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16話
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ボルド大臣が去り際に投げ捨てた、古ぼけた呪具。
それが、アキの足元でパリンと割れた瞬間、白い煙がアキを包み込んだ。
「――アキッ!?」
ゼクスが悲鳴のような声を上げて駆け寄る。煙が晴れた後、そこにはブカブカになった式典服の裾から、困り顔でこちらを見上げる「五歳児サイズ」のアキが立っていた。
「……だんじょー、なんか、視界がひくいです……」
声まで高くなり、ぷにぷにの頬。クリクリとした瞳が上目遣いでゼクスを捉える。
その瞬間、ゼクスの頭の中で何かが「弾ける」音がした。
「……っ、ぐはあぁぁっ!!」
ゼクスは胸を押さえてその場に膝をついた。あまりの可愛さに、心臓が物理的なダメージを受けたのだ。
「団長!? 大丈夫ですか!?」
「……大丈夫ではない。アキ、貴様……自分が今、どれほどの破壊力を持っているか自覚しろ。……くっ、このままでは、私の理性が『愛で殺す』方に振り切れてしまう……」
ゼクスは震える手で、小さくなったアキを抱き上げた。
軽すぎる体。首筋にしがみついてくる小さな手。ゼクスの父性と独占欲が、かつてないレベルで混ざり合う。
『おーい! アキを離せ、このデカ物(ゼクス)!』
ルルが飛んできて、ゼクスの頭をポカポカと叩く。
『今の不届きな顔、アキに教育上よろしくないポム! ポムたちがアキを守るポム!』
いつの間にか、ポム、ハク、そして最小化した古代龍バルドスまでもが、幼児化したアキの周囲を鉄壁の陣で囲んでいた。
「……貴様ら、どけ。アキの保護責任者はこの私だ」
『いいや、今の貴様はただの危ないニンゲンだ。アキ、こっちへおいで。我の背中で昼寝をしよう』
ハクが巨大な前足でアキを回収しようとするが、ゼクスは「絶対に渡さん!」とアキをさらに強く(だが優しく)抱きしめた。
「……あ、あの、みんな仲良くしてください。俺、中身はそのままですから……」
アキは苦笑いするが、幼児の体は疲れやすい。次第に、ゼクスの広い胸の中でウトウトとし始めてしまった。
「……だんじょー、あったかい……」
小さな寝息を立て始めたアキを見て、ゼクスは完全に「陥落」した。
彼はそのまま、聖獣たちの威嚇をすべて無視して、アキを自室のベッドへと運んだ。
その夜。
ゼクスはベッドの脇で、眠るアキの小さな手を握り締めながら、自問自答していた。
(……このまま、元の姿に戻らなくてもいいのではないか? ずっと私の腕の中で、守られ、愛されるだけの存在で……)
一瞬よぎった暗い独占欲。
だが、アキの寝言がその思考を打ち消した。
「……だんじょー……よしよし、してあげる……」
夢の中でも自分を気にかけ、癒やそうとしてくれるアキ。
ゼクスは自嘲気味に笑い、アキの額にそっとキスをした。
「……早く戻ってくれ、アキ。貴様の小さな手では、私のこの『重すぎる愛』を支えきれんだろうからな」
扉の隙間からは、リナ聖女が「ショタっ子アキと、理性が死滅しかけてる団長……。あ、バルドスが哺乳瓶持ってきた。カオスすぎて尊い……!」と、鼻血を拭きながら高速でペンを走らせていた。
それが、アキの足元でパリンと割れた瞬間、白い煙がアキを包み込んだ。
「――アキッ!?」
ゼクスが悲鳴のような声を上げて駆け寄る。煙が晴れた後、そこにはブカブカになった式典服の裾から、困り顔でこちらを見上げる「五歳児サイズ」のアキが立っていた。
「……だんじょー、なんか、視界がひくいです……」
声まで高くなり、ぷにぷにの頬。クリクリとした瞳が上目遣いでゼクスを捉える。
その瞬間、ゼクスの頭の中で何かが「弾ける」音がした。
「……っ、ぐはあぁぁっ!!」
ゼクスは胸を押さえてその場に膝をついた。あまりの可愛さに、心臓が物理的なダメージを受けたのだ。
「団長!? 大丈夫ですか!?」
「……大丈夫ではない。アキ、貴様……自分が今、どれほどの破壊力を持っているか自覚しろ。……くっ、このままでは、私の理性が『愛で殺す』方に振り切れてしまう……」
ゼクスは震える手で、小さくなったアキを抱き上げた。
軽すぎる体。首筋にしがみついてくる小さな手。ゼクスの父性と独占欲が、かつてないレベルで混ざり合う。
『おーい! アキを離せ、このデカ物(ゼクス)!』
ルルが飛んできて、ゼクスの頭をポカポカと叩く。
『今の不届きな顔、アキに教育上よろしくないポム! ポムたちがアキを守るポム!』
いつの間にか、ポム、ハク、そして最小化した古代龍バルドスまでもが、幼児化したアキの周囲を鉄壁の陣で囲んでいた。
「……貴様ら、どけ。アキの保護責任者はこの私だ」
『いいや、今の貴様はただの危ないニンゲンだ。アキ、こっちへおいで。我の背中で昼寝をしよう』
ハクが巨大な前足でアキを回収しようとするが、ゼクスは「絶対に渡さん!」とアキをさらに強く(だが優しく)抱きしめた。
「……あ、あの、みんな仲良くしてください。俺、中身はそのままですから……」
アキは苦笑いするが、幼児の体は疲れやすい。次第に、ゼクスの広い胸の中でウトウトとし始めてしまった。
「……だんじょー、あったかい……」
小さな寝息を立て始めたアキを見て、ゼクスは完全に「陥落」した。
彼はそのまま、聖獣たちの威嚇をすべて無視して、アキを自室のベッドへと運んだ。
その夜。
ゼクスはベッドの脇で、眠るアキの小さな手を握り締めながら、自問自答していた。
(……このまま、元の姿に戻らなくてもいいのではないか? ずっと私の腕の中で、守られ、愛されるだけの存在で……)
一瞬よぎった暗い独占欲。
だが、アキの寝言がその思考を打ち消した。
「……だんじょー……よしよし、してあげる……」
夢の中でも自分を気にかけ、癒やそうとしてくれるアキ。
ゼクスは自嘲気味に笑い、アキの額にそっとキスをした。
「……早く戻ってくれ、アキ。貴様の小さな手では、私のこの『重すぎる愛』を支えきれんだろうからな」
扉の隙間からは、リナ聖女が「ショタっ子アキと、理性が死滅しかけてる団長……。あ、バルドスが哺乳瓶持ってきた。カオスすぎて尊い……!」と、鼻血を拭きながら高速でペンを走らせていた。
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