神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう

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第六部 少年はかくて勇者と呼ばれけり 第二章 光と闇

3.光と闇の剣

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 僕とリラは天へと昇り、8つの犬の首を持つ化け物を見下ろす位置へと向かう。

「何のつもりだ、神託の子よ」

 化け物の8つの口が同時にそう尋ねるが、答えてやるつもりなどない。

「リラ、僕が飛び降りたらすぐに逃げて」
「……でも」
「頼む。正直、君を庇う余裕はないから」

 僕の言葉に、龍の姿をしたリラは頷いた。

「わかった。でも、本当に死なないでね」
「もちろんだよ」

 リラの言葉に、僕は力強く答えた。

 ルシフと対峙するまで、死んでたまるか。
 こんな化け物、僕が倒してみせる。

 そして、僕はリラの背から飛び降りた。
 狙うは化け物の首の付け根っ!
 重力を味方につけて、僕は突き進む。

「ふざけるなぁぁぁ!」

 叫び、8本の犬の首が、僕に襲いかかる。
 1本目の犬の牙を、アル様の大剣で受ける。
 だが。

 大剣がもろくも2つに割れてしまう。

「クソっ」

 落下しながら毒づく僕。

「愚かな。われら『デネブ』の眷属が与えし刃が、我に届くものか」

 どうやら、アル様の大剣に頼れるのはここまでのようだ。
 だが、それでも有り難かった。
 もし、大剣がなかったら、僕は最初から漆黒の刃や光の剣の魔法で戦うしかなく、早々に魔力切れを起こしていただろう。

 2本目、3本目の犬の首が襲いかかってくる。

「刃よっ、剣よっ!」

 僕は叫び、左手から漆黒の刃を、右手から光の剣を伸ばす。
 刃と剣は犬の首を弾いた。
 だが、漆黒の刃で受け止めた2本目の犬の首はほとんど傷つかず、光の剣で受け止めた3本目の首は少しだけ傷が付く。

 やはりか。
 こいつにはルシフから授かった漆黒の刃は通用しない。

 だけど。

 光の剣も致命傷にはなっていない。

(どうする?)

 犬の首は次々と襲いかかってくる。
 僕はその悉くを漆黒の刃と光の剣で弾く。

 眼前にはヤツの首筋。
 そこに光の剣を突き刺すつもりだったのだが。
 おそらく、それだけではダメだ。

 ならどうする?

 その時、僕は思いつく。
 それはただの思いつき。
 できるのか? そんなことが?

 だが、もう迷っている時間は無い。
 ヤツの胴体は目の前だ。

 僕は左手と右手を握り合う。
 漆黒の刃と光の剣が混じり合う。

「光と闇を合わせるだと!?」

 僕の手の中で、光と闇の力が荒れ狂う。

「くぅっ!」

 無意識のうちに、僕の口から苦痛が漏れる。

 かつて、お師匠様は言っていた。
 僕の魔力は凄まじいが、一気に放出すれば堤防が決壊してしまうと。

 今はまさにその状態。
 僕の体が耐えられないほどの魔力が手のひらの中で荒れ狂う。

 光と闇が反発しつつも合体し大剣となり、化け物の首筋に突き刺さる。

「いっけぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 最後は気合いだった。
 200倍の力と魔力を持って生まれた僕。
 今まで、その全てを使ったことはない。

 いま、初めて、200倍の力で、200倍の魔力を押しつける!
 まるで、僕の全てが武器になってしまったような感覚。

「まさか……」

 化け物の声がする。

「……まさか、こんな結末になるとはな……我が、何千年にも及ぶ願いの果てが……」

 ああ、そうさ、分かっている。
 デウスがくれた記憶と記録。
 その中にはお前のことも入っていた。

 この世界の『デネブ』とはお前のことだ。

「ルシフ……そう名乗ったお前は……」

 そう、ルシフは真の『デネブ』じゃない。

 あいつは。
 あいつの正体はっ。

 次の瞬間。
 化け物の体が真っ黒な霧になり、消えていく。
 僕の体は重力に引かれそのまま地面に突き進む。

 ――結界をっ!!

 激突の衝撃を和らげるため、魔力結界を張ろうとし――

 ――発動しないっ!?

 ああ、そうか。
 化け物を退治するのに200倍の魔力全部使っちゃったもんなぁ。

 そういえばお師匠様に最初に言われたっけなぁ。

『もしも、魔法が上手く発動しなかったら?』

 決まってる。
 そのまま地面に叩き付けられるだけだ。

 そして、僕の体は地面にぶつかり、大きく跳ねて森の中に転がったのだった。
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