黄金の鍵と曖昧な君

pino

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4章

33.駄賃を貰っただけ

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 俺は凄い光景を目撃していた。
 それはさっきまで歪み合っていた天使と悪魔が笑顔でくっ付いている姿……ああなんて素晴らしいんだ!キラキラした優しい笑顔の天使に、余裕のありそうな大人な笑顔を浮かべる悪魔がしっかりと両腕で抱き締めている!


「フリージア様!凄いです!あの二人が仲良くしてます!」

「ええ、本当にやるとは……」


 二人から顔を背けて肩を震わせているけど、あれ?フリージア様面白がってる?
 えー、俺に賛成して二人に命令したのはフリージア様なのに、それはあんまりじゃない?
 てかそんな事を言ったら二人共怒っちゃうよ。

 俺は二人に視線を戻して改めて見ると、異変があった。
 ユディを抱き締めてるリアルは相変わらず余裕のある表情で、むしろ勝ち誇ったような誇らしげに笑っていたけど、ユディは爽やかな笑顔を崩して、むしろ辛そうに見えた。

 どうしたんだろ?

 それに、さっきリアルが消えたのは何だったんだ?
 守護隊を攻撃してた時も消えたように見えたけど、まさかリアルは瞬間移動が出来るのか?


「おー、なんか苦しそうだけど大丈夫かぁ?」

「くっ……お前、何をした?」


 顔を歪めて辛そうにしているユディは一生懸命リアルを離そうとするけど、その腕に力が入らないのか抱かれたままでいた。
 ユディの様子がおかしい事にフリージア様がゆっくり二人に近付いて行く。


「リアル貴方、ユディの力を吸ったのですか?」

「ヒャハハ!せっかく俺様がハグしてやるんだから駄賃ぐれぇ貰わねぇとな♪」

「ち、力を吸うって、あ!ユディ!」


 高らかに笑うリアルは元気の無くなったユディをポイっとして手離した。
 フラッと力なく落ちそうになるユディを俺は慌てて抱える。

 リアルが何かをしたみたいだけど、俺にはさっぱりだった。


「ユディ大丈夫!?」

「油断した……このままじゃエリムの負担になっちゃうから……地面に降ろしてくれないか?」

「俺は大丈夫だよ!リアル!なんて事するのさ!ユディの力を返してあげてよ!」

「吸う事は出来るけど、与える事は出来ねぇ。つかちょっと貰っただけだぞ。それでそんなに衰弱するとかどんなけ弱いんだよ」


 飛ぶ事も出来ないぐらいに弱っているユディを見て、リアルに強く言うと開き直ったかのような事を言い出した。
 どうしよう、ユディがとても辛そうだよ。

 フリージア様を見ると、人差し指をユディに向けてぶつぶつと呪文を唱えた。すると、さっきリアルと戦った時に力を分け与えた時のキラキラ輝く蝶が出て来てゆっくりユディに近付いて行き、胸元でスーッと消えた。
 するとユディの顔色が少しだけ良くなった。


「ありがとうございます」

「いえ、リアルの能力も定かではないのに無理強いをした私にも責任はあります。ユディ良くやりましたね。エリム、ユディを連れて下へ降りて少し休みなさい」

「はい!ユディ行こう」

「ごめんね」


 苦笑いを浮かべるユディはまだ本調子ではなさそうだった。
 俺はフリージア様に言われた通りにユディを支えながらゆっくりと草木の無い地面へ降りる。

 フリージア様とリアルはそのまま宙に浮いたままだった。フリージア様がお話をされるんだろうけど、リアルの底知れない能力には驚くなぁ。
 あれで正式に仲間になってくれれば心強いんだけどな。

 俺は上にいる二人を見上げながらそんな事を考えていた。


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