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14話
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外では魔法の爆発音が絶え間なく響き、夜空が虹色に狂い咲いている。
ディルク殿下の金色の魔力が、セレス王子の銀色の魔力に押され始めているのが、胸の刻印を通じて手に取るように分かった。
「う……ぁ、あ、ああ……っ!」
刻印が脈打つたびに、ディルク殿下の『本音』が僕の魂に直接流れ込んでくる。
それは、これまでの独占欲や愛欲とは違う、剥き出しの「恐怖」だった。
『……っ、魔力が……足りない……! 昨夜の儀式で全魔力の半分をレアンに分け与えたせいで……! だが、引くわけにはいかない! ここで私が倒れれば、レアンが……レアンが、あのサディストに汚されてしまう! ……それだけは、それだけは絶対に許さない! ……命を燃やしてでも、奴を……!』
(……殿下。僕のために、そこまで……命を燃やすなんて……っ!)
僕はこれまで、彼らの心の声を聞いては怯え、逃げ回るばかりだった。
けれど、今聞こえてくるディルク殿下の本音は、ただの身勝手な欲望じゃない。
僕を守るために、自分のすべてを投げ打とうとする、狂気的なまでに純粋な「愛」だ。
(……逃げ回っているだけじゃ、何も変わらない。僕が……僕が殿下を助けなきゃ!)
僕は窓際に駆け寄った。ユストスが「レアン様、危ない!」と腕を掴んできたが、僕はそれを強い力で振り払った。
「ユストス様、離してください! 殿下が……殿下が死んでしまう!」
「ですが、外は戦場です! レアン様が行っても……!」
「――僕には、できることがあります!」
僕は自分の胸の刻印に両手を当てた。
前世で読み耽った乙女ゲームの設定が、パズルのピースのように組み合わさっていく。
悪役令息レアン・ド・ヴァリエールは、実は王国でも類を見ないほどの「魔力の器」としての才能を持っていた。
ただ、その魔力はあまりに強大で純粋なため、他者との深い情動の結びつき――「愛の共鳴」がなければ、発動させることができない特殊なものだったのだ。
「殿下! 僕を見てください! 受け取ってください、僕の……僕たちの魔力を!!」
僕は叫びながら、刻印を通じて自分の生命エネルギーを逆流させた。
それはディルク殿下の魔力と混ざり合い、爆発的な輝きを放ち始める。
「な……!? この光は……!」
庭園で膝をつきかけていたディルク殿下が、驚愕の表情で別荘の窓を見上げた。
『…………!? レアン……!? なんだ、この温かくて、強大で、どこまでも純粋な魔力は……。……ああ、レアンが私を信じてくれている。私を、必要としてくれている! 刻印が……私の魂と、レアンの魂が、今完全に一つに溶け合っている! ……力が漲る。これなら、セレスなど、一撃で灰にしてやれる!』
ディルク殿下の剣が、白銀と黄金が混ざり合った神々しい雷を纏った。
光の奔流がセレス王子の影魔法を一瞬で打ち消し、彼を衝撃波で吹き飛ばす。
「……っ、馬鹿な! 魔力を分け与えたはずのレアンが、逆に魔力を供給しているだと!? こんな設定、聞いていないぞ……っ!」
セレス王子は地面に叩きつけられ、その美しい顔を屈辱と驚愕に歪ませた。
だが、僕の耳に届く彼の心の声は、敗北への恐怖よりも、さらに深く、暗い「執着」に火を灯していた。
『……素晴らしい。最高だ、レアン。……君はただの愛玩用の獲物じゃない。……私を、これほどまでに熱くさせ、屈辱を与えてくれる唯一の存在だ。……ああ、ますます君が欲しくなった。……今回は引いてやろう。だが、次は……もっと残酷で、逃げ場のない、君自身の心さえ壊す罠を用意してやる。……楽しみに待っていろよ、私の愛しい小鳥……』
セレスは黒い霧に包まれ、そのまま夜の闇へと姿を消した。
戦いは終わった。
僕はその場に崩れ落ちたが、すぐに背後から温かい腕が僕を抱き上げた。
「……レアン。君が、私を救ってくれたんだね」
泥と返り血に汚れながらも、ディルク殿下の瞳はこれまでで一番優しく、そして逃げられないほどの深い愛に満ちていた。
処刑回避という目標は達成されたかもしれない。
けれど、僕は悟った。
魂まで繋がってしまった今、僕はもう一生、この王子の腕の中から逃げ出すことはできないのだと。
ディルク殿下の金色の魔力が、セレス王子の銀色の魔力に押され始めているのが、胸の刻印を通じて手に取るように分かった。
「う……ぁ、あ、ああ……っ!」
刻印が脈打つたびに、ディルク殿下の『本音』が僕の魂に直接流れ込んでくる。
それは、これまでの独占欲や愛欲とは違う、剥き出しの「恐怖」だった。
『……っ、魔力が……足りない……! 昨夜の儀式で全魔力の半分をレアンに分け与えたせいで……! だが、引くわけにはいかない! ここで私が倒れれば、レアンが……レアンが、あのサディストに汚されてしまう! ……それだけは、それだけは絶対に許さない! ……命を燃やしてでも、奴を……!』
(……殿下。僕のために、そこまで……命を燃やすなんて……っ!)
僕はこれまで、彼らの心の声を聞いては怯え、逃げ回るばかりだった。
けれど、今聞こえてくるディルク殿下の本音は、ただの身勝手な欲望じゃない。
僕を守るために、自分のすべてを投げ打とうとする、狂気的なまでに純粋な「愛」だ。
(……逃げ回っているだけじゃ、何も変わらない。僕が……僕が殿下を助けなきゃ!)
僕は窓際に駆け寄った。ユストスが「レアン様、危ない!」と腕を掴んできたが、僕はそれを強い力で振り払った。
「ユストス様、離してください! 殿下が……殿下が死んでしまう!」
「ですが、外は戦場です! レアン様が行っても……!」
「――僕には、できることがあります!」
僕は自分の胸の刻印に両手を当てた。
前世で読み耽った乙女ゲームの設定が、パズルのピースのように組み合わさっていく。
悪役令息レアン・ド・ヴァリエールは、実は王国でも類を見ないほどの「魔力の器」としての才能を持っていた。
ただ、その魔力はあまりに強大で純粋なため、他者との深い情動の結びつき――「愛の共鳴」がなければ、発動させることができない特殊なものだったのだ。
「殿下! 僕を見てください! 受け取ってください、僕の……僕たちの魔力を!!」
僕は叫びながら、刻印を通じて自分の生命エネルギーを逆流させた。
それはディルク殿下の魔力と混ざり合い、爆発的な輝きを放ち始める。
「な……!? この光は……!」
庭園で膝をつきかけていたディルク殿下が、驚愕の表情で別荘の窓を見上げた。
『…………!? レアン……!? なんだ、この温かくて、強大で、どこまでも純粋な魔力は……。……ああ、レアンが私を信じてくれている。私を、必要としてくれている! 刻印が……私の魂と、レアンの魂が、今完全に一つに溶け合っている! ……力が漲る。これなら、セレスなど、一撃で灰にしてやれる!』
ディルク殿下の剣が、白銀と黄金が混ざり合った神々しい雷を纏った。
光の奔流がセレス王子の影魔法を一瞬で打ち消し、彼を衝撃波で吹き飛ばす。
「……っ、馬鹿な! 魔力を分け与えたはずのレアンが、逆に魔力を供給しているだと!? こんな設定、聞いていないぞ……っ!」
セレス王子は地面に叩きつけられ、その美しい顔を屈辱と驚愕に歪ませた。
だが、僕の耳に届く彼の心の声は、敗北への恐怖よりも、さらに深く、暗い「執着」に火を灯していた。
『……素晴らしい。最高だ、レアン。……君はただの愛玩用の獲物じゃない。……私を、これほどまでに熱くさせ、屈辱を与えてくれる唯一の存在だ。……ああ、ますます君が欲しくなった。……今回は引いてやろう。だが、次は……もっと残酷で、逃げ場のない、君自身の心さえ壊す罠を用意してやる。……楽しみに待っていろよ、私の愛しい小鳥……』
セレスは黒い霧に包まれ、そのまま夜の闇へと姿を消した。
戦いは終わった。
僕はその場に崩れ落ちたが、すぐに背後から温かい腕が僕を抱き上げた。
「……レアン。君が、私を救ってくれたんだね」
泥と返り血に汚れながらも、ディルク殿下の瞳はこれまでで一番優しく、そして逃げられないほどの深い愛に満ちていた。
処刑回避という目標は達成されたかもしれない。
けれど、僕は悟った。
魂まで繋がってしまった今、僕はもう一生、この王子の腕の中から逃げ出すことはできないのだと。
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