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「相良先生?」
「まぁ、なんというか……。俺、聖の曲って聴いてないんだ。というより、榛名の作った曲は……かな。だから、歌詞を直したっていうのも、本当かどうかも知らないんだ」
「そう……だったんですね」
「聖が海外に行く前に歌った曲は、全部榛名が残した曲なんだ。榛名が作って、聖が歌う……。どれもきっと最高にいい曲だろうな……。聖は……俺が好きだった榛名の曲を、ちゃんとこの世の中に残して多くの人に届けてくれた。本当は感謝してもしきれないくらいなんだよな……」
相良は満たされた表情をしており、聖への感謝の気持ちが璃玖にも伝わってきた。
だが、そんな相良の話を聞いて、璃玖はベッドの上で辛そうに話していた聖の様子を思い出す。
聖のデビュー曲は、アイドルの、しかもデビュー曲にしては珍しい片想いの曲だった。
曲調はアップテンポだったが、男性目線で語られる伝えられないまま想い続けるという切ない歌詞は、女性ファンだけでなく男性にも多くの共感を呼んで、デビュー曲ながら異例のヒットソングとなったと璃玖は母から聞いていた。
今、曲を思い返してみると、添えられた歌詞は聖の気持ちをそのまま書いたものだと璃玖は気が付いた。
(あれは聖さんが書いたんだ……。でも、相良先生のことを想って書いた歌詞なのに、届いていなかったなんて……)
届かないまま、それでも歌い続けた聖のことを考えると、璃玖は息が詰まり胸が締め付けられた。
「まぁ、なんというか……。俺、聖の曲って聴いてないんだ。というより、榛名の作った曲は……かな。だから、歌詞を直したっていうのも、本当かどうかも知らないんだ」
「そう……だったんですね」
「聖が海外に行く前に歌った曲は、全部榛名が残した曲なんだ。榛名が作って、聖が歌う……。どれもきっと最高にいい曲だろうな……。聖は……俺が好きだった榛名の曲を、ちゃんとこの世の中に残して多くの人に届けてくれた。本当は感謝してもしきれないくらいなんだよな……」
相良は満たされた表情をしており、聖への感謝の気持ちが璃玖にも伝わってきた。
だが、そんな相良の話を聞いて、璃玖はベッドの上で辛そうに話していた聖の様子を思い出す。
聖のデビュー曲は、アイドルの、しかもデビュー曲にしては珍しい片想いの曲だった。
曲調はアップテンポだったが、男性目線で語られる伝えられないまま想い続けるという切ない歌詞は、女性ファンだけでなく男性にも多くの共感を呼んで、デビュー曲ながら異例のヒットソングとなったと璃玖は母から聞いていた。
今、曲を思い返してみると、添えられた歌詞は聖の気持ちをそのまま書いたものだと璃玖は気が付いた。
(あれは聖さんが書いたんだ……。でも、相良先生のことを想って書いた歌詞なのに、届いていなかったなんて……)
届かないまま、それでも歌い続けた聖のことを考えると、璃玖は息が詰まり胸が締め付けられた。
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