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魔法戦闘
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魔法戦闘の授業は、それぞれの生徒の実力別に指導を受けることが多いため、大まかな指導の後は、各自の裁量で練習を行う場合がほとんどだ。
そのため、誰かが対戦を行っていても自主練している者もいるし、他人の対戦を見て学ぶために、見学する者もいる。
……アルトゥール殿下と対戦する時は、ほとんどの生徒が見学してきて、すごくやりにくいのよね。
でも、ベルダ様は初めての対戦だからか、見学者はまばらだ。彼から学ぶことは少ないと思われているのかもしれない。でも、今の彼の様子を見れば、そうではないと皆がわかるはずだ。
初めてとは思えない気迫。魔法戦闘の経験はなくても、剣術ではたくさんの対戦経験があるからだろうか。それとも、学園を休んでまで特訓してきたからだろうか。これがもし剣術や体術の対戦だったら、私は彼に手も足も出ないだろう。けれど、魔法に関しては、私に一日の長がある。身につけた魔道具は物理攻撃を無効化してくれるので、攻撃には全て魔法を使わなければならないのだ。なら、有利なのは恐らく私の方。
先生が、私たちがしっかりと魔道具を着けたことを確認すると、開始の合図を出した。
「始め!」
開始直後、ベルダ様がこちらへ向かって走り出した。魔法の正確性では私の方が上なので、距離を詰めて近接戦闘へ持ち込むつもりらしい。魔法を拳や足に纏えば攻撃は通るため、体術の要素も絡んでくる。
しかし、それは私のような魔法特化型に対してよく取られる戦法だ。私は落ち着いて、いつものように相手の足元へ向け、氷の魔法を放った。足を氷で固定してしまえば、相手の機動力を無効化できる。しかし、それは上手くいかなかった。
「……!?」
いつもなら、走っている相手の足へ魔法を当てるなんて簡単にできるのに、彼は私の手を読んでいたかのように不規則な動きをして私の攻撃を避けた。もしかしたら、私がよく使う戦術を情報収集して対策してきたのかもしれない。
……それでも私、魔力操作技術には、少し自信があるんですよ。
私は一度避けられた氷魔法を遠隔操作した。今度はしっかりと彼の足を捕らえる。
「くっ! ……でも!」
「なっ!?」
けれど、それは一瞬のうちに溶かされてしまった。ベルダ様の得意属性が火とはいえ、魔法の発動がかなり早くなっている。特訓していたというのは伊達じゃないらしい。
そんなことを考えている間に、ベルダ様は目前に迫っていた。ここまで来ては、もはや精度は関係ない。撃てば当たる距離なのだから、威力が重要になってくる。私は高硬度の氷を壁のように作り出し、ベルダ様に向かって撃ち出した。
すると、なんと彼は剣でそれらを全て弾いてしまった。
……剣!? そんなもの、どこから?
魔法戦闘では、もちろん武器の使用は禁止されている。しかし、よく見ればそれは剣の形をした火の塊だった。彼が持っているのは、魔法で作り出した剣らしい。
確かに魔法で剣を作ることはできなくはないけれど、実用性が低いため、使う人は少ない。魔法で作り出したものが火であれ氷であれ何であれ、それに剣の硬度を持たせなければいけないのだから、魔力効率が段違いに悪いのだ。普通に火球を撃った方が攻撃力は高いので、そんな無駄なことをする人はほぼいない。
けれど、ベルダ様は咄嗟に魔法を使うのが苦手だから、慣れている剣術を使えることの方が利点になるらしい。確かに、長期戦になるならともかく、短い間なら、ベルダ様にとっては有効な手段だろう。
「う……っ」
彼は見事な剣さばきで私の放った氷を全て凌ぎきると、瞬く間に私との距離を詰めた。きっとそのまま、魔法の剣で私を斬るつもりなのだろう。氷と火では相性が悪いけれど、こうなったら、物量で押しきるしか……!
そう思い魔法を発動させようとした瞬間、ベルダ様は剣からパッと手を離した。その瞬間、火の剣は跡形もなく消える。そのまま剣を振り下ろせば勝てたかもしれないのに、彼の意外な行動に、一瞬魔法の発動が遅れた。その隙に、至近距離まで近づかれたと思うと、体を拘束するように、ガバッと抱きつかれてしまった。
「何を……っ、きゃあ!?」
ボオッと炎が私たち二人を包み込んだ。ベルダ様の魔法によるものだろう。
私のダメージを示す魔道具の色が、みるみる変わっていく。二人して火だるま状態になっているが、火の精霊の加護があるベルダ様は火に強くなっているため、それほどダメージはない。対して、私にとってこれは当然大ダメージになってしまう。
「は、放して……!」
魔道具のおかげで痛くはないが、とても熱くて、魔法が上手く使えない。当然、力で敵うはずもなく、手で押してみてもびくともしない。かろうじて出せた氷も、すぐに溶かされてしまう。かくして、まもなく私の魔道具の色が変わりきってしまった。
「そこまで! ラングストンの勝利!」
私は、ベルダ様との魔法戦闘に敗けてしまった。そして、この勝負の賭けにも。
そのため、誰かが対戦を行っていても自主練している者もいるし、他人の対戦を見て学ぶために、見学する者もいる。
……アルトゥール殿下と対戦する時は、ほとんどの生徒が見学してきて、すごくやりにくいのよね。
でも、ベルダ様は初めての対戦だからか、見学者はまばらだ。彼から学ぶことは少ないと思われているのかもしれない。でも、今の彼の様子を見れば、そうではないと皆がわかるはずだ。
初めてとは思えない気迫。魔法戦闘の経験はなくても、剣術ではたくさんの対戦経験があるからだろうか。それとも、学園を休んでまで特訓してきたからだろうか。これがもし剣術や体術の対戦だったら、私は彼に手も足も出ないだろう。けれど、魔法に関しては、私に一日の長がある。身につけた魔道具は物理攻撃を無効化してくれるので、攻撃には全て魔法を使わなければならないのだ。なら、有利なのは恐らく私の方。
先生が、私たちがしっかりと魔道具を着けたことを確認すると、開始の合図を出した。
「始め!」
開始直後、ベルダ様がこちらへ向かって走り出した。魔法の正確性では私の方が上なので、距離を詰めて近接戦闘へ持ち込むつもりらしい。魔法を拳や足に纏えば攻撃は通るため、体術の要素も絡んでくる。
しかし、それは私のような魔法特化型に対してよく取られる戦法だ。私は落ち着いて、いつものように相手の足元へ向け、氷の魔法を放った。足を氷で固定してしまえば、相手の機動力を無効化できる。しかし、それは上手くいかなかった。
「……!?」
いつもなら、走っている相手の足へ魔法を当てるなんて簡単にできるのに、彼は私の手を読んでいたかのように不規則な動きをして私の攻撃を避けた。もしかしたら、私がよく使う戦術を情報収集して対策してきたのかもしれない。
……それでも私、魔力操作技術には、少し自信があるんですよ。
私は一度避けられた氷魔法を遠隔操作した。今度はしっかりと彼の足を捕らえる。
「くっ! ……でも!」
「なっ!?」
けれど、それは一瞬のうちに溶かされてしまった。ベルダ様の得意属性が火とはいえ、魔法の発動がかなり早くなっている。特訓していたというのは伊達じゃないらしい。
そんなことを考えている間に、ベルダ様は目前に迫っていた。ここまで来ては、もはや精度は関係ない。撃てば当たる距離なのだから、威力が重要になってくる。私は高硬度の氷を壁のように作り出し、ベルダ様に向かって撃ち出した。
すると、なんと彼は剣でそれらを全て弾いてしまった。
……剣!? そんなもの、どこから?
魔法戦闘では、もちろん武器の使用は禁止されている。しかし、よく見ればそれは剣の形をした火の塊だった。彼が持っているのは、魔法で作り出した剣らしい。
確かに魔法で剣を作ることはできなくはないけれど、実用性が低いため、使う人は少ない。魔法で作り出したものが火であれ氷であれ何であれ、それに剣の硬度を持たせなければいけないのだから、魔力効率が段違いに悪いのだ。普通に火球を撃った方が攻撃力は高いので、そんな無駄なことをする人はほぼいない。
けれど、ベルダ様は咄嗟に魔法を使うのが苦手だから、慣れている剣術を使えることの方が利点になるらしい。確かに、長期戦になるならともかく、短い間なら、ベルダ様にとっては有効な手段だろう。
「う……っ」
彼は見事な剣さばきで私の放った氷を全て凌ぎきると、瞬く間に私との距離を詰めた。きっとそのまま、魔法の剣で私を斬るつもりなのだろう。氷と火では相性が悪いけれど、こうなったら、物量で押しきるしか……!
そう思い魔法を発動させようとした瞬間、ベルダ様は剣からパッと手を離した。その瞬間、火の剣は跡形もなく消える。そのまま剣を振り下ろせば勝てたかもしれないのに、彼の意外な行動に、一瞬魔法の発動が遅れた。その隙に、至近距離まで近づかれたと思うと、体を拘束するように、ガバッと抱きつかれてしまった。
「何を……っ、きゃあ!?」
ボオッと炎が私たち二人を包み込んだ。ベルダ様の魔法によるものだろう。
私のダメージを示す魔道具の色が、みるみる変わっていく。二人して火だるま状態になっているが、火の精霊の加護があるベルダ様は火に強くなっているため、それほどダメージはない。対して、私にとってこれは当然大ダメージになってしまう。
「は、放して……!」
魔道具のおかげで痛くはないが、とても熱くて、魔法が上手く使えない。当然、力で敵うはずもなく、手で押してみてもびくともしない。かろうじて出せた氷も、すぐに溶かされてしまう。かくして、まもなく私の魔道具の色が変わりきってしまった。
「そこまで! ラングストンの勝利!」
私は、ベルダ様との魔法戦闘に敗けてしまった。そして、この勝負の賭けにも。
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