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 聖は扉の鍵を閉め振り向くと、璃玖の方へゆっくりと歩きだし、事前に設置されていたカメラの横で立ち止まった。

 だが聖はいつもの笑みは浮かべず、黙って璃玖の姿を頭の先から足先までゆっくりと、まるで観察するかのように見つめた。

「聖……さん?」

 何も言わずにただ見つめるだけの聖に不安になり、璃玖は声を震わせる。

「璃玖君、肘置きに体重かけて横になってみて」

「えっ?」

「いいから、ほら」

「うぅ……」

 璃玖には状況が理解できなかったが、有無を言わせない聖に逆らえず、言われた通り肘置きに体重を預けて横になった。

 すると聖は璃玖に近づき、腕の位置や顔の角度をいじってはカメラの画面を確認するという作業を何回か繰り返すと、急にシャッターを切った。

「聖さん、なんで僕なんか撮って」

「いいから、黙って僕の言った通りにして。そのままカメラのレンズ見て……」

 璃玖は仕方なく、また聖に言われた通り黙ってレンズを見つめた。

 だが、撮られることに慣れていない璃玖はシャッターの音やストロボの眩しさによってどんどん緊張していき、顔や体につい力が入って表情も硬くなっていってしまう。

 その変化に聖も気が付き、シャッターのボタンを押す手を止める。

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