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超勇者の章
ユナイゾットリデール
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「天空の塔ってなんなの?」
大量のゴブリンの死体を踏まないように、気を付けながら部屋を出た僕はミミに聞いてみた。
「この世界――ユナイゾットリデールにある、天空まで伸びている10本の塔の総称よ」
「塔10本が天空まで……一番上まで登ればこの世界は救われるの?」
「救われるわ。でも詳しく話すのはまた後でね、まずは移動しましょう」
と言い、ミミは足早に天空の塔の通路を歩いた。
僕は色々な不安があるなか、それを黙って付いて行った。
石畳の通路のなにもハマってない窓から外を見ると、この階が2階程度の高さだという事に気が付いた。僕は前をつかつかと歩くミミにそれも含めて色々聞いてみたかったけど、まずは移動と言われたので歩くことに集中した。
ミミは後姿だけでも可愛かった。僕と同じ17歳で身長は150センチぐらいかな?
金髪ツインテールが似合う人間なんてそうはいないけど、ミミにはピッタリに思えた。
赤いマントで後ろからだと綺麗な脚が見えないのは残念だけど、そのマントも似合っている。
「止まって。ちょっとこの柱の陰に隠れるわよ」
「えっ?」
急に立ち止まって僕の手を取り、ミミは柱の陰に僕を引っ張った。
握られた小さい手からミミの体温が伝わって来ると、僕は思わずドキっとした。
「ち、近い……」
僕はその距離について一言だけ呟いた。
良い香りがする。シャンプーとかの人工的な香りではなく、ミミそのものの香りかもしれない。
「我慢しなさい、もう少し隠れるわよ」
我慢なんてとんでもない。僕は天国ととらえているよ。
そんなふうに考えていると、ミミは突然柱から跳び出した。
「もういいわ。あの二人を追うわよ」
「え? あの二人って?」
同じく僕も柱の陰から通路に出て先を見ると、大きな男性ともっと大きな男性が20メートルほど前を歩いていた。
「人? 僕ら以外にも人がいるの?」
「もちろんいるわよ。あの二人も私達と同じ天昇者よ」
「天昇者(てんしょうしゃ)……天空の塔を登る者って意味みたいだけど、登じゃなくて昇なのはなんでだろ」
「昔の人が決めた事はよく知らないわ。とにかく尾行するわよ」
言われるがままミミに付いていくと、尾行している二人のうち一人の恰好が、僕と同じ高校の制服だという事に気が付いた。
「あの人、まさか僕と同じ高校の人!?」
「そうなの? 確かに恰好は似ているけど、全然体格が違うじゃない」
「そりゃ僕は小柄で160センチしかないけど……って、これでも少し背伸びたんだよ!」
しまった。素直に身長を言ってしまった。
165センチぐらいまでなら盛れたはずなのに……。
と悔やんでいると、前の二人の大きく叫ぶ声が聞こえた。
「うううわああああああうわああああ!」
僕と同じ制服の大きな人の悲鳴だった。
5匹のゴブリンに囲まれているようだ。
「ゴブリンに囲まれてるよ!?」
「仕方がないわね、もう少し様子を見るつもりだったけど、助けるわよ」
「え!? ゴブリンってあんなに弱いんだから、あんな大きな人なら瞬殺じゃないの?」
「生意気だけど頼もしい私の超勇者様ね。転移して早々にゴブリンを弱いなんて言える七彦が異常なの」
え、僕が異常なの? 確かにオールセブンのステータスは異常に見えるけど……。
でも、異常じゃなくて特別って言って欲しかったな……。
「言い直すわ、七彦が特別なの! 私の特別な人!」
賢者ミミエールの言葉は、超勇者……つまり僕を奮起させる事に長けているようだ。
「超加速!!」
確かステータスウィンドウのスキルにそんなスキルがあったよね。
僕は聖剣ヴァングレイトを構えて、当てずっぽうに読んで字のごとくと思われるスキルを発動してみた。
ゴブリンに向かって踏み出した一歩は飛翔となり、石畳のすぐ上を舞う風のようになっていた。
二歩目を繰り出そうとした頃には20メートル先のゴブリン群の目と鼻の先に到達しており、構えた剣で水平にビュンっと斬ると、ゴブリンは一斉にその場で真っ二つになった。
でも位置関係が悪く、1匹のゴブリンは斬る事が出来なかった。そうすると同じ制服の彼を巻き込む可能性があったから。
「1匹倒し損ねた!」
「私に任せて!」
とミミが言った頃には、ゴブリンは大きな炎に包まれていた。
ミミを見ると、構えた手から炎がくすんでいた。
「私だって超賢者よ。七彦のサポートぐらい出来るわ!」
そう言って構える姿は、とても可愛かった。
ミニスカートの裾がヒラヒラと舞っていた。
大量のゴブリンの死体を踏まないように、気を付けながら部屋を出た僕はミミに聞いてみた。
「この世界――ユナイゾットリデールにある、天空まで伸びている10本の塔の総称よ」
「塔10本が天空まで……一番上まで登ればこの世界は救われるの?」
「救われるわ。でも詳しく話すのはまた後でね、まずは移動しましょう」
と言い、ミミは足早に天空の塔の通路を歩いた。
僕は色々な不安があるなか、それを黙って付いて行った。
石畳の通路のなにもハマってない窓から外を見ると、この階が2階程度の高さだという事に気が付いた。僕は前をつかつかと歩くミミにそれも含めて色々聞いてみたかったけど、まずは移動と言われたので歩くことに集中した。
ミミは後姿だけでも可愛かった。僕と同じ17歳で身長は150センチぐらいかな?
金髪ツインテールが似合う人間なんてそうはいないけど、ミミにはピッタリに思えた。
赤いマントで後ろからだと綺麗な脚が見えないのは残念だけど、そのマントも似合っている。
「止まって。ちょっとこの柱の陰に隠れるわよ」
「えっ?」
急に立ち止まって僕の手を取り、ミミは柱の陰に僕を引っ張った。
握られた小さい手からミミの体温が伝わって来ると、僕は思わずドキっとした。
「ち、近い……」
僕はその距離について一言だけ呟いた。
良い香りがする。シャンプーとかの人工的な香りではなく、ミミそのものの香りかもしれない。
「我慢しなさい、もう少し隠れるわよ」
我慢なんてとんでもない。僕は天国ととらえているよ。
そんなふうに考えていると、ミミは突然柱から跳び出した。
「もういいわ。あの二人を追うわよ」
「え? あの二人って?」
同じく僕も柱の陰から通路に出て先を見ると、大きな男性ともっと大きな男性が20メートルほど前を歩いていた。
「人? 僕ら以外にも人がいるの?」
「もちろんいるわよ。あの二人も私達と同じ天昇者よ」
「天昇者(てんしょうしゃ)……天空の塔を登る者って意味みたいだけど、登じゃなくて昇なのはなんでだろ」
「昔の人が決めた事はよく知らないわ。とにかく尾行するわよ」
言われるがままミミに付いていくと、尾行している二人のうち一人の恰好が、僕と同じ高校の制服だという事に気が付いた。
「あの人、まさか僕と同じ高校の人!?」
「そうなの? 確かに恰好は似ているけど、全然体格が違うじゃない」
「そりゃ僕は小柄で160センチしかないけど……って、これでも少し背伸びたんだよ!」
しまった。素直に身長を言ってしまった。
165センチぐらいまでなら盛れたはずなのに……。
と悔やんでいると、前の二人の大きく叫ぶ声が聞こえた。
「うううわああああああうわああああ!」
僕と同じ制服の大きな人の悲鳴だった。
5匹のゴブリンに囲まれているようだ。
「ゴブリンに囲まれてるよ!?」
「仕方がないわね、もう少し様子を見るつもりだったけど、助けるわよ」
「え!? ゴブリンってあんなに弱いんだから、あんな大きな人なら瞬殺じゃないの?」
「生意気だけど頼もしい私の超勇者様ね。転移して早々にゴブリンを弱いなんて言える七彦が異常なの」
え、僕が異常なの? 確かにオールセブンのステータスは異常に見えるけど……。
でも、異常じゃなくて特別って言って欲しかったな……。
「言い直すわ、七彦が特別なの! 私の特別な人!」
賢者ミミエールの言葉は、超勇者……つまり僕を奮起させる事に長けているようだ。
「超加速!!」
確かステータスウィンドウのスキルにそんなスキルがあったよね。
僕は聖剣ヴァングレイトを構えて、当てずっぽうに読んで字のごとくと思われるスキルを発動してみた。
ゴブリンに向かって踏み出した一歩は飛翔となり、石畳のすぐ上を舞う風のようになっていた。
二歩目を繰り出そうとした頃には20メートル先のゴブリン群の目と鼻の先に到達しており、構えた剣で水平にビュンっと斬ると、ゴブリンは一斉にその場で真っ二つになった。
でも位置関係が悪く、1匹のゴブリンは斬る事が出来なかった。そうすると同じ制服の彼を巻き込む可能性があったから。
「1匹倒し損ねた!」
「私に任せて!」
とミミが言った頃には、ゴブリンは大きな炎に包まれていた。
ミミを見ると、構えた手から炎がくすんでいた。
「私だって超賢者よ。七彦のサポートぐらい出来るわ!」
そう言って構える姿は、とても可愛かった。
ミニスカートの裾がヒラヒラと舞っていた。
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