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第一章
プロローグ
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――それは、分厚い雲が空を覆う、暗澹とした日だった。
ある男が、息を切らしながら街中を駆けていた。
夜も更け、すっかり人通りがなくなった街中に、焦ったような彼の声が響き渡る。
「サーシャ! サーシャ! どこだ、どうして……!」
竜の国の若き皇帝、ディオルグ・ヴァン・バルドゥーラは、長い赤髪を振り乱し、愛しい女性の姿を探して視線を巡らせた。けれど、彼女がこの街を発ってからすでにかなりの時間が経過していたようで、彼の持つ特別鋭い感覚をもってしても、彼女の気配さえどこにも見つけられなかった。
ディオルグは、震える手で握りしめていた便箋に目を落とした。もぬけの殻になっていた彼女の部屋に残されていた、自分へ宛てた手紙だった。
もう一度読んでも内容が変わるはずもないのに、何かの間違いであってくれないかと、彼は再び目を通していく。
“ディオへ。
あなたの立場については、他の方から聞きました。
皇帝であると隠していたことを、責めるつもりはありません。あなたは、身分を隠さなければまともに街にも出られないほど尊い方だから、仕方がなかったのだとわかっています。平民である私とは、まるで違う存在であるということも。
……だからこそ、私にはあの約束を果たせそうにありません。ごめんなさい。
あなたと過ごした日々は幸せすぎて、いつも夢を見ているようだと思っていました。
その夢から覚める時が、ついに来てしまったようです。
顔を見ると決心が鈍りそうなので、会わずに国を出ることを許してください。
身勝手なお願いになるけれど、少しでも私のことを想ってくれていたのなら、決して私を探さないでください。
少しの間でしたが、今まで、本当にありがとうございました。”
手紙を読み終えた彼の視界が、ゆっくりと滲んでいく。
やがてポタリと、紙面に水滴が落ちた。
「……なぜ、なぜなんだ、サーシャ。君のためならば、私は皇帝の地位だって捨てられたのに。私を愛していると、言ってくれたじゃないか。私と、ずっと一緒にいてくれると……!」
愛しい人が、自分の元から去ってしまった。
そのあまりの悲しみに、彼は足元からくずおれてしまった。
やがて、雨が降り始めた。
すでに少し涙で濡れてしまった、愛しい人からの最後の手紙がこれ以上汚れてしまわないよう、ディオルグはおもむろに懐へそれをしまった。しかし自身を雨から庇う気には到底なれず、彼の側近たちが迎えに来るまで、皇帝は雨に打たれながら、ただ静かに涙を流していたのだった。
――時は流れ、十年後。
バルドゥーラ帝国は、不穏な空気に満ちていた。
誰ともなく、民たちはその不安を口にしている。
「ねぇ、聞いた? 今年もまた、建国祭に陛下はご出席なさらないらしいわ」
「またか……。もう十年も、陛下のお姿を拝見できていないぞ」
「ああ。半年前に亡くなられた、母親である皇太后陛下の葬儀にさえお顔を出さなかったらしい」
「毎年、陛下と竜騎士たちの模擬戦闘が建国祭の目玉だったのに、残念だよなぁ」
バルドゥーラ帝国の皇帝は、様々な国が混在する大陸の中で一番高い身分であるということ以外にも、種族という点で、もっと特別な特徴を持っていた。
獣人族の括りにはあっても、獣人族とは誰も呼ばない希少な幻獣種――竜人族であったのだ。
世界には、様々な種族が暮らしている。
力は弱いが数の多い人間族や、動物や魔獣の特徴が混ざった獣人族、精霊の力を扱って魔法を使う精霊族や、ものづくりが得意な小人族など。
その中で圧倒的多数を占める人間族は、自分たちこそが世界を動かすことのできる尊い種族であると認識している者も多かったが、バルドゥーラ帝国の中心部にいる者たちは、誰一人としてそんなことは考えていなかった。
竜人族こそ、至高の種族である。
それは、竜人族を知る帝国民にとって、当然の認識であった。
それは、皇帝をはじめ自国を治める者たちの大多数が竜人族であるから、という前提の他にも、帝国の成り立ちが深く関係している。
バルドゥーラ帝国はその昔、竜人族ばかりが暮らす小国だった。その規模だけを見れば、むしろ集落といえたかもしれない。
しかし、彼らは少数種族だと甘く見て攻め入ってきた外敵たちを、圧倒的な強さで制圧していった。彼らは生まれ持った身体的な優位性もさることながら、他の種族には決して懐かないというドラゴンを従えることもあった。
そうして攻めてきた敵国を次々と吸収していった結果、徐々に国としての基盤を固めていくことになった。
そして、次第に帝国と呼ばれるまでに、その領土を広げたのである。
莫大な人口を抱えることになった現在の帝国において、竜人族の割合は極めて少ない。しかし彼らはそのほとんどが皇族や貴族であり、帝国の顔として広く知られていたため、一部では竜の国とも呼ばれていた。
並外れた膂力と身体の頑丈さ、五感の鋭敏さを兼ね備え、一般的な人間族よりもはるかに長い寿命を持ち、強力なドラゴンをも従える。そんな竜人族が自身の住む帝国を治めていることを、帝国の民たちは誇りに思っていた。
そうして建国から繁栄の一途を辿っていた帝国だが、民の敬愛する皇帝が、体調不良を理由に公務を控えるようになり、すでに十年が経とうとしている。
竜人である皇帝の頑丈さをよく知る国民たちでさえ、さすがに不安を感じずにはいられないほどの年月であった。
「……やっぱり、よほど体調が良くないのかしら?」
「もしかしたら、すでに崩御されているのを、陛下の側近たちが隠しているのかもしれないぞ」
「なんてことを言うの! ああ、陛下は未婚でまだ跡継ぎもいらっしゃらないというのに、そんなことになれば、この国はどうなってしまうのかしら……」
「皇弟殿下がいらっしゃるが、すでに継承権を放棄されているしなぁ……」
皇帝が公の場に姿を見せなくなくなり、民や貴族たちはもちろん、他国の要人さえ面会を拒絶されているという噂だ。
少しでいいから顔を見せて欲しいという彼らの願いが聞き入れられることはなく、「陛下は体調が思わしくない」という側近たちの一言で、要望は退けられるばかりだった。
側近たちは毎日のように皇帝に会って共に仕事をしているらしいが、それが真実であるかを知る人物は、本人たちのみであった。
「でも、陛下が体調を崩される前に、少しだけ結婚のお話が持ち上がっていたわよね? あの話はどうなったのかしら」
「今もご結婚されてないってことは、破談になったんだろう」
「私、聞いたことがあるわ。花嫁が突然いなくなったらしいって!」
「そうなのか!?」
「そういえばあの頃、城から騎士たちが大勢やってきて、誰かを探していると騒ぎになっていたな」
「もしかして、陛下は今もその方を探していらっしゃるから、ご結婚なさらないのかしら」
「体調不良っていうのも、もしかしてそのことによる精神的な影響なんじゃないだろうか」
「いや、待てよ。俺は、最終的に縁談を断ったのは陛下だと聞いたぞ」
「ええ? それ、本当なの?」
様々な噂がまことしやかに流れていたが、真実は長く闇の中だった。
また、民の不安を煽る事案は、それだけではなかった。
『グオォォォオオオ……』
突如街中に響き渡った声。
まるで獣の嘆き声のような、もしくは断末魔のような苦しげな声が、時折どこからか響いてくるようになったのだ。
「……まただわ。この声を聞くと私、なんだかとても不安になるのよ」
「一体なんなんだろうな、この声」
「これが聞こえるようになって、もうどれくらいだ?」
「一年ほどじゃないか?」
「まさかこれ、花嫁を失った陛下の嘆き声じゃないわよね?」
「そんなバカな」
「でもあの声、陛下のおられる城から聞こえてきている気がするの。それに、ただの人間の声とは思えないでしょ? やっぱり陛下の嘆き声なんじゃ……」
「だが、あの声が聞こえ出したのは一年くらい前だぞ? どうして今さら」
「……つまり、陛下の精神はそろそろ限界だってことなんじゃないか?」
そんな風に考える者たちは少なくなかった。
そんなこともあり、民から皇帝の安否を問う声も多かったが、皇帝が公の場に姿を現すことはなかった。
そんな状況に不安を感じた者たちが徐々に帝国を離れ始め、このままでは帝国の未来が危ぶまれるという噂まで流れ始めた。
それでも、皇室は何の対応もしていない。
もしくは、何もできない事態に陥っているということである。
「帝国は、一体どうなっちまうんだろうな……」
誰かのそんな言葉が、曇り空へ溶けて消えていった。
ある男が、息を切らしながら街中を駆けていた。
夜も更け、すっかり人通りがなくなった街中に、焦ったような彼の声が響き渡る。
「サーシャ! サーシャ! どこだ、どうして……!」
竜の国の若き皇帝、ディオルグ・ヴァン・バルドゥーラは、長い赤髪を振り乱し、愛しい女性の姿を探して視線を巡らせた。けれど、彼女がこの街を発ってからすでにかなりの時間が経過していたようで、彼の持つ特別鋭い感覚をもってしても、彼女の気配さえどこにも見つけられなかった。
ディオルグは、震える手で握りしめていた便箋に目を落とした。もぬけの殻になっていた彼女の部屋に残されていた、自分へ宛てた手紙だった。
もう一度読んでも内容が変わるはずもないのに、何かの間違いであってくれないかと、彼は再び目を通していく。
“ディオへ。
あなたの立場については、他の方から聞きました。
皇帝であると隠していたことを、責めるつもりはありません。あなたは、身分を隠さなければまともに街にも出られないほど尊い方だから、仕方がなかったのだとわかっています。平民である私とは、まるで違う存在であるということも。
……だからこそ、私にはあの約束を果たせそうにありません。ごめんなさい。
あなたと過ごした日々は幸せすぎて、いつも夢を見ているようだと思っていました。
その夢から覚める時が、ついに来てしまったようです。
顔を見ると決心が鈍りそうなので、会わずに国を出ることを許してください。
身勝手なお願いになるけれど、少しでも私のことを想ってくれていたのなら、決して私を探さないでください。
少しの間でしたが、今まで、本当にありがとうございました。”
手紙を読み終えた彼の視界が、ゆっくりと滲んでいく。
やがてポタリと、紙面に水滴が落ちた。
「……なぜ、なぜなんだ、サーシャ。君のためならば、私は皇帝の地位だって捨てられたのに。私を愛していると、言ってくれたじゃないか。私と、ずっと一緒にいてくれると……!」
愛しい人が、自分の元から去ってしまった。
そのあまりの悲しみに、彼は足元からくずおれてしまった。
やがて、雨が降り始めた。
すでに少し涙で濡れてしまった、愛しい人からの最後の手紙がこれ以上汚れてしまわないよう、ディオルグはおもむろに懐へそれをしまった。しかし自身を雨から庇う気には到底なれず、彼の側近たちが迎えに来るまで、皇帝は雨に打たれながら、ただ静かに涙を流していたのだった。
――時は流れ、十年後。
バルドゥーラ帝国は、不穏な空気に満ちていた。
誰ともなく、民たちはその不安を口にしている。
「ねぇ、聞いた? 今年もまた、建国祭に陛下はご出席なさらないらしいわ」
「またか……。もう十年も、陛下のお姿を拝見できていないぞ」
「ああ。半年前に亡くなられた、母親である皇太后陛下の葬儀にさえお顔を出さなかったらしい」
「毎年、陛下と竜騎士たちの模擬戦闘が建国祭の目玉だったのに、残念だよなぁ」
バルドゥーラ帝国の皇帝は、様々な国が混在する大陸の中で一番高い身分であるということ以外にも、種族という点で、もっと特別な特徴を持っていた。
獣人族の括りにはあっても、獣人族とは誰も呼ばない希少な幻獣種――竜人族であったのだ。
世界には、様々な種族が暮らしている。
力は弱いが数の多い人間族や、動物や魔獣の特徴が混ざった獣人族、精霊の力を扱って魔法を使う精霊族や、ものづくりが得意な小人族など。
その中で圧倒的多数を占める人間族は、自分たちこそが世界を動かすことのできる尊い種族であると認識している者も多かったが、バルドゥーラ帝国の中心部にいる者たちは、誰一人としてそんなことは考えていなかった。
竜人族こそ、至高の種族である。
それは、竜人族を知る帝国民にとって、当然の認識であった。
それは、皇帝をはじめ自国を治める者たちの大多数が竜人族であるから、という前提の他にも、帝国の成り立ちが深く関係している。
バルドゥーラ帝国はその昔、竜人族ばかりが暮らす小国だった。その規模だけを見れば、むしろ集落といえたかもしれない。
しかし、彼らは少数種族だと甘く見て攻め入ってきた外敵たちを、圧倒的な強さで制圧していった。彼らは生まれ持った身体的な優位性もさることながら、他の種族には決して懐かないというドラゴンを従えることもあった。
そうして攻めてきた敵国を次々と吸収していった結果、徐々に国としての基盤を固めていくことになった。
そして、次第に帝国と呼ばれるまでに、その領土を広げたのである。
莫大な人口を抱えることになった現在の帝国において、竜人族の割合は極めて少ない。しかし彼らはそのほとんどが皇族や貴族であり、帝国の顔として広く知られていたため、一部では竜の国とも呼ばれていた。
並外れた膂力と身体の頑丈さ、五感の鋭敏さを兼ね備え、一般的な人間族よりもはるかに長い寿命を持ち、強力なドラゴンをも従える。そんな竜人族が自身の住む帝国を治めていることを、帝国の民たちは誇りに思っていた。
そうして建国から繁栄の一途を辿っていた帝国だが、民の敬愛する皇帝が、体調不良を理由に公務を控えるようになり、すでに十年が経とうとしている。
竜人である皇帝の頑丈さをよく知る国民たちでさえ、さすがに不安を感じずにはいられないほどの年月であった。
「……やっぱり、よほど体調が良くないのかしら?」
「もしかしたら、すでに崩御されているのを、陛下の側近たちが隠しているのかもしれないぞ」
「なんてことを言うの! ああ、陛下は未婚でまだ跡継ぎもいらっしゃらないというのに、そんなことになれば、この国はどうなってしまうのかしら……」
「皇弟殿下がいらっしゃるが、すでに継承権を放棄されているしなぁ……」
皇帝が公の場に姿を見せなくなくなり、民や貴族たちはもちろん、他国の要人さえ面会を拒絶されているという噂だ。
少しでいいから顔を見せて欲しいという彼らの願いが聞き入れられることはなく、「陛下は体調が思わしくない」という側近たちの一言で、要望は退けられるばかりだった。
側近たちは毎日のように皇帝に会って共に仕事をしているらしいが、それが真実であるかを知る人物は、本人たちのみであった。
「でも、陛下が体調を崩される前に、少しだけ結婚のお話が持ち上がっていたわよね? あの話はどうなったのかしら」
「今もご結婚されてないってことは、破談になったんだろう」
「私、聞いたことがあるわ。花嫁が突然いなくなったらしいって!」
「そうなのか!?」
「そういえばあの頃、城から騎士たちが大勢やってきて、誰かを探していると騒ぎになっていたな」
「もしかして、陛下は今もその方を探していらっしゃるから、ご結婚なさらないのかしら」
「体調不良っていうのも、もしかしてそのことによる精神的な影響なんじゃないだろうか」
「いや、待てよ。俺は、最終的に縁談を断ったのは陛下だと聞いたぞ」
「ええ? それ、本当なの?」
様々な噂がまことしやかに流れていたが、真実は長く闇の中だった。
また、民の不安を煽る事案は、それだけではなかった。
『グオォォォオオオ……』
突如街中に響き渡った声。
まるで獣の嘆き声のような、もしくは断末魔のような苦しげな声が、時折どこからか響いてくるようになったのだ。
「……まただわ。この声を聞くと私、なんだかとても不安になるのよ」
「一体なんなんだろうな、この声」
「これが聞こえるようになって、もうどれくらいだ?」
「一年ほどじゃないか?」
「まさかこれ、花嫁を失った陛下の嘆き声じゃないわよね?」
「そんなバカな」
「でもあの声、陛下のおられる城から聞こえてきている気がするの。それに、ただの人間の声とは思えないでしょ? やっぱり陛下の嘆き声なんじゃ……」
「だが、あの声が聞こえ出したのは一年くらい前だぞ? どうして今さら」
「……つまり、陛下の精神はそろそろ限界だってことなんじゃないか?」
そんな風に考える者たちは少なくなかった。
そんなこともあり、民から皇帝の安否を問う声も多かったが、皇帝が公の場に姿を現すことはなかった。
そんな状況に不安を感じた者たちが徐々に帝国を離れ始め、このままでは帝国の未来が危ぶまれるという噂まで流れ始めた。
それでも、皇室は何の対応もしていない。
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