僕らはロボットで宇宙《そら》を駆ける

ななくさ ゆう

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第六章 決戦準備

21.救うための犠牲

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 ケン・トの宇宙船の格納庫。
 エスパーダから下りたソラと舞子を待っていたのは……

「クギャー、待っていたギャー」

 ……頭上を跳び回る鳥だった。

「鳥!?」

 いきなり宇宙船の格納庫に、赤い色のカラスみたいな鳥が現れて面食らう2人。

「ギャー、俺はクーギャだギャー」

 宇宙のカラスって喋るの!?

「俺は鳥型アンドロイドギャー。ついてくるギャー」

 人型のアンドロイドがいるのだから、鳥型のアンドロイドがいてもおかしくはないか。
 そう無理矢理自分を納得させるソラ。
 なにより、今はそれどころじゃない。

 案内された先には、青髪の男がいた。

「よ、ぼっちゃん、じょうちゃん。俺様の船にようこそ」

 男から発せられた声は、間違いなくケン・トのものだった。
 一度は戦い、一度は助けられた相手。
 何となく気まずいが、今は敵対するわけにいかない。

 ソラは頭を下げて言った。

「どうも……その、さっきはありがとうございました」
「うん? ああ、地球ってか日本の謝礼の仕草だっけ? いいって、いいって。気にすんな」

 カッカッカッと笑うケン・ト。

 舞子はそんな2人の会話を無視するように言った。

「で、レランパゴはどこ?」
「おいおい、嬢ちゃん、こっちはお前らの星のためにレランパゴを提供してやろうっていうんだぜ。もう少し友好的にできないもんかね?」
「もともと、私たちから奪っていったもんでしょうがっ」
「それは見解の違いだね。道ばたに落ちていたかねを同時に見つけたときに、早い者勝ちで駆け寄った方が手にしたというだけのことだろ」
「都合が良すぎでしょ、その解釈」

 バチバチと視線で喧嘩するケン・トと舞子。
 ソラはなんとか仲を取り持とうとする。

「舞子、落ち着いて。今はケン・トさんと喧嘩している場合じゃないだろう」
「ふんっ」

 プイっとそっぽを向く舞子。

「レランパゴは宇宙船の後方につんである。エスパーダで運ぶしかねーな」
「じゃあ、なんで私たちを一度乗船させたのよ?」
「いや、1度会ってみたいなと」
「何よそれ、時間の無駄だわ」
「太陽系までの距離と疑似ワープ航法のことを考えれば大した時間ロスじゃないだろ」
「それでも、ロスはロスでしょ!?」

 どうにも険悪な雰囲気のまま、3人は格納庫に戻って再びエスパーダに乗り込んだ。

 ――と。

(通信? 舞子から? しかも個別通信?)

 個別通信は他の者――つまり、トモ・エやケン・トに聞かれない通信だ。

「どうしたの、舞子?」
「ねえ、このままでいいのかな?」
「何が?」
「だって、このままレランパゴを運んで、トモ・エだけを太陽系に送り出して自爆させるなんて……そんなのやっぱり……」

 おそらくずっと考えていたのだろう。
 舞子の声には躊躇があった。

 ソラだって同じ気持ちだ。
 トモ・エを犠牲にして地球を救う。本当にそれでいいのかという想いはある。

 アンドロイドなら、AIをバックアップできないのかとトモ・エに聞いたが、イスラ星のアンドロイドの知能のバックアップは不可能らしい。
 単なる記憶データとしてならばバックアップできるのだが、それでは元の『人格』にはならないという。
 いわく、人間の脳をそのままクローン培養して記憶を移植しても、人格の移植にはならないのと同じことらしい。正直、意味が分からないが。

 トモ・エの知識についてはバックアップできるので、後で転送するとのこと。授業で教えられなかったことも勉強できるでしょうなどと言われて、ますます落ち込みたくなる。

「だって、他に方法がないじゃないか」
「私たちで倒すのは……やっぱり無理なんだよね?」
「それは……」

 ソラはそこで言いよどむ。
 思い浮かぶのは、レランパゴを前にして恐怖に固まった舞子の姿。
 可能不可能という以前に、舞子に2度とあんな思いをしてほしくはない。

 だから、ソラはこう答えた。

「やっぱり、無理だと思うよ。だって、100体以上、それもさっきいのヤツの何倍もの大きさのヒガンテがいるんだし」
「……そう、そうよね」

 舞子はそれっきり黙った。

 ソラだって本当はトモ・エを犠牲になんてしたくない。
 可能なら、いっそ自分が宇宙船を操って自爆させてもいいと思うくらいだ。
 だが、自分の操舵技術では無理だ。もちろん、舞子も。
 ケン・トの操舵技術は知らないが、さすがに地球のために死んでくれと彼に言うわけにはいかない。

 ケン・トのエスパーダが発進する。

「いこう。舞子」
「……うん」

 舞子の声はか細かった。
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