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暗殺なんて、あんまりです!
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その日、彼は最後にと依頼を受けて侯爵家に侵入した。
貴族社会に認知されるお披露目パーティ。
その当日に、この世から去ることになる子供を悼むことすら彼には許されない。侯爵令嬢殺害の依頼は短絡的と思わなくもなかったが、所詮貴族なんてそんなものだと幼子を手に掛けることに戸惑いはない。それが、彼の仕事であるから。
物音をたてることなく、部屋に侵入して目標に刃を振り上げる。
「いらっしゃい」
まるで知人が訪ねてきたかのような気安さで、そう声がかけられる。
戸惑いはなく、恐れすら感じない声の主がむくりと起き上がった。
「こんばんは」
彼がくることを知っていたかのように、目標の妹である少女はそう言った。
何が起こるか理解していないのだろうか。
そう思わせるような口ぶりだったが、その瞳は彼を射抜くように強い。
彼女はわかっているのだ。自身の姉を殺しに来た男だと。
わかっていて、騒ぎもせずに声をかけるその胆力。彼が驚くのは当然と言えた。
「おねぇさまをころすのですか」
舌足らずな声音で、はっきりとそう問うた。
(なんなんだこの子供は)
彼はごくりと息を呑む。
振り上げた刃を下ろすことも、声を返すこともできない。
金髪が月光に反射して星を集めたように輝き、空色の瞳は爛々と輝いて彼を動けなくさせる。
裏の世界で本名を呼ばれるほど、危険なことはない。
誰もが初めは名無しとして活動し、数多の場数を踏んできた者は、自然と二つ名で言われる。
彼もまた、裏の世界で漆黒の暗殺者という二つ名で呼ばれるほどに有名となった。
その故に今こうして高難易度である侯爵家の侵入に成功しているわけだが、まさか、子供一人の言葉で動けなくなるとは思っても見ない。
「とりひきをしませんか」
「取引……?」
漸く絞り出した声で、聞き返す。
別にここで刃を振り下ろしても、きっとこの少女は彼を止めることは出来ない。その上、彼は少女を容易に殺すことができるだろう。絶叫すらあげさせることなく。
それにも関わらず、抑揚のない声は彼の行動を留めさせた。
「わたしとおねえさまにみをまもるすべを、あなたはおしえる」
「なぜだ」
それは尋常ではない子供とあったが故の好奇心だったのかもしれない。
気づけばそう聞いていた。当然の質問でもあった。
そこには彼がなぜ教えなければならないというニュアンスを含んでいたのだが、敢えてそれには答えず、もう一つのなぜ彼に教えを請うているのかという質問に少女は答えた。
「こうしゃくけのれいじょうは、けんをもってはならない。ちちにそういわれました。けれど、おもてだつことなく、みをまもれる。ちょうど、あなたのように。あんきなら」
「あんき……暗器か。侯爵家のご令嬢なら、守られる側だ。必要ないことだと思うがね」
女は守られるもの。家を取り仕切り、守るもの。それは貴族社会だけではなく、平民も同じだ。余程の害悪親でなければ、女性が刃を手に取ることはないし、そのような女性は一般的に煙たがれるもの。
そういう認識が蔓延する世界だ。
「それだけでは、まもれない。これからさき、おこることのたいさくをおこなわないのは、ぐのこっちょう」
「起こることの対策、ね。今、俺がお前達2人を殺せばこれからさきも無くなるがどうだ」
そんな意地の悪い問いかけに、少女はつと目を閉じる。
時間をかけず目を開いた少女は、全てを見透かすような。
ただ、彼がからかっていることを知っているかのような目で見返してきた。
彼は今まで仕事上、仕方なく行った殺しはある。
けれど、余計な殺生もまた好まなかった。
だから、私のことを殺しはしないでしょう。そう、言っているようで。
「たいかを、しめしましょう」
「対価?」
先程から難しい言葉を知っているなと彼は冷静な頭の片隅で思う。
大部分は大混乱だ。暗殺者相手に騒ぎもせず、かといって大人のように命乞いもせず。寝返れと取引を持ちかける子供がそういてたまるかという心境。
子供のような見た目であるが、すでに話の流れは彼ではなく少女が握っているのだから。
「あなたのあしを、なおします」
「!」
少女の言葉に驚きを隠せない。
プロとしては失格だろう。このような子供に片足を失っていることを知られたのだから。
この仕事を紹介した同業者でも彼が片足であることを知らない。
足を失ったのは不慮の事故だった。
数年前に依頼を達成した後、たまたま通りかかった馬車が魔物に襲われて。見過ごす気であったのに、その馬車が知り合いのものだったから助けるしかなかった。その時に失った。
そのことを知っているのは彼を含めてもう2人だけであるのに。
初対面の、まさか外の世界さえ知らないような少女が知っているはずがない。
「あなたは、かげのなかから、あらわれました」
「……そういうことか」
警戒を強めた彼に、ずっと起きていたのか。
少女は彼が現れたところを見ていたのだ。
「あなたのまほうは、かげ、ですね」
「そうだ。俺は影の魔法を使う。影のある場所を移動でき、影をある程度動かせる」
別に否定することではないと、彼は応えた。
失った片足がさもあるように動かせるのは、義足のおかげではない。
寝る時以外は最小限の魔力で常時魔法を発動させ、服の中にできた影を動かしている。
むしろ影のおかげで人間離れした動きも少しながらできるよう訓練しているのだから、人生どうなるかわからない。
しかし、この魔法にはデメリットがある。
影の中を服ごと移動し、なおかつ侯爵家に張り巡らされた厳重な魔法結界をくぐり抜けるのは一苦労であった。
魔法を2つ同時起動していたならばきっと侵入にバレていたことだろう。
つまるところ、この部屋に侵入して影からでた直後。
彼は片足が動かせない状態だったのだ。
「お前の魔法は治癒か? なら残念だが、俺の足は治せない」
怪我を治す代表的な魔法は治癒魔法だ。
治癒魔法とは、体に負った傷や病気が治る魔法。
けれど、大きな傷は傷跡が残ったり病気は傷ついた臓器が完全に治るわけではなく、後遺症が残る場合もある。
要は治癒魔法とは体の再生能力を高めて時間を早送りする。そういう魔法だ。
刃物で綺麗に切り落とされた直後であれば繋げることも可能だが、完全に失ったものを元通りにすることはできない。それが治癒魔法の常識だ。
「いいえ。ちがいます」
首を振った少女は、つと部屋に飾られた花瓶に目をやる。
そこには美しく咲き誇る花が生けられていたが、何故か一本だけ枯れてしまっているものがあった。
動けば姉を起こしてしまうからと目線で取ってきてほしいと請われて、彼は渋々その一本を少女に渡す。
これだけ話していても起きない姉なのだから、多少寝台から離れたところで起きないと思うのだが、話が進まなそうなのでそうするしかなかった。
花が少女に渡ると、そっと包むように少女は花を抱く。
そうすれば、少女の手の中に微かな光が生まれた。
魔法を発動する時、たまに光を発する者がいる。だから彼も不思議に思うことはないが、魔法を習ってもいないだろう年頃の少女が平然と魔法を発動出来ることに驚く。
「これは……」
彼は思わず声を漏らす。
少女の手の中には、枯れていた花が生気を取り戻して瑞々しく咲いていたのだ。
治癒魔法は再生能力を高める魔法。故に再生能力を失った花に魔法を発動することはできない。
それにも関わらず、少女は見事花を元通りにしてみせたのには驚くしかない。
確かに、少女の魔法は治癒ではなかった。
「いまは、これだけしかできません」
しょんぼりとする少女。
現在では彼の足を元通りにすることはできないと言いたいのだろう。
小さな小さな魔法。けれど、治癒ではないその魔法はまるで小さな子どもが聞くような、お伽噺のような魔法。
ここで連れ去れば、彼は富を築けると仄暗い思考が過るほどに魅力的なものだ。
「おねぇさまとわたしをいかして。そして、ごえいときょういくを。たいかは、あなたのあし」
「護衛とは。増えてるじゃねえか」
ついでとばかりに要求を増やす少女に喉の奥で笑ってみせる。
もう、依頼をこなすことは諦めていた。
自分の失ったものがもとに戻る可能性を見たからというのもある。
それよりも、目の前の少女に対する好奇心が勝ったというのが大部分だが。
彼は今回の依頼を最後に引退しようと考えていた。
守るべきものが出来てしまった者は、長く暗殺者として生きるにはむいていない。
人を殺し、自分を殺し、最後に心を殺す者は、守ることは出来ないのだとわかっていたから。
けれど、最後の依頼を失敗に終わらせて、新しい人生を歩んでも良いのではないかと。
そう思えた。
勿論、後始末はきちんとつけてからになるが。
「わかった」
彼は寝台にいる少女にむけて、膝を付く。
「取引は成立だ」
月夜の晩に行われた契約は、その後彼の人生を大きく変えていくのだが。
この時、少女も彼も、そして周囲すらもその未来を知らない。
貴族社会に認知されるお披露目パーティ。
その当日に、この世から去ることになる子供を悼むことすら彼には許されない。侯爵令嬢殺害の依頼は短絡的と思わなくもなかったが、所詮貴族なんてそんなものだと幼子を手に掛けることに戸惑いはない。それが、彼の仕事であるから。
物音をたてることなく、部屋に侵入して目標に刃を振り上げる。
「いらっしゃい」
まるで知人が訪ねてきたかのような気安さで、そう声がかけられる。
戸惑いはなく、恐れすら感じない声の主がむくりと起き上がった。
「こんばんは」
彼がくることを知っていたかのように、目標の妹である少女はそう言った。
何が起こるか理解していないのだろうか。
そう思わせるような口ぶりだったが、その瞳は彼を射抜くように強い。
彼女はわかっているのだ。自身の姉を殺しに来た男だと。
わかっていて、騒ぎもせずに声をかけるその胆力。彼が驚くのは当然と言えた。
「おねぇさまをころすのですか」
舌足らずな声音で、はっきりとそう問うた。
(なんなんだこの子供は)
彼はごくりと息を呑む。
振り上げた刃を下ろすことも、声を返すこともできない。
金髪が月光に反射して星を集めたように輝き、空色の瞳は爛々と輝いて彼を動けなくさせる。
裏の世界で本名を呼ばれるほど、危険なことはない。
誰もが初めは名無しとして活動し、数多の場数を踏んできた者は、自然と二つ名で言われる。
彼もまた、裏の世界で漆黒の暗殺者という二つ名で呼ばれるほどに有名となった。
その故に今こうして高難易度である侯爵家の侵入に成功しているわけだが、まさか、子供一人の言葉で動けなくなるとは思っても見ない。
「とりひきをしませんか」
「取引……?」
漸く絞り出した声で、聞き返す。
別にここで刃を振り下ろしても、きっとこの少女は彼を止めることは出来ない。その上、彼は少女を容易に殺すことができるだろう。絶叫すらあげさせることなく。
それにも関わらず、抑揚のない声は彼の行動を留めさせた。
「わたしとおねえさまにみをまもるすべを、あなたはおしえる」
「なぜだ」
それは尋常ではない子供とあったが故の好奇心だったのかもしれない。
気づけばそう聞いていた。当然の質問でもあった。
そこには彼がなぜ教えなければならないというニュアンスを含んでいたのだが、敢えてそれには答えず、もう一つのなぜ彼に教えを請うているのかという質問に少女は答えた。
「こうしゃくけのれいじょうは、けんをもってはならない。ちちにそういわれました。けれど、おもてだつことなく、みをまもれる。ちょうど、あなたのように。あんきなら」
「あんき……暗器か。侯爵家のご令嬢なら、守られる側だ。必要ないことだと思うがね」
女は守られるもの。家を取り仕切り、守るもの。それは貴族社会だけではなく、平民も同じだ。余程の害悪親でなければ、女性が刃を手に取ることはないし、そのような女性は一般的に煙たがれるもの。
そういう認識が蔓延する世界だ。
「それだけでは、まもれない。これからさき、おこることのたいさくをおこなわないのは、ぐのこっちょう」
「起こることの対策、ね。今、俺がお前達2人を殺せばこれからさきも無くなるがどうだ」
そんな意地の悪い問いかけに、少女はつと目を閉じる。
時間をかけず目を開いた少女は、全てを見透かすような。
ただ、彼がからかっていることを知っているかのような目で見返してきた。
彼は今まで仕事上、仕方なく行った殺しはある。
けれど、余計な殺生もまた好まなかった。
だから、私のことを殺しはしないでしょう。そう、言っているようで。
「たいかを、しめしましょう」
「対価?」
先程から難しい言葉を知っているなと彼は冷静な頭の片隅で思う。
大部分は大混乱だ。暗殺者相手に騒ぎもせず、かといって大人のように命乞いもせず。寝返れと取引を持ちかける子供がそういてたまるかという心境。
子供のような見た目であるが、すでに話の流れは彼ではなく少女が握っているのだから。
「あなたのあしを、なおします」
「!」
少女の言葉に驚きを隠せない。
プロとしては失格だろう。このような子供に片足を失っていることを知られたのだから。
この仕事を紹介した同業者でも彼が片足であることを知らない。
足を失ったのは不慮の事故だった。
数年前に依頼を達成した後、たまたま通りかかった馬車が魔物に襲われて。見過ごす気であったのに、その馬車が知り合いのものだったから助けるしかなかった。その時に失った。
そのことを知っているのは彼を含めてもう2人だけであるのに。
初対面の、まさか外の世界さえ知らないような少女が知っているはずがない。
「あなたは、かげのなかから、あらわれました」
「……そういうことか」
警戒を強めた彼に、ずっと起きていたのか。
少女は彼が現れたところを見ていたのだ。
「あなたのまほうは、かげ、ですね」
「そうだ。俺は影の魔法を使う。影のある場所を移動でき、影をある程度動かせる」
別に否定することではないと、彼は応えた。
失った片足がさもあるように動かせるのは、義足のおかげではない。
寝る時以外は最小限の魔力で常時魔法を発動させ、服の中にできた影を動かしている。
むしろ影のおかげで人間離れした動きも少しながらできるよう訓練しているのだから、人生どうなるかわからない。
しかし、この魔法にはデメリットがある。
影の中を服ごと移動し、なおかつ侯爵家に張り巡らされた厳重な魔法結界をくぐり抜けるのは一苦労であった。
魔法を2つ同時起動していたならばきっと侵入にバレていたことだろう。
つまるところ、この部屋に侵入して影からでた直後。
彼は片足が動かせない状態だったのだ。
「お前の魔法は治癒か? なら残念だが、俺の足は治せない」
怪我を治す代表的な魔法は治癒魔法だ。
治癒魔法とは、体に負った傷や病気が治る魔法。
けれど、大きな傷は傷跡が残ったり病気は傷ついた臓器が完全に治るわけではなく、後遺症が残る場合もある。
要は治癒魔法とは体の再生能力を高めて時間を早送りする。そういう魔法だ。
刃物で綺麗に切り落とされた直後であれば繋げることも可能だが、完全に失ったものを元通りにすることはできない。それが治癒魔法の常識だ。
「いいえ。ちがいます」
首を振った少女は、つと部屋に飾られた花瓶に目をやる。
そこには美しく咲き誇る花が生けられていたが、何故か一本だけ枯れてしまっているものがあった。
動けば姉を起こしてしまうからと目線で取ってきてほしいと請われて、彼は渋々その一本を少女に渡す。
これだけ話していても起きない姉なのだから、多少寝台から離れたところで起きないと思うのだが、話が進まなそうなのでそうするしかなかった。
花が少女に渡ると、そっと包むように少女は花を抱く。
そうすれば、少女の手の中に微かな光が生まれた。
魔法を発動する時、たまに光を発する者がいる。だから彼も不思議に思うことはないが、魔法を習ってもいないだろう年頃の少女が平然と魔法を発動出来ることに驚く。
「これは……」
彼は思わず声を漏らす。
少女の手の中には、枯れていた花が生気を取り戻して瑞々しく咲いていたのだ。
治癒魔法は再生能力を高める魔法。故に再生能力を失った花に魔法を発動することはできない。
それにも関わらず、少女は見事花を元通りにしてみせたのには驚くしかない。
確かに、少女の魔法は治癒ではなかった。
「いまは、これだけしかできません」
しょんぼりとする少女。
現在では彼の足を元通りにすることはできないと言いたいのだろう。
小さな小さな魔法。けれど、治癒ではないその魔法はまるで小さな子どもが聞くような、お伽噺のような魔法。
ここで連れ去れば、彼は富を築けると仄暗い思考が過るほどに魅力的なものだ。
「おねぇさまとわたしをいかして。そして、ごえいときょういくを。たいかは、あなたのあし」
「護衛とは。増えてるじゃねえか」
ついでとばかりに要求を増やす少女に喉の奥で笑ってみせる。
もう、依頼をこなすことは諦めていた。
自分の失ったものがもとに戻る可能性を見たからというのもある。
それよりも、目の前の少女に対する好奇心が勝ったというのが大部分だが。
彼は今回の依頼を最後に引退しようと考えていた。
守るべきものが出来てしまった者は、長く暗殺者として生きるにはむいていない。
人を殺し、自分を殺し、最後に心を殺す者は、守ることは出来ないのだとわかっていたから。
けれど、最後の依頼を失敗に終わらせて、新しい人生を歩んでも良いのではないかと。
そう思えた。
勿論、後始末はきちんとつけてからになるが。
「わかった」
彼は寝台にいる少女にむけて、膝を付く。
「取引は成立だ」
月夜の晩に行われた契約は、その後彼の人生を大きく変えていくのだが。
この時、少女も彼も、そして周囲すらもその未来を知らない。
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