聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布

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17話

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 幼児化したアキが眠る騎士団長室に、リナ聖女が古文書を抱えて飛び込んできた。

「判明したわ! アキを元の姿に戻す方法!」

 ベッドの脇でアキの小さな手を握っていたゼクスが、鋭い視線を向ける。
「……何だ。言え。どんな高価な魔石が必要だろうと、地の果てまで行って手に入れてくる」

「それが……魔石とかじゃなくて。……『心から愛し、愛されているパートナーとの、真実の口づけ』が必要なのよ」

 その言葉が響いた瞬間、室内の空気が一変した。
 ゼクスの口元が、わずかに、だが確実に歪んだ。「……ほう」と、獲物を追い詰めた肉食獣のような笑みが漏れる。

「……つまり、私に『公務として』アキへの接吻を許可するということだな? よかろう、責任を持って執り行う」

『待て待て待てぇい!!』

 ルルがベッドの柱からダイブして、ゼクスの顔面に肉球を叩きつけた。
『「心から愛し、愛されている」なら、我ら聖獣こそが相応しい! アキ、我だ! 我がそのぷにぷにの頬にキスしてやる!』

『ポムもポム! ポムの愛は海より深いポム!』
『……俺も、アキへの親愛ならこの騎士に負けんぞ』

 バルドス(黒トカゲ形態)とハク(巨大白虎)までが、ゼクスを包囲するようにして「キスの権利」を主張し始める。

「貴様ら……。聖獣といえど、こればかりは譲らん。アキの『番』は私だと言ったはずだ!」

「……ん、……うるさいです……」

 喧騒に目を覚ました小さなアキが、目をこすりながら起き上がった。
 状況を把握していないアキは、目の前で火花を散らす一人と四匹を見て、首を傾げる。

「だんじょー? どうしたんですか、みんなで怖いかおして」

「アキ、よく聞け。貴様を元に戻すには、口づけが必要だ。……さあ、目をつぶれ。私がすべてを終わらせてやる」

 ゼクスがアキの肩に手を置き、ゆっくりと顔を近づける。
 だが、その瞬間。

『くらえ、聖獣アタック!!』

 ルルとポムがゼクスの顔面に体当たりし、ハクがゼクスのマントを引っ張って後ろへ引き倒した。
 その隙に、バルドスがアキの頬に「ちゅっ」と音を立てて鼻先を寄せた。

 パァァァァ……!

 眩い光が部屋を包み込む。
 ゼクスが「あああぁぁぁ!!」と絶叫する中、光が収まると、そこには元のサイズに戻ったアキが、ブカブカの服を必死に押さえながら座っていた。

「……戻った。……戻ったけど……バルドスが先だったんですか?」

『ふははは! 勝利だ! やはりアキの愛を一番受けているのは我であったか!』

 勝ち誇るバルドス。一方で、ゼクスは床に膝をつき、真っ白な灰のようになっていた。

「……私の、私のファースト……いや、誓いの口づけが……。トカゲに、トカゲに奪われた……」

「団長、元気出してください。というか、そもそも俺が『愛してる』のは、まだモフモフたちに対してだけかもしれませんし……」

 アキが無自覚な追い打ちをかけると、ゼクスはガバッと起き上がり、アキを服の上から抱きしめた。

「認めん! 今のはノーカウントだ! アキ、貴様が自分から私を愛していると自覚するまで、何度でもやり直してやる……! 覚悟しておけ!」

「あ、はい……。あの、まず着替えていいですか」

 扉の向こうでは、リナが「あー! 惜しい! 団長、あと一歩だったのに! でも『トカゲに嫉妬して荒れる団長』という新ジャンルが開拓されたわ……!」と、狂ったようにペンを走らせていた。

 アキの姿は戻ったが、ゼクスの「愛の獲得作戦」は、より一層過激なステージへと突入したのだった。
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