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3章
22.七人兄弟
しおりを挟む悪魔達の侵入によって、天界は大騒ぎになっているだろうと言うフリージア様の考えで一度この森から出る事になった。
この騒ぎに便乗して結界は張らずにそのまま進む事にした。
森を出ると、遠くの方でバチバチと何かが光っているのが見えた。あれは俺達が暮らす街の方だ。
「フリージア様、あの光は何でしょうか?」
「魔力による放電でしょう。上位天使が戦っているのかも知れません」
「いや、あの放電は悪魔のだ。スマイルが暴れてんだろ」
俺達の後を付いて来ているリアルがそう言った。あ、侵入して来た他の悪魔の事か!
「スマイルとは?」
「三番目の魔王の息子だ。ちなみにスマイルはいつもエフェメラルっつー双子の弟と一緒にいる。つまりあそこには二人の悪魔がいるってこった」
おお!て事はアスのお兄さんに当たる二人だね!
しかも双子ちゃんだなんて!いつも一緒だなんて仲良しなんだなぁ。俺もアスとそんな風に一緒にいたいな。
「でもスマイルが放電するなんて珍しいな。あいつはいつもヘラヘラ笑ってやがって、ああやって攻撃的になるのは滅多にねぇんだ。はは、そんなけやる気出してるって事か、それかラルに何かあってキレてるとか?」
「どちらにせよあそこまでの力は侮れません。きっと上位天使が対応しているのでしょうけど、抑えられるかどうか」
「そんな!あそこは俺達が暮らしている街の方ですよ。上位天使でも抑えられないなんて、他のみんなが危ないじゃないですか!」
「本来外部から侵略や攻撃があった場合に対応する大天使様はアンビシャス様の役目でした。今は守護隊の隊長が不在ですから、天界側も対応に遅れているのでしょう」
同じ天界側に起きている惨事にも関わらずフリージア様は落ち着いた様子で言った。
フリージア様もアンビシャス様の側に付いて守護隊としてやって来たんだから行かなきゃいけないんじゃないのかな。そんな風に他人事のように言うなんて少し酷いなと思ってしまった。
「エリム、フリージア様もお辛いお気持ちだよ。だけど、フリージア様は信頼するアンビシャス様との約束を守ろうとしているんだよ」
「ユディ……」
ユディに説明されてフリージア様を見ると、悲しそうに笑った。
そっか、フリージア様はアンビシャス様の為に天界に逆らっているんだよね。仲間の事を心配してないとかじゃない。ずっと暮らして護って来た天界が荒らされるのを何とも思わない訳がないよね。その気持ちを押し殺してアンビシャス様の命を遂行しているんだね。
「フリージア様、行きましょう。早くアスを助けてアンビシャス様を安心させてあげましょう!」
「ええ。そうしましょう」
「なぁ行くって、アテはあるんだろうな?さっきアスがどこにいるのか知らないって言ってたよな?」
「アテならあります。そこにいるとは限りませんが」
「リアル、不安なのは分かるけど、フリージア様を信じて?」
「さっきドリーとラブまで来たからこれで五人は天界にアスを探しに来てる。ドリーはちと厄介な奴だから早めにアスを見付けねぇとなんだよ」
「ドリーって一番上のお兄さんの事だよね?」
森を抜けるまでの間にリアルから軽く兄弟の話を聞いた。アスを入れて全員で七人いるそうだ。ちなみにリアルは二番目。次男に当たる。
そしてドリーと言うのはドリームって言う長男で、リアルの下には双子のスマイルとエフェメラルがいる。そして五番目にラブ、六番目にペシミズム。最後の七番目はアスだ。
男ばかりの七人兄弟の内六人は今天界に来ているらしい。
「ああ、下からは慕われてるけど一番俺の嫌いな奴」
「リアルは誰とでも上手くいかなそうだよね」
「あ?」
俺が思った事を口に出して言うと、リアルに睨まれた。だってこんなに口が悪くて態度も悪いんだもん、みんな嫌な思いすると思うんだ。天界にはこんなにガサツな天使はいないからつい嫌味みたいな事を言いたくなるもんだ。
そんな俺とリアルを見てフリージア様とユディが笑っていた。
「ねぇ、アスとは仲良いの?」
「普通だ普通。あいつはいつも一人だよ。いつも下向いてジメジメしてやがる」
「そんな事ないよ~。アスはとても良い子だよ?お兄ちゃんなんだから一緒に遊んであげればいいのに」
「お前の脳みそ腐ってんのか?それとも天界ボケってやつ?魔界じゃ上も下もねぇんだよ。強い奴が生き残る。弱肉強食の世界なの」
弱肉強食……。
弱い者が強い者の犠牲となり餌食になる事。人間界では当たり前のような言葉だと教えられて来たけど、そんな世界があったらとっくに滅びてしまっているんじゃないかな?
俺達天使達にも上手く飛べるとか上手く飛べないとかあるけど、それは仕方のない事なんだし助け合っていけばいいと思うんだ。
うーん、これが天界ボケって言うの?
俺には良く分からないや。
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