年上護衛と、月の女神と言われる母を持つ令嬢の恋愛事情

千晶もーこ

文字の大きさ
2 / 19

2

しおりを挟む
ジェイクは一旦着替えに行き、プリムローズ達は、食堂に移動した。
ジェイクは、着替えてすぐに戻ってくる。

「相変わらず、準備が早いですね…。」
「皆の側に居たいからな。アルはもうすぐ、学園にも行くし。」
「アルは、まだ7歳ですが…。」

学園へは13歳で入学する事になる。全寮制だ。勉強に関しては、各家庭で行うため、学園では処世術や、社交、一般教養をメインに5年間学ぶ。

「リア、うちの子達は可愛い!」
「それに関しては、間違い無いですね。」
「離れるのは嫌だ…。」

ジェイクが頭を抱えだす。

「何を言っているのですか。」

プルメリアだけではなく、使用人達も呆れた顔をしている。

「この方は本当に騎士団長でしょうか。」

執事長のサムが冷たい目を向ける。

「はぁ…。父上、今日はお祖父様と訓練をしました。」
「ローズと、リラとかくれんぼもぉ。」
「そうだね。」

アルストはプリムローズの頭を撫でる。

元騎士団長である祖父は、同じ敷地内の離れの屋敷に住んでいる。
母プルメリアとアルストの武術の師匠だ。
そう。プルメリアは令嬢には珍しく武術の心得がある。昔は現在とは違い、戦いの女神だと言われていた。

「そうか、そうか。楽しそうで何より。」
「私も久々に動きたいです。」
「母上。一昨日もノアと手合わせしていましたよね?」
「そうだったかしら?」
「そうですよ。」
「私もみんなとれんしゅうしたい!」
「もう少しお姉さんになったら一緒にやりましょうね。」
「やだ!する!」
「そうねぇ…。それなら、今度、皆で鬼ごっこをしましょう!走る練習よ。」
「みんな?」
「そうよ。」
「お父様も、お兄様も、リラも、サムも、ライラも、グレイおじさんも、メランも、ノアも、それから、それから、みぃんな?」
「うーん。全員が集まれるかは分からないけれど、その日集まれる人、皆にお願いしましょう。…ジェイク。良いですか?」
「面白そうだな。折角だから親父たちにも声をかけるか?」
「やったぁ~!」

プリムローズは嬉しそうに声を上げた。

「良かったね、ローズ。」
「うん!」

アルストにも笑顔が見られる。

「嫌な予感しかしないのですが…。」
「私もそう思います。」

サムの声に、ライラが同意した。

「ふたりとも何か言った?」
「「いいえ。何も。」」

こうして、子供達をだしにした大人達の本気の鬼ごっこが開催される事になった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます

22時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。 エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。 悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。

【完結】悪役令嬢は何故か婚約破棄されない

miniko
恋愛
平凡な女子高生が乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった。 断罪されて平民に落ちても困らない様に、しっかり手に職つけたり、自立の準備を進める。 家族の為を思うと、出来れば円満に婚約解消をしたいと考え、王子に度々提案するが、王子の反応は思っていたのと違って・・・。 いつの間にやら、王子と悪役令嬢の仲は深まっているみたい。 「僕の心は君だけの物だ」 あれ? どうしてこうなった!? ※物語が本格的に動き出すのは、乙女ゲーム開始後です。 ※ご都合主義の展開があるかもです。 ※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしておりません。本編未読の方はご注意下さい。

『婚約破棄された聖女リリアナの庭には、ちょっと変わった来訪者しか来ません。』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
王都から少し離れた小高い丘の上。 そこには、聖女リリアナの庭と呼ばれる不思議な場所がある。 ──けれど、誰もがたどり着けるわけではない。 恋するルミナ五歳、夢みるルーナ三歳。 ふたりはリリアナの庭で、今日もやさしい魔法を育てています。 この庭に来られるのは、心がちょっぴりさびしい人だけ。 まほうに傷ついた王子さま、眠ることでしか気持ちを伝えられない子、 そして──ほんとうは泣きたかった小さな精霊たち。 お姉ちゃんのルミナは、花を咲かせる明るい音楽のまほうつかい。 ちょっとだけ背伸びして、だいすきな人に恋をしています。 妹のルーナは、ねむねむ魔法で、夢の中を旅するやさしい子。 ときどき、だれかの心のなかで、静かに花を咲かせます。 ふたりのまほうは、まだ小さくて、でもあたたかい。 「だいすきって気持ちは、  きっと一番すてきなまほうなの──!」 風がふくたびに、花がひらき、恋がそっと実る。 これは、リリアナの庭で育つ、 小さなまほうつかいたちの恋と夢の物語です。

「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)

透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。 有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。 「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」 そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて―― しかも、彼との“政略結婚”が目前!? 婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。 “報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。

【完結】王城文官は恋に疎い

ふじの
恋愛
「かしこまりました。殿下の名誉を守ることも、文官の務めにございます!」 「「「……(違う。そうじゃない)」」」  日々流れ込む膨大な書類の間で、真面目すぎる文官・セリーヌ・アシュレイ。業務最優先の彼女の前に、学院時代の同級生である第三王子カインが恋を成就させるために頻繁に関わってくる。様々な誘いは、セリーヌにとっては当然業務上の要件。  カインの家族も黙っていない。王家一丸となり、カインとセリーヌをくっつけるための“大作戦”を展開。二人の距離はぐっと縮まり、カインの想いは、セリーヌに届いていく…のか? 【全20話+番外編4話】 ※他サイト様でも掲載しています。

傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~

キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。 両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。 ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。 全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。 エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。 ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。 こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。

【完結】断りに行ったら、お見合い相手がドストライクだったので、やっぱり結婚します!

櫻野くるみ
恋愛
ソフィーは結婚しないと決めていた。 女だからって、家を守るとか冗談じゃないわ。 私は自立して、商会を立ち上げるんだから!! しかし断りきれずに、仕方なく行ったお見合いで、好みど真ん中の男性が現れ・・・? 勢いで、「私と結婚して下さい!」と、逆プロポーズをしてしまったが、どうやらお相手も結婚しない主義らしい。 ソフィーも、この人と結婚はしたいけど、外で仕事をする夢も捨てきれない。 果たして悩める乙女は、いいとこ取りの人生を送ることは出来るのか。 完結しました。

死を見る令嬢は義弟に困惑しています

れもんぴーる
恋愛
社交界でふしだらなどと不名誉な噂が流れているシャルロット。 実は、シャルロットは人の死が見えてしまう。見えるだけではなく、我が事のようにその死を体感してしまい、いつも苦しんでいる。 そんなことを知らない義弟のシリルはそんな彼女を嫌っている。 あることに巻き込まれたシリルは、誤解からシャルロットと閨を共にしてしまう。 その結果、シャルロットは苦痛から解放されました? *都合よいな~って設定あります。楽しく読んでいただけたら幸いです *恋愛要素は少なめかもしれません

処理中です...