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4章
34.試してみよう!
しおりを挟む地面に着地した後に、ゴツゴツした岩場にユディを座らせて様子を見ていた。
さっきよりは大分良くなったみたいだけど、もう無理はさせられないよな。俺も二人が仲良くなればと思って調子に乗ってたな。
「ユディ、ごめんね?嫌な事だったのに無理矢理やらせちゃった」
「ううん。エリムの言う事も分かるから。ただ俺が頑固なだけで、初めからエリムのようにリアルと向き合っていればこうならなかったと思うよ」
「俺ね、ユディは誰にでも優しいから、リアルとも仲良くなれると思ったんだ。でも相性ってのがあるからもう無理にとは言わないよ」
「俺は……」
きっとユディにも優しいだけじゃなくていろいろな感情があるんだ。それは誰にでもあるもので、ユディは俺よりも隠すのが上手いだけ。
俺がユディの手を握りながらそう約束すると、良くなった顔色で苦笑いしていた。
「誰にでも優しい訳じゃないよ。今回リアルと会ってハッキリ自覚したんだけどね」
「あはは、ユディも自分で思ったんだ?でもそう言う感情を出すのもいいと思うよ♪そうすれば何が嫌なのか分かりやすいし~♪ほら、俺はユディやフリージア様と違って心が読めないからさ~」
「……エリムはリアルの事が好き?」
実際に心は読めなくてもいいと思っていた。こうして言葉を交わして伝え合う事は出来るんだし、分からないなら聞けばいい。俺はそう思う。
心を読む話になってユディは優しく笑って聞いて来た。
「好きだよ。強くて面白いからね。でも、ユディの力を取っちゃたのは許せない」
「……本当に?」
「本当だよ!だってユディは少しでも強くなろうって努力してるじゃん!それをフリージア様みたいに助けたりしてくれるならいいけど、奪うような事をするのはダメだろ!」
「それは、俺じゃなかったとしても思ってたって事かな?」
「思ってたね!」
「はは、そっか」
俺がプンプンと声を大きくして怒りを露わにしてるとユディは困ったように笑った。
一体どれだけの力を取ったのか分からないけど、それを取り戻せるまでにどれだけ掛かるか分からない。ユディはとても才能のある天使なのにとても悲しいよ。
「優しいのはエリムだよ。いつもみんなと楽しそうに遊んでいて凄いなと思ってたんだ。誰一人仲間外れになんかしたりしないし、自分と合わない人とも向き合っていて、本当に尊敬するよ」
「尊敬だなんて~!ユディに言われたらまた調子に乗っちゃうからやめて~♪えへへ、でも嬉しい♪」
「でも今回リアルと関わって尊敬の他にも感じていた物がハッキリしたよ。俺はエリムに好意を寄せる人に嫉妬してしまうみたいだ」
「ユディが嫉妬?それっていいなとか俺も欲しい、やりたいって思う気持ちだよね?」
「……まぁそんな感じだよね」
「凄くいいと思う!それ、俺も良く思うもん♪あの子がやってる事楽しそうだな、俺もやりたいなぁとか、あの子が持ってるの美味しそうだなぁ、食べたいなぁとか♪ユディも俺と同じなんだね♪」
「……う、うん。そうだね」
ユディが俺と同じような考えを持っていると判明して嬉しいのは俺だけだったみたい。
体調は良くなったみたいだけど、相変わらず元気はなかった。
どうしたらまた元気になるかな?
力が戻らないとダメかな?
せめて前のように元気になって欲しいなぁ。
俺はどうにかユディを笑わせようと考えた。
考えて考えて、たまに上にいる二人をチラッと見たりして。
フリージア様とリアルはまだ話し合っているみたいだった。
ここでデカい態度でフリージア様に向き合っているリアルを見て俺は閃く。
リアルが使った能力、俺にも出来ないかなぁ?
力を取るじゃなくて与えるやつ!
リアルは出来ないって言ってたけど、逆もあるんじゃない!?
俺がやる気に満ち溢れた顔でユディを見ると、悟ったかのように不安そうな表情をしていた。
「ユディ!俺やってみるよ!」
「……大体は何をしようとしてるのか分かるけど、どうやるんだ?」
「うーん、そうだなぁ~?確かリアルはユディに抱き付いてる状態でやってたよな」
「まさか!?」
「ねぇユディ、ちょっと抱き付いてもいい?」
「!?」
抱き付いて強く念じれば出来るんじゃないか?
だけど他にリアルがやってた事なんて分からない。とにかく実践あるのみだ!
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