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【番外編】王女の後悔、少女の悔恨
【番外編33】少女の悔恨
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇
(リラ視点/三人称)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
リラにとって、パドが自分を光の元に導いてくれた人だとしたら、アルは光りそのものだった。
ありとあらゆるものを自らの剣で切り開き突き進む――その姿に憧れてすらいた。
テルグスの街を出た翌日、宿の女性だけの部屋で、お互いの出自を明かしたあの夜。
リラは自分の夢を語った。
人族と獣人が――そして、これから会いに行くというエルフや龍族が、さらにドワーフも、みんなが仲良く暮らせる世界。
そんな子供じみた夢。
だが、アルはその子供じみた夢を現実にしようと言ってくれた。
パドが連れ出してくれた光の先を、アルは共に切り開こうと言ってくれたのだ。
リリィやキラーリアもそのアルに着いていくと言った。
それは、少女達の儚い夢の話だったのかもしれない。
だが、リラはそれを本気で夢見た。
龍族の前で自らが女王になった後の夢を語るアルに、リラは着いていこうと思った。
パドと一緒に。
だから。
いざ王位を継げるというところまできて、アルがそれを拒否したことは、リラからすれば最大の裏切りだった。
政治判断とか、戦争とか、そんな話はどうでもいい。
アルの本音が、自分やパドをこれ以上巻き込みたくないというものだということも、薄々分かっている。
分かっていてなお、だからこそリラにとっては裏切りだったのだ。
(もういい、パドのお母さんが治ったら一緒にどこかに行こう)
テルグスの街やラクルス村には行きにくいかもしれない。
だけど、どこかでひっそり暮らすくらいどうにでもなる。
いや、ならないかもしれないが、パドといっしょなら物乞いでも泥棒でも、なんでもやってやる。
そんなやけっぱちな思いを抱えながら挑んだパドの母親の解呪。
パドの母を中心に荒れ狂う衝撃波。
パドの魔力障壁も儚く消え、わけのわからないままリラは死を覚悟した。
気を失ったパドを抱きしめながら、彼と一緒に死ぬならそれもいいかもしれないと思った。
だが、運命は彼女を――彼女とパドを弄ぶ。
次の瞬間、目の前が真っ暗になった。
まるで、ルシフに誘われたときのように。
だが違った。
真っ暗になると同時に真っ白にもなった。
矛盾するようだが、ありとあらゆる色が目の前にあふれかえり、脳に焼き付いた。
そして。
リラは見たこともない世界にいた。
---------------
その世界はうつろっていた。
黒いと思えば白くなり、青いと思えば赤くなり、緑と思えば紺に変わった。
何もない世界が、次々に様々な色に変わり、しかしその世界に存在するのはリラと、リラの腕の中で気を失っているパドだけだった。
(なに? なんなの、これ?)
寒い。同時に暑い。
冷たい。同時に熱い。
苦しい。同時に気持ちいい。
綺麗。同時に汚い。
ありとあらゆる矛盾がその世界に存在し、そして同時に何も存在しなかった。
「……リラ?」
そんななか、パドが目をさました。
「……ここ、どこ?」
「わからない」
いいながら、リラはそれでも安心感を覚えた。
この不安定極まりない世界にいてなお、パドと一緒にいられる。
うつろう世界であっても、パドがここにいることは間違いない。
そんなリラたちに、聞き覚えのある『声』が届いた。
『おしえてあげようか、パドお兄ちゃん、リラお姉ちゃん』
耳ではなく、脳に届いたその声は、ルシフのものだった。
(リラ視点/三人称)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
リラにとって、パドが自分を光の元に導いてくれた人だとしたら、アルは光りそのものだった。
ありとあらゆるものを自らの剣で切り開き突き進む――その姿に憧れてすらいた。
テルグスの街を出た翌日、宿の女性だけの部屋で、お互いの出自を明かしたあの夜。
リラは自分の夢を語った。
人族と獣人が――そして、これから会いに行くというエルフや龍族が、さらにドワーフも、みんなが仲良く暮らせる世界。
そんな子供じみた夢。
だが、アルはその子供じみた夢を現実にしようと言ってくれた。
パドが連れ出してくれた光の先を、アルは共に切り開こうと言ってくれたのだ。
リリィやキラーリアもそのアルに着いていくと言った。
それは、少女達の儚い夢の話だったのかもしれない。
だが、リラはそれを本気で夢見た。
龍族の前で自らが女王になった後の夢を語るアルに、リラは着いていこうと思った。
パドと一緒に。
だから。
いざ王位を継げるというところまできて、アルがそれを拒否したことは、リラからすれば最大の裏切りだった。
政治判断とか、戦争とか、そんな話はどうでもいい。
アルの本音が、自分やパドをこれ以上巻き込みたくないというものだということも、薄々分かっている。
分かっていてなお、だからこそリラにとっては裏切りだったのだ。
(もういい、パドのお母さんが治ったら一緒にどこかに行こう)
テルグスの街やラクルス村には行きにくいかもしれない。
だけど、どこかでひっそり暮らすくらいどうにでもなる。
いや、ならないかもしれないが、パドといっしょなら物乞いでも泥棒でも、なんでもやってやる。
そんなやけっぱちな思いを抱えながら挑んだパドの母親の解呪。
パドの母を中心に荒れ狂う衝撃波。
パドの魔力障壁も儚く消え、わけのわからないままリラは死を覚悟した。
気を失ったパドを抱きしめながら、彼と一緒に死ぬならそれもいいかもしれないと思った。
だが、運命は彼女を――彼女とパドを弄ぶ。
次の瞬間、目の前が真っ暗になった。
まるで、ルシフに誘われたときのように。
だが違った。
真っ暗になると同時に真っ白にもなった。
矛盾するようだが、ありとあらゆる色が目の前にあふれかえり、脳に焼き付いた。
そして。
リラは見たこともない世界にいた。
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その世界はうつろっていた。
黒いと思えば白くなり、青いと思えば赤くなり、緑と思えば紺に変わった。
何もない世界が、次々に様々な色に変わり、しかしその世界に存在するのはリラと、リラの腕の中で気を失っているパドだけだった。
(なに? なんなの、これ?)
寒い。同時に暑い。
冷たい。同時に熱い。
苦しい。同時に気持ちいい。
綺麗。同時に汚い。
ありとあらゆる矛盾がその世界に存在し、そして同時に何も存在しなかった。
「……リラ?」
そんななか、パドが目をさました。
「……ここ、どこ?」
「わからない」
いいながら、リラはそれでも安心感を覚えた。
この不安定極まりない世界にいてなお、パドと一緒にいられる。
うつろう世界であっても、パドがここにいることは間違いない。
そんなリラたちに、聞き覚えのある『声』が届いた。
『おしえてあげようか、パドお兄ちゃん、リラお姉ちゃん』
耳ではなく、脳に届いたその声は、ルシフのものだった。
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