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第3部 あの恋の続きを始める
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「──先生は、人の痛みを自分の様に感じられるのですね」
──いや、それはアンタの方が……。
朦朧とした意識の中で、女の手を引いて自宅へと向かっていた。
まだ陽が傾き始めて、数ヶ月に一度あるか無いかの瀬戸際くらいの、残業無しの日。メールで勤務先の病院から少し離れた駅までの抜け道で待ち合わせの約束をした。
普段ならば眩い太陽の光に目を凝らす。まるで世界に取り残されたように、人々が眠りについてから活動するなんて真逆的なことをしつつ地域医療を支えている。
十八時に今日は打刻出来て、医局にあるロッカーから携帯を取り出す。既に女は待ち合わせ場所にいるそうだ。
今行く、と短くメールを送信して着替えを済ませる。なるべく清潔感を重視して、クリーニングへ返って来たばかりの白いシャツにダークネイビーのスラックスに、しっくりと足を包むプレーン・トゥシューズ。
最賀のお気に入りの革靴であり、爪先に飾りのないシンプルで上品な革靴をオーダーメイドで作ってもらった特注品だ。足にとても馴染むので、軽やかな足運びが出来る。
一応、ロッカーに電動シェービングが奥底に眠っていたので、身だしなみを整える。流石に病院に二十時間の缶詰では、髭も伸びてくるのだ。顔を冷水で洗い、タオルで拭うといつも通り疲れ切った草臥れた男の出来上がりだった。
──て言うか、俺……なんかスキンケアとかした方が良いのでは?
何度も手洗い、消毒を繰り返して乾燥し、ササクレだらけの掌を摩る。
艶々の若者の肌とは違って、歳を重ねる毎に張りが弱い気がして、スキンケア用品を適当にメーカーでお薦めセットの物をオンライン決済を階段を降りながらした。これで数日後には届くだろう。流石に、恋人が出来たのに身嗜みに気を遣っていないとは思われたくなかった。
きっと、うたた寝している最賀に女は何も言わずに化粧水やら何やらケアをしてくれるだろうが、人任せは良くない。
浮かれていた足取りは、疲労感で地面に張り付き始めた。最賀を見付けた途端に花を咲かせた様な笑顔で、駆け寄って来る。
その女の顔を見て、神経を尖らせ過敏になっていた緊張感に解放されたせいか。ドッと堰き止めていた疲労が一気に押し寄せる。
すると、女は最賀の仕事用のレザーバッグを手に取った。肩に下げたバッグが重いはずなのに。
「……先生、今日は御自宅まで送りますから、ゆっくり休んで下さい」
「いや……、でも」
「他の事務さんに聞きました。先生ずっと病院に居たのでしょう?」
二十時間のインターバル無しの全力疾走は三十五を超えてから途端に辛くなった。
息が続かない、と言うか体が思うように動かずギシギシ節々が凝り固まってしまっている。関節の柔らかさと、屈強な肉体と強靭な精神を授かれば現場に立ち続けられるのに。
人間は時折誤作動を起こすものだから、結局燃え尽き症候群になったり、目的を失う。
「……全部、お見通しなんだな」
最賀と女のシフトは上手い具合に交わらない。当直の日は辞めた派遣社員の代わりに入る女とは度々顔を合わせるが、外来では殆ど廊下ですれ違うことも少なかった。
女は日によって持ち場が異なり、特に内科にはボンクラ院長が居座っているので出禁を食らった女は出入りすることは無い。
未だに難癖をつけた挙句、地毛証明書を提出させろと事務局長に言い出したらしい。医局でこれ見よがしに公開パワハラの全容を聞かされ、最賀は女が不憫に思った。女の髪が生え際からも含めて染髪した形跡は無いのは良く撫で回している最賀が一番知っている。
それに、染めたら何度も染め直すことで仕送りが……と肩を竦めて明かしてくれたことも。
女はまだ二十三歳と言う若さで、社会に揉まれている。
親への仕送りが厳しく、催促の電話も屡々掛かってきていることも。
最賀自身も身内への融資とも言える金絡みで色々と嫌な思いもしてきた。
姉が調停離婚が長引き、精神的にも肉体的にも酷使されるからと結局金で解決をした。弁護士を立てて、解決まであと数歩のところまでやっと来たからだ。
その金を用意したのは、勿論最賀である。姪と甥達の為にも一刻も早く解決すべきだと本人を説得させるのも、かなり根気がいる作業だった。
社会の歯車の一部なのに、態々錆つかせて一滴のオイルすら恵まない人間が数多くいる。
足の引っ張り合いには、もううんざりなのだ。それでも、女は足掻いている。最賀は自分自身が余裕のある状態でないのに、女の為ならば時間を作り、慈しみ、その傷付いた心を癒してやりたかった。
だが、体は思う様に動かない。
「──先生? 最賀……先生?」
やっと玄関に辿り着いて、己のテリトリーに入った瞬間。気が抜けたのか、膝ががくりと折れた。力が入らなくて、崩れ落ちそうになると。
ぐっと腕を掴んで、女が支える。身長差も体重差も歴然としているのに、必死に踏ん張って最賀が倒れない様にしてくれたのである。
「せ、んせい……ッ、しっかり……っ」
女が肩に腕を回して、寝室まで連れて行くと最賀の重みに耐えられずベットに二人共倒れた。ぼすんとシーツの波に埋まって、女を下敷きにしてしまう。
百五十五センチくらいしか無い華奢な女を潰さない様に、辛うじて手をついたのが功を成した。そのまま横にひっくり返って、貧血にも似た軽い眩暈に溜息を漏らす。
──悪かった、急に倒れたりして……あ?
声が、上手く出ない。掠れた声で何とか振り絞ると、女は堪らず泣き出してしまった。
蒼白い顔でもしているのだろうか。
鏡が遠くて、良く分からない。
心配を掛けたく無くて、女の小さな手を握ろうとすると、頭上から声が聴こえた。
「先生、最賀先生……お願いです、休んで下さい」
ぐすぐすと涙を流して、最賀の頭を包み込んで抱き締めた。疲労困憊のままベッドに倒れ込んだ時、唯一心配してくれるのはこの女だけだ。
「悪い、せっかく……来て、くれたのに」
眠くて体が鉛の様に重たい。日勤と当直のコンボで拘束時間は二十時間を悠に超えていたし、何なら救急車のサイレンは鳴りっぱなしだった。病棟へ患者を上げて、それから緊急オペに検査オーダーを目紛しく回すと日勤帯の時間がやって来ていた。
嘘だろ、と諦めにも似た感情よりも先に体が動くのは職業病だ。機械的に手も口も、ロボットの様に動いてくれるのに頭だけはぼんやりとしていた。
食事も疎かにして、食堂にやっと辿り着いたと思えば食堂備え付けの電話が鳴り響き、呼び出しを食らう。PHSの音も振動も、聞こえなかった?いや、そんなはずは。
「私のことなんて二の次で良いです、一番は先生のお身体が……」
泣かせてばかりだな、と最賀は力無く女の腕の中で眠りについた。
甘やかしてやりたい。
優しく、抱き締めて、此処が安全だと証明したい。
暴力の嵐を生き抜いた、勇敢な女に世界は広くて、案外悪い物じゃ無いと教えたいのに。
──俺が……疲れてぶっ倒れててどうするんだよ……。
悲しむ顔よりも、笑顔が見たくて慣れないことばかりしたら埃を叩いてボロが出たのと同じだ。女の腕の中はまるで、安寧の地に居るかの様に温かく、そして落ち着く場所だった。
久し振りに眠れた、と目を覚ますと女は隣で眠っていた。最賀の靴下を脱がせ、ベルトを緩め、シャツボタンを三つ開けて窮屈さを除去してくれたらしい。
胸元が微かに上下に動いて、規則正しい呼吸をしている。胸元のシャツが肌けており、キャミソールの中の下着が見える。谷間には薄らと汗の粒が流れて、情欲さが芳しく香る。
着痩せするらしく、意外にも華奢なラインに見えて胸元は膨よかだ。女は胸を小さく見せる下着を好んでいるのも、学生時代嫌な視線を浴びたのだろう。なるべく地味に、目立たず生きてきた証である。
最賀は女の心音を耳にした。とくとく、と鼓動を打っている。なだらかで、心地良い。帰ったのかと思っていたのに、ずっと隣にいたようだ。涙の跡が眦に残っており、赤い。
「……アンタを失いたくない」
ぽそりと呟いた願いは永遠持続には向いていない。そんな奇跡にも似た微かな希望に縋るくらいには、女を愛している。
もし、この女を完璧な男が現れて無限の愛を捧げるのならば、喜んで譲りたいはずだった。
俺よりも幸せにできる男は沢山いる。
なんて、交際初日にベンチで涙の味を確認した時に悟ったのだが、女と過ごす時間が長くなるにつれ、そんな空想は妄想上で破壊された。
二回目は、十九日後だった。いや、数えている自分も気持ち悪い気がしたが。痛みを伴った後の快楽は、ひどく心地悪いと思うし、何より躊躇うだろう。次は、とは言い出さない。
「あーあ、びしょ濡れだ……俺のビニール傘誰だ持って帰ったの……」
最賀のビニール傘は医局の誰かが雨足の強くなった景色に乗じて、奪っていったのだろう。予報は大きく外れて、快晴と天気予報では堂々たる面持ちで放映されていたが、実際は大雨である。
最賀と女はタクシーを拾おうとしたが、勿論予想外の大雨で大行列が出来ていて即座に諦めた。電車では身を寄せ合って寒さを凌ぐ。
張り付いたシャツから透けた女の素肌を見られたく無くて、最賀はジャケットを着せた。暑かったり寒かったりの不安定な気候のせいで、電車内は皆がぶるぶると震えて耐え忍んでいた。
傘の代わりに鞄で盾にしながら、女の手を握って小走りで自宅マンションまで向かう。
最賀は駅から徒歩十分の利便性の良い、閑静な住宅街にあるオートロック式のマンションの606号室は賃貸契約で借りている。
緑豊かで、遊歩道に沿う様に樹木が立ち並び街のコンセプトが自然と共存する、と言うだけある。子供が遊べる公園も広く、そして遊具が多く子育てに向くエリアらしい。
マンションに入って直ぐにポストを確認してから、鍵を差し込むと玄関ホールの扉が開いた。
エレベーターまで辿り着いて、眼鏡に伝う雫を乱雑に袖口で拭う。
女が可愛らしい花柄のハンカチで最賀の濡れた頬を拭いてくれるから、俺は後で良いからと言う。だが、引かないのが山藤陽菜という女である。
六階行きのボタンを押して、扉がゆっくりと閉まる。
「先生、風邪ひきますから……」
訝しげにアンタもだろう、と最賀が口にすると体だけは丈夫なんですと女は答えた。
ポケットに入っていた無地のモスグリーンのハンカチで、代わりに女の髪を拭いてやる。顔はメイクがどうのとか、何だか煩く言われたことがあるので敢えて触れず。女心が分かっていないと怒られた記憶が邪魔して、どうしたら良いか悩んでいると女が首を傾げて見せる。
「……あ、の」
「化粧、落ちるとか……あるだろう。あんまり顔拭くと、あれか」
「──先生、私のスッピン見たことありますよね」
「まあ、あるな」
女は化粧をしていない素顔は、正直今と変わらず可愛い。幼さが残る顔立ちを気にしているのも、最賀は悟っているが敢えて口にしない。素顔も可愛いと言えば、恐らく御世辞だとも捉えられても上手い返しが出来る自信はない。無意識に最賀は頬を掻いて、返事を考えていると。
「先生のハンカチが汚れるかも、とは思いますが……別に気にしないで下さい」
「お、おう……そんなもん?」
「童顔なの、気にしているんです。先生だけ、秘密ですよ?」
秘密。女はいつも秘密にしたがる。顔の傷も、気付いていないフリをしているが膝の内側に棘刺創のこともだ。棘刺創は異物が刺さった皮膚の病変であり、女には痛々しくも痕が残っている。
隠し事を多く秘めて、他人に弱味を晒せずにいる女は最賀にだけは少しずつ己の奥を見せてくれる。どんなことであれ、女は最賀を信頼していることを意味する。
だから、最賀はより深みに嵌まってしまったのだろうか。恋は盲目とは、先人者は物事を良くも悪くも本人の解釈にさせてくれる。
「別に、あんまり化粧してもしなくても、変わらない気がするが……」
しまった、と我に返った。考えていることをそのまま吐露してどうする。女は目を見開いてから、段々と長い睫毛を伏せて口籠る。
「え?! そんな……はあ、先生がお付き合いしてきた女性よりは技術は未熟だとは思いますが……」
「ん? あー、人相は化粧では変えられないだろう」
「例えば、アイプチとか。日本人女性は二重に憧れていますがどう思いますか?」
「好きにしたら良いんじゃないか?少なくとも、顔がブスだの言う奴は性格ブスだとは思う」
外見をとやかく言う人間は内面が腐っていると早坂は考えている。顔面偏差値なんて言葉を作った人間は泥塗れになれば良いと思っているし、生まれ持った顔の造形は整形でもしない限り難しい。
「アンタは……可愛いし、別に取り繕うことは要らないからな」
「……最賀先生は、いつも褒めてくれる」
「褒めて伸ばすタイプなので?」
けれども、顔は性格で多く変わるはずだ。常に不機嫌な人間は口角が自然と下がっているし、目付きも鋭い。早坂が良い例だ。
あの男は普段から短慮で怒りっぽい。直ぐに目を細めて、人の弱点や悪い点を粗探しする眼光の鋭さである。
エレベーターを降りて、部屋番号が見えたので直ぐに鍵を開けて女を先に家へ招き入れる。
くしゅ、と女がクシャミをしたので、洗面所に備え付けたバスタオルで包んでやる。ふかふかの綿に包まった可愛い小型犬に見える。
「俺って雨男、なんだろうか? 背中に龍とか背負ってんのだろうか?」
雨女や雨男には、龍が憑いているなんて都市伝説なんてあるくらいだ。逆に、晴れ男や女は稲荷神が憑くとも言われている。
「龍が後ろにいたらとても心強い感じ……?」
女の体は寒さからか、最賀の背中にしがみ付いている。
「アンタも、風邪引くから。濡れても良いから、床。早く入りなさい」
ぶるりと先に身震いしたのは最賀だった。
「……一緒に、入りますか?」
「当直明けの頭回らない中で今アンタと入ったら、間違い無く狼の如く頭のてっぺんから足先まで食べる自信はある」
こうなるな、と覆い被さるジェスチャーをする。水に濡れて妖艶な女は、正に色欲を覚える姿であるのだ。
手加減をして、優しく、そして快楽を与えてやりたいのに我を忘れて奥深くを念入りに打ち付けた挙句、涙で顔をくしゃりと歪ませたくはない。一瞬、涙声で名前を何度も呼ばれたいと嗜虐性が囁くも、煩悩を払う。
「えっ、ええ、と……良い、ですよ、私」
「残念、駄目です。怖いと思ってるのに、二回目はもっと甘やかしたいので」
「あ…………に、かいめ……」
茹で蛸のように女の顔が真っ赤だ。最賀は微笑んで、ほら早く風呂に入りなさいと諭して着替えを渡した。女が体を縮こめて、分かりましたと小さく答える。此処からは理性との戦いなので、最賀は風呂場へ女を押し込んで間一髪を逃れたのだった。
シャワーを浴びる水音が聴こえてから、最賀は乱雑にタオルで髪を拭いた。新しいスウェットを出して、内心昂る熱を悟らせずに出来た自分自身を褒め称えた。
──子供じゃあないんだから、俺は。理性を持った大人の、男として……はあ。
女を前にすると、直ぐ触れたくなってしまうので困る。
テレビを観ている最中、隣で肩を抱くと体重を預けてくれる。楽しそうな会話をするテレビ番組の内容が頭に入ってこないくらいには、女の体温に釘付けになってしまう。
二度目は、うんと優しくして、蕩けた顔を堪能したい。
最賀は腹の虫が鳴って、漸く疾しい思考を掻き消すことが出来た。一人用の冷蔵庫は小さくコンパクトだ。中をガサガサと漁ると、卵と長葱に白出汁に冷凍うどんが出てくる。卵とじ煮込みうどんでも作るか、と適当に葱を斜め切りにして、湯を沸かす。
「……煮込みうどんですか?」
手を洗ってから頬に垂れた髪を退けてやると、女は微笑んだ。ドライヤーで急いで乾かしたのか、湿り気は残っている。髪は緩く一纏めに結いており、頸が綺麗だ。
「あの……お待たせしました、私代わるのでお風呂……」
「良いのか?滅茶苦茶中途半端なところだぞ」
小さく頷いて、風邪ひくからと今度は逆の立場になった。風呂場に押し込められて、最賀は後からやって来た冷えに身を震わせる。
──帰る場所が此処になってくれたら……とか、虫が良すぎるか。
早くも同棲、の単語が頭にチラつく。初めて家に招いた日、ディスポーザー付きで食洗機が備わったキッチンに目を輝かせていたので思わず口から出そうだった言葉だ。鍵のスペアは二つあるので一つ渡したって、良いんじゃないか?と。
今日のミッションは服や荷物を置いていくよう提案することだ。私物が増えれば、自ずと帰る場所が定着するだろうし、何なら一緒に家に帰りたい。残業、オンコール、缶詰になろうとも女が部屋にいると思えば漲るエネルギーは計り知れないだろう。
人を家に呼ぶのは、緊張するのに。己のテリトリーに入られるのを苦手とする最賀はすんなりと空間に馴染む女に当初は驚いたものだった。
過去に恋人がいた時、同棲したいだの家に泊まりたいだの我儘を言われても頑なに首を縦に振らなかった。だから、良く元恋人の家に泊まることはあっても、結局呼び出しで夜中出てはポストに鍵を入れる作業が習慣付いていた。
今ならば彼女達の気持ちは痛い程に分かる。好きな人と同棲なんて、幸せの延長であることを。
どう切り出そうかと熱々のシャワーを浴びて、念入りに体も洗う。烏の行水とも言える短時間で出て、髪を乾かさずキッチンへ向かうと出汁の香りが漂ってきた。可愛い鼻唄付きだ。
「先生、髪濡れてますよ」
くすりと笑みを溢して、女は最賀に振り向いてバスタオルで拭いてくれる。中腰に屈んで、されるがままになる。
「卵とじの煮込みうどん、もう出来上がりますので。先生、ゆっくり入っていても良かったのに」
「アンタが作った方が手際良く出来るとは思っていたが、ケーキとか買っておけば良かったって後悔したんだよ」
恋人を家に招くのに、何一つ用意するのを忘れていたのは、本当に失点だった。ケーキや菓子等甘い物を用意しておけば良いものの、人を招くのは些か久し振りなのだ。手順やら、二回目のプランやらですっ飛んでいた。
女が好きなケーキはなんだろう、ふと思い付いて考えず尋ねてしまう。
「アンタ、ケーキ何好きなんだ?」
「ケーキ……ですか」
「ああ、今度うち来る時買っておく……」
女はやや虚な瞳で、沸騰してぐつぐつと泡立つ気泡を見詰めていた。どう答えて良いか、分からない様子だ。レパートリーが思い付く物が少ないからだろうか。決して裕福とは言えない状況下で育ったからか、ケーキを選んだことは無いのかもしれない。
最賀は火を止めて、憶測で考えてしまったが最善の方法を導き出した。
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