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始まりの日
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「ついに、この日がやってきたのね……!」
私は目の前に広がる、貴族の子息令嬢たちが通うにふさわしい、荘厳な造りの校舎をドキドキしながら見つめた。
ここに来るのは初めてのはずなのに、見覚えがあって懐かしい。なんだかとても不思議な感覚だ。
「そうですね、アリス様」
ニコニコしながら穏やかにそう声をかけてきたのは、幼なじみであり従者のジェイドだ。相変わらず、無駄に顔がいい。艶やかな黒髪はサラサラだし、背が高くてスタイルもいい。紫の瞳には、よく見ると金色の粒が見え隠れしていて、まるで夜空を閉じ込めたよう。
一介の男爵家の従者だというのに、その誰もが振り返らずにいられないほどのキラキラしい美貌のせいで、まるでどこかの王子様みたいだ。
「ええ、そうよ。今日は待ちに待った、物語の始まりの日。ヒロインとして、誰とエンディングを迎えてもいいように頑張ってきた日々が、ようやく報われる時がきたのよ!」
ジェイドはいつも私の話を笑顔で聞いてくれるけれど、この話をする時だけは、なぜか張り付けたような笑顔になる。いつものことなので、私は気にせず話し続けた。
「思えば、全ては私が男爵家の養女になった日から始まったのよね……」
私は幼い頃、母と共に平民として暮らしていた。
しかし十歳の時に母が病気で亡くなると、男爵を名乗る見たことのない男性が現れ、これからは自分の養女となって一緒に暮らしてもらうと、有無を言わさず男爵家へ連れてこられたのだ。
天涯孤独だった母は、自分の死後、私の行く末についてとても心配していた。そのため、珍しい光魔法に目覚めた私を養女として引き取ってもらえるよう、男爵と内密に契約していたらしい。男爵は、この国の建国時に初代国王を支えた王妃と同じ光魔法を使える私ならば政略結婚の駒として使えると考え、これを承諾したようだった。
……そう! 私、ヒロインのテンプレである、光魔法の使い手なのよね。まぁ、希少であるとはいえ、そんなに大したものじゃないんだけど。
光魔法使いは治癒魔法を使えるため重宝されるらしいけれど、魔法を使うための魔力は有限だから、そんなに大勢の人を治療できるわけではないし、欠損を治せるわけでもない。使い手が少ないため、普通に医療もそこそこ発達している。先日熱を出した私を診てくれたのも、魔力のないお医者さんだ。でも、やっぱり初代王妃と同じ能力というのは政治的に価値があるらしくて、高位貴族と縁づくのも不可能ではないと男爵は判断したそうだ。
家門のための駒でしかない私には、男爵家では愛情なんてカケラも与えられなかった。でも、貴族令嬢としての知識や教養は必要だからと、教育はしっかりと与えられた。
そして、私は母を亡くしたショックと環境の急激な変化により高熱を出し、一週間ほど生死を彷徨ったというわけだ。
そして、私は自分の前世を思い出した。
病弱で、若くして世を去った、日本に住むゲーム好きな女の子だったことを。
そして理解したのだ。ここは前世で見た乙女ゲーム、『恋する魔法学園のアリス』の世界であるということを!
私は目の前に広がる、貴族の子息令嬢たちが通うにふさわしい、荘厳な造りの校舎をドキドキしながら見つめた。
ここに来るのは初めてのはずなのに、見覚えがあって懐かしい。なんだかとても不思議な感覚だ。
「そうですね、アリス様」
ニコニコしながら穏やかにそう声をかけてきたのは、幼なじみであり従者のジェイドだ。相変わらず、無駄に顔がいい。艶やかな黒髪はサラサラだし、背が高くてスタイルもいい。紫の瞳には、よく見ると金色の粒が見え隠れしていて、まるで夜空を閉じ込めたよう。
一介の男爵家の従者だというのに、その誰もが振り返らずにいられないほどのキラキラしい美貌のせいで、まるでどこかの王子様みたいだ。
「ええ、そうよ。今日は待ちに待った、物語の始まりの日。ヒロインとして、誰とエンディングを迎えてもいいように頑張ってきた日々が、ようやく報われる時がきたのよ!」
ジェイドはいつも私の話を笑顔で聞いてくれるけれど、この話をする時だけは、なぜか張り付けたような笑顔になる。いつものことなので、私は気にせず話し続けた。
「思えば、全ては私が男爵家の養女になった日から始まったのよね……」
私は幼い頃、母と共に平民として暮らしていた。
しかし十歳の時に母が病気で亡くなると、男爵を名乗る見たことのない男性が現れ、これからは自分の養女となって一緒に暮らしてもらうと、有無を言わさず男爵家へ連れてこられたのだ。
天涯孤独だった母は、自分の死後、私の行く末についてとても心配していた。そのため、珍しい光魔法に目覚めた私を養女として引き取ってもらえるよう、男爵と内密に契約していたらしい。男爵は、この国の建国時に初代国王を支えた王妃と同じ光魔法を使える私ならば政略結婚の駒として使えると考え、これを承諾したようだった。
……そう! 私、ヒロインのテンプレである、光魔法の使い手なのよね。まぁ、希少であるとはいえ、そんなに大したものじゃないんだけど。
光魔法使いは治癒魔法を使えるため重宝されるらしいけれど、魔法を使うための魔力は有限だから、そんなに大勢の人を治療できるわけではないし、欠損を治せるわけでもない。使い手が少ないため、普通に医療もそこそこ発達している。先日熱を出した私を診てくれたのも、魔力のないお医者さんだ。でも、やっぱり初代王妃と同じ能力というのは政治的に価値があるらしくて、高位貴族と縁づくのも不可能ではないと男爵は判断したそうだ。
家門のための駒でしかない私には、男爵家では愛情なんてカケラも与えられなかった。でも、貴族令嬢としての知識や教養は必要だからと、教育はしっかりと与えられた。
そして、私は母を亡くしたショックと環境の急激な変化により高熱を出し、一週間ほど生死を彷徨ったというわけだ。
そして、私は自分の前世を思い出した。
病弱で、若くして世を去った、日本に住むゲーム好きな女の子だったことを。
そして理解したのだ。ここは前世で見た乙女ゲーム、『恋する魔法学園のアリス』の世界であるということを!
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