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3章
20.赤い悪魔
しおりを挟む何かを警戒する二人の間で俺はもどかしい気持ちで耐えていた。一体何が起こると言うんだ!?
二人の会話を聞いていると誰かが来たらしいけど、同じ天使じゃないとか。て事は悪魔か!?
俺は少しワクワクしながら二人の会話を聞いていた。
「フリージア様、これは悪魔達の気配ですか?」
「そうです。それにしても天界があっさり侵入を許す程の力を持っている悪魔となれば、かなりの手練れと言う事になりますね」
「あのっ!それってアンビシャス様が言っていた手を貸す相手って事ですか?」
「おそらくそうでしょう。ですが油断大敵です。なんせ相手は悪魔なのですから」
「とてもおぞましい気配を幾つか感じます。一体何人なんだ……」
「確認出来る反応は三つ。その内一つは猛スピードでこちらの森まで向かっています」
なんと!侵入して来た悪魔が俺達の所へ向かっていると!
どんな悪魔なんだろう?アスみたいな感じかな?そしたら友達になれるよね♪
「エリム?」
「ユディ♪良い悪魔さんだといいね♪」
「え、ああ……」
ユディはまだ悪魔に対して抵抗があるのかな。苦笑いされちゃった。
そしてフリージア様が更に結界を張る素振りを見せて迫り来る悪魔に備える。
「来た!」
フリージア様がそう言った瞬間、ブワッと大きな風が舞い、周りの木々が豪快に倒れていく。何が起きたのか状況を理解する間もなくフリージア様は後ろを向いて両手を出して構える。
「よう姉ちゃん♪ちと道聞きてぇんだけど?」
「いつの間に!?」
フリージア様じゃない声が聞こえてそっちを見ると、そこには赤い髪の目付きの悪い男がニヤリと笑って立っていた。思わず俺が声を上げると、フリージア様に「静かに」と指示された。
白いワイシャツに黒いスラックス。背中には真っ黒なコウモリのような大きな翼。ニヤリと笑う口元は鋭い八重歯が見えていた。
この人が悪魔?
「根暗そうなガキの居場所教えろや。すげぇ中途半端な奴で、赤と金のオッドアイ。あー、あと翼もあんたらみてぇなふわふわしたやつなんだけど、色は黒。知ってたら3秒以内に答えろ♪」
アスの事だ。とても乱暴な口調で威圧的な感じだけど、この悪魔がアスの知り合いなのかな。
フリージア様は構えたまま落ち着いた様子でその悪魔に対峙していた。
「その条件と当て嵌まる方を知っています。ですがその前に確認させて下さい。貴方はどうしてここへ?」
「時間切れ~♪お前ら全員処刑~♪」
なっ!?処刑だと!?
そんなあっさり処刑を決めてしまうなんて、しかも3秒って短か過ぎないか!?
いきなり現れた悪魔の無茶振りに慌ててるのは俺とユディだけみたいで、フリージア様は薄く笑っていた。
「そうですか。貴方が魔王のご子息、リアル・ブラッドですね」
「へー、レベルの高い天使様は心が読めるって聞いたけど本当なんだな。そうだよ。俺が魔界最強のリアル様だ」
赤い髪の悪魔の心を読んだらしく、フリージア様は手を下ろして肩の力を抜いた。
俺はユディを見るけど、ユディは読めないみたいで首を横に振っていた。
リアル・ブラッド。魔界最強って言った?でもフリージア様は魔王のご子息だって……
魔王ってのは悪魔達の代表の事だろう?天界で言う、大天使様の長に当たる人。どう言う事だ!?
「私はアンビシャス様に仕えるフリージアと申します。アンビシャス様は今魔界に居られるのですね」
「ああ最近来た堕天使ね。いるよ魔界に」
「堕天使!?」
俺は衝撃的な言葉に思わず声を出して驚いていた。
堕天使と言うのは、元々は天界で生まれ、天界に逆らい天界を追い出されて地に堕ちた天使の事を言うんだ。
必ずしも魔界へ行くとは限らないらしいけど、扱いは悪魔と一緒になる。
そんな、アンビシャス様が堕天使に……
驚いた俺を悪魔であるリアルがチラッと俺を見た。反射的にビクッとしてしまった。
目付き悪いなぁ。
「何でここにガキが二匹もいるんだよ?」
「こちらの二人はまだ天使見習いですが、私の弟子です」
「ふーん。弟子ね~。で、うちのガキはどこだ?」
「ねぇ!」
「?」
「エリム」
二人に割って入るようにリアルに声を掛けると、またジロリと見られた。見下すようなその視線はとても恐ろしくて、それは初めての感情だった。恐れ、恐怖。これが悪魔なのかと思い知らされた気がした。
やっぱりアスは悪魔じゃないんじゃないか?
フリージア様に止められたけど、俺はそのままリアルを見ていた。
「なんだよ?」
「貴方はアスとはどう言う関係なの?アスを助けに来たの?」
「まぁ結果的にはそうなるな。生捕りにして魔界へ連れ帰るんだよ」
「アスの友達なの?」
「友達とか言ってんじゃねぇよ。あいつは俺の弟だ」
「弟ぉ!?え、それって……」
アンビシャス様の隠し子が他にもいたって事ぉ!?これにはユディも驚いて目を丸くさせていた。
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