転生幼女の引き籠りたい日常~何故か魔王と呼ばれておりますがただの引き籠りです~

暁月りあ

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 人生とは選択の連続である。
 そう言ったのは果たして誰だっただろうか。
 私は今、とても大きな問題に直面している。
 そう、まさに人生でこれからの選択と言っても過言ではない。

「コーラル、こっちだよ~」

 片やお兄様。いつも以上に優しくて素敵な笑顔で両手を広げている。
 猫撫で声であることに違いない。
 少し前のサムに対する裏の顔もちょっと見ちゃったんだけど、超怖かった。
 どれくらい怖いかって言うと、無表情で命令しているところを見たくらい怖かった。
 そんなお兄様が、でろでろの顔で私に呼びかけている。

「いえいえ。お嬢様、こちらに」

 もうひとりはアンナだ。
 最近私がよく一人遊びをしている時に使っているボールを手に持っている。
 子供心をよく分かっている証左だろう。
 アンナに興味がなくても玩具には興味があるに違いないという。
 アンナ、頭がいい。

「アンナ、そんなことをしていて恥ずかしくないのかい」

 お兄様はにこにことした笑顔をそのままにアンナへ敵意を飛ばす。

「いいえ。お坊ちゃま。そんなことはありません。戦略的行為ですよ」

 対するアンナも無表情ながらお兄様に絶対に負けないという意気込みを感じる。
 お兄様の勉学が本格的に行われており、生まれた頃と違って今は会える時間も少ない。
 そのため、必然的に私の側に控えるのはいつもアンナだ。
 アンナとしては、自分が一番長い時間お世話しているのだからという自負もあるのだろう。

「コーラル!」
「お嬢様!」

 だが、一番お世話をしてくれるからこそ気付いてほしい。
 私は胡乱げな顔をしていることに。
 いやさあ、別にどっちにいくのも良いんですよ。
 二人共好きなので。
 態々そんな2人して張り合わなくてもいいと思うのです。

 そんなことより、この私、とうとうハイハイが出来るようになったんですよ。
 ハイハイとはいっても、お腹と足を床につけながら手で床を押す動作。
 謂わばずり這いと呼ばれる行為ですね。
 ハイハイの前に覚えるハイハイ(仮)みたいなものです。
 これわりとお腹と足が擦れるので、下手すると危ないんですけどね。
 この部屋、お兄様の指示かは知らないんですけど、部屋一面にふわっふわの絨毯が敷かれていて足を取られやすいんです。きっと立って歩けない。
 けれど、転んでも痛くないだろうくらいにふわふわでこうやってずり這いをしていても、きっと普通の床でやるより全然痛くないと思うんです。そういう気遣いは本当に感謝しかありません。
 基本皆土足だったんですけど、この部屋に絨毯を引く時に相談したみたいで。土足厳禁となりました。
 だから石とかはなくて安全なんですね。お掃除が大変そうなのは致し方有りません。頑張ってください。


「うぅあぅ~」

 まだ私は単語をうまく話せません。
 でも、それとない意思表示はうまく出来るようになったんですよ。
 皆私を見てくれるので、視線の先とか目で追いますしね。
 さて、寝ますか。

「コーラル……」
「お嬢様……」

 2人が切ない目で見てきても仕方ありません。眠たいのです。
 私はテラス近くにあるクッションの側までずり這いして、お昼寝を勝手にはじめました。
 第一、赤ちゃんに何を求めるというのでしょうね。
 自分の欲望に忠実に生きる生き物だというのに。
 というわけで、今日も眠たいのでおやすみなさい。
 眠ってばっかりだなとか思わないでください。
 私はこれがお仕事なので。

「おやすみなさい、お嬢様」
「また遊ぼうね」

 諦めた2人が順番に私を撫でながら挨拶をしてくれます。

「きゅぅ~」

 言葉にならない言葉で、私も2人に返しました。
 それでは、おやすみなさい。
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