あんまりです、お姉様〜悪役令嬢がポンコツ過ぎたので矯正頑張ります〜

暁月りあ

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暗殺なんて、あんまりです!

2-6

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 いつだって誰だって、平和を愛するのには変わらないのではないだろうか。
 少なくともこの侯爵家の誰もはそう思っていた。
 まさか、朝食時に3歳児の口から、

「ごえいとたいじゅつのせんせいを、よういしたので、やとってもらえませんか」

と、教師兼護衛の打診があるなどとは誰も思わなかった。
 さっとブルックスが視線で侍従達に視線を送るが、リリィとアマリリスの侍女までもが首を振る。彼女たちの認知外で外の人間と会うなどと考えられない。妄想か。妄言か。
 しかし、今までの言動からしてそれらではないことを薄々彼は感じ取っていた。

「このあと、かれらはたずねてきます。おはなしだけでも、だめですか?」
「……侯爵家の者に言われてきた者を追い返すわけにはな。ジャクソン」

 ブルックスは筆頭執事のジャクソンを呼ぶ。
 すると、今の呼びかけだけで全てわかったかのようにジャクソンは恭しく一礼した。

「その教師が来たら応接室に通すように。リリィ、教師の名前は?」
「あぅ。きくの、わすれてました」

 名前を聞かれて、そういえば聞いてなかったことを思い出す。
 通り名であればゲーム上に出てきたので知っているが、本名はしらない。
 リリィのうっかりに、ブルックスは肩を竦めてみせた。

「だ、そうだ」
「仰せの通りに」

 丁度朝食は終わりとなり、来客の準備を始めることになった。
 本来ならばそういう面談は親だけで行うのだが、紹介者がリリィであるので、リリィも同席することに。リリィが話があると言ったので、更にアマリリスも同席することとなった。
 朝食用の簡易な服から、見苦しくない程度に着替えて対面を整える。
 女主人がいないこの屋敷ではマナー教師でもある侍女長が主にブルックスの意見を反映しながらリリィ達の世話に目を光らせている。

「お客様がいらっしゃいました」

 侍女に案内されて応接室へ通されると、そこには暗闇ではわからなかった暗殺者がいた。
 全体的に黒っぽいところは変わりない。
 髪をオールバックにして、黒を基調とした礼を欠いていない服装。仕立てもそれなりによく、痩せ過ぎでも太り過ぎでなもない体型は見るものに好感を与えた。
 それこそ、色々なことを片付けてきたのだろう。
 彼がまた来ると去ってから一週間。昨日、訪問の旨が書かれた手紙が自室の窓辺になければリリィも気づかなかったところだ。

 彼はリリィ達の入室に気がつくと、立ち上がって優雅に一礼してみせる。
 彼よりもリリィの方が身分が上であるため、姉であるアマリリスよりも紹介者であるリリィがまず声をかけなければならない。

「ようこそいらっしゃいました。ぺとるこうしゃくけしじょ、りりぃ・ぺとるにございます」
「お招きありがたく存じます。お嬢様」

 リリィも教えてもらった淑女の礼をする。
 けれど数秒で解いて無様な様を晒さすことを防いだ。
 ちくりと侍女長の視線が刺さったがリリィは無視を決め込む。後でなにか言われるであろうことは把握しているが、侍女長も外部者がいる状態で無様を晒すよりはと思っているはずだからだ。
 互いに軽い挨拶をすませると、一緒に入室したアマリリスの紹介だ。

「こちらは、ぺとるこうしゃくけちょうじょの、あまりりすおねぇさま。おねぇさま、こちらは──」

 必死に侍女長から教わったマナー通りに、まずは彼へ姉を紹介する。
 そこまではよかったのだが、彼の名前を知らないことを漸くリリィはここで思い出した。
 それに加えて、まさかアマリリスを殺しにきた者とは紹介出来ない。 
 口の中でなんと言っていいかもごもごするリリィを見かねて、彼はマナーを破って自己紹介する。

「先に名乗るご無礼をお許しください。オルディマとお呼びくださいませ、お嬢様方。貴族籍ではない身分故、家名もございません。そのように丁寧にお話されずともよろしいのです」
「まあ、そうですの。わたくしは、ぺとるこうしゃくけがしじょ、あまりりす・ぺとるよ。……その、あなたのことを、けさ、きかされたばかりでして」

 堂々としながら、頬に手を添えて首を傾げるアマリリス。
 そんなアマリリスを見て、リリィはハッとした。
 確かにこれから教師となる立場かもしれないが、相手は平民。身分的にリリィの方が上なのだ。
 自分の入室の挨拶の際、あそこまで丁寧にする必要はなかったのだと思い出す。
 リリィがちらりと侍女長と見やれば、侍女長は満足気に頷いている。
 思っていた内容とは違うことで怒られることを悟ったリリィだが、それを顔に出すことも憚られてぐっと我慢した。準備中に教えられたとはいえ、そもそも3歳に紹介とかおかしいことに彼女が気づくことはない。

「そちらについては、侯爵様がいらしてからお話させていただくのが一番かと」
「それもそうね」

 エスコートされてまずアマリリスとリリィが座り、許可を得てオルディマが座る。
 暫く他愛もない話をしていると、ブルックスが入室してきた。
 2人は挨拶を終えてブルックスが上座へ座り、オルディマに座るように指示をする。

「さて、我が家の者が今朝、君を教師兼護衛にと打診をしてきた」

 ちらりとリリィに視線が集まる。
 突然騙すような真似をしたが、誰かを推薦したいなら、まず父親であるブルックスへの根回しが必要であった。今日切羽詰まった予定がなかったからいいものの、無計画な行為である。
 だがそこは3歳児相手だからと、叱りこそはすれ、紹介状を持たないとはいえ来訪者を無下にすることもできない。

「短い時間で確認をとったものの、君のようなものを我が家で見たことはない。勿論、使用人達も同様に。──君は娘とどこで出会ったのかね」

 ピンッと張り詰めた空気が流れる。
 優雅に足を組み、膝の上に組んだ手を乗せるブルックスは様になった。
 一人で一室丸ごと空気を制圧する。そう表現するのが適切であろう。

「それは……」

 オルディマがちらりと周囲に視線をやれば、ブルックスはジャクソンに侍女達を下がらせた。

「君も無理して取り繕うことはない。少なくとも、今、この場ではな」

 本音を聞きたいからこそ、使用人を下げるのだとブルックスが許可を出す。
 そう言われれば、ふぅっと、大げさに息を吐き出し、オルディマはにたりと笑みを浮かべた。
 先程の紳士的な雰囲気とは違う彼本来の雰囲気に、アマリリスはびくりと体を揺らす。

「では、お言葉に甘えて。俺は元々、貴方のお嬢様の暗殺依頼を受けた暗殺者だ。寝室に潜り込んだところ、そこのお嬢様に取引を持ちかけられてね」
「取引だと?」

 ブルックスが鋭い視線をリリィに投げかける。
 一体なにを言ったというその視線に、リリィはさっと視線を反らすしか出来ない。
 その様子に、オルディマは口内でなるほど、とつぶやいた。
 彼は理解したのだ。魔法については父親であるブルックスさえ知らないのではないだろうか、と。
 なにせ、たかが3歳児の少女だ。まだ教育を受け始めて間もない頃であるため、魔素循環の訓練すら受けない時期である。そんな子供が自分の魔法を取引材料として使うなど、普通は思いつかない。

「なに、うちにもお嬢さん方より少し年上の子がいてね。そろそろ暗殺業も引退だと思っていたんだ。侯爵家で雇う代わりに、護衛と自身でも力をつけたいと願われた。──何より、死ぬかどうかの子供が泣き喚くことなく、冷静に取引を持ちかけるなんて、大人でも出来ることじゃない。失礼ながら、面白いと思ったことも事実だ」

 オルディマの足を治すという取引材料はうまく誤魔化して説明してくれたようで、視線で確認をとってきたブルックスにリリィは頷いた。
 リリィとしては、自分の能力は力をつけるまで家族にすら内緒にするつもりなのだ。
 口止めを忘れていたことに戦々恐々としていたものの、ここでバラされることはなく安堵する。

 オルディマの子供についても、前世のゲーム知識でリリィは知っていた。
 同時にこれからゲームを捻じ曲げていく予感も大いに感じながら。

「自分を殺しに来た者を雇い入れるなど……」

 暫く黙っていたブルックスは、はぁ、と深い溜め息をため息を吐きだす。
 だが、ブルックスは同じくしてこうも考えた。
 侯爵家には優秀な使用人達と魔法で守られている。侯爵家当主であるブルックスは王宮に匹敵するほど、もしくはこの家の守りがそれ以上であることを知っていた。
 元暗殺者の使用人も多少いる。かつての侯爵家当主もまた、リリィと同じように自分を殺しに来た者を雇ったこともあるのだとか。それを考えれば、リリィのしたことは正当な侯爵家の血であるといっても過言ではない。

「……君の息子も護衛として雇うということでいいのか?」

 ブルックスの言葉に、リリィはぱあっと顔を明るくする。

「今はまだ、仕事に使える域に達していないが、諜報としても役立つ能力を持っている」
「ならば、我が家で教育するといい。娘達も身を守るすべを少しは持っていてもいいだろう」
「お、おとうさま……」

 話がまとまりかけた時、震える声でアマリリスは呼びかけた。

「わたくしもですか?」

 やりたくない、という意思がありありと見えるその言葉に、必須ではなくむしろ余計な知識ではあるとも思っているブルックスは首を振る。

「意思のない者にやらせることではない。リリィだけで──」
「あんまりです、おねぇさま」

 リリィだけに与える教育にしようとしたブルックスの言葉を、リリィは遮った。
 にこりと笑いながら、ぐっとアマリリスの手を握る。

「わたし、がんばったのです。おねぇさまをどうしたらまもれるか、かんがえて、かんがえて」

 ちなみにウルッとしているが、これは嘘泣きだ。 
 アマリリス以外の誰もが気づく嘘泣きに、アマリリスは自分が妹を泣かせているとハッとする。

「わたしは、おねぇさまをまもります。おねぇさまは、わたしを、まもってくれないのですか?」

 今のままではゲームのアマリリスのような強い女性になれるとは到底思えない。
 不幸を重ねて、どす黒い感情を抱きながら強くなるのではなく、純粋に身を守るすべを身につけてほしいというのは決して我儘ではないと思うのだ。

──と、いいつつも、暗殺技術を身につけた大人のアマリリスを想像して、滅茶苦茶カッコいいと妄想が暴走しているリリィであるが。

「なにをいってるの。わたくしは、リリィをまもります。おかあさまのかわりにまもるってきめているのだもの」

 ちょろい。
 リリィはヒシッとアマリリスと抱擁を交わしながら、黒い笑みを浮かべた。
 その笑みがはっきりと見える位置にいるブルックスとオルディマはうわぁと引いていたことは割愛しておく。
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