無能と捨てられた聖子は隣国の狂犬皇帝に初夜を奪われ執着される~魔力が昂ぶるたびに陛下に抱かれないと壊れてしまいそうです~

たら昆布

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9話

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エドワード王子が屈辱の中で去ってから、僕の身体の「変質」は、もう誰の目にも明らかなものとなっていた。

「……はぁ、……っ、あ、あ……様……っ」

広い執務室。
ヴォルフ陛下が険しい表情で書類に目を通す傍らで、僕は彼の膝の間に座り込み、その逞しい脚に縋りついていた。
陛下と少しでも肌が離れると、内側から氷の棘が突き刺すような悪寒に襲われる。
それを鎮める唯一の薬は、彼から溢れ出す濃密な魔力だけだった。

「……ユキ。そんなに私の脚を擦って、どうした。……誘っているのか?」

「ちが、います……っ。でも、熱が……足りなくて……もっと、奥まで……」

自分でも信じられないほど、卑しい言葉が口をついて出る。
「無能」と蔑まれていた頃の僕なら、恥ずかしさで死んでいたに違いない。
けれど今の僕は、陛下の魔力という毒なしでは、一分一秒も正気を保てなくなっていた。

「フン、可愛い奴だ。……よし、今日はこのまま謁見を行う。来い、ユキ」

「え……っ? 陛下、そんな……」

僕の当惑を無視して、陛下は僕を横抱きにすると、そのまま多くの家臣が待つ玉座の間へと歩き出した。

重厚な扉が開かれ、ずらりと並んだ貴族や騎士たちの視線が一斉に僕たちに注がれる。
皇帝が、一人の少年を抱きかかえて玉座へ向かうという異常事態。
場内には、言葉にならない動揺が走った。

「陛下……! さすがに、公式の場では……」

側近のカイン様が慌てて進み出ようとするが、ヴォルフ陛下はそれを鋭い一瞥で制した。

「構わん。ユキの体調が優れぬ。私が直々に魔力を供給せねばならんのだ。……文句がある者は、私の魔力暴走を一人で止めてみせろ。今すぐこの場を血の海にしてやろう」

陛下が放つ威圧感に、広間は一瞬で静まり返った。
陛下は玉座に深く腰掛けると、あろうことか僕をその膝の上に座らせ、自分のマントで包み込むようにして抱き寄せた。

「……ひっ、あ……」

マントの中で、陛下の大きな手が僕の腰を強く引き寄せる。
ズボンの薄い布地越しに、陛下の熱い体温が伝わってきた。
その瞬間、身体の奥がジンと痺れ、凍えていた芯がとろけるように解けていく。

「さあ、始めろ。報告を続けろ」

陛下は何事もなかったかのように、家臣たちに命じた。
けれど、マントの下で、彼の指は僕の背中を、腰を、ゆっくりと、けれど執拗になぞり続けている。
家臣たちが真剣な面持ちで国政を論じているすぐそばで、僕は声を押し殺し、陛下の体温に縋りついて震えていた。

「……んっ、……ふ、ぁ……」

「……どうした、ユキ。足りないのか?」

耳元で、陛下だけが聞こえる低音で囁かれる。
彼の手が、僕のシャツの隙間から滑り込み、熱を帯びた肌を直接愛撫した。
家臣たちの声が遠のき、世界には僕と陛下、そして触れ合っている場所の熱さだけが残る。

(だめだ……。みんなに、聞こえてしまう……)

必死で唇を噛んで耐えるけれど、陛下はわざと、僕が一番弱い場所を指先で弾く。
僕はたまらず、彼の肩に顔をうずめ、シーツを噛む代わりに彼の軍服をぎゅっと握りしめた。

「……ほう、今日のユキは積極的だな。……諸君、本日の謁見はここまでだ。あとはカインに任せる」

「へ、陛下!? まだ軍事予算の件が……!」

「黙れ。……私の『器』が、これほどまでに私を欲しているのだ。……優先順位を間違えるな」

ヴォルフ陛下は僕を抱えたまま立ち上がると、唖然とする家臣たちを残して、疾風のように玉座の間を後にした。
向かう先は、二人だけの離宮。

「ユキ。……お前が悪いのだぞ。人前だというのに、そんなに熱い吐息を私に浴びせて……」

「陛下……っ、陛下が、あんな……っ」

「……もう限界だ。お前の中に、私の魔力を残らず注ぎ込んでやる。……空っぽになるまで、私を飲み込め」

寝室に放り込まれた瞬間、昨夜よりもさらに激しい、狂気にも似た情熱が僕を襲った。
身体中の細胞が、彼の魔力を吸い込んで、歓喜に震える。

けれど、僕は気づいていなかった。
これほどまでに陛下の魔力を吸い取り続けている僕の身体が、徐々に、人間とは違う「別の何か」へと変質し始めていることに。
そして、それこそが、エデン教国の真の狙いである「人造の神」の器の完成であることを。

二人の愛欲が深まれば深まるほど、破滅へのカウントダウンは着実に進んでいた――。
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