中年中太り成金アロハシャツおじさんを地獄の底へ叩き落とす所から始まる異世界転移物語

トムボーイ

文字の大きさ
78 / 120
第八章 国家エスカルド

不安の種

しおりを挟む
「遅かったわね、ジェイクと何の話をしていたの?」
「愛の告白をジェイクから受けてましてね」
「……何故そう流水の如く嘘が言えるのよ……言いたくないのなら言わなくても良いけれど」
「お優しいですね、そんなマリアお嬢様が大好きです」
「うわ! 止めなさい! 貴方がそんな事を言うなんて気持ちが悪いわ!!」
「えぇー酷い事言いますね、俺の心は傷だらけですよ、マジで」
「よく言うわよ、そんな事よりナサル早速学校に向かいましょう」

 隣に立っていたナサルにそう言うマリア

「でも長旅でお嬢様もお疲れでしょうから今日はお休みしましょう」
「駄目よ、今日から出席するわ」

 馬車の中でマリアは闘争心を募らせ不安な気持ちを押し潰していた。明日になってしまえば押し潰した不安がまた脹らんでしまうそれは避けたい

「しかし……」
「大丈夫よ! 私はそんな軟じゃないわ」
「でも……」
「そ、そんな顔で私を見ないで頂戴な……こっちまで悲しくなるわ」
「……」
「な、何をどうしても私は今日学校に行くわ!」
「分かりました。行きましょう、その代わり私も同行させて頂きますね」
「うん、あ、あのでも私は私のやり方であの人達を見返したいのだから絶対に私のやり方に口出しはしないでね」
「分かりました」
「なら、行きましょ! あの人達を見返すわ! 絶対に!」

 マリアは目に闘志を宿し戦いの場に挑む、ジョンはそんなマリアを見ながらシルフィアの事を話すか迷っている

(お前に全てを託す……なんて言ったがシルフィアの件に関してはマリアお嬢様でどうこう出来るモノだとは思えない、しかし”約束”しちまったしなぁ~)
 
 マリアをもう一回見て

(やっぱ無しだな、今ですら精一杯の気持ちで立ち向かっているのにこれ以上敵を増やしたら恐らくこの儚い勇気も一瞬にして崩壊する、それは”無し”だ)

「何をボケッとしているのよ、ジョンも行くわよ!」
「……えぇ、分かってますよ、マリアお嬢様」

 ジョンもマリアと共に歩き出す。

 門の奥には美しい煉瓦造の三階建ての建物が見えその中では何千という子供達が何かを学んでいる、門の両脇には天使が踊りこちらを招く
 門番の眼から逃れ門を潜り中庭を抜け煉瓦造のその建物の中に入る

「ひぇ~これがマリアお嬢様の学校ですか……こりゃ掃除が大変そうだ」
「この校舎を見て初めて出た感想がそれか……」
「そりゃすいませんね、発想が貧困なもんでお前みたいに頭がメルヘンチックに出来て無いんだよ」
「……」
「や、止めなさいジョン! 何を言ってるのよ!」
「それで? これから何処に行くんです?」
「そ、そうね先ずは先生の所に行って挨拶をしてこなくちゃいけないわね、行き成りの登校だし色々と迷惑を掛けたから……」
「奴らとの決戦はその後ですか?」
「も、もう! 何よ! 何か言いたげね! 口出しはしないって約束でしょう!?」
「しませんよ、もしマリアお嬢様が死ぬ事があっても命令が無ければ何もしません、そういう命令でしたよね?」
「そうよ、それで良いの」
「し、死ぬまで……?」
「そう、俺達はマリアお嬢様の命令が無い限り何も出来ない、しないそういう約束で同行している、お前も承知しておけよナサル、そうでなきゃ意味が無いんだからな」

 だからシルフィアの事も黙って置く

「決着は必ず今日付けるわ、だから心配しないで頂戴よ」
「だ、そうだ。これで安心だな」

 勿論こんな事で安心出来るナサルでは無い、だが手を思いっ切り握りしめ唇も噛み締め言いたい事を我慢する、そんなナサルを心配そうに見るジョン

(余計な事しなきゃ良いが……)

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

処理中です...