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22話
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一方で、地上の王城では、一人の騎士が完全に理性を失いかけていた。
近衛騎士団長ユストス。
彼は、愛するレアンがディルク殿下の手によって地下に監禁されたことを知りながら、主君への忠誠心という鎖に縛られ、手出しできない自分に絶望していた。
「……殿下、あなたは間違っている。……レアン様は、あなたの道具ではない……!」
誰もいない騎士団の私室で、ユストスは己の拳を壁に叩きつけた。
彼の脳内には、もはや騎士としての誇りなど欠片も残っていない。
『……許せない。……殿下は、あの方の記憶が失われたのをいいことに、ご自分の色に染めようとしている。……レアン様が地下で、誰にも助けを呼べず、あの独占欲の塊のような男に汚されていると思うだけで……私の心臓が、嫉妬で焼け落ちそうだ。……ああ、レアン様。……殿下があなたを『愛』で壊すというのなら、私は『闇』であなたを奪い去る……!』
その時、影の中から、聞き覚えのある愉悦に満ちた声が響いた。
「――ほう。ようやく、その誇り高い理性が壊れたようだね、ユストス」
そこには、姿を消したはずの隣国の王子、セレスが立っていた。
彼は不敵な笑みを浮かべ、ユストスに一振りの禍々しい短剣を差し出す。
「セレス王子……! 貴様、なぜここに……!」
「君に救いの手を差し伸べに来たのさ。……その短剣は、神聖な魔力障壁さえも切り裂く『虚無の刃』だ。……これがあれば、あの地下宮殿へ辿り着けるだろう?」
セレス王子の心の声が、蛇のようにユストスの耳元で囁く。
『……くくく、いいぞ。……狂え、騎士よ。……君がディルクの背中を刺し、レアンを奪い出そうとするその瞬間、私は二人まとめて始末して、レアンを手に入れる。……殿下も騎士も、レアンを巡る争いで共倒れになればいい。……最後には、傷ついたレアンを私が優しく『保護』してあげよう。……絶望したレアンの心に、私が新しい『地獄』を刻んでやるためにね……』
ユストスは、その短剣がセレスの罠であると分かっていた。
だが、レアンへの狂おしいほどの執着が、彼の判断力を奪っていた。
「……いいだろう。……レアン様を救い出せるなら、私は悪魔とでも手を組む」
『……殿下。……あなたがレアン様を監禁したように、私もまた、あなたから奪ったレアン様を二度と光の当たる場所へは出さない。……私の愛もまた、あなたと同じくらい深く、そして暗いのだから……!』
禁断の同盟が結ばれ、王城の地下へと向かう闇の胎動が始まった。
ディルク殿下の独占、ユストスの暴走、そしてセレスの狡猾な計略。
三人の男たちの執着が、記憶を失ったレアンを巡って、最悪の衝突へと向かっていく。
近衛騎士団長ユストス。
彼は、愛するレアンがディルク殿下の手によって地下に監禁されたことを知りながら、主君への忠誠心という鎖に縛られ、手出しできない自分に絶望していた。
「……殿下、あなたは間違っている。……レアン様は、あなたの道具ではない……!」
誰もいない騎士団の私室で、ユストスは己の拳を壁に叩きつけた。
彼の脳内には、もはや騎士としての誇りなど欠片も残っていない。
『……許せない。……殿下は、あの方の記憶が失われたのをいいことに、ご自分の色に染めようとしている。……レアン様が地下で、誰にも助けを呼べず、あの独占欲の塊のような男に汚されていると思うだけで……私の心臓が、嫉妬で焼け落ちそうだ。……ああ、レアン様。……殿下があなたを『愛』で壊すというのなら、私は『闇』であなたを奪い去る……!』
その時、影の中から、聞き覚えのある愉悦に満ちた声が響いた。
「――ほう。ようやく、その誇り高い理性が壊れたようだね、ユストス」
そこには、姿を消したはずの隣国の王子、セレスが立っていた。
彼は不敵な笑みを浮かべ、ユストスに一振りの禍々しい短剣を差し出す。
「セレス王子……! 貴様、なぜここに……!」
「君に救いの手を差し伸べに来たのさ。……その短剣は、神聖な魔力障壁さえも切り裂く『虚無の刃』だ。……これがあれば、あの地下宮殿へ辿り着けるだろう?」
セレス王子の心の声が、蛇のようにユストスの耳元で囁く。
『……くくく、いいぞ。……狂え、騎士よ。……君がディルクの背中を刺し、レアンを奪い出そうとするその瞬間、私は二人まとめて始末して、レアンを手に入れる。……殿下も騎士も、レアンを巡る争いで共倒れになればいい。……最後には、傷ついたレアンを私が優しく『保護』してあげよう。……絶望したレアンの心に、私が新しい『地獄』を刻んでやるためにね……』
ユストスは、その短剣がセレスの罠であると分かっていた。
だが、レアンへの狂おしいほどの執着が、彼の判断力を奪っていた。
「……いいだろう。……レアン様を救い出せるなら、私は悪魔とでも手を組む」
『……殿下。……あなたがレアン様を監禁したように、私もまた、あなたから奪ったレアン様を二度と光の当たる場所へは出さない。……私の愛もまた、あなたと同じくらい深く、そして暗いのだから……!』
禁断の同盟が結ばれ、王城の地下へと向かう闇の胎動が始まった。
ディルク殿下の独占、ユストスの暴走、そしてセレスの狡猾な計略。
三人の男たちの執着が、記憶を失ったレアンを巡って、最悪の衝突へと向かっていく。
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