34 / 48
4章
33.駄賃を貰っただけ
しおりを挟む俺は凄い光景を目撃していた。
それはさっきまで歪み合っていた天使と悪魔が笑顔でくっ付いている姿……ああなんて素晴らしいんだ!キラキラした優しい笑顔の天使に、余裕のありそうな大人な笑顔を浮かべる悪魔がしっかりと両腕で抱き締めている!
「フリージア様!凄いです!あの二人が仲良くしてます!」
「ええ、本当にやるとは……」
二人から顔を背けて肩を震わせているけど、あれ?フリージア様面白がってる?
えー、俺に賛成して二人に命令したのはフリージア様なのに、それはあんまりじゃない?
てかそんな事を言ったら二人共怒っちゃうよ。
俺は二人に視線を戻して改めて見ると、異変があった。
ユディを抱き締めてるリアルは相変わらず余裕のある表情で、むしろ勝ち誇ったような誇らしげに笑っていたけど、ユディは爽やかな笑顔を崩して、むしろ辛そうに見えた。
どうしたんだろ?
それに、さっきリアルが消えたのは何だったんだ?
守護隊を攻撃してた時も消えたように見えたけど、まさかリアルは瞬間移動が出来るのか?
「おー、なんか苦しそうだけど大丈夫かぁ?」
「くっ……お前、何をした?」
顔を歪めて辛そうにしているユディは一生懸命リアルを離そうとするけど、その腕に力が入らないのか抱かれたままでいた。
ユディの様子がおかしい事にフリージア様がゆっくり二人に近付いて行く。
「リアル貴方、ユディの力を吸ったのですか?」
「ヒャハハ!せっかく俺様がハグしてやるんだから駄賃ぐれぇ貰わねぇとな♪」
「ち、力を吸うって、あ!ユディ!」
高らかに笑うリアルは元気の無くなったユディをポイっとして手離した。
フラッと力なく落ちそうになるユディを俺は慌てて抱える。
リアルが何かをしたみたいだけど、俺にはさっぱりだった。
「ユディ大丈夫!?」
「油断した……このままじゃエリムの負担になっちゃうから……地面に降ろしてくれないか?」
「俺は大丈夫だよ!リアル!なんて事するのさ!ユディの力を返してあげてよ!」
「吸う事は出来るけど、与える事は出来ねぇ。つかちょっと貰っただけだぞ。それでそんなに衰弱するとかどんなけ弱いんだよ」
飛ぶ事も出来ないぐらいに弱っているユディを見て、リアルに強く言うと開き直ったかのような事を言い出した。
どうしよう、ユディがとても辛そうだよ。
フリージア様を見ると、人差し指をユディに向けてぶつぶつと呪文を唱えた。すると、さっきリアルと戦った時に力を分け与えた時のキラキラ輝く蝶が出て来てゆっくりユディに近付いて行き、胸元でスーッと消えた。
するとユディの顔色が少しだけ良くなった。
「ありがとうございます」
「いえ、リアルの能力も定かではないのに無理強いをした私にも責任はあります。ユディ良くやりましたね。エリム、ユディを連れて下へ降りて少し休みなさい」
「はい!ユディ行こう」
「ごめんね」
苦笑いを浮かべるユディはまだ本調子ではなさそうだった。
俺はフリージア様に言われた通りにユディを支えながらゆっくりと草木の無い地面へ降りる。
フリージア様とリアルはそのまま宙に浮いたままだった。フリージア様がお話をされるんだろうけど、リアルの底知れない能力には驚くなぁ。
あれで正式に仲間になってくれれば心強いんだけどな。
俺は上にいる二人を見上げながらそんな事を考えていた。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
うちの魔王様が過保護すぎる
秋山龍央
BL
主人公・折本修司(オリモトシュウジ)は転生恩恵女神様ガチャにはずれて異世界に転生して早々、つんでいた。
「異世界で言葉が分かるようにしてくれ」と頼んだところ、相手の言葉は分かるが自分は異世界の言葉は喋れない状態となり、
「平和な国に転生したい」と頼んだところ、平和で治安のいい国に転生をすることはできたものの、そこは人間のいない魔族だけの国だったのである。
困っていた主人公の元に、異世界の"魔王"である紅の髪と角を持つ男があらわれて――
「まさか――そっくりだとは思ってたけれど、お前、本当にシュウなのか?」
異世界転生魔王様×異世界転生主人公
幼馴染年下攻めだけど年上攻めです
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
壁乳
リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。
最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。
じれじれラブコメディー。
4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。
(挿絵byリリーブルー)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる