の声がダダ漏れだよ……」
「あら、ご存知でしたの? うふふ、いいのよ。私はあなたの味方だもの」
彼女は僕の隣に座ると、声を潜めた。
「レアン様、聞こえてますわ。第二王子たちの動き、ディルク殿下がすべて潰してくださいましたわよ。あなたの実家の侯爵も、今ごろは資産をすべて差し押さえられて、路頭に迷っているはずです」
「えっ……そんなに早く?」
「ええ。ディルク殿下、あなたのことになると本当に手が早いですから。……心の声でも、相当過激なことを言われているんでしょう?」
僕は顔を赤くして頷いた。
「……もう、聞いているだけで頭がどうにかなりそうなんだ。殿下だけじゃなくて、騎士のユストス様まで……」
(えっ!? ユストス様も参戦!? 騎士×王子×悪役令息の三角関係!? ちょ、ちょっと待って、情報量多すぎて鼻血出そう……! 神展開すぎる!)
「ベアトリス、喜ばないでよ……。僕は処刑を回避して、平和に暮らしたいだけなのに」
「レアン様。平和なんて退屈なこと、おっしゃらないで。……いいですか? あなたが逃げれば逃げるほど、あの男たちの執着は深まるんです。ならば、いっそのこと……」
ベアトリスの瞳が、怪しく光った。
「その『心の声』を逆手にとって、彼らを翻弄して差し上げればいいんですわ」
「……翻弄?」
「ええ。殿下が『こうしたい』と思っていることを、あえて先回りして、誘うように振る舞うんです。……そうすれば、ディルク殿下の理性が吹っ飛ぶ瞬間が見られるかもしれませんわよ?」
(……このヒロイン、味方だけど一番敵に回しちゃいけないタイプだ!)
「レアン、何の話をしているんだい?」
背後から、低く冷たい声が響いた。
いつの間にか、ディルク殿下が部屋の入り口に立っていた。
『……ベアトリスめ、余計なことを。レアンに何を吹き込んでいる? 今すぐレアンを抱き寄せて、私のものだと再確認させないと気が済まない。……ああ、レアン、その不安そうな顔、今すぐ甘い愛撫で溶かしてやりたい……』
ディルク殿下がこちらへ歩いてくる。
僕はベアトリスの助言を思い出し、震える手で、自らシャツの襟元を少しだけ広げて見せた。
「……で、殿下。……おはよう、ございます」
ディルク殿下の足が止まった。
『………………っ!?!?』
脳内に、爆発音のような衝撃が走った。
『……誘って……いるのか? レアンが……自ら? ああ、神よ、私は今日、この場で理性を捨ててもいいのでしょうか。……いや、捨てる。今すぐ、この場で!!』
「レアン……。君は自分が何をしたか、わかっているのか?」
ディルク殿下の黄金の瞳が、これまでにないほど赤黒く濁った。
僕は自分の選択を、激しく後悔した。
逃走劇は、ついに「反撃(自爆)」のフェーズへと突入してしまったらしい。
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