56 / 201
第二部 少年と王女と教皇と 第二章 決意の時
2.それぞれの望み
しおりを挟む
僕、お師匠様、アル王女、教皇の4人で机を囲む。
小屋の外にはレイクさん、キラーリアさん、枢機卿レオノルさんが待機していて、隣の部屋にはリラとお母さんがいる。
なんとも混迷とした状況だが、最初に口を開いたのはお師匠様だった。
「さて、うるさいのは追い出したところで、話し合いだ。
が、その前に懸案事項と片付けておこう」
懸案事項?
「懸案事項ってなんですか?」
僕の質問に、お師匠様が言う。
「半日ほど前、ウチの馬鹿弟子2人が教会の異端審問官に殺されかけ、アル殿下が2人を助けるために彼らを殺した。
教皇さんからすれば王女に仲間を殺されたことになるし、王女殿下からすれば当然のことをしたと考える。この馬鹿弟子からすれば、教会には言いたいことがあるだろう。私としても、神託の対象になったパドはともかく、無関係なリラまで殺されそうになったことには色々と文句がある」
いや、僕も『ともかく』にしてほしくないんですけど。
今はそこをツッコむタイミングではないか。
「何しろ、話は殺す殺されるということで、しかも事実として人が死んでいるからね。
この点をきちんと処理した後でないと、話し合いもクソもないよ」
そりゃあそうだ。
今だって、教皇さんが僕を殺そうとしているんじゃないかってヒヤヒヤしているんだから。
教皇とアル王女もそれぞれも頷く。
「確かにそれは通りですね。私としてもそこをきちんとせずに話を進めるのは遺恨を残すと考えます」
「老婆――アラブシとかいったか――お前に仕切られるのはしゃくだが、確かに言葉は尤もだろう」
お師匠様は「ふむ」と頷く。
「時に教皇殿、結局、あれは異端審問官だったのだな?」
「それはノーコメントですね」
「だろうな。そもそも異端審問官はすでに存在しないはずの役職だからな」
そうなのか。
確かに、あの問答無用のやり方をする存在を教会が正式に認めるのは差し障り在りそうだけど。
「そこでだ、問題を整理するために敢えて先ほどの王女殿下の話に乗らないか?」
「どういうことでしょうか?」
「パドとリラを襲ったのは神父に化けた盗賊だった。教会とは無関係。そういうことにしちまおうって話だ」
いやいや、それは無茶でしょ、お師匠様。
事実としてあったことを無かったことになんてできるわけがないだろう。
そう思ったが、お師匠様がさらに続けると、アル王女も教皇も興味深げにした。
「そうすれば、教会は異端審問官や子どもを殺そうとした神父の存在を無かったことにできる。
王女殿下としても、教会と正面からぶつかるのは得策ではない。
私としても教会に目を付けられたくはないね。
馬鹿弟子2人の気持ちは……このさいどうでもいいだろ」
そうですか、僕とリラの意志はどうでもいいですか。
確かにこの状況じゃその通りだけどさぁ。
「私としてはそれで構わんぞ。面倒だしな」
アル王女はお師匠様の言葉に乗る気になったらしい。
「致し方がありませんね。ここは譲歩しましょう」
教皇も頷いた。
いいのかよ、それで。
正直、納得しにくいのだが、しかし確かに丸く収めるにはそれが一番なのかもしれない。
死んだ異端審問官はかわいそうな気もするけど、さすがに僕だけでなくリラまで殺そうとしたあいつらに、同情以上の感情は抱けないし。
「そうかい。懸案事項もなくなったところで、じゃあ本題に入ろう」
---------------
「さて、こういう話し合いでは、まず3者が望む事柄が何かをそれぞれ提示してもらうべきだろうね」
お師匠様、いつのまにか場を仕切っている。
すごいなぁ。
「まず、王女殿下、あんたの望みは王位ということでいいのかい?」
「最終的にはな。そのために力あるものを集めている」
「それが、神託の子ってわけか」
いや、あの、僕が力になれるとはとても思えないんですけど。
「そう思ったが、むしろ今は老婆、あんたが欲しいな。そのガキが役に立つかは判断保留だ」
「ふむ、なるほど。だが力あるものを集めたからといって王位は手に入らないだろう?
それとも私かパドに他の王子達の暗殺でもさせるつもりか?」
「それに関してはここではコメントできないな。ただ、暗殺などという手段をとるつもりはない。今のところはな」
アル王女の言葉に、お師匠様は「なるほど、なるほど」と頷く。
「次に教会だ。あんた達の望みは?」
「ここに来た理由は世界の存続ですよ。神託の内容を知って、王女殿下は200倍の力に価値を見いだされたようですが、教会としては世界が滅びるかもしれないという言葉に重きを置いています」
「つまり、パドを今のうちに殺しておこうというわけかい?」
「必要とあれば」
やっぱり、僕、殺されるの?
それはイヤだなぁ。
でも、僕のせいで世界が滅びると言われると……
それにしても、お師匠様は何を考えているんだろう?
結局、教会との対立は不回避に思えてきたんだけど。
「さて、最後にパド、あんたの願いは?」
問われ、考える。
願い。
僕の望み。
「僕は……そんな大それた願いなんてありません」
「ふむ、つまりここで世界のために殺されてもいいと?」
お師匠様は冷たく僕を睨む。
もし、お師匠様が僕を教皇に差し出せば、お師匠様やリラが教会と対立する意味は無くなる。
アル王女がどう考えるかは分からないけど、お師匠様とリラ、それにお母さんは護られる。
ならそれでも……
……などと考えてはいけないのだろう。
お師匠様の問いはそういう答えを期待したものじゃないと思う。
それに、それは僕の望みじゃない。
「僕の望みは、家族と幸せに暮らすことです。お母さんの呪いを解いて、いつかは村に帰って僕と両親と、それに友達もいっしょに。それ以上は望みません。でも、そのためならどんなことでもします」
これが僕の答え。
王位とか、世界の運命とか、そんな大それた話は僕には考えられない。
でも同時に、神託なんていうワケの分からないものを根拠に、世界のために死んでくれなんて言われて頷くつもりもない。
前世の両親は僕のために泣いてくれた。前世の弟は僕の代わりに両親を支えてくれた。
お医者さんや看護婦さんは最後まで僕を見捨てないでくれた。
今のお父さんは力や前世の記憶を持つ僕を受け入れて一緒に泣いてくれた。お母さんは7年かけて笑ってくれた。
お師匠様は厳しいけど僕に生きる方法を教えてくれる。
リラは僕を信じてくれたし、ジラは僕を待っていてくれる。
僕の命は僕だけのモノじゃないから。
だから、僕は簡単に自分の生を捨てたりしない。
「いい回答だ」
お師匠様は僕の答えに、一言そう、満足げに言った。
---------------
「さて、この場合、一番の懸念事項はやはり、神託においてパドが世界を滅ぼすかもしれないと語られていることだろうね」
お師匠様の言葉に、教皇、アル王女、僕もそれぞれ頷く。
「ええ、教会としてはそれは絶対に認められません」
「確かに世界が滅んでは王位もクソもないな」
「僕も、世界の滅びなんて望んでいません」
それでも僕の力と魔力は世界を滅ぼす呪いとなるのだろうか。
わからない。
そもそも、神託の言葉が曖昧すぎる。
もう一度思い出してみよう。
=====================
エーペロス大陸の南西、ゲノコーラ地方、ペドラー山脈にあるラクルス村。
その地に神の手違いにより転生しせりパド少年。
その者、200倍の力と魔力を持ち、闇との契約に至れり。
放置すれば世界が揺らぎ、やがて滅びるであろう。
=====================
前半2行は事実を述べただけだ。
問題は3行目。
200倍の力。
200倍の魔力。
――これはもうどうにもならない。
だが。
闇との契約。
これはルシフとの話だろう。
ならば、これ以上契約しなければ良いことなのではないか。
いや、それは甘いのか?
すでに契約したという事実がある以上、世界は滅ぶのか?
僕が今までルシフと契約したのは以下の通りだ。
結界魔法、フェイク死体作成魔法、漆黒の刃の魔法、怪我の治癒魔法。
どれも世界を滅ぼすような魔法とは思えない。
「そこで教皇、あなたが知らない情報をやろう」
そしてお師匠様は語り出す。
僕に接触したルシフについて。
「なるほど、その『闇』とやらがルシフの手のものだったと仮定するならば、確かに神託にある『闇との契約』という言葉も理解できますね。
それで?」
お師匠様、闇との契約を認めたらますます僕の命が危うくなると思うんですけど……
「あんたが今回聞いた“神託”、本当に神の言葉かい?」
お師匠様の問いに、教皇が顔をしかめる。
「あなたは神の言葉を疑うのですか?」
「いいや、神の言葉であるかどうかを疑っている」
微妙に違いが分からない。
教皇も困惑しながらブツブツと言う。
「それはどういう……いや、まさか……」
その教皇の困惑に、アル王女が言う。
「なるほどな。神の振りをしてあのガキが教皇に囁いた可能性か。確かにありそうな話だ」
アル王女の言葉に、僕はようやくお師匠様が何を言いのか理解した。
「アル殿下、あなたもルシフと出会ったことがあるのですか?」
「まあな」
アル王女は教皇に、7年前の話をかいつまんで説明した。
「そんな……あれは神の言葉ではなく……いやまさか……」
教皇は1人でブツブツいいながら歩き回る。
だが彼に――いや、彼だけでなく僕らにそれ以上考えている時間は無かった。
「うん? みんな、伏せなっ!!」
お師匠様が唐突に叫ぶ。
――なに?
考える間もなく。
小屋の天井と壁を破って漆黒の攻撃が僕らに襲いかかる。
家具や机の破片が飛び散る。
――今後は何!?
僕は壊れた天井から空を見上げる。
そこにいたのは……
「……『闇』」
そう。
数ヶ月前、ラクルス村を襲い、お母さんに大怪我をさせた『闇』が、空に佇んでいた。
小屋の外にはレイクさん、キラーリアさん、枢機卿レオノルさんが待機していて、隣の部屋にはリラとお母さんがいる。
なんとも混迷とした状況だが、最初に口を開いたのはお師匠様だった。
「さて、うるさいのは追い出したところで、話し合いだ。
が、その前に懸案事項と片付けておこう」
懸案事項?
「懸案事項ってなんですか?」
僕の質問に、お師匠様が言う。
「半日ほど前、ウチの馬鹿弟子2人が教会の異端審問官に殺されかけ、アル殿下が2人を助けるために彼らを殺した。
教皇さんからすれば王女に仲間を殺されたことになるし、王女殿下からすれば当然のことをしたと考える。この馬鹿弟子からすれば、教会には言いたいことがあるだろう。私としても、神託の対象になったパドはともかく、無関係なリラまで殺されそうになったことには色々と文句がある」
いや、僕も『ともかく』にしてほしくないんですけど。
今はそこをツッコむタイミングではないか。
「何しろ、話は殺す殺されるということで、しかも事実として人が死んでいるからね。
この点をきちんと処理した後でないと、話し合いもクソもないよ」
そりゃあそうだ。
今だって、教皇さんが僕を殺そうとしているんじゃないかってヒヤヒヤしているんだから。
教皇とアル王女もそれぞれも頷く。
「確かにそれは通りですね。私としてもそこをきちんとせずに話を進めるのは遺恨を残すと考えます」
「老婆――アラブシとかいったか――お前に仕切られるのはしゃくだが、確かに言葉は尤もだろう」
お師匠様は「ふむ」と頷く。
「時に教皇殿、結局、あれは異端審問官だったのだな?」
「それはノーコメントですね」
「だろうな。そもそも異端審問官はすでに存在しないはずの役職だからな」
そうなのか。
確かに、あの問答無用のやり方をする存在を教会が正式に認めるのは差し障り在りそうだけど。
「そこでだ、問題を整理するために敢えて先ほどの王女殿下の話に乗らないか?」
「どういうことでしょうか?」
「パドとリラを襲ったのは神父に化けた盗賊だった。教会とは無関係。そういうことにしちまおうって話だ」
いやいや、それは無茶でしょ、お師匠様。
事実としてあったことを無かったことになんてできるわけがないだろう。
そう思ったが、お師匠様がさらに続けると、アル王女も教皇も興味深げにした。
「そうすれば、教会は異端審問官や子どもを殺そうとした神父の存在を無かったことにできる。
王女殿下としても、教会と正面からぶつかるのは得策ではない。
私としても教会に目を付けられたくはないね。
馬鹿弟子2人の気持ちは……このさいどうでもいいだろ」
そうですか、僕とリラの意志はどうでもいいですか。
確かにこの状況じゃその通りだけどさぁ。
「私としてはそれで構わんぞ。面倒だしな」
アル王女はお師匠様の言葉に乗る気になったらしい。
「致し方がありませんね。ここは譲歩しましょう」
教皇も頷いた。
いいのかよ、それで。
正直、納得しにくいのだが、しかし確かに丸く収めるにはそれが一番なのかもしれない。
死んだ異端審問官はかわいそうな気もするけど、さすがに僕だけでなくリラまで殺そうとしたあいつらに、同情以上の感情は抱けないし。
「そうかい。懸案事項もなくなったところで、じゃあ本題に入ろう」
---------------
「さて、こういう話し合いでは、まず3者が望む事柄が何かをそれぞれ提示してもらうべきだろうね」
お師匠様、いつのまにか場を仕切っている。
すごいなぁ。
「まず、王女殿下、あんたの望みは王位ということでいいのかい?」
「最終的にはな。そのために力あるものを集めている」
「それが、神託の子ってわけか」
いや、あの、僕が力になれるとはとても思えないんですけど。
「そう思ったが、むしろ今は老婆、あんたが欲しいな。そのガキが役に立つかは判断保留だ」
「ふむ、なるほど。だが力あるものを集めたからといって王位は手に入らないだろう?
それとも私かパドに他の王子達の暗殺でもさせるつもりか?」
「それに関してはここではコメントできないな。ただ、暗殺などという手段をとるつもりはない。今のところはな」
アル王女の言葉に、お師匠様は「なるほど、なるほど」と頷く。
「次に教会だ。あんた達の望みは?」
「ここに来た理由は世界の存続ですよ。神託の内容を知って、王女殿下は200倍の力に価値を見いだされたようですが、教会としては世界が滅びるかもしれないという言葉に重きを置いています」
「つまり、パドを今のうちに殺しておこうというわけかい?」
「必要とあれば」
やっぱり、僕、殺されるの?
それはイヤだなぁ。
でも、僕のせいで世界が滅びると言われると……
それにしても、お師匠様は何を考えているんだろう?
結局、教会との対立は不回避に思えてきたんだけど。
「さて、最後にパド、あんたの願いは?」
問われ、考える。
願い。
僕の望み。
「僕は……そんな大それた願いなんてありません」
「ふむ、つまりここで世界のために殺されてもいいと?」
お師匠様は冷たく僕を睨む。
もし、お師匠様が僕を教皇に差し出せば、お師匠様やリラが教会と対立する意味は無くなる。
アル王女がどう考えるかは分からないけど、お師匠様とリラ、それにお母さんは護られる。
ならそれでも……
……などと考えてはいけないのだろう。
お師匠様の問いはそういう答えを期待したものじゃないと思う。
それに、それは僕の望みじゃない。
「僕の望みは、家族と幸せに暮らすことです。お母さんの呪いを解いて、いつかは村に帰って僕と両親と、それに友達もいっしょに。それ以上は望みません。でも、そのためならどんなことでもします」
これが僕の答え。
王位とか、世界の運命とか、そんな大それた話は僕には考えられない。
でも同時に、神託なんていうワケの分からないものを根拠に、世界のために死んでくれなんて言われて頷くつもりもない。
前世の両親は僕のために泣いてくれた。前世の弟は僕の代わりに両親を支えてくれた。
お医者さんや看護婦さんは最後まで僕を見捨てないでくれた。
今のお父さんは力や前世の記憶を持つ僕を受け入れて一緒に泣いてくれた。お母さんは7年かけて笑ってくれた。
お師匠様は厳しいけど僕に生きる方法を教えてくれる。
リラは僕を信じてくれたし、ジラは僕を待っていてくれる。
僕の命は僕だけのモノじゃないから。
だから、僕は簡単に自分の生を捨てたりしない。
「いい回答だ」
お師匠様は僕の答えに、一言そう、満足げに言った。
---------------
「さて、この場合、一番の懸念事項はやはり、神託においてパドが世界を滅ぼすかもしれないと語られていることだろうね」
お師匠様の言葉に、教皇、アル王女、僕もそれぞれ頷く。
「ええ、教会としてはそれは絶対に認められません」
「確かに世界が滅んでは王位もクソもないな」
「僕も、世界の滅びなんて望んでいません」
それでも僕の力と魔力は世界を滅ぼす呪いとなるのだろうか。
わからない。
そもそも、神託の言葉が曖昧すぎる。
もう一度思い出してみよう。
=====================
エーペロス大陸の南西、ゲノコーラ地方、ペドラー山脈にあるラクルス村。
その地に神の手違いにより転生しせりパド少年。
その者、200倍の力と魔力を持ち、闇との契約に至れり。
放置すれば世界が揺らぎ、やがて滅びるであろう。
=====================
前半2行は事実を述べただけだ。
問題は3行目。
200倍の力。
200倍の魔力。
――これはもうどうにもならない。
だが。
闇との契約。
これはルシフとの話だろう。
ならば、これ以上契約しなければ良いことなのではないか。
いや、それは甘いのか?
すでに契約したという事実がある以上、世界は滅ぶのか?
僕が今までルシフと契約したのは以下の通りだ。
結界魔法、フェイク死体作成魔法、漆黒の刃の魔法、怪我の治癒魔法。
どれも世界を滅ぼすような魔法とは思えない。
「そこで教皇、あなたが知らない情報をやろう」
そしてお師匠様は語り出す。
僕に接触したルシフについて。
「なるほど、その『闇』とやらがルシフの手のものだったと仮定するならば、確かに神託にある『闇との契約』という言葉も理解できますね。
それで?」
お師匠様、闇との契約を認めたらますます僕の命が危うくなると思うんですけど……
「あんたが今回聞いた“神託”、本当に神の言葉かい?」
お師匠様の問いに、教皇が顔をしかめる。
「あなたは神の言葉を疑うのですか?」
「いいや、神の言葉であるかどうかを疑っている」
微妙に違いが分からない。
教皇も困惑しながらブツブツと言う。
「それはどういう……いや、まさか……」
その教皇の困惑に、アル王女が言う。
「なるほどな。神の振りをしてあのガキが教皇に囁いた可能性か。確かにありそうな話だ」
アル王女の言葉に、僕はようやくお師匠様が何を言いのか理解した。
「アル殿下、あなたもルシフと出会ったことがあるのですか?」
「まあな」
アル王女は教皇に、7年前の話をかいつまんで説明した。
「そんな……あれは神の言葉ではなく……いやまさか……」
教皇は1人でブツブツいいながら歩き回る。
だが彼に――いや、彼だけでなく僕らにそれ以上考えている時間は無かった。
「うん? みんな、伏せなっ!!」
お師匠様が唐突に叫ぶ。
――なに?
考える間もなく。
小屋の天井と壁を破って漆黒の攻撃が僕らに襲いかかる。
家具や机の破片が飛び散る。
――今後は何!?
僕は壊れた天井から空を見上げる。
そこにいたのは……
「……『闇』」
そう。
数ヶ月前、ラクルス村を襲い、お母さんに大怪我をさせた『闇』が、空に佇んでいた。
0
あなたにおすすめの小説
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる